四月も半ばどわぁー。
あー
良いことおきねぇかなあ、ちくしょいー。
それでは、どうぞ( *・ω・)ノ
俺は予想外の光景に唖然としていた。
敵であるはずのセイバーオルタがバーサーカーの攻撃から俺を守ったのだ。
「どう……して?」
セイバーオルタはこちらをチラリと見ると再び前を向く。
バーサーカーとしばらくつばぜり合いを行っていたが、セイバーオルタが先に動いた。
力をフッと抜き、バーサーカーの体勢を崩したのだ。
その隙をつくと纏っていた黒き魔力を放出し、高速で動き回りバーサーカーの体を斬り裂いていく。目を斬られたのかバーサーカーは顔を両手で押さえながらうずくまった。
そして……
ドスッ‼
バーサーカーの背後から黒き聖剣で心臓を貫いた。
そして再度、バーサーカーの正面に回ると黒き聖剣をホームランバットの如く振り抜き、大きく吹き飛ばした。
ドガアアァァンン!!!!
「す、すげぇ…」
あのバーサーカーの巨体を吹き飛ばしやがった…。
だがそこで終わりではなかった。
なんとセイバーオルタは、黒き魔力を聖剣へと集束させたのだ。
おいおい…
もしかしてあれを撃つつもりか!?
「
そして集束された黒き魔力は巨大な砲撃の如く放たれ、倒れているバーサーカーに直撃した。
ドゴオオォォンン!!!!
な、なんつー威力…
少なくとも以前見たなのはのディバインバスターフルパワー以上の威力はある。
そしてそれを放ったセイバーオルタは変わらず平然としている。どうやら軽く放っただけのようだ。
本気で放ったら一体どれだけの威力があるのか…。
なんてやつだ…。
バーサーカーはセイバーオルタの宝具をまともに食らった。俺はバーサーカーの気配を探す。だが奴の気配は感じられなかった。
さすがのヘラクレスといえど、セイバーオルタの
放たれた
そしてセイバーオルタは俺を一瞥すると、その手に持つ黒き聖剣を俺へと向けた。
スッ
(こいつ…もしかして?)
俺はセイバーオルタの顔をジッと見る。
「………」
「………」
俺とセイバーオルタの視線が交差する。
その目は黒いバイザーで見えないが、なぜか彼女からは敵意や、殺気といったものがまるで感じられなかった。
今まで戦ったサーヴァント、黒化英霊たちからは必ず、機械の如く冷たい迫力……殺気が嫌でも感じられた。それは先ほどまで戦っていたバーサーカーも例外ではない。
なのに彼女からはそういったものが一切感じられなかった。
だがこの感じは……
ヒュ‼
ガキン!!
俺は突如振るわれた聖剣を十字受けで受け止める。しかし……
「お、おもっ!?」
その一撃の重さが尋常ではなかった。今まで受けた中でもトップクラスの重さだった。
俺は剛の炎に切り替え、直ぐ様押し返す。
「う、うおおおおお!!」
そしてなんとか弾き飛ばす。
「あんたは……「ヒエンくん!」ん?」
ザッ‼
すると俺が彼女に話しかけようとしたとき、突然魔法少女達四人が俺を守るかのように現れる。そして各々のデバイスやステッキを構えた。
俺は皆の姿を見ると、ホッとしている自分に気が付いた。
「皆、無事で良かった…」
俺は心の底から安堵する。空中に誰もいなかったときは本気で焦った。誰か一人でもなにかあったらぶちギレて、バーサーカーになりふり構わず立ち向かっていた自信がある。
「心配かけてごめんなさい…」
なのはがレイジングハートを構えながら申し訳なさそうな声で話す。他の面子も同じように謝ってきた。
「大丈夫だ。皆が無事ならそれでいい」
俺は四人に気にしないように言う。四人ともこちらをチラリと一瞥するとどこか安堵したような表情となっていた。
「で、これは一体どういう状況なんですか?」
そしてミユがセイバーオルタを警戒しながら質問してきた。
俺はそれに簡潔に答える。
「ああ。そこにいるセイバーがバーサーカーを倒した後、俺と戦おうとしたときに丁度君達が来た」
「え、じゃあバーサーカーはもう?」
「ああ。セイバーが倒した」
俺はミユとイリヤに分かりやすく話す。
「セイバーがあのバーサーカーを…」
ミユは複雑そうな表情となる。
前の戦闘映像を見せてもらったとき、彼女は一人でバーサーカーと戦っているシーンがあった。そのときに大分苦戦していた覚えがある。だからか、それをアッサリ倒されたと教えられ、少し複雑な気分になったのかもしれない。
スッ
するとセイバーオルタが再び黒き聖剣を構えた。
それを見た俺達もすぐに戦闘体勢を取る。
そして両者が動き出そうとしたとき……
「ウォオオオオオオオ!!!!」
ピシピシ…
ピキキ…
それは突然起こった。
