大空の炎の力を操る転生者   作:Gussan0

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どうも(゜▽゜*)

とりあえずかけたー

では、どうぞ( *・ω・)ノ


第七十九話 語られる真実

プレシアside

 

 

 

プレシアは海鳴臨海公園で戦っているなのはと、フェイトの戦いを見ていた。

 

しかしフェイトはなのはに負けてしまった。

 

 

「もういいわ……フェイト……」

 

 

そのときプレシアは立ち上がり、部屋の中央へと歩いていく。

 

 

「あなたは……もういい……」

 

 

するとプレシアの足元に魔法陣が現れる。そしてプレシアはある魔法を使用した。

 

 

 

 

 

 

そして次元魔法を使用したプレシアは倒れる。

 

と同時にジュエルシード10個が彼女の頭上に現れた。

 

そして身体に多大な負担がかかったのか咳き込んでしまう。

 

 

「ゲホッ……ゴホ……ゲホッ……ゲホッ」

 

 

その手には血が多量についていた。

 

 

「やっぱり…次元魔法はもう体が持たないわ…」

 

 

それはそうだろう。

次元魔法とは、文字通り次元を越えて攻撃する魔法なのだから。

 

それはフェイトの天候儀式魔法サンダーフォールとは比べる間もなく、体への負担は大きい。

 

それに重い病気をもつプレシアへの負担はさらに大きなものとなる。彼女の身体は既に限界を越えていた。

 

 

 

ビーッ

 

 

 

ビーッ

 

 

 

《転送反応、庭園内に侵入者多数》

 

 

 

そのときアースラから送られてきた武装隊が時の庭園へと突入してきた。

 

 

「いまのでこの場所が掴まれた。フェイト…やっぱり…あの子じゃダメだわ……それに……」

 

 

プレシアの見る映像の先にフェイト、そしてかつての使い魔リニスが映っていた。

 

 

「生きていたのね……リニス」

 

 

 

カツカツカツカツ

 

 

 

「そろそろ……潮時かもね……ゲホッ…ゲホッ」

 

 

 

プレシアはある机の前にまで歩く。そこには愛娘が写っている写真と、ある水筒が置いてあった。

 

それらを見てプレシアはリニスとの、とあるやり取りを思い出していた。

 

 

『プレシア、薬はこちらですよ』

 

 

『………』

 

 

『もう…研究に夢中になり過ぎて薬を飲み忘れるなんて…本末転倒です。そんな事では成果が実る(みのる)まで身体が持ちませんよ?』

 

 

『うるさいわね』

 

 

『…今日のフェイトは凄かったですよ。ランサーを5つも出せるようになったんです。フェイトはどこに出しても通用する一流の魔導師に仕上がります。おそらくわたしの想像以上の早さで……全部、貴方を思ってなんですよプレシア?』

 

 

『………』

 

 

『プレシアの話になるとフェイトはとても柔らかい表情になるんです。それにとっても優しい子です。毎日の練習で疲れているにもかかわらず、手作りのお菓子を用意してくれたんです…プレシアの好みを想像して一生懸命作ったそうです』

 

 

『………』

 

 

『…今は無理でも…いつか…あの子(フェイト)の愛情を受け止めてあげてください。本当は愛せたはずの自分の娘を愛せない思い…それを使い魔リニスという名で、この世界に生み出したのではないですか?』

 

 

『………』

 

 

『フェイトが一流の魔導師となり、わたしが役目を終えて消えるまでそれ程の時間はかかりません。自分が消えればこの思いはプレシアに戻り、たとえわずかばかりでも親子らしい時を過ごせるようになるのでしょうか…』

 

 

『………』

 

 

『…幻想かもしれませんが…そうなる事をわたしは信じたいです』

 

 

『……うるさいわ!用が済んだら出て行ってちょうだい!!』

 

 

『…はい』

 

 

「………」

 

 

プレシアはある部屋へと向かっていく。

 

 

「まだ……終われないのよ……」

 

 

その部屋はさらに奥にあった。

 

 

「私の娘は…アリシアひとりだけ…」

 

 

プレシアは血が出るほど拳を握りしめる。

 

 

(アリシアひとりだけなのよ…!)

