大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも|ω・`)ノ ヤァ

外伝書けたで候。

戦闘回です。

では、どうぞ∠( ゚д゚)/


ミラクルリープ 皆との不思議な一日⑤

ヒエンside

 

 

 

俺達の目の前には合体した三体のモンスターがいる。

 

そして奴らの背後には、その場に控えるように色白の男がいる。

 

一つ気になるのは奴が展開して立っている魔法陣……形状からして時計だろう。

 

恐らくは奴がすこやか市のループを引き起こしている黒幕と思われる。

 

まず俺がその考えに至った理由は二点ある。

 

一点目はここにある桜の存在だ。

 

俺達は桜の花弁のワープホールで飛ばされてここまで来た。

 

そして気付いたのだが、俺はここにある()()()()()()()()があった。

 

より詳細に言えば、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()なのだ。

 

よって俺は、ここは()()()()()()()()()()()()()()()という結論に至った。

 

二点目がミラクルンの存在だ。

 

ミラクルンは先程俺に『()()()を止めて』と言ってきた。

 

そしてミラクルンは、現在あの色白男に狙われており、敵対関係にある。

 

以上のことから、ミラクルンが言っていた()()()というのが、色白男と判断。

 

ミラクルンもループに関わりがある可能性があるため、保護する必要があると思った次第である。

 

 

「やりなさい、お前達」

 

 

色白男が指示を出すと三体のモンスターは動き出す。

 

 

「チク!」

 

 

「タク!」

 

 

「チクタク!」

 

 

そして同時に俺達に襲いかかってきた。

 

 

「来るぞ!散開っ!!」

 

 

「了解!」

 

 

俺と冷火は二手に別れる。

 

すると冷火の方に一体、俺の方に二体やって来た。

 

この合体モンスター、大·中·小となっているので非常に分かりやすい。

 

大モンスターは細くて背が高く、中モンスターは中肉中背、小モンスターは太くて背が低い。

 

簡単に言えば、大がスピード型、中がスタンダード型、小がパワー型といったところか。

 

俺の方に大と小が、冷火の方に中が迫る。

 

俺は走りながら移動しつつ、奴らに対処する。

 

二体は空中浮遊で近付いてきており、スピードは合体前とは比べ物にならないほど早くなっている。

 

大モンスターが仕掛けてきた。

 

 

「チク!」

 

 

身長が三メートル程あるため、見上げる形となる。

 

右腕を振り上げてパンチを繰り出してきた。

 

咄嗟にかわす。

 

 

 

ブオン!!!!!!

 

 

 

まるでエンジン音のような風切り音が周囲に響く。

 

そこから連続パンチを繰り出してくるが、紙一重でかわしていく。

 

が、()()()()()()()()()()()()()()

 

 

(攻撃スピードがさっきと違いすぎる!?気を抜けばあっという間にやられる!!)

 

 

俺は奴の腕を取ると、そのまま一本背負いで投げ飛ばす。

 

 

「せやあ!」

 

 

「チク!?」

 

 

そのままオマケのフレアバーストを顔面に叩きこんでおく。

 

その直後、今度は小モンスターがこちらへと襲いかかってきた。

 

 

「チクタク!!」

 

 

小モンスターがパンチを繰り出してきたので、こちらも右手に炎を灯し攻撃する。

 

互いの拳がぶつかり合う。

 

威力は拮抗していたのか、衝撃波が辺りに迸る。

 

 

(こっちもパワーが格段に増している!?悠長にしている場合じゃなさそうだ……)

 

 

俺はそのまま左手に炎を灯すと、小モンスターの顔面を殴り飛ばす。

 

 

「チクタク!?」

 

 

小モンスターは吹き飛んでいく。

 

奴の身長は、俺より少し高いくらいの180cm程なのですぐに懐に潜り込めた。

 

が、吹き飛んだ小モンスターは体勢を即座に立て直すと、身体を転がしてこちらに迫ってきた。

 

 

「ポケモンかよ!?」

 

 

俺はそのままラウンドシールドで奴を受け止める。

 

勢いは強いが、受け止めきれない強さではない。

 

 

「チクタァァァァク!!」

 

 

そのとき、小モンスターの身体が急に膨張すると、転がる強さが増していく。

 

 

「ぬっ!?」

 

 

すると、俺はジリジリと後ろに押され始める。

 

 

「なめるな!」

 

 

俺は額の炎の出力を上げ、押されるのを阻止する。

 

