大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも~(゜▽゜*)

ついに異世界編ラストじゃ~

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第六十八話 異世界の魔法少女の邂逅XVI

ヒエンside

 

 

 

巨大なオレンジの砲撃がセイバーオルタに直撃した。

 

俺達は警戒を解かずに真っ直ぐ前方を見続ける。

 

そこには変わらずセイバーオルタが立っていた。ただし、体から金色の粒子を出しながら……。

 

彼女も所々ボロボロであった。黒いバイザーも砲撃で吹き飛んだのか無くなっていた。

 

そしてなぜか彼女は再度、俺のことをジーッと見つめていた。

 

何か言いたいことでもあるのか?

 

すると口が動いているのが見えた。

 

しかし彼女の声は全く聞こえない。俺は、なけなしの魔力を使って視力を強化し、話してる内容を読み取ろうとした。

 

彼女のあの口の動き方からして……

 

 

「………」

 

 

言いたいことをいったからなのか彼女は終始、穏やかな笑顔でずっとこちらを見つめていた。

 

しかし俺は彼女がこのまま消えていくことになぜかモヤモヤした気持ちとなっていた。

 

そして気付けば彼女が消える瞬間に口を開いていた。

 

 

「あのときは助けてくれてありがとう!!」

 

 

すると彼女はその言葉を聞いて驚いたのか少しポカーンとしていた。だが最後には首を横に振り穏やかに笑って……ゆっくりと消えていった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

セイバーオルタが消滅したことを確認した俺はついに体が限界を迎えたのか、うつ伏せに倒れ……そうになったところを四人の少女達が支えて座らせてくれた。

 

 

「大丈夫!?」

 

 

「ああ、なんとか。でももう……限界だ…」

 

 

なのはが心配して声をかけてくる。

 

正直少し辛い。

 

俺はゆっくりと死ぬ気モードを解除することにした。

 

 

「!?」

 

 

すると途端に身体中が痛み出す。

 

 

「い、いててて!?か、体が急に痛く!?」

 

 

特に背中がめちゃくちゃ痛い。

 

 

《もしかして、死ぬ気モードを解いて気を抜いてしまったから痛みがぶり返してきたんじゃないんですか~?》

 

 

「そ、それは一理あるかもしれないが……い、いてぇ…」

 

 

ルビーの言葉に半泣きになりながら返す。

 

すると泣き言をもらす俺に呆れたのか、心の中にいる相棒が治癒魔法フィジカルヒールを展開してくれた。

 

俺の体をオレンジ色の淡い光が優しく包む。

 

しかし、魔力も少ししか残っていなかっため応急措置程度の治癒しかできなかった。

 

だが背中の痛みも少しはマシになったおかげで我慢できないほどではなかった。

 

 

「痛そう…」

 

 

イリヤが俺の背中を見ながら小さく呟いた。

 

ザックリと斬られたからな。

 

イテエッスorz

 

そして他の三人も俺の背中の傷を見るため回り込んでくる。

 

だがこんな傷を見せるのは小さな少女達の教育上、よくないだろう。

 

いやでも……こんな戦いに巻き込んでいる時点で今さらだが。

 

しかし俺自身もあまり見られたくないのでバリアジャケットを修復して見えないようにした。

 

なのはとイリヤが何かリアクションを取っていたが放っておくことにする。

 

するとここでサファイアが一言。

 

 

《ヒエン様……皆様に心配をかけたくないという気持ちは分かります。ですが、あなた様がいなくなることで悲しむ人がいるということを覚えておいて下さい》

 

 

「サファイア?」

 

 

ミユが少し驚いている。

 

かくいう俺も少し驚いている。

 

サファイアはルビーと違い物静かというイメージがあったからだ。

 

しかし今は少し声が低く、どこか怒っているような声音だ。

 

 

《今回のことでヒエン様の人柄が嫌というほど分かりました。あなた様は優しい。優しすぎます》

 

 

「………」

 

 

《そして……あなた様は自分のことを蔑ろにしすぎです。セイバー戦はたまたま本当にたまたま……ミユ様達が間に合ったことで勝てました。しかし、またこの様な事態に巻き込まれ、同じ様な行動をとってしまえば…下手をすれば……今度は確実に……死んでしまいますよ?》

 

 