 

 

「あの子との約束を…かなえなくちゃ…」

 

 

そこには…あるカプセルに入って眠っている()()()()()がいた。

 

 

「そうよね………アリシア」

 

 

その少女はフェイトと瓜二つの姿であった。

 

 

 

プレシアside end

 

◆◆◆

 

リニスside

 

 

 

戦闘空間では皆、何か戸惑っているような空気となっていた。

 

 

「リニス……?」

 

 

「はい。お久しぶりですフェイト」

 

 

「本当にリニスなの……?」

 

 

フェイトはフラフラとリニスを求めるように歩いていく。

 

 

「はい。本当です」

 

 

そしてフェイトは涙を流しながらリニスへと勢いよく抱きついた。

 

 

「リニス!リニス!!」

 

 

リニスは優しい笑顔を向け、涙を流すフェイトを力強く抱き締める。

 

 

「すいませんフェイト……あなたにはずいぶんと……辛い想いをさせてしまいましたね…」

 

 

「ううん…そんなことない。アルフがずっと側にいてくれたから…リニスがいなくなっても……ちっとも寂しくなんてなかったよ?」

 

 

フェイトはリニスに泣きながら笑いかける。

 

 

「フェイト……」

 

 

リニスはそんなフェイトが堪らなく愛しく感じ、彼女の頭を優しく撫でる。

 

そしてリニスはこちらのやり取りを黙って見守っていたなのはへ視線を向けた。

 

そこには少し赤い目をしつつ、少し泣きながら二人のやり取りを見ていたなのはの姿があった。

 

リニスはなのはに話しかける。

 

 

「なのは……あなたにもずいぶんとご迷惑をおかけしてしまいましたね?」

 

 

「そ、そんな…わ、わたしなんて、なにもしてません!ただ、フェイトちゃんとお話して、友達になりたいなって思ってただけで……」

 

 

「その気持ちが嬉しいんです。クロノから話は聞きました。この子が何度拒絶しても真っ正面から向き合おうとしてくれていたと…」

 

 

「ク、クロノ君が!?」

 

 

すると途端に恥ずかしくなってきたのかアワアワしながら顔を赤くしていた。

 

 

「フェイトはこのとおり不器用で、引っ込み思案な子ですから…」

 

 

「リ、リニス!」

 

 

フェイトは顔を赤くしながらリニスに少し大きめの声を出す。すると側にいたなのはと目があって恥ずかしくなったのか、フェイトは思わずリニスの背中に隠れてしまう。

 

それを見て少し苦笑いしながら、様子を見るなのは。

 

リニスはそんな二人を優しげな表情で見守っていた。

 

するとそこに……

 

 

「なのはー!」

 

 

「フェイトー!」

 

 

様子を見に来たユーノと、アルフの姿が。

 

 

「あ、ユーノくん!」

 

 

「アルフ!」

 

 

なのはとフェイトが反応する。

 

ユーノはなのはのところへ、そしてアルフはフェイトのところへと行く。

 

すると案の定、側にいたリニスの姿に気付き……

 

 

「リニス!アンタ……なんで!?」

 

 

「しばらく振りですアルフ」

 

 

驚くアルフを他所に、リニスは笑顔で話しかける。

 

 

「なんで消えたリニスがここにいるんだー!とか、今までどこいってたんだー!とか、いろいろ問いただしたいけど……今なにがおきてんのか正直良く分かってないけど……でも……会えて嬉しいよリニス!」

 

 

「わたしもですアルフ」

 

 

アルフは軽く涙を流しながらも笑いながらリニスに抱き付いた。リニスもそんなアルフを優しく受けとめる。そしてフェイトもそんな二人のやり取りを嬉しそうに見つめていた。

 

なのはとユーノも、三人のやり取りを少し離れたところで温かく見守っていた。

 

 

「ねぇ、なのは?」

 

 

「どうしたのユーノくん?」

 

 

「正直、今がどういう状況なのかよく分かってないけど……これだけは分かるよ。三人ともまた会えて良かったね?」

 

 

「うん!」

 

 

ユーノの言葉になのはは嬉しそうに頷いた。

 

 

 

 

 

 

そして数分後…

 

三人が落ち着くと、エイミィから通信が入る。

 

 

「なのはちゃん!ユーノくん!リニスさん!聞こえる!?」

 

 

「エイミィさんどうしたんです?」

 

 

三人を代表してなのはが答える。

 

 

「三人ともすぐに戻ってきて!事態が動きそうなの!あとそこにいる二人も連れてきてね!」

 

 

「はい。分かりました」

 

 

すると通信はきれた。

 