そして今度はこちらから押し返そうとしたとき、戦線復帰してきた大モンスターが横から俺を蹴り飛ばした。

 

 

「チクウゥゥ!!」

 

 

「ちぃっ!?」

 

 

俺はなんとか片腕でガードするが、そのまま吹き飛び、木に激突した。

 

 

「いててて……お前達、大丈夫か?」

 

 

「ガァウ!」

 

 

「ミラ!」

 

 

相棒とミラクルンにケガはないようだ。

 

念の為に防御結界を纏わせておいて正解だな。

 

俺はなんとか起き上がるが、口の中を切ったのか血が出ていた。

 

 

「口切ってたのか……道理で痛いと思った」

 

 

口の中の血をぺっと吐き出すと、奴らに向き直る。

 

 

(こいつら……地味に連携が上手い。それに自分の長所も理解しているのか、基本的に隙がない)

 

 

合体した影響なのだろう。

 

身体が丈夫になり、強さも底上げされている。

 

そのうえ連携も上手いので、非常にやり辛い相手であった。

 

 

 

ドオン!!!!!!

 

 

 

そんななか、突如轟音が響く。

 

 

「タクゥ!?」

 

 

「「チクタクゥ!?」」

 

 

中モンスターが吹き飛んできたのか、他の二体も巻き添えを食い、一緒に吹きとぶ。

 

何事かと思い、顔を向けてみれば、冷火が氷のハンマーを振り抜いている姿があった。

 

 

 

ヒエンside end

 

◆◆◆

 

第三者side

 

 

 

氷魔槍(アイスランス)

 

 

中モンスターは空中浮遊しながら高速の拳打で攻める。

 

それを冷火は造形した氷の槍で迎え撃つ。

 

 

「タクゥ!!」

 

 

「なるほど。スピードは合体前とは比較になりませんね」

 

 

中モンスターの体格は、およそニメートル後半。

 

身長約150cmの冷火とは随分と差がある。

 

が、彼女は普段から自分より大きな相手とばかり戦っているため、大した問題はなかった。

 

 

「せい!」

 

 

「タク!」

 

 

中モンスターの拳を槍術で受け流しながら、カウンターの要領で攻めていく。

 

しかし中モンスターも負けじと冷火の攻撃をかわしながら、反撃する。

 

両者は様子を見ながら、一進一退の攻防を繰り広げていた。

 

 

「タクタクゥ!」

 

 

中モンスターは跳躍し、踵落としを冷火へと放つ。

 

冷火は槍を真上へと構えることでそれをガードする。

 

 

 

ガキン!!!!

 

 

 

「パワーも威力が跳ね上がっている」

 

 

冷火の足下が陥没する。

 

が、彼女はそれをものともしない。

 

 

「ですが、対応できないことはありません。ふん!!」

 

 

「タクゥ!?」

 

 

中モンスターを吹き飛ばし、追撃をかける。

 

 

氷刃(ひょうじん)·白鳥ノ翼(はくちょうのつばさ)!」

 

 

槍から大量の氷の翼を飛ばして攻撃する。

 

 

「タク!?」

 

 

視界を氷の翼で遮られてしまい、中モンスターの動きが止まる。

 

冷火はチャンスとばかりに仕掛けた。

 

 

「トドメ!氷撃の鎚(アイスインパクト)!!」

 

 

「タクゥ!?」

 

 

氷の槍をハンマーに造形し直すと、勢いよく殴り飛ばす。

 

 

「「チクタクウゥゥ!?」」

 

 

すると偶々振り抜いた先に別の二体のモンスターもいたのか、巻き添えを食って一緒に吹きとんでいったのであった。

 

 

 

第三者side end

 

◆◆◆

 

ヒエンside

 

 

 

「大丈夫ですか、お兄様?」

 

 

「ああ」

 

 

中モンスターを撃破した冷火がこちらに近寄ってくる。

 

他の二体、大と小モンスターも一緒になって吹き飛び、ピクピクと痙攣(けいれん)していた。

 

それ程の威力だったらしい。

 

 

「お兄様、あのモンスター達は私に任せて下さい」

 

 

「いいのか?」

 

 

「私はお兄様のマテリアルです。お兄様は何も気にせず、何でも命じて下されば良いのです。主には絶対の忠義を尽くす。それが私の誇りであり、存在意義でもありますので」

 

 

「分かった。なら、あいつらを頼む。俺は……()()()()()()()()

 

 

俺はあの色白男に目を向ける。

 

厳しそうな表情でこちらを見ていた。

 

 