サファイアの言葉に全員が息を飲んだのが分かった。

 

 

《くれぐれも無理をなさらぬようご自愛ください。私が言いたいのはそれだけです》

 

 

「………」

 

 

俺は黙り混む。

 

空気が少し重くなったのが分かった。

 

皆がこちらを凝視するかのように見てきてるし。

 

というかそれで俺、自動的にもう正座になってるし。

 

頭が気付かぬうちに体はいつの間にか空気を読んで行動に移していたようだ。

 

うん。

サファイアの言いたいことは分かった。

 

おそらく俺が一人でセイバーと戦ったのが自己犠牲でどうにかしなければ~とか、全てを一人で背負い混む正義の味方~みたいな感じで戦っていたと思われてしまったのだろうたぶん。

 

だからこその『ご自愛下さい』という言葉なのだと思う。

 

だがなサファイアよ?

 

違うねん!

全然違うねん!!

っていうかまずは人をそんな聖人君子みたいに言わないで下さい。

 

お願いします!!Σ(゜Д゜)

 

偶然なんや。

 

全ては偶然なんや。

 

あのときはただセイバーを引き離さないととか、バーサーカーをこの子たちならなんとかしてくれるという押し付け……ゲフンゲフン……信頼から任せてたし!

 

あとはその……あれですよ。

 

一騎討ちを挑まれたら、男として引き下がれないといいますか。

 

一応わたくしにもプライドというものがありましてね?

 

ここで引き下がったらカッコ悪いやん?

 

だからぶっちゃけ、その場の流れでああいうことになり、そこまで深く考えずに行動したことだということをサファイアに誤解のないよう説明した。

 

その際にいかに俺がどう頑張ったか、サファイアと説明を聞いてる皆の怒りを買わないようにしっかりと脚色も忘れずに懇切丁寧に説明した。

 

 

《………つまりはあれですか?自己犠牲や命を賭して守るといった深い意味はなく、ここで逃げたらカッコ悪いとかいうふざけた理由で一対一でセイバーと戦ったということですか?》

 

 

だが抵抗虚しくすぐにそれらの嘘は看破されてしまったorz

 

 

「は、はい。しょ、正直にいうと………そ、そう……なりますですはい」

 

 

《………》

 

 

「………」

 

 

《………》

 

 

「………」

 

 

 

サファイアの沈黙が痛ぇです。

 

 

するとサファイアはミユの手からスッと離れ突如、光りだした。

 

 

《シークレットデバイス!ハリセンモード!!》

 

 

そしてサファイアはハリセンへと変形した。

 

俺はその先の未来を読み取り、六星のステッキの説得を試みた。

 

かのバスケ先生も言っていた。

 

『最後まで希望を捨てちゃいかん。諦めたらそこで試合終了ですよ……?』と。

 

説得がしたいです安〇先生!

 

だから俺も諦めない。

 

 

「ちょっと待てサファイア。話せば分かる。だから落ち着くんだ」

 

 

《何も考えていなかったというのがなおタチが悪いです。皆様にどれだけ心配をかけたとお思いですか?少し反省してください》

 

 

 

スパアアアァァァン!!!!!

 

 

 

試合開始すらしていなかった。

 

 

 

なんかこの展開……デジャブ……ガク

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

魔法少女side

 

 

 

ドサッ

 

 

 

《寝ましたか……》

 

 

サファイアは気絶した?少年を四人の少女たちに預ける。

 

そこでなのはが自分の膝の上に少年の頭をのせ、膝枕のように寝かせた。

 

 

 

スースースースー

 

 

 

少年から寝息が聞こえてくる。

 

思っていたとおり疲れが溜まっていたらしく、すぐに眠ってしまった。

 

なんせあのセイバーとの激闘を乗り越えたのだ。

 

疲労がたまっていないはずがなかった。

 

 

《サファイアちゃーん》

 

 

《姉さん……》

 

 

そこにサファイアの姉ルビーがやってくる。

 

 

《珍しいですね。サファイアちゃんがあんなに感情的になるなんて》

 

 

《別に…皆さんが感じていることを代弁しただけ》

 

 

《そうですか~。そういうことにしておきましょうかねぇ》

 

 

《変な意味はないわ》

 

 

そう言うとサファイアはミユの元まで飛んでいってしまった。

 

