「見てくれ、カズマ、イタチ殿!キャベツの報酬で装備を治したのだが、こんなにピカピカになった!どう思う?」ズイッ
収穫祭が終わった後の、とある昼下がり
特にやることもなく酒場でダラダラと過ごしていたら
装備を新調したダクネスが現れた
「あぁ、よく似合っているぞ」
「な〜んか成金趣味の貴族のボンボンが着けてる鎧みたい」ジトッ
「ありがとうイタチ殿!そしてカズマ、私だって素直に褒めて貰いたい時もあるんだぞ!」ムムッ
「いやー、なんかそこまでピカピカだとね〜」
「だが、それがカズマの良い所ではあるな♡」ハァハァ
「どこに褒められる要素があった…」
「まぁ、これに懲りたら無駄に前に出るのは止めるんだな」
「それは無理だ!」ドヤッ
(…何とかしなくては)ハァ
イタチの性格上、仲間を、ましてや女性を
盾代わりに使うなんてことは絶対に許さない。
心の中でため息を吐きつつ
隣でクネクネと杖にしがみ付いて
頬ずりしているめぐみんを見て
更に心の中でため息を吐いた
「何ですって!ちょっとあんたどーゆーことよ!どれだけキャベツ捕まえたと思ってんのよ!」コノヤロー
一方、我らの女神様は大変ご立腹であった
「そ、それが…アクアさんの捕まえてきたのは、ほとんどレタスでして…」
「何でレタスが混じってんのよー!?」ウガー
レタスは換金率が低いらしく
アクアは収穫祭での報酬に納得がいっていないようだ
「あ、イタチさん、こっち来ますよ〜。嫌ですね〜」ウワー
「そう言ってやるな…分からんでもないが」
「カーズーマーさん!今回のクエストの報酬は、おいくら万円?」キャピ
「100万ちょい…」ボソッ
「「「…えぇー!!!!」」」
カズマの収穫したキャベツは
経験値が豊富だったらしい
(これが幸運度の差というやつか…)
報酬の値段を聞いたアクアはカズマにすり寄っていった
「か、カズマ様!前から思ってたんだけど、あなたって…その…そこはかとなく良い感じよね!」アハッ
「特に褒めるところが思い浮かばいないなら無理すんな!」
「うぅ…カズマさん!私今回の報酬が相当な額になると踏んで、持ってるお金全部使ってちゃったんですけど!てゆうか大金入ってくると見込んでこの酒場に10万近いツケまであるんですけどぉ!」ズイッ
「知るかよ!大体今回の報酬はそれぞれのモノにって言い出したのはお前だろ!」グググ
「だって私だけ大儲けできると思ったのよぉ!」ウワーン
「最低だな…」
「お願い!お金貸して!ツケ払う分だけでいいから!」グググ
(…今更だが、うちの小隊はマトモなやつが居ないな)ズーン
特に深く考えずに皆と共に過ごしてきたが
ここに来てイタチは選択を誤ってしまったのではないかと自己嫌悪に浸っていた
「うっさい駄女神!とゆーか、いつもイタチさんにタカってんのに、何で今日は俺なんだよ!」
「だって!宿泊代やら御飯代やら、挙げ句の果てには銭湯のお金すらタカってるんだもん!申し訳なさと同時に自分が凄い惨めに思えてきちゃって、とてもじゃないけどツケまで払ってもらおうとは思えないよぉ!」グズッ
「うぐっ…駄女神のクセにスジが通った言い訳しやがって…てか、メシやフロの金までイタチさんに払って貰ってたのか!」
「だって!買い食いしてたらすぐお金無くなっちゃうんだもん!」クワッ
「後ろめたさのカケラも感じられねぇ理由だなオイ…」
「だからこそ、カズマに頼んでるのよ!」
「俺なら大丈夫みたいな感じヤメロ!それ借金がどんどん増えていくやつの典型的なパターンだから!」
「うぅ…カズマの意地悪!ケチ!」
「俺だってイタチさんに宿泊代払って貰ってて申し訳ないんだよ!これを機に自分で宿泊代ぐらい払うようにする!」フンッ
「すいません…実は私も払って貰ってます…」ボゾッ
「めぐみん、お前もか!新しい杖買ってる場合じゃねぇじゃねえか!」
「この杖から溢れ出す魔力が私を吸い寄せ、私の魂を大きく揺さぶったのだ!これを運命の出会いと言わず何というのだ!」デデン
「つまり誘惑に負けたということでよろしいでしょうか?」
「はい、すいません…」ショボン
「もうヤダこのパーティ…」
( ;´Д`) このすば!
「イタチ、ごめんなさい…」グズッ
「気にするな。金が無くなったならまた働けばいい」ポンポン
結局その後、イタチがその場を収めた後
金銭に一番余裕のあるイタチがアクアのツケを払うことになった
「だが、そろそろアクアも金の使い方を考える必要があるな」
「はい、仰る通りです、はい…」セイザ
「説教食らってるぞ、あの女神…」ヒソヒソ
「グウの音も出ないとはこのことですね、あの女神…」ヒソヒソ
「アクアは女神なのか?」ハテ?
イタチの前で正座しているアクアを見て
三者三様の反応を示していた
「今後、金を使うときは俺に相談すること、いいな?」
「はい…ゴメンナサイ…」ドゲザ
「イタチさんって兄力、高いよなぁ」ヒソヒソ
「そうですよね、アクアが妹にしか見えませんね」ヒソヒソ
「兄妹プレイか!それもなかなか良いな♡」ハァハァ
三人の発言は聞かなかったことにして
説教を終えたイタチとアクアは皆と合流した
「カズマ、気持ちは嬉しいが宿泊代は収入が安定してからで構わない。まずはその金で皆のように装備を整えてこい。いつまでもその格好というわけにはいかないだろう」
「なるほど…そうですね!ありがとうございます!」
「それとめぐみん、お前も金遣いが荒すぎるとアクアみたいに制限を掛けるから、程々にな?」
「それは困ります!分かりました!」
「ダクネス、お前はまたじっくりと話をしなければならないようだな…」
「はうっ…その眼イイ…♡」ハァハァ
「そしてアクア、もう泣き止め…」ナデナデ
「エグっ…グズッ…ゴメンナサイ…」ウルウル
「「「「何このお兄ちゃん…」」」」
この光景を見ていた他の冒険者は
口を揃えてそう言ったという。
そして暫くイタチは他の冒険者達から
「兄貴!」や「イタチお兄ちゃん♡」と呼ばれることとなったが
イタチ自身は満更でもなかったというのは余談である