「気をつけて下さい。あの男、気配が只者ではありません」

 

 

「ああ、分かってる」

 

 

と、ここで俺は冷火に伝え忘れていることがあることに気が付いた。

 

 

「そうだ、あの大きい方と小さい方のモンスター、それぞれスピードとパワーに特化してるから気をつけろよ?」

 

 

「分かりました」

 

 

まあ、冷火なら大丈夫だとは思うけど。

 

そして俺は飛翔魔法を使い、ゆっくりと色白男の元まで近付いていく。

 

 

「あ、今になって気付いたけど、あいつと会って話すのは大丈夫かミラクルン?」

 

 

「ミ、ミラ!」

 

 

「ガァウ」

 

 

「『ちょっと緊張するけど大丈夫!』か。相棒、いざとなったらミラクルンを連れて逃げろよ?」

 

 

「ガゥ!」

 

 

「頼むぞ」

 

 

俺達は話し終えると、色白男の前に停止した。

 

距離はおよそ十メートルといったところか。

 

 

「よう」

 

 

「……まさか私の使役モンスターを倒してしまうとは」

 

 

「倒したのは全部あの子だけどな。それよりもいくつかあんたに聞きたいことがある」

 

 

「ほう?奇遇ですね。私も貴方に聞きたいことがあります」

 

 

「いいだろう。俺の質問に答えてくれたら、いくらでも答えてやるよ」

 

 

「……仕方がありませんね。こちらも答えられる範囲であれば答えましょう」

 

 

少し不機嫌そうになる色白男。

 

俺はこいつがすこやか市のループを起こしている首謀者と考えているが、予想を確信に変えるためにも、機嫌を損ねるのは得策ではない。

 

あまり刺激しないように注意しなければ。

 

 

「まずは……あんた一体何者だ?なぜミラクルンを狙う?」

 

 

「私の名はリフレイン。『昨日』を司る精霊です。そしてミラクルンを狙う理由は……彼女が私の邪魔をするからですよ」

 

 

こいつ精霊だったのか。

 

それよりも気になるのは……

 

 

「邪魔……一体どういうことだ?」

 

 

「彼女から何も聞いていないのですか?いえ、そもそも彼女の言葉が通じないと見える」

 

 

「ミラ……」

 

 

「ガゥ」

 

 

リフレインの言葉にミラクルンが落ち込むが、相棒が慰める。

 

ミラクルンの言葉は相棒を通せば理解できるが、わざわざ教えてやる必要もない。

 

状況を理解したリフレインはさらに話す。

 

 

「ふむ。なら私から話すことは何もありませんね。見知らぬ者に情報を渡すほど愚かではありませんので」

 

 

だが予想外なのは、こいつが冷静すぎることであった。

 

頭に血が上るタイプであったり、プライドの高い者であれば、少し焚き付けてやれば勝手にベラベラと話してくれるが、こいつは頭が相当に切れるタイプだ。

 

この手のタイプにはペースを乱し、冷静さを無くさせるのが効果的だが……少し探りを入れてみるか。

 

 

「リフレイン、あんたはさっきこう言ったな。自分は『昨日』を司る精霊だと。ならば聞く。()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

……なぜそのことを知っているんです!?

 

 

かかった。

 

 

「ほう。カマをかけたつもりだったが、その反応で確信したよ。やはりお前が時間をループさせていたんだな

 

 

「まさかミラクルンの力で?いや、有り得ない。それなら()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。……それとなぜかは分かりませんが、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

 

「まさか……それは()()()()()()()()()を言っているのか?」

 

 

「頭の回転は悪くないようですね。ええ、その通りです。すこやか市の人々は()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()。だからこそ不思議なのです。なぜ貴方は普通でいられるのかがね……」

 

 

「そういう体質だから、としか言いようがないな。まあだからこそ、この街に俺が来たんだが」

 

 

「今度は私の質問に答えてもらいましょうか。貴方は一体何者なのです?」

 

 

「確かにこっちばかり聞くだけ聞いて答えないのはフェアじゃないな。良いだろう、教えてやるよ。俺の名はヒエン、魔導師だ」

 

 

「魔導師……」

 

 

リフレインは一瞬考え込むと、再度質問をしてくる。

 

 

「……この街に来た理由を教えなさい」

 

 

「ここに来た理由は、とある人物の依頼で調査に来たからだ」

 

 

「調査?」

 

 

「すこやか市の周辺だけ時間がループしている……すこやか市の周りだけ未だに季節が春で桜が咲いている……俺に依頼した人物は、それらのことに危機感を抱いたらしくてな?そこで俺が原因を調べるためにやってきたのさ」

 

 

「……そうですか。なら、最後の質問です。そのとある人物とは一体何者なのです?」

 

 

俺はこの質問に答えるかどうか迷う。

 

アンジェ先輩との繋がりを答えるべきか否か。

 

いや、何を迷う必要がある?