四人の少女達は少年の回りに集まるが各々自由に過ごしていた。そしてイリヤはというと、なのはから少年がどういった人物なのかを聞いていた。

 

 

「ねぇねぇなのはちゃん。ヒエンさんって普段なにやってるの?」

 

 

「ふぇ?えーっと、そうですねえ。特にこれといって変わったことはないですよ?」

 

 

「どんな感じなの?」

 

 

「ほぼ毎日魔法のトレーニングに付き合ってくれたり、うちの喫茶店のバイトも手伝ってくれたり。あとは……悩み事があるときもよく相談に乗ってくれますし」

 

 

「そうなんだ。私もお兄ちゃんがよく相談事にのってくれるからなんとなく分かるよ」

 

 

イリヤがウンウンと頷く。彼女には兄がおり、何かと気にかけてくれるためその気持ちもよく分かった。

 

 

「私もお兄ちゃんとお姉ちゃんがいるんですけど……そういった相談は自分からはあまりしない……ですね」

 

 

「そうなんだ?」

 

 

「はい。その……心配かけたくなくて。それに……ヒエン君なら口も固いし、秘密にしてくれるので」

 

 

なのはは少し照れたような反応をする。

 

 

「信頼してるんだね」

 

 

イリヤはなのはの膝で気持ち良さそうに眠るヒエンに視線を向ける。

 

 

「はい。でも時々、考えられないような無茶をするときがあるから心配なんです。本人はそういうことをしてる自覚はないみたいですけど……」

 

 

「ああー」

 

 

なのはの言葉にイリヤはどこか納得したような反応をする。

 

 

「だから……強くなりたいんです。いつまでも守られるんじゃなくて……隣で一緒に戦えるように。この人を……支えられるように」

 

 

なのはがヒエンの頭をそっと撫でる。

 

彼を見つめる顔は、とても優しく愛おしい者を見るような慈愛をおびたような表情であった。

 

 

「なれるよ。なのはちゃんなら」

 

 

「イリヤさん……ありがとうございます」

 

 

イリヤとなのは。

 

本来なら出会うことがなかったはずの二人の少女。

 

二人は互いに静かに笑い、穏やかな時間を過ごした。

 

 

 

 

 

 

ミユは、一人離れて休息をとっている金髪の少女フェイトへと話しかけていた。

 

 

「貴方はあそこへ行かないの?」

 

 

「………」

 

 

フェイトは無言でヒエンたちの方向を見る。

 

 

「私は……一人でいい」

 

 

「そう」

 

 

ミユはフェイトの隣に、少し距離をあけて座る。

 

 

「ひとつ聞いてもいい?」

 

 

「………答えられることなら」

 

 

ミユはこの少女に少し聞いてみたいことがあった。

 

 

「貴方は……なんのために戦うの?」

 

 

「………」

 

 

ミユはこの金髪の少女に戦う理由を聞いてみたかった。

 

この少女は強い。

 

一目見たときからそう思った。

 

だがイリヤや、なのはが持つ強さとは種類が違うように思えた。

 

そしてなぜか……ずっと違和感のようなものを感じていた。

 

だからこそ話してみたいと思った。

 

 

「私は……」

 

 

「………」

 

 

「私は……自分のために戦っているだけ。私が為すべきことを成すために戦っている。ただ……それだけ」

 

 

「貴方は……」

 

 

ミユはフェイトをじっと見る。

 

 

「貴方は……「目を覚ましたみたいだ」え?」

 

 

フェイトに釣られて視線を向けると、そこには目を覚まし、なのはやイリヤと話しているヒエンの姿があった。

 

 

「先にいく」

 

 

そういってフェイトは先に向かってしまった。

 

ミユは先程のフェイトの言葉を少し思い出す。

 

 

「為すべきことに成すために戦う……か」

 

 

その言葉を口に出したとき気付いた。

 

ずっと感じていた違和感の正体に。

 

 

(似ていたんだ。イリヤと出会う前の私に……)

 

 

イリヤと出会う前のミユは、簡単に言えば氷のような冷たい印象を持つ少女であった。

 

だがイリヤと出会い彼女と友になることによって、ミユは徐々に変わり始める。

 

最初は周りの面々にも冷たく当たっていたが、徐々に心を許せる存在も多くなった。今では普通に話せる友人もいるほどだ。

 