そこでなのははリニスの顔を見る。そしてなのはの意図を理解したリニスは、フェイトとアルフに話しかけた。

 

 

「フェイト、アルフ」

 

 

「…うん」

 

 

「分かってるよ」

 

 

二人もリニスの言いたいことを理解しているようだ。

 

 

「わたしは今……訳あって管理局に協力しています。正直に話しますと、それはフェイトにも、アルフにも関係していることです」

 

 

「「………」」

 

 

「あなたたちが何のためにジュエルシードを集めて、なんのために頑張ってきたのか、わたしはその理由を既に知っています。あなたたちを置いて、勝手にいなくなったわたしが言えた義理ではありませんが……今はわたしを信じて一緒についてきてくれませんか?」

 

 

「「………」」

 

 

「お願いします」

 

 

リニスは、フェイトとアルフに頭を下げる。

 

 

「顔をあげてリニス…」

 

 

するとフェイトが返事を返す。

 

 

「わたしはリニスのことを疑ったことなんて一度もないよ?」

 

 

「そうだよ。アンタはわたしたちの先生じゃないか。それにフェイトを助けてって管理局にお願いしたのはアタシなんだ。だからアタシが頭を下げる必要はあれど、リニスが頭を下げる必要なんてないよ。だからとっとと顔をあげとくれ……」

 

 

フェイトとアルフの返事にリニスはキョトンとした表情となる。

 

 

「それはつまり……」

 

 

「ついていくよ」

 

 

「ついていくに決まってるよ」

 

 

二人の言葉にリニスは少し涙を見せつつ、お礼を言う。

 

 

「ありがとうございます二人とも」

 

 

そしてなのは、ユーノ、フェイト、アルフ、リニスの五人はアースラへと転送された。

 

 

 

リニスside end

 

◆◆◆

 

アースラside

 

 

 

アースラ提督リンディは時の庭園に突入した武装隊の様子を見ていた。

 

 

「………」

 

 

「武装局員突入部隊『時の庭園』屋敷内に到着。予定通り捜索を開始しました」

 

 

オペレーターのアレックスが現状を伝える。

 

そこになのは、ユーノ、フェイト、アルフ、リニスの五人がメインルームに入ってきた。

 

なのはとフェイトは、バリアジャケットを解除し私服へと戻っていた。

 

 

「お疲れ様」

 

 

リンディは戻ってきた面子に話しかける。

 

 

「……それからフェイトさん…はじめまして。あなたの事はアースラから監視していました。そのせいか、はじめてという気はしないわね」

 

 

「………」

 

 

フェイトはリニスの服をつまみながら俯く。

 

リニスは不安そうになっているフェイトの頭を優しく撫でた。

 

 

『なのはさん、リニスさん聞こえますね?』

 

 

『…はいっ!/大丈夫です』

 

 

『武装隊が今、時の庭園へと突入しています。そして間もなく…プレシア・テスタロッサがいると思われる部屋へと突入します。彼女に…フェイトさんに母親(プレシア)が逮捕されるシーンを見せるのは忍びないわ…。フェイトさんをどこか別の部屋に…』

 

 

『…はい』

 

 

なのはが答える。

 

 

『リニスさんもそれでいいわね?』

 

 

『かしこまりました』

 

 

リニスも答える。

 

 

「フェイトちゃん……アルフさん良かったらわたしの部屋に…」

 

 

「…そうだね……いこうフェイト」

 

 

なのはとアルフがフェイトに声をかけるが、フェイトは前のモニターをじっと見つめ動こうとしなかった。

 

 

「フェイトちゃん?」

 

 

「フェイト?」

 

 

「………」

 

 

リニスはフェイトのそんな心情を理解しているのか繋いでいる手の力を少し強めた。

 

すると丁度、プレシアの部屋に武装隊が突入したところだった。

 

 

「プレシア・テスタロッサ…時空管理法違反および管理局艦船への攻撃容疑であなたを逮捕します!武装を解除してこちらへ…!」

 

 

武装隊十数人がプレシアのいる部屋へと突入する。

 

しかしプレシアは焦る様子もなく、中央奥にある赤いイスに優雅に座っていた。

 

さらに部屋の奥にある別の部屋に武装局員が突入した。

 

そこでプレシアの表情が一変する。

 

その部屋には一つのカプセルがあった。

 

その中にはフェイトと同じ顔をした金髪の少女が眠っていた。

 

 

「あ、あれは……!?」

 

 

「……え…?」

 

 

その映像をモニター越しで見ていた面々は驚く。

 

 

「……なんだよこれ…フェイトとまるで同じ人間じゃないか…!!」

 

 

「……アリ………シア……?」

 

 

アルフはうろたえ、フェイトは記憶で母が呼んでいた聞き覚えのある名前を呟いた。

 

 

「私のアリシアに……近寄らないで!」

 

 

プレシアは武装局員の一人に勢いよく近付くとその顔を片手で掴み、投げ飛ばした。

 

 

 

ドゴオォォン!

