大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

いよいよ異世界編もクライマックス。

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第六十三話 異世界の魔法少女の邂逅XI

俺達が目指していた時計塔。

 

その側のビルの屋上にてバーサーカーとセイバーオルタが立っていた。

 

俺は最も恐れていたことが現実になったことに内心焦っていた。

 

ただでさえ英霊は人智を越える存在であるというのに…ここにきて二人同時である。

 

その中でもあの二人組はまずい。

 

まずすぎる。

 

ここに来るまでに既に俺達は三人のサーヴァント、キャスター・アサシン・ライダーと戦った。だがその三人と比べるとあの二人の強さは段違いである。

 

その理由が、サーヴァントの中でもセイバーが【最優】と言われ、バーサーカーが【最強】と言われていることにある。

 

それはなぜか?

 

聖杯戦争の中で最も勝率の高いクラスがセイバーであり、そして最も力を発揮するクラスがバーサーカーであるからだ。

 

セイバーは安定感のある強さを持ち、バーサーカーはスキルの「狂化」によって圧倒的破壊力を産生み出すのだ。

 

だがバーサーカーに至っては顕著するだけでも魔力を消費し、なおかつ「狂化」による消費魔力もバカにならないので、それに耐えられずに自滅していく魔術師が多い。なので聖杯戦争では扱えきれずに真っ先に脱落することで有名だ。

 

だが正直、今はそんなことどうでもよかった。

 

まずはこの危機を乗り越えることが先決だった。

 

くそったれ…

まだ一人ずつならこんなにも焦らなかったのに。

 

だが俺が感じているこの焦りを、俺の側で不安そうにこちらを見ている少女たちに感づかせてはならない。

 

なぜなら俺は、実質…このグループのリーダーになっているからだ。

 

今までのサーヴァントとの戦いでも皆、協力的で俺の指示に従ってくれていた。

 

だからだろうか?

作戦会議などでも比較的俺の意見が取り入れられることが多かった。

 

だが考えてみれば普通かもしれない。

 

周りは小学生の女の子四人で、こちらは高校生男子一人。年齢的にも身体的にも俺はこの子たちより上である。だからこそ必然的に俺の指示が優先的になるのだろう。

 

でも冷静になるとふと思う。

年下の女の子たちに守られるというのは男のプライド的に許されることではない。

 

それが小学生の女の子に守ってあげるなんて言われようもんなら、色々複雑な思いが重なって泣く自信がある。まぁ、この子たちにとっては俺が無茶ばかりするからそれを抑えたいというのもあるのだろうが…。

 

はぁ(´Д`)

 

少しため息がでたが、俺はすぐに死ぬ気モードとなり意識を切り替える。コレで冷静に物事を捉えることができる。

 

俺はなのはたちの様子をチラリと見る。

 

なのはとフェイトは、あの二人組の強さを感じ取ったのか顔を少しこばわらせている。イリヤとミユも一度戦っている相手とはいえ、顔に不安がありありと残っていた。

 

当たり前か。

彼女たちはまだ小学生なのだ。

 

まずはできるだけ不安を取り除いてやらないと。

 

俺は皆に話しかける。

 

 

「皆、落ち着け」

 

 

「「「「………」」」」

 

 

「お前達が焦るのも分かる。不安になるのも分かる。ハッキリいってあいつらは強い」

 

 

俺はこの子たちに語りかけるように話す。

 

 

「だからこそ落ち着け。冷静になれ。落ち着いて周りを見ろ」

 

 

俺は彼女たちを見渡す。

 

 

「あいつらは確かに強大だ。まともに一対一で戦えばこちらが勝つことは不可能に近いだろう」

 

 

そしてひとりひとりの目を見てしっかりと話す。

 

 

「だが……あいつらにはなくて俺達にはあるものがある。それは仲間だ」

 

 

なのはを見る。

 

 

「仲間がいれば、不安で押し潰されそうになっても一緒に乗り越えられる」

 

 

フェイトを見る。

 

 

「仲間がいれば、焦って周りが見えなくなってても一緒に支えてやれる」

 

 

イリヤを見る。

 

 

「仲間がいれば、相手がどんなやつでも勇気が湧いてくる」

 