 

別にこいつに正直に答える義理はないだろう。

 

なので俺はぼかすことにした。

 

 

「普通の存在じゃない……とだけ言っておこう」

 

 

「さっきの仕返しですか?まあ、いいでしょう。どうやら貴方は私にとって敵であるということが明確になりましたし」

 

 

「なら……どうする?」

 

 

「もちろん……排除します」

 

 

そのとき奴の雰囲気が一変する。

 

鋭い威圧感のようなものを感じ取った俺は即座に構える。

 

 

(仕掛けてくるか!)

 

 

すると奴の前にオレンジの魔法陣が出現し、強力な電撃が放たれた。

 

俺は咄嗟にラウンドシールドを展開させて防ぐが、あまりの威力に少し押されてしまった。

 

 

「ほう?私の攻撃を防ぎますか」

 

 

思ってる以上に電撃の威力が強い。

 

まるで稲妻だ。

 

下手をすればPT事件時のプレシア以上の威力である。

 

 

「なら、これでどうです!」

 

 

奴はさらに空間全体に魔法陣を多数展開させると、稲妻をこちらに放つ。

 

俺はグローブから炎を噴射すると、稲妻をかわしていく。

 

さらなる数の稲妻が放たれるが、こちとら今までかなりの激戦をくぐり抜けてきたのだ。

 

この程度の攻撃でどうにかなるほどヤワじゃない。

 

 

「ちょこまかと!」

 

 

俺は高速移動とも取れるスピードでリフレインの後ろに回り込む。

 

首元に手刀を放ち気絶させようとしたのだが、いつの間に持っていたのか、リフレインは左手に持つ丸い光の盾で俺の手刀を防いでいた。

 

そして右手にある光の剣で攻撃してきたので、俺は籠手でガードして防ぐと、リフレインはそのまま後退した。

 

奴は魔法陣に乗ったまま移動しているので、接近戦でも常に安定した強さを発揮する。

 

しかも稲妻の威力も中々の物であり、並の者では近づくことすらできないだろう。

 

しかし精霊と戦うのは初めてだが、奴はかなり戦い慣れている。

 

油断はできない。

 

 

「「…………」」

 

 

俺達は睨み合う。

 

次に仕掛けたのは俺からであった。

 

 

「はっ!」

 

 

右手に炎のエネルギーを即座にチャージすると砲撃を放つ。

 

 

火炎の砲撃(フレイムバスター) 収束(カンバージ)!」

 

 

貫通力のあるフレイムバスターカンバージを様子見で放つが、奴も稲妻を放ち、相殺させる。

 

俺はそれを皮切りに奴の周りを飛び、ヒートカノンを連射で放つ。

 

 

「こざかしいですねっ!」

 

 

リフレインは自身を囲うように幾重にも魔法陣を展開させて稲妻の波状攻撃を行う。

 

俺はそれをブリッツアクションを発動させることで緊急回避する。

 

そして奴の真上に回り込み、直射砲撃ストレートバーナーを放つ。

 

 

「甘い!」

 

 

だが奴は障壁を展開させることでストレートバーナーを受けきる。

 

 

(障壁まで展開できるのか!?)

 

 

どうやら精霊というのは、結構万能らしい。

 

こちらの動きに合わせて、臨機応変に対応してくるのだから。

 

 

「今度はこちらからいかせてもらいましょう」

 

 

「くっ!?」

 

 

リフレインは今度は高速で俺に迫り、斬りかかる。

 

俺はそれを籠手でガードし、カウンターを入れようとするが、リフレインの姿が突如掻き消える。

 

 

「なにっ!?」

 

 

いきなりの事に俺は狼狽するが、超直感が反応する。

 

ラウンドディフェンダーを展開させて死角からの斬撃をガードする。

 

 

「ほう?」

 

 

続け様にニ回三回と斬りかかられるがその全てを両手に展開したラウンドディフェンダーでガードする。

 

なめんな!

 

こちとら常日頃から戦闘民族高町家、又の名を御神の剣士との組手でいつも神速を受けてんだ!!

 

見えない速度なんぞ、嫌というほど慣れてんだよ!!!

