「…なんじゃこりゃあ!?」
〈街に飛来したキャベツを全て収穫せよ!〉
「ゆけぇー!!」
「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」ドドドドドドドド
イタチは頭が痛かった
元いた世界とは違う世界なので
ある程度の相違は理解していこうと努力してきたが
これは許容範囲外であった
「まさか食材が飛ぶ世界があるとは…」トオイメ
冒険者が次々とキャベツ?に立ち向かう中
イタチは呆然と立ち尽くしていた
「こんなこと言ってはいけないんだろうが…やる気になれない」ボー
「奇遇ですねイタチさん…俺もです…」ボー
この世界のキャベツは飛ぶ。
味が濃縮して収穫の時期が近づくと、簡単に食われてたまるかとばかりに町や草原を疾走する彼らは、大陸を渡り、海を越え、最後には人知れぬ秘境の奥で誰にも食べられず、ひっそりと息を引き取ると言われている。
「それならば!私たちは彼らを1玉でも多くつかまえて、美味しく食べてあげようってことよ!」デデン
「筋は通ってるが何故か納得出来ない…」ズーン
「奇遇ですねイタチさん…俺もです…」ズーン
「みなさーん!今年もキャベツの収穫時期がやってまいりました!今年のキャベツは出来が良く、一玉の収穫につき一万エリスです!出来るだけ多くのキャベツを収めて下さい!」スピーカー
「「「「うおぉぉぉぉぉぉ!!!!!」」」」
「これ、もう帰って寝てもいいかな?」ドヨーン
「いいんじゃないか?現に俺はもう帰ろうとしている」スタスタ
かつてないほどにイタチとカズマの心は
一つになろうとしていた
「カズマ、イタチ殿」
「ん?」
「?」
「ちょうどいい機会だ、私のクルセイダーとしての実力、その眼で確かめてくれ…うおぉぉぉぉぉぉ!!」ダダダダダ
ダクネスが剣を構えてキャベツの大群に
立ち向かっていく
「でやぁ!!」
スカッ
「やぁぁ!!」
フォン
「はっ!」
ヒュン
「全然当たらないじゃないか!?」ビシッ
「キャベツ相手に剣を振り回す…なかなかシュールだな」フムッ
二人はダクネスを観察していると
周りの雲行きが怪しくなっていった
「ぐわっ!?」バシッ
「がはっ!?」ズガッ
「うわらばっ!?」ドゴン
果敢にキャベツに挑んでいた冒険者達が
キャベツの大群に押されつつあった
「危ない!?」バッ
ダクネスが他の冒険者を庇おうとして
倒れている冒険者の前に立ちはだかる
「仕方ない…」スッ
ダクネスにキャベツが当たる前に
一気に近づいてダクネスを押し倒す
「邪魔だ」ドンッ
「なっ!?」ドサッ
ジャキン
飛んできたキャベツを仕込み刀で一刀両断した
「自己犠牲は美徳だが、守られた側は罪悪感に苛まれる。剣がまともに振れないのであれば、しゃしゃり出てくるな」クルッ
そう言ってダクネスの方を向くと
「あぁ!なんて鬼畜なんだ!すぐそこまで迫っていたお楽しみを取り上げるなんて!!やはりイタチ殿は生粋のドSなのだな!」クネクネ
「…後で覚えていろ」ギロッ
「あぁん♡その眼イイ〜♡」ハァハァ
ダクネスは後で折檻するとして
迫り来るキャベツに集中することにした
「はっ、ふっ、ていっ」
ジャキ!ズバッ!スパーン!