 

ミユを見る。

 

 

「仲間がいれば、怖くても一緒に戦うことができる」

 

 

俺は目を閉じて深呼吸する。

 

 

そして目を開ける。

 

 

「だからあいつら英雄に見せてやろう。人間の力を。仲間の力を。だからこの戦い……………皆で絶対に勝とう!!」

 

 

すると皆が俺の両手を握ってきた。

 

 

「うん!絶対に勝とうね!」

 

「勝つ」

 

「絶対勝ちましょう!」

 

「勝って帰ります」

 

 

なのは、フェイト、イリヤ、ミユがそれぞれ返事を返す。

 

その目に不安や焦燥などはなくなっていた。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

奴らとの距離はおよそ1kmほど離れている。

 

だがその二対の視線は真っ直ぐ俺達を捉えていた。

 

こっちが気付いているようにあっちも既に気付いているってことか。

 

 

「いいかお前達、当初の作戦通り必ずペアで行動するんだ。なのははフェイトと、イリヤはミユとペアだ」

 

 

俺は皆に聞こえるように話す。

 

 

「決して一人で行動するな。一人で無理をするな。一人で無茶をしようとするな。必ず二人で行動するように心がけろ。俺達には唯一あいつらに勝ってる物がある。それがコンビネーションだ。こちらの人数の利を生かすんだ。奴等は……一人で戦って勝てるほど甘くない」

 

 

奴らがどういった動きでこちらにおそいかかってくるかは分からないが、あらゆる可能性を考慮しておくべきだろう。

 

最悪の展開は、セイバーオルタとバーサーカーが同時に襲ってくることだが…

 

そのことも考慮して二人で行動させることにしている。一人よりも二人で行動させた方がこちらの生存率もアップするしな。

 

だからこそお互いに手の内を知っている同士をペアにした。

 

なのはとフェイトは互いに何度も戦っていることから、相手の魔法の種類や特性も分かっているだろうし、イリヤとミユに関してはこの空間に来る前からコンビとしてその力を発揮している。

 

だからあまり心配はしていない。

 

いや違うか?

 

信頼している。

 

こう言った方が正しいか?

 

だからあとは勝つためにフルに頭を回転させて行動するだけだ。

 

すると四人がこちらをじっと見ていることに気付く。

 

 

「どうした?」

 

 

俺は気になったので声をかけた。

 

 

「ヒエンさんはどうするんですか?」

 

 

イリヤが不安そうに声をかけてきた。

 

 

「俺は状況を見て、皆の指示を出したり援護したりする。まぁ、臨機応変に行動するだけだ」

 

 

俺はイリヤを不安にさせないように頭をポンポンと軽く叩きながら言う。

 

 

「絶対……無茶はしちゃダメだよ?」

 

 

今度はなのはが何か泣きそうな表情でこちらを見てくる。

 

 

「しないよ」

 

 

今度はなのはを安心させるように、彼女の頭をポンポンと軽く叩きながら言った。

 

 

するといつの間にかフェイトとミユも俺の側に近づいてきており、こちらをじっと見つめていた。

 

 

「「………」」

 

 

「ど、どうした?」

 

 

「「………」」

 

 

「な、なんだ?」

 

 

「「………」」

 

 

「………」

 

 

「「………」」

 

 

「はい。無茶は絶対にしない。だからもう勘弁してくれ」

 

 

すると二人とも満足したのかサッと離れていった。

 

無言の威圧というのはやはり怖い((((;゜Д゜)))

 

しかしあれだな。

そんなに俺は無茶をすると思われているのだろうか?

 

そんな自殺志願者みたいな願望はありませんのことよ。

 

できれば普通に生きて普通に生活したいだけの普通の高校生よ。

 

家でパソコンの動画見てゴロゴロしたい普通の高校生よ。それに加えて漫画&テレビゲームもあればなお最高である。

 

ビバダラダラ生活!!