 

いや、慣らざるを得なかったんだ(血涙!!!!

 

今なら謀仮面ライダーのクロックアップにも対応できる自信がある(白目!!!!!

 

なんなら敵であるワームとだってサシでやり合えるゼッッッ(狂喜乱舞!!!!!!

 

だがこうも何度も攻撃されるとさすがに鬱陶しい。

 

俺は自身の周りに設置型バインドを仕掛けると攻撃に備える。

 

そして再び攻撃してきたとき、リフレインはディレイドバインドに捕まる。

 

 

「くっ……これは……鎖?」

 

 

俺はその隙を逃さず、リフレインの懐に潜り込み、奴のアゴを真上へと蹴り上げる。

 

 

「ぐぅ!?」

 

 

リフレインは上へと吹き飛んでいく。

 

俺は追撃をかける。

 

 

大爆発の加速(ビッグバンアクセル)!」

 

 

「ぐっ!?この、調子に乗るんじゃありません!!」

 

 

リフレインは俺のビッグバンアクセルを障壁で防ぐ。

 

だがお前の障壁が硬いのは既に経験済みだ。

 

 

「相棒!」

 

 

「ガゥ!ガァアアアアア!!!!」

 

 

リフレインの障壁から割れるような音が出ると、目を見開いて驚く奴の顔があった。

 

相棒の調和の咆哮で奴の障壁を周囲の空気と調和させることで、その効果を無効化したのだ。

 

俺は奴の眼前に手を置くと、零距離で砲撃を放った。

 

 

「ヒートバーナーフルパワー!」

 

 

「ぐああああぁぁぁ!?」

 

 

オレンジの砲撃が真上へと勢いよく向かう。

 

そのとき空に大きなヒビが入り、割れた。

 

 

 

 

 

 

パリイイイイイン…………

 

 

 

 

 

 

空が割れると、青空が広がっていく。

 

それを見た俺は状況を理解する。

 

 

「これは結界?そうか……この学校を周囲から認識できないようにするための物か」

 

 

道理で見覚えがない訳だ。

 

すこやか市にある建物は粗方調べたはずなのに、おかしいと思った。

 

 

「や、やってくれましたねぇ……」

 

 

俺の視線の先には手傷を負ったリフレインの姿があった。

 

いや、あれ結構な威力で撃ったはずなんだけど手傷を負うだけで済むって……頑丈だなこいつ。

 

 

「この私に手傷を負わすどころか結界まで壊すとは……どうやら貴方だけは確実に葬り去らなければならないようだ」

 

 

「ずいぶんと物騒なことを口にするな?」

 

 

「それだけ貴方は危険因子だということですよ。私の計画を邪魔する可能性がある者は生かしてはおけません」

 

 

「……お前には無理だ」

 

 

「その強気一体どこまで続くか見物ですね。少なくとも()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()?」

 

 

「なに?」

 

 

 

 

 

 

ドゴォオオオオオオオンン!!!!!!

 

 

 

 

 

 

そのとき爆発音が大きく響く。

 

俺はその音源の方へと見ると目を見開く。

 

そこには信じられない光景が映っていたからだ。

 

 

「れ、冷火!?」

 

 

冷火がボロボロになってうつ伏せで倒れていたのだから。

 

 

 

________

______

____

 

 

 

「冷火!」

 

 

俺はリフレインの事など脇目も振らずに冷火の元へと一直線に向かう。

 

 

「チク!」

 

 

「タク!」

 

 

「チクタク!」

 

 

そのとき冷火の側にいたモンスター達が立ち塞がるが……

 

 

「そこをどけぇえええええ!!!!!!」

 

 

俺は額の炎の質を柔から剛へ切り替えると、三体を高速で殴り飛ばす。

 

 

「「「チクタクウゥゥ!?」」」

 

 

三体は吹き飛ぶ。

 

俺は今の内に彼女の容態を調べる。

 

ボロボロになってはいるが、ただ気絶しているだけのようだった。

 

彼女の治療兼防御をしていたナハトに礼を言うと、俺は彼女を抱き上げる。

 

 

「ミラクルン!悪いが今は撤退する!!」

 

 

「ミラ!」

 

 

「すまん!」

 

 

ミラクルンも状況を理解しているのか即座にOKしてくれた。

 

俺はナハトを肩に乗せると、飛翔魔法を展開させてこの場から離れる。

 

 

「相棒!この場所の座標をキチンと記録しとけ!恐らくこの学校はリフレインにとっての重要な何かだ!!」

 