飛来するキャベツを次々と流れるような剣舞で捌いていく
「すげぇぞあの兄ちゃん!?」
「あれが噂のイタチさん!?」
「人間業じゃねぇぞアレは!」
「綺麗な剣舞…♡」
「ヤラナイカ?」
突撃するキャベツを一通り切り終わったところで
イタチは他の冒険者の援助に向かう
「よもやこんなことで手裏剣を使うことになるとはな」フッ
イタチは手裏剣やクナイを駆使して
周りのキャベツを一掃する
「すげぇ!!死角のキャベツにも真ん中に命中してやがる!?」
「この短時間でどんだけの数を倒すんだ!?」
しっかりと獲物を仕留めていってはいるが
一つづつでは埒が明かないと判断したイタチは
前に出てキャベツの大群に突っ込んでいった
「出来るだけ損傷の少ない状態で収穫するには…やはり手裏剣術が妥当だな」
手裏剣を一つ投げ、慣れた手つきで印を結ぶ
「手裏剣・影分身の術!」
術の発動により一つの手裏剣は
数えきれない程の数になり
大量のキャベツに襲いかかり
次々とキャベツを落としていった
「なんだありゃ!?手裏剣が一気に増えやがった!?」
「あれが忍者のスキルなのか!?」
「すげえ!俺も忍者にジョブチェンジしよっかな!」
「イタチさん…ステキ…♡」
「ヤらないか?」
イタチの手裏剣により、ほとんどのキャベツを
再起不能に追いやることが出来た
「任務は大方完了だな、大して動いていないのに無駄に疲れたな」フゥ
〈キャベツ大豊作!クエストクリア!〉
(=゚ω゚)ノ このすば!
「美味いな…」ムシャムシャ
酒場で大量の金をゲットしたイタチ御一行は
酒場で今日収穫したキャベツを使った野菜炒めを食していた
「納得できねぇ…何故たかが野菜炒めがこんなに美味いんだ…俺はキャベツと戦うために異世界に来たわけじゃない…」クソッ
「流石私のイタチね!今回のクエストの報酬、ほぼ総取りしたようなものよ!」フフン
「私は納得していないのです…爆裂魔法を打つ暇もなく終わってしまったのです…あとあなたのイタチではありませんよ?」ムゥ
「私も出番は無かったがイタチ殿の鬼畜なギリギリお預けプレイは流石の私も戦慄したっ!今日は素晴らしい活躍だったぞ、イタチ殿!」ズイッ
「…ああ」ゲンナリ
皆の言葉に何故か素直に喜べないイタチであった
「イタチさん!ホントにゴチになっていいんですかい?」
「あぁ、今回の報酬は皆の頑張りもあっての報酬だ。遠慮せず何でも食べてくれ」
「くぅぅ!あれが漢の中の漢ってやつか!」
「俺もあんな懐のデケェ漢になりたいもんだぜ!」
「イタチさん素敵…♡」
今回の報酬が一人で使うには少し多すぎて
貰うことに引き目を感じたイタチは
酒場で今回参加した冒険者全員の晩飯代を
支払うことにしたのだ
「あーあ、でも結局イタチの一人勝ちで私は全然活躍出来なかったわ。ここでアークプリーストである私の実力を見せてあげようと思ったのに…」
「アクアも冒険者のアフターケア、見事だったぞ」
「えっ?見ててくれたの?」
「ああ、花鳥風月、だったか?それでキャベツの鮮度を保つ為に水を出していたり、疲れている冒険者にも水を支給していたな、偉いぞ」ナデナデ
そう言って優しい目つきでアクアの頭を撫でる
「えへへへ、まぁね///////」
「それにカズマ、お前の働きも素晴らしかったぞ」
「えっ!?イタチさん見ててくれたんですか!?」
「ああ。潜伏スキルからのスティールというやり口は実に盗賊らしいやり方で俺個人としても良い戦法だと思った。敵に気づかれずに倒すというのは戦法の基本中の基本だからな、見事だった」
「おぉ、なんかイタチさんに褒められるとめちゃくちゃ嬉しい」キラキラ
「めぐみんは今日は出番が無かったが、また俺の忍術を教えるから、我慢してくれ」
「むぅ…絶対ですよ?あと私も頭を撫でて下さい」ズイッ
「分かった…」ナデナデ
「フフフ、しょうがないですね、許してあげます!」フフン
和気藹々とした雰囲気ではあるが割と崖っぷちのパーティである
そして話の流れでダクネスもパーティに加わることになり
カズマは頭を抱えていた
「では改めて、名はダクネス。クルセイダーを生業としている者だ。攻撃には期待出来ないが、壁代わりにどんどん使ってくれ!何なら捨て駒扱いにしてくれても構わない!!あぁ、想像しただけで武者震いが…♡」ハァハァ
「…まずはその腐った性癖を何とかしてやる、覚悟しておけ」ギロッ
「あぁん…イイ♡その眼いいのぉ…♡」アァン
次回はダクネス改造計画!?