 

 

「とまあ軽い妄想やミーティングはこれぐらいにしてそろそろ行くとするか」

 

 

正直、怖くないと言えばウソになる。本音を言えば逃げたいし、こんな危険な戦い投げ出してしまいたい。

 

俺が本音を言って逃げたいといえばこの子たちはそれを肯定してくれるだろう。そして俺を逃がすために自分が怖いのを我慢して歯をくいしばって戦ってくれるのだろう。

 

この子たちとは少し過ごした程度だが、そんな確信めいたことが分かるくらいにこの子たちは分かりやすかった。この子たちは優しすぎる。

 

でもだからこそ…

 

そんな優しい子達だからこそ助けたいと思うのだ。

 

死ぬ気モードがあって本当に良かった。でなければ今頃、足が震えて情けない姿をきっと見せていただろうから…。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

俺達はゆっくりと飛びながら徐々に近付いていく。

 

そして俺達は奴らが待っているビルの屋上へと着地した。

 

俺の左隣にはイリヤ&ミユが、右隣になのは&フェイトが立っている。

 

奴らとの距離はおよそ200m。

 

英霊にとっては些細な距離だろう。

 

そして俺達が睨み合っていると、突如動きがあった。

 

 

 

バーサーカーが突っ込んできたのだ。

 

 

 

「ガアアアアアアアア!!!!」

 

 

俺は即座に念話で指示を出す。

 

 

『皆、空中へ回避。そして射撃魔法の準備!』

 

 

俺の指示通りに四人共空中へ飛ぶ。

 

そしてバーサーカーは狙いを俺へと定めたのかこちらに一直線に突っ込んできた。

 

俺は炎熱疾走(フレアドライブ)を発動させ後方へ退避する。だがバーサーカーのスピードは速く俺の動きに追随してきた。

 

そして雄叫びをあげながら右腕を振るってくる。

 

その攻撃を超直感で感知すると、体を右にひねってかわす。

 

バーサーカーの拳は地面を容易く砕いた。その衝撃の余波が強いのか射撃魔法を展開していたなのはたちの体勢が少し崩されてしまう。

 

その間に俺はバーサーカーの懐に潜り込み右手に炎の剣(ファイアエッジ)を展開させ、その腹を斬り裂いた。

 

 

 

ズバァ!!

 

 

 

バーサーカーの腹から大量の血が吹き飛ぶ。

 

俺は即座にバーサーカーの後ろに回り込みさらに背中を縦一線に斬り裂く。そして追撃とばかりにバーサーカーの背中を何度も斬り裂く。

 

そしてさらなる追撃をしようとしたが、バーサーカーがこちらを裏拳で攻撃をしてきたのでそれを見計らって俺は後ろへと下がる。

 

そしてその間に体勢を整えた皆に念話で指示を出した。

 

 

『傷口に射撃魔法を当てるんだ!』

 

 

『『『『はい!』』』』

 

 

四人はそれぞれの射撃魔法を、俺がバーサーカーを()()()()()()()()()()()()()

 

 

「ガ、ガアアアアアアア!!!!」

 

 

バーサーカーは雄叫びをあげながら倒れた。

 

(少しは効いてるか?)

 

確かにバーサーカーの防御能力や蘇生能力、攻撃能力は脅威だ。

 

さらには一度倒した攻撃は効きづらくなるというチート染みた性能まである始末。

 

奴の強さの秘密……

 

それは何度攻撃を食らっても強くなる()()にある。

 

十中八九、その強さの秘密は常に展開している奴の宝具のせいだろう。なるほど。確かに脅威だ。

 

だが…

 

 

体の()ならばどうだろうか?

 

 

あくまでも体の()()ならば宝具の効果はあるだろう。だが()ならば宝具の能力範囲外なのではないか?

 

一度攻撃が効きづらくなればそれだけこちらの勝率も下がってくる。

 

ならば…

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

蘇生能力なんてばかげた能力、それだけ展開するのにエネルギーを消費しないわけがない。

 

なら……

 

攻撃が効いている間にこちらの攻撃をどんどん与えれば、その分のエネルギー……蘇生能力も減ってくるんじゃないか?

 

だからこそさらに追撃する。

 

俺はファイアエッジを解除し、バーサーカーの四肢をリングバインドで拘束した。そして両手を上にあげる。

 

両手には特大のオレンジの炎が出来上がっていた。

 

それを倒れているバーサーカーにぶつける。

 

 

火炎の大砲(フレイムキャノン)!」

 

 

 

ドガアアァァンン!!!