 

 

 

吹き飛ばされた武装局員は打ち所が悪かったのか気を失ってしまった。

 

 

 

ジャキン‼

 

 

 

その様子を見ていた武装隊はプレシアを取り囲む。

 

 

「邪魔よ……」

 

 

プレシアは右手に紫の光球を一つ生み出すとそれを放った。

 

 

「サンダーレイジ……」

 

 

「……いけない……防いで!」

 

 

リンディが武装隊に念話で指示を出すが遅かった。

 

 

 

ドガガガガガガ!!!!!

 

 

 

「うぁぁ!」

「ぐわっ…!」

「がっ…!」

 

 

部屋全体を多い尽くすほどの威力を持ったサンダーレイジが武装隊を襲った。

 

管理局の中でも、エリートを揃えた武装隊の面々が一発でやられてしまった。

 

 

「はやく…局員達の送還を!」

 

 

「了解っ!」

 

 

リンディは直ぐ様、倒れた局員をアースラに戻すようエイミィに指示を出す。

 

そしてプレシアは金髪の少女アリシアが入ったカプセルにもたれかかっていた。

 

 

「たった10個のジュエルシードでは……アルハザードにたどり着けるかどうかは分からないけど…」

 

 

プレシアは目の前のモニターに映っているであろう光に目を向ける。

 

 

「でも、もういいわ……終わりにする。この子を亡くしてからの暗鬱(あんうつ)な時間も…………この子の身代わりの人形を……娘扱いするのも」

 

 

プレシアは睨み付ける。

 

 

「聞いていて…?あなたのことよフェイト…」

 

 

母プレシアからその言葉を聞いたとき、フェイトは身体がガタガタと震えていた。

 

 

「折角アリシアの記憶をあげたのに…そっくりなのは見た目だけ……役立たずでちっとも使えない…私のお人形。そしてその人形に感化され、無様に行き永らえた使えない使い魔も同じ……」

 

 

「………」

 

 

リニスは無言でフェイトを抱き寄せる。

 

 

「最初の事故の時にね…プレシアは実の娘…アリシア・テスタロッサを亡くしてるの」

 

 

そこでエイミィがプレシアの言っていることを説明するために捕捉情報を付け加えた。

 

 

「安全管理不備で起きた魔導炉(まどうろ)の暴走事故……アリシアはそれに巻き込まれて………その後のプレシアが行ってた研究は使い魔とは異なる…使い魔を超えた人造生命体の生成……そして死者蘇生の技術」

 

 

「…そんな…!」

 

 

「それじゃあフェイトは……」

 

 

側にいたユーノとアルフが驚く。

 

 

「記憶転写型特殊クローン技術『プロジェクト・フェイト』それが彼女(プレシア)が最後に関わった研究コード……」

 

 

クロノが説明する。

 

 

「つまり…『フェイト』って名前は……当時の彼女(プレシア)の研究につけられた開発コードなの…」

 

 

エイミィが最後に説明した。

 

 

「よく調べたわね…そうよ…その通り。だけど…ちっとも上手くいかなかった。作りものの命は、しょせん作りもの…失ったモノのかわりにはならなかった」

 

 

そこでプレシアはフェイトを睨み付ける。

 

 

 

キッ‼

 

 

 

ゾクッ

 

 

 

睨まれたフェイトは鳥肌を立たせた。そして無意識にリニスと繋いでいる手をより強く握った。

 

 

「アリシアはもっと優しく笑ってくれたわ」

 

 

「………」

 

 

「アリシアは時々わがままも言ったけど…私の言うことをとてもよく聞いてくれた」

 

 

「………」

 

 

「アリシアはいつでも私に優しかった…」

 

 

フェイトがカタカタと小さく震える。側にいるなのはは、その事に気が付いた。

 

 