ミユは思う。

 

フェイトは今一人だ。

 

だがあまり心配はしていない。

 

なぜならミユにイリヤがいたように……フェイトにもなのはがいるからだ。

 

今はまだ分かり合えていないみたいだが……それも時間の問題だろう。

 

イリヤとなのはは似ている。

 

逃げずに真っ正面から相手に向き合うという面においてあの二人は非常に似ている。

 

イリヤが真っ正面からミユと向き合ってくれたことによってミユは変わることができた。

 

 

(私は変わることができた。だからきっと貴方も……)

 

 

ミユは少し先を行くフェイトの身を案じながら……その後を追いかけるのだった。

 

 

 

魔法少女side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「うっ……」

 

 

重くなっていた瞼(まぶた)が、うっすらと開く。ぼやける視界が焦点を合わせるように元に戻る。

 

そして焦点が戻った俺の視界に写ったのはこちらを心配そうに見つめるなのはのドアップの顔だった。

 

 

「………」

 

 

「あ、目、覚めた?」

 

 

「……うん」

 

 

これはどういう状況なのか?

 

というか妙に頭が柔らかい。

 

これはもしかしてあれか?

 

あれなのか?

 

 

「あー、なのはさん?」

 

 

「どうしたの?」

 

 

「これは一体どういう状況なんでしょうか?」

 

 

なのはは少し困ったように笑いながら言った。

 

 

「えーっと、膝枕して休憩中?」

 

 

「膝枕……」

 

 

やはり膝枕だった。

 

しかし幼女に膝枕されるのは犯罪臭にしか思えないのは俺の心が汚れているせいだろうか?

 

 

「うん。それより体の調子どう?だるかったりしない?」

 

 

俺は少し名残惜しく思いながらも、なのはの膝枕から起き上がり、少し体に力を入れてみる。

 

体は少し重い……が動けないほどではない。

 

少し眠れたおかげで体力も少し戻ったみたいだ。

 

 

「起きたんだ…」

 

 

「フェイト…」

 

 

するとフェイトが少し離れた距離から俺に声をかけてくる。

 

というかなんで少し離れてんの?

 

そういえば……この子は人見知りだった。

 

その後ろからミユがゆっくりと来ていた。

 

その手にはサファイアが……。

 

俺は気絶する前のことを思い出す。

 

少し気まずいが声をかけることした。

 

 

「サファイア」

 

 

《先程は出過ぎた真似をしてしまい、申し訳ありませんでした》

 

 

サファイアが項垂れるように頭を下げてきた。

 

先に謝ろうとしたんだがなぁ。

 

 

「いや俺も……皆に心配かけたし。こちらこそ申し訳なかった」

 

 

俺も頭を下げる。

 

 

「………」

 

 

《………》

 

 

少し気まずい。

 

すると空気を変えようとイリヤが声をかけてきた。

 

 

「はいはい。じゃあヒエンさんも動けるようになったことだし、本題にいきましょうか!」

 

 

「そうだな」

 

 

俺は少し離れた距離にある時計塔を指差す。

 

 

「少し前にミーティングで話したと思うが…あの時計塔を破壊すればこの空間から出られる。そうだろフェイト?」

 

 

俺はここでフェイトに確認を取る。

 

 

「うん。特別な場所なのかあそこだけ厳重な防護壁が張られていた。間違いない」

 

 

《確かにそうみたいですね。あの時計塔がこの空間の中心のようです!》

 

 

フェイトの確認を捕捉するようにルビーが話す。

 

 

「ということは犯人はあの中に…!?」

 

 

《恐らくは》

 

 

ミユとサファイアの言うとおり、あの時計塔の中に今回の元凶がいるはずだ。だが俺の記憶が正しければ……あの中にいるのは確か……

 

まぁ、まずは時計塔の側まで行かないことにはなんとも言えないが。

 

 

「じゃあ皆、とりあえずあの場所まで向かうぞ?」

 

 

そして俺達は時計塔まで向かうことにした。

 

 

 

 

 

 

そして時計塔までたどり着いた俺達。

 

とりあえず俺は軽く砲撃を放った。

 

すると砲撃は弾かれ、時計塔は変わらず佇んでいた。

 

相も変わらず固そうだ。

 

すると側にいたなのはが声をあげる。

 

 

「もう!まだ本調子じゃないんだからじっとしてなさい!!」

 

 

「え?いやでもほら、あれ破壊しないと出られないし俺も「そういうのは私達に任せてじっとしてなさい!!」……はい」

 

 

俺はなのはに怒鳴られ、端でじっとしておくことにした。

 

 

「「「………」」」ジトー

 

 

他の三人からも良く似たような視線をいただいた。

 

でもなぜだろう?

