「おはよう、カズマ」
「あぁ…イタチさん…おはようございます…」ドヨーン
今朝ギルドの前でカズマに会ったが
なぜかすごく疲れた顔をしていた。
「昨日はそんなにハードだったか?」
「いえ、クエスト自体はそこまでハードじゃなかったんですけど…その後酒場で一悶着ありまして…あ、誰かとやりあったとかそういうんじゃないんで安心してください」
「…ならいいが、無理はするなよ?疲れは判断力を鈍らせるからな。キツイのであれば今日は休んでもいいぞ?」
「イ、イタチさんだけが俺の味方ですよぉ…」グスッ
…泣かれてしまった
「…とりあえずギルドに入るか」ガチャ
そう言ってギルドの扉を開けると
大勢の人々がアクアを囲んで何やら盛り上がっている様子だ
「どもども!どーも!あ、カズマ!見てよこの新しく習得したスキル!水の女神たる私にぴったりでしょう?」
「…宴会芸じゃねえか、この駄女神」ボソッ
「良く分からんが、楽しそうで何よりだ」
「溜まったポイントでスキルを習得できるんだよな?変なスキルに使わず慎重に選ばないとなぁ…」
アクアは宴会芸で忙しそうなので
先にカズマとめぐみんの三人だけで朝食をいただくことにした
その途中でカズマがスキルポイントの使い方に悩んでいるようなので
この中でスキルに最も詳しいめぐみんに説明して貰っている
「まずは誰かにスキルの使い方を教えてもらうのです。するとカードに項目が現れるので、ポイントを使ってそれを選べば取得完了なのです」
「つまり、俺もめぐみんに教えてもらえれば、爆裂魔法が使えるということか」
「その通りです!その通りですカズマ!爆裂魔法を覚えたいならいくらでも教えましょう!とゆーか、それ以外に覚える価値のあるスキルなんてありますか?いいえ、ありませんとも!さぁ、私と一緒に爆裂道を歩もうではありませんか!!!」ズイッ
「…朝食の最中だ、少し落ち着け」
「そ、そうだ落ち着けロリッ子!つか、今3ポイントしかないんだが…ん?」
「ロ、ロリっ子…この我がロリっ子…へっ…」ズーン
「「…………………」」
「何かお手軽なスキル無いかなぁ…あまり習得にポイントを使わない、お得な感じの…」
「探したぞ」
「!?」バッ
「ん?」
声を掛けられ振り向いてみると
顔の整った凛とした佇まいが印象の金髪の剣士がいた
隣のカズマを見てみると、しまったと言わんばかりの顔で
その剣士のことを見ている
(どうやら一悶着あった奴とはこいつの事で間違いなさそうだな)
カズマの反応を見るに昨日この剣士と
何かあったのだろう…
「昨日は飲み過ぎたといってすぐに帰ってしまったからな」ストン
「お、お気遣いなく!」
(仲が悪い…というわけではなさそうだな)
「ならば、昨日の話の続きをさせてもらおう。私はあなたのパーティーに入れて欲し「お断りします!」んはぁん!即断!だと!」
(…なるほど、そういう嗜好の持ち主なのか)
忍者としての経験から、拷問の経験があるイタチは
すぐにその手の嗜好をもつ人間だと理解した
「あはは、ダメだよダクネス。そんな強引に迫っちゃさ」
「ええと、あなたは…」
「私はクリス。見ての通り盗賊だよ!この子とは友達かな?ところで君、役に立つスキルが欲しいみたいだね?盗賊系のスキルなんてどうかな?取得にかかるポイントも少ないしお得だよ?どうだい?今ならシュワシュワ一杯でいいよ!」
「安いな!よし、お願いします!すいませーん!こっちの人にキンキンに冷えたの一つ!」
(良く分からんが、カズマがスキルを習得出来そうでよかった)
始終静観していたイタチだったが
特に害がないと判断したため改めて朝食に箸を伸ばす
「あれ?もしかしてただいま人気急上昇中のイタチさん?」
「なに!?あなたがうちはイタチなのか!?」
「…そうだが?」
イタチはこちらに意識が向いたことを
少し面倒だと感じた
最近、どこから聞きつけたのかは知らないが
男女ともによく絡まれるようになった
あまり人と楽しく会話することに慣れていない
イタチにとっては他の冒険者との会話は少し苦手だった
「新人冒険者なのに強くてカッコよくて紳士で、男女ともに高い人気を誇ると噂されているイタチさんに会えるなんてラッキーだね!」
「私もあなたのことを高く評価している。騎士として、あなたの立ち振る舞いを見習いたいものだ」キラキラ
