「いだぢぃー!ありがどぅー!」ワァーン
「うわ、生臭ぇ!」
ジャイアントトードの体液まみれのアクアが
そんなことお構いなしに抱きついていた
あまり気分のいいものではないが
流石に泣いている女性をないがしろに
することはイタチにはできなかった
「もう無茶はするなよ」ナデナデ
そう言って頭を撫でてやるイタチ
(なんだか妹ができたみたいだな)
泣きじゃくるアクアを軽く微笑みながら
子供のようにあやしていた
「けど、こんなでかいカエルをあと三体も討伐なきゃいけないのか」
「その必要はない。既に俺が討伐している」
「マジですか!?流石イタチさん!」
「いだぢぃー!ありがどぅー!」
「かなり多めに討伐したからしばらくは大丈夫だろう」
「へぇ!どれくらい倒しちゃったんですか?」
イタチは冒険者カードを取り出し確認する
「86匹」
「「へっ?」」
「86匹」
「「」」
ギルドに戻って報酬を貰う際、討伐数を見て
ギルド員がブッ倒れそうになった
金銭に余裕ができた為、しばらくの生活は保証された
だがアクアはあのカエルにやられた事が
どうしても屈辱的だったらしく
「パーティーメンバーを集めてリベンジよ!」デデン
ビールを片手に声高らかに宣言していた
「パーティーメンバーって、イタチさんがいれば問題ないんじゃないか?」
「それじゃ意味ないの!私たちの手で奴らに復讐をしないと!」
「復讐うんぬんはいいとして、仲間を集めことは賛成だ。俺1人では対応できないことも今後増えてくるだろうしな」
「なるほど」
パーティーメンバー募集の張り紙をするということで
方針が決まり、その日は近くの宿で休むことにした
翌日
「ねぇねぇ!ジャイアントトードを大量討伐したって本当!?」
「さすがイタチさんですね!」
「今度ご一緒にパーティー組みませんか?」
「ねぇ、今夜一緒に飲まない?」
…なぜこうなった
朝から張り紙でパーティー募集をかけて
酒場で時間をつぶしていたら
女性の冒険者や女性のギルド員たちに囲まれていた
どうやら昨日の大量討伐が噂になっているらしい
遠くの席に座っているカズマは羨ましそうに
アクアは面白くないと言いたげな顔でイタチを眺めていた
「イタチさんには恋人はいらっしゃらないんですか?」
「…………………」
(イズミ…)
イタチはかつての恋人、うちはイズミのことを思い出していた
(今俺は穢土転生が使えるが…いや、これは俺の罪だ。そしてイズミもそんなことは望んでいないはずだ…)
初恋の相手…それを自らが手を掛けたことを
イタチは忘れることが出来ないでいた
(ありがとう…か)
イズミの最期の言葉を放ったイズミの顔を
イタチは鮮明に思い出していた
「イタチさん?」
「…すまない、ボーッとしていたようだ」
「もぉ!ちゃんと聞いてよ!それで結局の所どうなのよ?」
「そういったものには1度も縁がない」
「あら、じゃあおねえさんがいろいろ教えてあげるわよ?」
「あ、ズルいです!私だってイタチさんと…って何言わせるんですか!」
「勘弁してくれ…」
疲れた顔で相手をしているとカズマたちに
動きがあった為、そちらに向かうのであった
「…なぜこの少女は倒れている」
「三日間、何も食べていないのです。何か食べさせてくれないでしょうか…?」
倒れていた少女は消え入るような声で懇願してきた
「…とりあえず何か食べさせてやろう。話はそれからだ」
飯を食べた後、実力を見るということで再び
ジャイアントトードの討伐に出向いていた
「爆裂魔法は最強魔法、その分魔法使うのに準備時間がかかります。準備が整うまであのカエルの足止めをお願いします」
「了解した」
「イタチ、あっちにも!」
「2匹同時か、遠いほうのカエルを標的にしてくれ」
「わかりました!」
「近い方は俺たちで何とかする、おいアクア、お前一応元なんたらなんだろう?たまには元なんたらの実力を見せてみろ」
「元って何!私は現在進行形で女神よ!」
「女神?」
「を、自称しているかわいそうな子だよー。たまにこういったことを口走るけど、そっとしておいて欲しい」
「可哀想…」
「う、うわーん!いだぢぃー!カズマが苛めてくるぅー!」ガバッ
そう言っていたちの胸に飛び込みワンワンと泣き始める
(悪いが俺もこういった姿を見ていると、とても女神とは思えない)
口には出さないがイタチもカズマと同じような気持ちであった
「アクアなら大丈夫だ、だから泣き止め」ヨシヨシ
泣きじゃくる女神をあやす忍者…
やはりどちらが女神かわかったもんじゃなかった
「グズッ、そうよね!私だってやれば
出来るわよね!やってやるわ!」ダッ
そう言って技名を叫びながら突撃したものの、あえなく撃沈
「さすが女神、身を呈しての時間稼ぎか…」ジトッ
(これはまた、あやすのが大変そうだ)
イタチが心の中でため息をついていると
後ろで爆裂魔法の準備をしていた
めぐみんが詠唱を始めた
「黒より黒く闇より暗き漆黒に、我が深紅の〜ry」
(詠唱…こちらで言う印と似たようなものか)