「やめて……やめてよ……」

 

 

なのはは小さく呟く。

 

 

しかしプレシアの言葉は止まらない。

 

 

「フェイト……あなたは私の娘なんかじゃない……ただの失敗作」

 

 

どんどんとフェイトを精神的に追い詰めていく。

 

 

「お願い…もうやめて!!」

 

 

なのははそんなプレシアを止めるために大きく声をあげる。だがそれでもプレシアは止まらない。

 

 

「だからあなたはもういらないわ…。どこへなりと消えなさい…」

 

 

フェイトの手からバルディッシュがこぼれ落ちる。

 

 

「いいこと教えてあげるわフェイト」

 

 

「……?」

 

 

そしてプレシアは言葉を続ける。

 

 

フェイトを決定的に潰す言葉を。

 

 

 

 

 

 

「あなたを作り出してからずっとね……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私はあなたが大嫌いだったのよ!!」

 

 

 

 

 

 

母の言葉を聞いてフェイトはその場に崩れ落ちた。

 

 

「フェイトちゃん…!」

 

 

「フェイト……!」

 

 

側にいたなのは、アルフがフェイトを受け止める。

 

 

「プレシア!」

 

 

ずっと無言だったリニスはプレシアを睨み付ける。

 

 

「あなたは!あなたという人はどこまで!?」

 

 

リニスはプレシアを怒りの形相で睨み付ける。それは大切にしていた娘がバカにされたことを怒る母親のように。

 

 

そのときエイミィから通信が入る。

 

 

『負傷した局員の回収終了しました』

 

 

「わかったわ……」

 

 

リンディがそれに答える。

 

 

『!?これは!?』

 

 

「何事?エイミィ?」

 

 

するとエイミィから焦った声が聞こえてきた。

 

 

「『時の庭園』屋敷内に魔力反応多数!」

 

 

 

ビーッ

 

 

 

ビーッ

 

 

 

突如現れた魔力反応にアースラの警報装置が作動する。

 

 

「なんだ…?何が起こってる…?」

 

 

「…これは!?」

 

 

クロノとリンディがモニターに目を向ける。そこには機械のような集団が映っていた。

 

 

「…魔力反応…いずれもAクラス!」

 

 

「総数60…80…まだ増えます!」

 

 

オペレーターのランディーとアレックスが詳細を伝える。

 

 

「プレシア・テスタロッサ………いったい何をするつもり…?」

 

 

リンディがモニターに映るプレシアを睨み付ける。

 

 

「あれは傀儡兵(くぐつへい)です…」

 

 

それらに見覚えのあるリニスはリンディに伝える。

 

 

「傀儡兵はプレシアによって創生されたゴーレムであり、時の庭園を守るために作られました。時の庭園の駆動炉から直接エネルギー供給を受けており、歩兵型・飛行型・砲撃型など、複数の種類が存在しています。しかも厄介なことにその一体一体がとても強いのです」

 

 

「そんなものが…」

 

 

そして傀儡兵達が動き始めた。

 

 

 

アースラside end

 

◆◆◆

 

プレシアside

 

 

 

コツン…コツン…

 

 

 

プレシアはアリシアのカプセルを浮かせ、部屋の奥へと入っていく。

 

 

 

「私達は旅立つの……永遠の都アルハザードへ」

 

 

 

その間にプレシアは頭上に浮かぶ10個のジュエルシードに手を添える。

 

 

 

「この力で旅立って…取り戻すのよ…すべてを!」

 

 

 

プレシアは行動を起こそうとする。

 

 

 

「さぁ、その力を解放しなさいジュエルシード!!」

 

 

 

そしてプレシアの魔力を受けてジュエルシードは力強く光り始めた。

 

 

 

カッ‼

 

 

 

そして10個のジュエルシードのエネルギーが解放された。

 

 

 

ゴゴン!!!!!!