「俺は何一つ特別な事はしていない。思ったことをやっているだけだ。」
「うひょー!カッコいいねぇ!改めて私はクリス、よろしくね!」スッ
差し出された手を握ろうとすると
グワンッ
腕をつかまれ地面に組み伏せられてしまった
「…何の真似だ」
「いやー、噂に名高いイタチさんの実力を見ようとしたんだけど、なんか拍子抜けだね…」
「おいクリス!イタチ殿に失礼だぞ!」
「いやね、忍者と盗賊って何か似てるじゃん?どんなもんか試してみたかったんだけど、案外大したことないね…」
「そうか…期待に添えず申し訳ない。だが…まだ甘いな」
ポンッ
「え!?」
クリスが組み伏せていたイタチは
木の丸太に変わってしまった
「嘘!?いつ入れ替わったの!?」
「私には全く分からなかったぞ!」
「じゃあ、本物のイタチさんはどこに!?」
「悪いが、そんな小手先の技術でやられる程、俺は甘くはない」
「「「!?」」」
上から聞こえる声に反応して上を見てみると
天井に
「え、いや、ちょ、ええ!?」
「天井に立っている…」
「すげぇ!イタチさん!そのスキル教えてくれ!」
カズマはテンションが上がり
他の二人は呆然とイタチを眺めていた
イタチは地面に降り立ち皆の元に戻る
「組み伏せた時点で油断してはいけないな。予測不能な事態はいつ起こるかわからない。たとえそれが酒場であってもだ」
「…ハハ、参った。降参だ、私の負けね。やっぱり噂は伊達じゃないってことかしらね」
「…俺は勝負したつもりはなかったんだがな」
「まぁ細かいことは気にしない!今度こそ改めて、よろしくね!イタチさん!」スッ
今度の握手に悪意がないことを確認して手を握る
「ああ、うちはイタチだ。よろしく頼む」
「ロリっ子…我がロリっ子…フフッ…」
「いぃぃぃぃやっはぁぁぁぁぁぁ!!!!!!」ブンブン
「いやぁぁぁ!!!!返してぇぇぇぇ!!!」
「…自業自得だが、これは流石に可哀想だな」
そのあと、表に出てクリスから盗賊系スキルを教えてもらい
試しに『スティール』を使って勝負をすることになったのだが
カズマがゲットしたのはクリスのパンツ…
カズマはテンションが最高潮まで上がり
クリスのパンツを振り回している
対するクリスは先ほどの挑発的な表情とは打って変わり
涙目で年相応の可愛らしい反応をしていた
「スティールとは本当に何でも窃盗できるのだな、便利だが何が手に入るか分からないというのはリスクが高すぎる…」フム
「冷静に分析してないでイタチさんも早く取り返してぇ!!」
顎に手を当て冷静に技について考察するイタチに
涙目で訴えるクリス
「カズマ、そのへんにしてやれ」
「えぇ!でもこれは俺の戦利品ですよ!」
「その戦利品が今後何の役に立つんだ…」
「女の子の脱ぎたてのパンツは何よりも価値のあるものなんです!」
「馬鹿なことを言ってないで、さっさと返すんだ」
「いや、これだけは譲れないです!一人の男として!」
(頭が痛くなりそうだ…)
なぜあそこまでパンツに執着するのか
イタチには理解することは出来なかった
「カズマ、失望したぞ。お前がそんな変態だったとはな…」ジトッ
絶対零度の冷ややかな目でカズマを睨む
「や、やめて!そんな目で見ないで下さい!」
「こんな日中の往来で女の下着を剥ぎ取って振り回している奴をどんな目で見ろと言うんだ?どうしようもない変態だな」
「ぐはっ!?」ドサッ
事実を述べられテンションが上がっていたカズマは冷静になり
イタチの言葉によってカズマは沈んだ
そしてカズマからパンツを取り上げクリスに渡す
「あ、ありがとう、ございます…」
「これに懲りたら意地悪なんてするんじゃないぞ」ナデナデ
そう言って優しい笑顔でクリスの頭を撫でる
「は、はぃぃ/////」カァァァ
クリスは顔を真っ赤にしてモジモジと渡された
パンツを手で弄っていた
二人が甘い空気を醸し出している後ろで
もう一人の変態が息を荒くして潤んだ瞳でイタチを見つめていた
「な、なんだあの目つきと言葉責めは!最高じゃないかぁ!私が探し求めていたのはカズマではなく、イタチ殿だったのだな!あぁ!あの目で睨まれて罵られたい!」ハァハァ
イタチの行動により標的が自分に
変わってしまったことに
イタチはまだ気づいてはいなかった