めぐみんの詠唱を見つつ冷静に分析していると
魔法の準備が整ったようだ
「explosion!!」
その言葉と地響きと共に、蛙を中心に火柱が立ち昇る
その威力の余波がこちらにも伝わってくる
そして魔法が終わった後には
その威力を物語るかのように
地面に大きな爪痕を残していた
「すっげぇ…これが魔法か…」
「確かに強大な攻撃手段だな…」
カズマと感心していると地面から次々と
ジャイアントトードが湧き出てきた
「めぐみん!一旦下がって…え?」
めぐみんを見てみると
なぜかまたブッ倒れていた
「我が爆裂魔法は、その強大さゆえに消費魔力もまた絶大。
要約すると、限界まで魔力を使ったため 1歩も動けません」グター
「えぇ…」
「近くからカエルが湧くとか予想外です、ヤバいです
喰われます、すいません、ちょっと助けt」
パクッ
「お前ら!結局喰われてんじゃねぇか!」
剣を持って走り出そうとするカズマをイタチが制する
「イタチさん?」
「この量の中を突っ込むのは危険だ。彼女たちは俺が助けるからカズマは少し離れたところにいてくれ」
「わかりました!」
カズマが離れていくのを確認して
捕捉している2匹に肉薄して2人の足を掴んで引き抜き
カズマの元へ移動する
「おわっ!ってイタチさん急に出て来ないで下さいよ!」
「すまない、二人を頼んだ」
そう言って二人をカズマに任せ、ジャイアントトードに向き合う
(ざっと20匹程か…なら)
チャクラを練り、慣れた手つきで印を結ぶ
「火遁・鳳仙花の術!」
口から放出された火の玉がジャイアントトード
一体づつに襲いかかる
そして20匹いたカエルは一瞬で消し炭になってしまった
「す、すっげぇ!すげぇよイタチさん!」
カズマは興奮して、他の二人は呆然としていた
「とりあえず任務完了だな、帰るぞ」
そう言ってカズマはめぐみんを背負い
イタチがアクアを手を引いて帰路に着いた
「ひっく、ぐずっ、生臭いよぉ…生臭いよぉ…」グズッ
「…もう少しで大浴場に着くから頑張れ」
「うん、頑張る。私頑張る。」エグッ
泣いているアクアの手を引きながら
イタチは優しくあやしていた
「カエルの中って臭いけどいい感じに温いんですね」シミジミ
「知りたくもない、そんな知識」
「全くだ」
「それとめぐみん、爆裂魔法は緊急時以外は使用するな。通常時はもっと普通の魔法使うように」
「使えません、私は爆裂魔法しか使えないんです。他には一切魔法が使えません」
「」
めぐみんが言うには、爆裂魔法しか使いたくないらしい
燃費が悪いのを承知の上で、今後も他の魔法は使わないらしい
それに何故かアクアが同調しており
何かいい雰囲気になっている
(難儀な奴だな)
カズマもそう思ったのか、めぐみんをパーティに
入れさせまいと必死に拒否するが
めぐみんも必死にこのパーティに
残ろうとカズマにしがみついていた
「もうどこのパーティも拾ってくれないんです!お願いですから見捨てないで!」
「ぐぬぬ…往生際の悪い…そうだ!イタチさん!イタチさんも何か言ってやって下さいよ!」
「…わかった」
そう言ってめぐみんに近づくとめぐみんは
対象をイタチに絞って今度はイタチにしがみついた
「お願いです!あなたのパーティに入れて下さい!」ダキッ
「…入ること自体は構わない」
「いいんですか!?」
「イタチさん!?」
「…その前に、めぐみんはどこのパーティも拾ってくれないと言っていたな?それは何故か分かるか?」
「えっと…私が爆裂魔法しか…愛せないから…」ボソッ
「まぁ、簡単に言うとそうだが、根本的な問題はそこじゃない」
「?」
「パーティを組んだ時に、そいつに自分の命を預けれるかどうかだ」
「っ!?」
「めぐみんが爆裂魔法しか愛さないということに関しては何も言う気はない。だがパーティーのメンバーはどうだ?そんな奴に命を預けることができるか?」
「それは…」
「…だから今後、他の魔法も覚えてもらう」
「だけど私は…!」
「分かっている。俺の知っている爆裂魔法…いや忍術を教えよう」
「そ、そんなものがあるのですか!」
「あぁ。俺の知り合いに芸術は爆発だと言う奴がいてな」
(何故俺が使えるのかは分からないがな…)
「…その忍術で、これから俺たちを助けてくれ。そして俺たちもめぐみんを助けることを誓おう」ポンッ
「あっ…」
「…俺たちの仲間になってくれないか?」ナデナデ
「はい!爆裂魔法で皆さんの役に立つことを誓います!」
「あぁ。これからよろしく、めぐみん」
事が丸く収まった所で皆仲良く大浴場に向かった
後にカズマは女性二人をヌルヌルにした変態と噂され
イタチはその女性二人がカズマから捨てられるところに
救いの手を差し伸べた男という噂が流れ
カズマの株は下がり、イタチの株がまた大きく
上がったことは余談である
生前ではイタチにはうちはイズミという
恋人がいらっしゃいましたが
この世界では、という設定です( ´ ▽ ` )ノ
ご指摘下さった方、ありがとうございます!