 

そんな目で見られると背筋がゾクゾクしてくる。

 

もしかしてこれが………恋!?

 

 

「今、とても不快な気配を感じたの」

 

 

「キノセイダトオモイマス」

 

 

最近じゃ変なことを少し考えただけで察知してくる妹分が本当に逞しく感じてきました((((;゜Д゜)))

 

 

「そんなことより……あの塔は普通じゃ破壊できない。どうする?」

 

 

フェイトが俺のことを軽く受け流し、意見を聞いてくる。

 

 

「それな……「それなら簡単だよ」……うん」

 

 

 

《Cannon mode》ジャキン!!

 

 

 

「ひとりでダメなら…みんなの力を合わせればいいと思う!!みんなで戦ったあのときみたいに!!」

 

 

 

なのははレイジングハートを構え、フェイトの側で優しく笑いかけた。

 

 

 

「『セイバー』限定展開(インクールド)

 

 

 

ミユはサファイアを勝利された約束の剣(エクスカリバー)へと変形させ構えた。

 

 

 

「タイミングはなのはさんに合わせます」

 

 

 

「ミユさん…!」

 

 

 

ミユがなのはの左隣で構え……

 

 

 

「出力はちょっと自信ないけど……わたしもやるよ」

 

 

 

「イリヤさん!」

 

 

 

イリヤがなのはの右隣で構えた。

 

 

 

では俺もこの流れに便乗しようか。

 

 

 

「じゃあ俺も……「「「「ヒエン(くん/さん)はじっとしてなさい!!」」」」……はい」

 

 

 

『ガゥ』

 

 

 

すると心の中にいる相棒から『諦めておとなしくしてなさい』との内容の思念が。

 

 

 

うん。

おとなしくしときます(゜-゜)

 

 

 

「じゃあ…いきますよ!!せ──のっ…」

 

 

 

 

 

 

極大(マクスィマール)……」

約束された(エクス)……」

「サンダー……」

「ディバイン──」

 

 

 

 

 

 

ギュイイイイイイイ………

 

 

 

 

 

四人それぞれのエネルギーが収束される。そして放たれた。

 

 

 

 

 

 

斬撃(シュナイデン)!!」

勝利の剣(カリバー)!!」

「スマッシャー!!」

「バスター!!」

 

 

 

 

 

 

ギャゴオオオオオオン!!!!

 

 

 

 

 

 

時計塔を四人それぞれの最大砲撃が貫通し破壊することに成功した。

 

 

 

 

 

 

「やった…!」

 

 

「!?中から…人が」

 

 

なのはとフェイトが反応する。

 

確かに時計塔の中から人らしき人物が出てきた。

 

 

「出てきた!は、犯人?」

 

 

「犯人…ってぇぇぇぇ!?あれがー!?」

 

 

だがミユとイリヤに関しては()()()()()()()()()なのか戸惑っていた。

 

 

《アレの意識を奪ってください!!それでこの空間は閉じるはずです!!》

 

 

「ああもー!!毎回毎回…関係ない人を巻き込んで……!!ルビー!!」

 

 

《アイアイサ〜。いきますよ〜。一撃卒倒!ハリセンモード!!》

 

 

 

 

 

 

「反省しなさーーーーい!!!!」

 

 

 

 

 

 

スパパパパアアアァァァン!!!!

 

 

 

 

 

「ふぎゃっ!?」

 

 

「ふべっ!?」

 

 

今回の元凶であろう二人組、遠坂凛(とおさかりん)とルヴィアゼリッタ・エーデルフェルトが大きなタンコブを作りながら成敗されるのだった。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

チーン

 

 

 

とりあえず安全な所に今回の元凶であろう気絶している二人組?を移動させた。

 

 

「あ、時計塔の中が光ってる……」

 

 

《恐らく世界の融合が解けて路(みち)ができたんです。あそこに入ればそれぞれの世界に戻れるはずですよ》

 

 

確かに時計塔を見ると破壊した部分から金色の光が漏れていた。

 

 

「この二人はどうすれば…」

 

 

《時計塔の路に放り込めば大丈夫かと》

 

 

ミユが戸惑いながらサファイアに相談していた。というかサファイアさん結構辛辣ウゥ!?