雄叫びが聞こえたと思った束の間、俺達のいる屋上の地面がひび割れを起こしたのだ。
何より……
「皆、油断するな!来るぞ!!」
そいつは雄叫びをあげながら現れた。俺達が立っている屋上の真下から現れた。
「ガアアアアアアアアア!!!!」
「バ、バーサーカー!?」
イリヤが声をあげる。
四人がバーサーカーの姿を確認してからの行動は速かった。四人とも俺を囲むような位置取りとなりデバイスとステッキを構えた。
俺達は前方にセイバーオルタ、後方にバーサーカーと挟み撃ちにされてしまう。
ここにきて倒されたと思っていたバーサーカーは生きていたらしい。あのとき消滅したのではなく、ただ下に落下しただけだったのか。というか本当にしつこい。マジでしつこい。
だがここで手をこまねいている訳にはいかない。
(さて、どうするか)
俺はマルチタスクを駆使してこの危機をどう乗り切るか考える。すると再びセイバーオルタがジッとこちらを見ていることに気付く。
(そうか。やはりこいつ…)
そして俺は全員に指示を出す。
「四人ともバーサーカーをたのんでもいいか?」
「「「「えっ?」」」」
「俺がセイバーを抑える。それにどうやらあいつも俺を御指名みたいだし。そうだろセイバー?」
俺がセイバーオルタに確認を取ると…
「………」コクリ
セイバーオルタは無表情ながらもしっかりと頷いた。
それを見た俺はさっそく移動するために、炎の翼を展開して飛んだ。
「ついてこいセイバー!」
俺がそういうとセイバーオルタは俺の後ろをついてくるため、高速で瓦礫の上などを跳び始めた。後ろで皆が何か言っているのが聞こえたが良く分からなかった。
皆にバーサーカーを押し付けるような形になってしまったが、俺達の攻撃やセイバーオルタの攻撃も食らってバーサーカーの命のストックもかなり減っているはず。
あの四人なら修羅場も相当くぐり抜けているだろうしきっと大丈夫だ…と思う。たぶん……きっと……おそらく。
正直、かなり心配である。が、既に俺はバーサーカーに攻撃を食らわせているため、ダメージを与えるともなれば砲撃魔法など魔力消費の大きな魔法しか使えない。たとえそれらの魔法を使うとしても動きの速いバーサーカーに当てるのは厳しいだろう。
それに俺があのままあの場に留まって、セイバーオルタと戦っていれば、おそらく乱戦になっていたはず。
俺達五人vsバーサーカーvsセイバーオルタの三すくみのバトル・ロワイアルになっていただろう。
あの四人とコンビネーションを駆使すればサーヴァントの二人ともいい勝負はできたかもしれない。だが確実に……勝てはしない。
バーサーカーとセイバーオルタの二人を相手取りながら勝つなど、現状では厳しいを通り越して無謀である。
実際にバーサーカーと戦ってみて分かった。あいつは化け物だ。あのときセイバーオルタが防いでくれていなければ……恐らく大怪我……ひどければ瀕死の重傷を負っていた気がする。
そういう意味ではセイバーオルタには感謝しなければならない。
しかし今になって思う。
なぜ、セイバーオルタは俺をかばったのだろう?
考えられるとすれば、俺とサシで戦って勝つためだろうか?あのときバーサーカーとの戦いが始まったときも、奴は見ているだけで手出しはしてこなかった。
そういえばセイバー……いやこの場合はアルトリア・ペンドラゴンか?アルトリアは、Fate本編でも騎士として、ブリテンの王として、正々堂々戦うことをよしとしていた。
たとえオルタ化していたとしても、アルトリア・ペンドラゴンとしての根本は変わらないのかもしれない。
だとすれば…
相手が正々堂々とこちらに勝負を挑んでくるのであれば…
俺もそれに答えなければならない。
セイバーオルタには助けられた借りがある。
だったら…
正々堂々、真っ正面から戦おう。
それが彼女に対するお礼であり、通さなければならない筋だと思うから。
彼女に一騎討ちを挑まれたことを誇りに思おう。
そして……その上で……戦って勝つ!!
「ここらへんでいいか」
俺は広い広場のようなところに着地する。その後ろでトンと着地する音が聞こえた。
後ろを向くとセイバーオルタがいた。
俺達は向かい合う。
「ここなら邪魔は入らない。思いっきりやり合おうかセイバー」
セイバーオルタはそれに答えるように構えた。
俺も額の炎とグローブの炎をさらに燃え上がらせる。
「あんたには助けてもらった借りがある。だけど……こういう勝負は別だ。悪いが勝たせてもらう。いくぞセイバー。俺はあんたに……死ぬ気で勝つ!!」
そして互いに地を駆け激突した。
あと二・三話で終わります。
では、また(・∀・)ノ