 

「ガゥ!」

 

 

でなければ、わざわざ結界を使用して隠す必要がない。

 

ここは奴にとっての特別な場所のはずだ。

 

そして場所の記録も済み、後は撤退するだけなのだが、そうは問屋が卸ろさなかった。

 

 

「「「チクタクゥ!!!!」」」

 

 

あの三体のモンスターが後を追いかけてきたのだから。

 

 

「こいつら追っかけて来やがったのか!?」

 

 

俺は飛ぶスピードを上げる。

 

だがスピードは奴らの方が早く、回り込まれてしまう。

 

そして奴らが攻撃を仕掛けてきた。

 

 

「チク!」

 

 

「うお!?」

 

 

大モンスターの跳び蹴りをなんとかかわし……

 

 

「タク!」

 

 

「くっ!?」

 

 

中モンスターのパンチもなんとかかわし……

 

 

「チクタクゥ!」

 

 

「あぶね!?」

 

 

小モンスターの真上からのドロップ攻撃もなんとかかわす。

 

奴らの猛攻をなんとか凌いでいる状態であった。

 

だが不幸は重なる。

 

 

 

 

 

 

「逃しませんよ……」

 

 

 

 

 

 

リフレインが再び現れたからだ。

 

どうやらテレポート能力まで使えるらしい。

 

精霊ってなんでもありかよ。

 

俺は冷や汗をかきながら悪態をつく。

 

 

「……ここは普通、見逃す流れじゃないか?」

 

 

「先程言ったでしょう。生かして帰す気はないと……」

 

 

「お前、絶対友達いないだろ……」

 

 

「大きなお世話です」

 

 

するとリフレインは手を横へと振るう。

 

直後、時計型の魔法陣から巨大な光の弓矢が現れる。

 

技としてはフェイトやアルフ、リニスの使うフォトンランサーにそっくりであるが、恐らく破壊力はこちらの方が上だろう。

 

そして勢いよく放たれた。

 

俺はブリッツアクションを使って緊急回避すると、ソニックムーブを使用してその場から逃れる。

 

後ろからさらに放たれるがフェイクシルエットで、幻影を出して奴らを惑わせる。

 

その隙に冷火とミラクルンだけはなんとしても逃がさなけばならない。

 

このままでは共倒れしてしまう可能性があるからだ。

 

俺は念話で相棒とナハトに指示を出す。

 

 

『相棒、ナハトよく聞け。今からお前らを転送魔法で遠くの方へ飛ばす。安全が確保され次第、すぐに迎えに行くからそれまで冷火とミラクルンを守っててくれ』

 

 

『ガゥ!』

 

 

『きゅ!きゅきゅ?』

 

 

『俺の事は心配するな。こいつらを片付けたら必ず迎えに行くから』

 

 

そして俺はミラクルンに話す。

 

 

「ミラクルン!今からお前を逃がす!相棒とナハトの言う事をしっかり聞いて身を隠しとけよ!!」

 

 

「ミラ!?ミラミラ!?」

 

 

ミラクルンが焦ったような声を出す。

 

恐らく声音からして心配しているのだろう。

 

というか今にも泣きそうな顔をしている。

 

俺は彼女の頭を撫でて笑いかける。

 

 

「心配するな。あいつらぶっ飛ばしたらすぐに迎えに行ってやるから」

 

 

「ミラ〜!ミラミラミラ!!」

 

 

そして俺は転送魔法トランスポーターハイを使い、冷火達をこの場から逃した。

 

 

 

________

______

____

 

 

 

俺は向き直る。

 

するとそこには憤怒の表情をしたリフレインの姿があった。

 

 

「本当にコケにしてくれますね……」

 

 

どうやら現状を把握したらしい。

 

幻影も全て倒されていた。

 

だが正直、そんなことどうでもいい。

 

 

「……ごちゃごちゃうるせぇな。悪いが大事な妹あんなにされて気が立ってんだ。来るなら早く来いよ。こっちは早くお前ら片付けて、妹迎えにいかなきゃいけないんだ」

 

 

そして俺は大声で怒鳴った。

 

 

 

 

 

 

「だからお前ら全員……まとめてかかってこい!!」

 

 

 

 

 

 

このとき俺は気付いていなかった。

 

この戦いを見ている者達がいることに……。




ヒープリ参戦します。
まあ、街の空を爆発音流しながら飛んでたらそりゃ気付かれるよね( ゚Д゚)y─┛~~

では、また∠(`・ω・´)

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