 

 

「しかし、大したもんだな」

 

 

《どうしたんですヒエンさん?》

 

 

そうするとルビーがピヨピヨと近寄ってきた。

 

 

「いや、こんな不思議な空間を作ったのが俺とそう年も変わらない女性二人だったなんて…て思ってな?」

 

 

《そうですねぇ。大方途中で仲間割れ起こして失敗したんでしょうけど。しかし次元干渉の域まで達するとは()()()()()()()()()とは知りませんが大したものです》

 

 

「どこの世界……ねぇ?」

 

 

随分意味深な言い方をするな?

 

 

《おっとお気になさらずー》

 

 

だがルビーは語る気はないようだ。

 

全く……

 

 

「お前も結構大したもんだよ」

 

 

俺は軽くルビーにデコピンする。

 

 

《あう!ちょっと痛いですよヒエンさん!!》

 

 

「すまんすまん。ここに来たときの皆の映像やるからそれで勘弁してくれ」

 

 

《なぬ!?それは本当ですか!?》

 

 

「だがそのかわり……」

 

 

《分かってます。皆まで言わなくても分かってます。何かを得るためには同等の対価を支払わなければなりませんからねぇ》

 

 

「ほう。分かっているじゃないか」

 

 

《当然!私と貴方は……同志ですから》

 

 

「そうだな。さすが我が同志!」

 

 

《そうでしょうそうでしょう》

 

 

そして俺達は互いの録画データを複製し、互いに交換するのだった。

 

 

《しかし貴方もワルですねぇ》

 

 

「いやいやあなた様ほどでは」

 

 

俺達は互いにヘッヘッヘッと怪しく笑いながらコソコソと話し合っているのだった。

 

その様子を他の面子は呆れたように見ていたそうな。

 

 

 

◆◆◆

 

 

 

そして近付いてきた別れの時間……。

 

 

「あそこに入ればそれぞれの世界に戻れる……んだよね?」

 

 

「ああ。ルビーとサファイアの言うとおりならな」

 

 

なのはが俺に確認を取ってくる。俺は先ほど聞いた話をなのはに伝える。

 

 

「先に行く」

 

 

「あ、ちょっと待てフェイト」

 

 

するとフェイトが先に行こうとしたので、俺は咄嗟にフェイトの足を掴む。

 

が、それで姿勢を崩したせいかフェイトは頭から地面に突っ込んでしまった。

 

 

 

ズバーン

 

 

 

「………」プルプルプルプル

 

 

地面に顔面を強打したフェイトは無言で顔に手を当てながら痛そうに震えていた。

 

 

「あー、だい…じょぶか?」

 

 

「………」キッ!!

 

 

フェイトが目に涙をためながら睨んでくる。

 

 

「スイマセンデシタ」

 

 

即座に謝る俺。

 

最後まで締まらない。

 

皆の方を見ると、案の定呆れている様子であった。もう今更か。

 

 

「いやここを通ったら、それぞれ元の世界に戻る訳だし。だったらここで記念写真の一つでもどうかなと思ってな?」

 

 

「いいですね!」

 

 

俺の提案に乗ってくれるイリヤ。

 

 

「イリヤがいいなら」

 

 

なんだかんだいいつつ乗ってくれるミユ。

 

 

「にゃはははは」

 

 

元から賛成のなのは。

 

 

「………」

 

 

そして少し逃げようとするフェイトと、それを逃がさないように手を繋ぐ俺。

 

 

《じゃあ撮影は私とサファイアちゃんでしますねー》

 

 

「ああ。それを後で俺達にも送ってくれ」

 

 

《了解ですー》

 

 

そして座る俺を中心に、右隣になのは、左隣にフェイト、俺の右斜め後ろにイリヤ、左斜め後ろにミユがそれぞれ配置についた。

 

 

《それじゃ撮りますよー。いちたすいちはー》

 

 

「「「にー」」」

 

 

 

カシャッ

 