 

 

 

周りの空間が大きく揺れる。

 

 

 

そして次元震が起こった。

 

 

 

()()()()()……。

 

 

 

 

 

 

「ガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!」

 

 

 

 

 

 

()()()()()()()()()()()()()()()……。

 

 

 

「ば、バカな!?こんなことが!?なぜ、なぜ次元震が起こらない!?」

 

 

 

プレシアも突然のことに戸惑っていた。

 

 

 

確実に次元震が起こるであろう魔力エネルギーをジュエルシードに与えたにも関わらず……次元震は起こらなかった。

 

 

 

プレシアは10個のジュエルシードに目を通す。

 

ジュエルシードに蓄えられていた魔力エネルギーは()()()()()()()()()()

 

まるでそのエネルギーを中和されたかのように。

 

 

 

カツカツカツカツ………

 

 

 

そのとき……足音が響く。

 

その足音は先程()()()()()()()()()()()()()()()()

 

そしてプレシアはこちらに近付いてきた人物に驚き、目を見開く。

 

 

 

「あ、あなたは……あのときの……」

 

 

 

プレシアに近付いてくるその人物は黒スーツを着た一人の()()だった。

 

 

 

「二日ぶりだなプレシア・テスタロッサ」

 

 

 

しかしその少年は確実にプレシアがあのとき始末したはずだった。

 

 

 

「なぜ!?なぜ生きているの!?あのとき……あなたは……わたしがこの手で葬ったはず!?」

 

 

 

予想外に焦るプレシアを他所に、額に炎を灯す少年は淡々と答える。

 

 

 

「簡単な話だ。あんたが殺したと思っていたあのとき……俺は死んでいなかった。ただそれだけのことだ」

 

 

 

その少年は見るからにボロボロだった。

 

頭には包帯を巻き、顔もどこか憔悴(しょうすい)しているようだった。

 

だが鋭い眼光で睨み付ける威圧感だけは初めて邂逅したあのときと全く変わっていなかった。

 

 

 

「ふふふふ。あははははは!!!あーはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!」

 

 

 

そのときプレシアが狂ったように笑う。

 

そんなプレシアを少年は訝しげに見る。

 

 

 

「どこまでも!!どこまでもわたしの邪魔をするのね!!」

 

 

 

「悪いがジュエルシードの魔力エネルギーはこいつの力で中和させてもらった。出てこい相棒」「ガウ」

 

 

 

そのとき少年の肩の上にオレンジ色の小ライオンが現れた。そして少年は右手をプレシアへと向け、ある魔法を発動させた。

 

 

 

「チェーンバインド」

 

 

 

すると空中に突然オレンジの魔法陣が現れ、その中から鎖が現れる。

 

そして10個のジュエルシードを回収した。

 

少年はそのまま懐にジュエルシードをしまう。

 

それを見たプレシアが激昂した。

 

 

 

「貴様!」

 

 

 

「次元震を起こしたければ……俺を倒すんだなプレシア・テスタロッサ」

 

 

 

「私達にはもう時間がないの!邪魔をするな!!」

 

 

 

すると少年の後方に紫の魔法陣が突然現れる。その中から30体はいるであろう傀儡兵が姿を現した。

 

今、少年とプレシアがいる場所は一本道だ。つまり少年は前方にプレシア、後方に傀儡兵30体と挟まれる形になってしまった。

 

しかし少年は焦ることなく、プレシアへ言葉を返す。

 

 

 

「あんたにどうしても叶えたい願いがあるように、俺にもどうしても守りたい物がある。だからこそ……俺はあんたの前に立ちはだかる」

 

 

 

「戯れ言を!!」

 

 

 

「だから必死になってかかってこいプレシア・テスタロッサ。俺はあんたを止める。たとえ……それであんたの願いが叶えられなくなったとしても……俺はあんたのやろうとしていることを決して認めるわけにはいかない」

 

 

 

「………」

 

 

 

「あんたが娘のためとはいえアルハザードへいくために次元震いや、次元断層を起こそうっていうなら…俺はそんなあんたに絶対に負ける訳にはいかない」

 

 

 

「………」

 

 

 

「あんた自身のためにもな」

 

 

 

「……いいわ。認めてあげましょう。あなたが私の前に立ちはだかる……最後の敵だということを」

 

 

 

プレシアはデバイスを構える。

 

 

 

「………そうか」

 

 

 

それを見た少年も両手のグローブに炎を灯し、構えた。

 

 

 

「だからこそ……たとえどんな手を使っても………私はあなたを必ず殺す」

 

 

 

「だったら俺も必ずあんたを止める。だから……死ぬ気でかかってこい!!プレシア・テスタロッサ!!」

 

 

 

ここに……どうしても叶えたい願いを叶えるために戦う者と、どうしても守りたいものを守るために戦う者の最後の戦いが始まった。

 




いよいよクライマックスが近付いてくる!!

どうなる!!

では、また(・∀・)ノ

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