 

 

 

『皆、さらに追撃だ!!』

 

 

『『『『はい!!!!』』』』

 

 

なのは達がバーサーカーに攻撃を仕掛けている間に、俺は未だにじっとこちらを見続けているセイバーオルタへと視線を向ける。

 

(何を考えている?)

 

俺はてっきりセイバーオルタも一緒になってこちらに攻撃を仕掛けてくるものばかりと思っていた。しかし予想とは裏腹に彼女が攻撃を仕掛けてくることはなかった。

 

何を企んでいるかは分からないが、彼女が攻撃を仕掛けてこないのはこちらとしてはありがたい。

 

それだけ一人に集中できるからな。

 

そして俺もバーサーカーへと再び攻撃を開始しようとしたとき…

 

 

突如、全身を悪寒が走った。

 

 

俺は即座に後方へと飛ぶ。

 

 

 

ドシイイィィンン!!!!

 

 

 

するとなんと上空からバーサーカーが降りてきたのだ。その着地力は凄まじく地面が陥没していた。

 

 

(もう復活したのか!?それに上から降ってくるだと…………ん?上から?まさか!?)

 

 

俺は嫌な予感がしたので上を見上げた。

 

そして嫌な予感は適中した。

 

 

 

()()()()()()()()()姿()()()()()()()()

 

 

 

俺は焦る気持ちを抑えつつ、すぐに念話で確認を取る。

 

 

『おい!皆、無事か!?無事なら返事をしろ!!』

 

 

『だ、大丈夫…ちょっとすごいパワーで吹き飛ばされただけだから。皆も無事だから安心して』

 

 

なのはから返事があった。俺はそれに返事を返そうとする。だが…

 

突如、バーサーカーが猛スピードで接近戦を仕掛けてきたため返事をすることができなかった。いや、返事をする余裕がなかった。

 

 

「ぐっ!?」

 

 

バーサーカーの左パンチを首のスウェーでギリギリかわしたあと、俺はバク転で後ろへと下がる。だが先ほどと同じようにバーサーカーは追随してきた。

 

バーサーカーの巨大な拳が俺を捕らえようとする。が、なんとか紙一重でかわす。そして更に連続パンチが繰り出される。一発でも食らえば致命傷になりかねない巨大な拳をなんとか両手の化剄(かけい)で受け流す。

 

超直感でバーサーカーの動きを察知できるおかげか、圧倒的なバーサーカーのスピードにもなんとか対応できている。だが少しずつだが俺は追い詰められていた。

 

なんといえばいいだろうか?

 

息をつく暇も与えてもらえないのだ。少しでも気を抜いてしまえば、攻撃をくらってしまう。

 

ここまで攻撃をかわせているのは、一重に死ぬ気モードになって潜在能力を解放しているのと、魔力強化で肉体を強化しているおかげである。

 

以前戦った退魔師の薫さん以上のスピード、反応速度で肉迫されている。

 

するとここでバーサーカーの攻撃の軌道が変わった。

 

今までは鋭い直線的な攻撃だったが変化球のような変則的な流れに変わったのだ。

 

ちょっ!おまっ!?

バーサーカーなのに技巧派とかなにそれずるい!?Σ(゜Д゜)

 

そして変則パンチをなんとか受け流すと突如、横から蹴りが繰り出された。それを俺はジャンプでかわす。いや、()()()()()()()

 

 

「しまっ!?」

 

 

気付いたときには遅かった。

 

バーサーカーの巨大な右拳が既に迫っていた。

 

 

(やべぇ!?)

 

 

俺は苦肉の策としてラウンドシールドを展開させる。そして死ぬ気の炎でできる限り強化した。

 

 

 

 

 

 

ガキイイィィンン!!!!!

 

 

 

 

 

 

周囲に甲高い音が響く。

 

だがそれは()()()()()()()()()()()()

 

それは()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「どう……して?」

 

 

俺を庇うようにセイバーオルタがバーサーカーの攻撃を防いでいた。

 




もう少しで異世界編も終了だウラアー(゜▽゜*)

では、また(・∀・)ノ

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