 

 

言ったのは俺となのは、イリヤだけであったが思い出の一枚となる写真がとれた。そのあとも何枚か撮り、最後の楽しい時間を過ごすこととなった。

 

 

 

 

 

 

そして……

 

 

「いよいよお別れか」

 

 

俺達は再び時計塔の側まで来ていた。

 

そうそう。

 

今回の元凶であったあの二人組は、ルビーとサファイアによって時計塔の中にさっさと放り込まれてしまった。

 

少しその扱いに同情が湧かなかった訳ではないが……。

 

まぁ、それはいいか。

 

 

「先に行く」

 

 

するとフェイトが行こうとした。

 

そして何を思ったのか、俺の方を見ながらジリジリと警戒するように後ろに下がっていった。

 

おい。

 

その反応はいかがなものかと思うのですがフェイトさん。

 

そして俺が何もしないと分かって安心したのかそのままアッサリと時計塔の中へと入っていった。

 

 

「行っちゃった…」

 

 

イリヤがポツリと呟く。

 

 

「うーん。なのはちゃんは……あの子と友達になりたいんだよね?私も少し話したけどちょっと……苦労しそうかもね…」

 

 

「はい………でも」

 

 

なのはがイリヤとミユ、二人を見る。

 

 

「え、なに?」

 

 

「………?」

 

 

「きっと……きっとなれると思います。わたしたちもお二人のような友達に…!」

 

 

「うん!わたしもそう思う!」

 

 

三人は輝くような笑顔で笑いあっていた。

 

 

 

 

 

 

《良い光景ですねヒエンさん》

 

 

「そうだなルビーよ」

 

 

《ヒエンさんも姉さんも少し黙ってください》

 

 

 

 

 

 

そして皆で入ろうとしたとき……俺は少し思い付く。

 

 

「あ、そうだ。イリヤ、ミユ」

 

 

「なんですか?」

 

 

「?」

 

 

イリヤとミユが首を傾げながらこちらを見てくる。

 

俺は魔法陣から翠屋のシュークリームを二箱渡す。

 

 

「お礼って訳じゃないんだけど良かったらご家族で食べてくれ」

 

 

「わあぁ!ありがとうございます!!」

 

 

「ありがとうございます」

 

 

イリヤは目を輝かせながら、ミユも少し嬉しそうな表情で箱を受け取った。

 

なのはもその反応が嬉しかったのか笑っていた。

 

そして俺はイリヤとミユの頭をポンポンと撫でながらお礼を言った。

 

 

「いろいろ助けてくれてありがとな二人とも」

 

 

「そ、そそそそんなことないです!!」

 

 

「私も色々助けていただきましたから」

 

 

二人は少し照れながら返事を言う。

 

なんだろう?

 

妹が二人新しく増えたような気がした。

 

 

「さて……そろそろ自分達の世界に帰るか」

 

 

俺達は時計塔の中へと入っていく。

 

 

「またな!二人とも!!」

 

 

「またお会いしましょうイリヤさん!ミユさん!!」

 

 

「またね!!なのはちゃん、ヒエンさん!!」

 

 

「またどこかで」

 

 

そして俺となのは、イリヤとミユは自分達の世界へ帰っていくのだった。

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

イリヤside

 

 

 

イリヤとミユは光の路を飛んでいく。

 

そして白い光を越えると、途端に水の感触が迫ってきた。

 

イリヤとミユは転身を解くと、スクール水着に戻る。

 

そして勢い良く水の中から出ると……

 

 

 

ザバッ

 

 

 

「んお?」

 

 

 

目の前に彼女たちの担任タイガーこと藤村大河の姿があった。

 

 

 

「「あっ」」

 

 

「あっ」

 

 

 

そして勢い良くぶつかり柵まで転がっていってしまった。

 

 

 

「だ────っ!!?」

 

 

 

ガシャーン

 

 

 

そして彼女ごと巻き込むことでようやく止まった。

 

 

 

「げ…元気よすぎよ二人とも…」

 

 

 

哀れタイガー。

 

 

 

「かっ帰ってこられた…?」

 

 

「い、いたたた……。そ、そうみたい」

 

 

ミユとイリヤは周りを見ながら現状を分析する。

 

 

「よかった…あの空間に落ちてからほとんど時間差はないみたい」

 

 

「勝負は引き分け。アイスはお預けかー。でも……シュークリーム貰ったし。ま、いっか!」

 

 

 

イリヤとミユはプールの端に座る。

 

 

 

そしてイリヤはふと空を見上げた。

 

 

 

(なんだかデタラメな体験だったなぁ…。数時間一緒に戦っただけなのに……随分一緒に過ごしたみたいな)

 

 

 

その景色はキレイな青空であった。

 

 

 

(でも出会えてよかった。住んでる世界(ところ)は違うけど───)

 

 

 

「がんばれなのはちゃん。わたしもがんばっていくから。そして……いろいろありがとうございましたヒエンさん」

 

 

 

 

 

 

そして家に帰ったイリヤとミユは、ヒエンに渡されたシュークリームをお土産として渡す。

 

 

 

それを渡したことでまた一騒動起きるのだが……それはまた別の話。

 

 

 

こうして出会うはずのなかった異世界の魔法少女達の邂逅は終わりを告げた。

 

 

 

この小さな出会い(思い出)は彼女たちの中でいつまでも大切に残ることだろう。

 

 

 

たとえ過ごした時間は短くても……住んでる世界が違っても………大切な仲間なのだから。

 

 

 

イリヤside end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

俺達は光の路を進んでいく。

 

俺は隣をチラッと見る。

 

なのはがゆっくりと飛んでいた。

 

だがその目元は少し赤い。

 

もしかして少し泣いてたか?

 

 

「ヒエンくん」

 

 

「うん?」

 

 

するとなのはが話しかけてきた。

 

 

「アースラに戻ったら傷の治療ちゃんとしなくちゃダメだよ?」

 

 

「あ、あー…そうだな。でもどうやって説明すっかなあー」

 

 

「ふふ。私も一緒に説明してあげるから大丈夫だよ」

 

 

「そうだな。よろしくたのむ」

 

 

そうして俺達はゆっくりと光の中を飛んでいたが、なのはが突然声をあげる。

 

 

「あっ」

 

 

「どうした?」

 

 

「そういえば……セイバーさんいたじゃない?」

 

 

セイバーさんて……。

 

 

「ああ。それがどうかしたのか?」

 

 

「あの人、消えるときヒエン君になにかいってなかった?」

 

 

「あ、あー……まあ」

 

 

「その様子じゃなんて言ってたか知ってるんだね?なんて言ってたの?」

 

 

「まぁ、確証はないんだが……それでも聞くか?」

 

 

「うん」

 

 

なのはは興味津々といった様子で聞いてくる。

 

 

「たぶんだけどあのときセイバーはこう言ったんだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

よくがんばりましたねって」

 

 

 

 

 

 

すると急に白い光が俺達の目を照らした。

 

 

「うおっ」

 

 

「ま、まぶしい……」

 

 

俺達はあまりの眩しさに目を隠す。

 

 

 

 

 

 

そして光が徐々に収まる。

 

 

 

 

 

 

目を開けるとそこには……

 

 

 

 

 

 

「あら……侵入者を感知したとは聞いていたけど……わざわざこの私の目の前に現れるなんて……」

 

 

 

 

 

 

黒髪の女性がいた。

 

 

 

 

 

 

「随分、なめた真似をしてくれるわね」

 

 

 

 

 

 

その女性は、全体的に黒い服装で妖艶な雰囲気を醸し出していた。

 

 

 

 

 

 

「それに…」

 

 

 

 

 

 

だがその眼は狂気を帯びていた。それと同時に彼女からは何か得体の知れない恐怖を感じた。

 

 

 

 

 

 

「フェイトから報告を受けて……あなたのことは聞いているわ」

 

 

 

 

 

 

俺の目の前には……

 

 

 

 

 

 

「あなたが何をしに来たのかは知らないけれど……ここの存在を知られたからには生かして帰すわけにはいかないわ。消えなさい……」

 

 

 

 

 

 

PT事件の黒幕、そしてフェイトの母親である女性。

 

 

 

 

 

 

プレシア・テスタロッサが目の前にいた。




よっしゃあうらあ~(゜▽゜*)

異世界編堂々完結!!!

そして終わったと思いきや、満身創痍のまま、いきなりラスボスと邂逅。さて、どうなる?

では、また(・∀・)ノ

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