思ってたのとなんか違う 作:もちすぎ
学園都市に七人しか居ないlevel5。学園都市に住む者にとっては常識だ。どのくらい常識かっていうと、教科書にも載ってるくらい。
しかし、そんな常識は覆ることになる。この俺、八人目のlevel5『
俺は所謂『転生者』というやつだ。トラックに轢かれて死んだり、神様の手違いによって死ぬとなれるあれだ。
前世でどんな人間だったのか、どうやって死んだのか、神様に会ったのか、俺はそのあたりのことを一切覚えてない。しかしこれが第二の人生で、これからライトノベルの『とある魔術の禁書目録』の世界に転生する事がなんとなく分かる。
そして転生者は大体、『特典』という形で何かしらの能力が貰えるのが常だ。これがその特典というやつなのかなんなのか分からないが、俺はlevel5になれる才能を秘めている。なんとなくだが、それが分かるのだ。
level5といったら第一位『
そんなlevel5になれるというのだから、興奮するな、というのが無理な話だ。
そのうえ『とある魔術の禁書目録』といえば、可愛い女の子が多いことでも有名だ。メインヒロインの多くは主人公である上条当麻に惚れているが、そうでないキャラクターもいる。
俺に発現した超能力が強かったら原作に介入して、何人かのヒロインと出会ってもいいかもしれない。上条の代わりに一方通行を倒して〜みたいな。
それに大体あの手のラノベはモブも可愛いのが常だ。level5ともなれば、モブからはモテモテに違いない。俺は高望みしない性格なのだ。ある程度可愛い彼女と、不自由なく生きていけるだけの奨学金があればそれでいい。
一方通行や垣根帝督の様に暗部に堕ちてしまう可能性もあるが、level6を目指したり、アレイスターと交渉しようとしたりしようと考えなければ大丈夫だろう。
──さあ、始めようか! 勝利が約束された第二の人生を!
◇◇◇◇◇◇
「うおおおおっ!」
学園都市にある無数の裏路地の一角をひたすら走る。肺と足が悲鳴をあげ、喉から吐き気が込み上げてくる。しかし止まるわけにはいかない。止まれば殺されるからだ。
俺の“超能力”を使い追跡者を“視る”。どうやら撒いたようだ。
しかし安心するわけにはいかない。この街には無数の監視カメラや
「はあ、はあ…おええぇ! ゲホッゲホッ!」
疲れたよ、マジで。
どうして俺がこんな目に遭ってるのかといえば、あれはそう、三日前の能力診断テストの日の事だ。
転生した俺は、どうやら今から学園都市に編入する高校生の様だった。両親が突如謎の死を遂げ、天涯孤独になった俺は無数の学生寮がある学園都市へ…… そんな感じだ。
学園都市に編入する際、まず最初に超能力診断テストを受ける。『原石』などの高位能力者だった場合、常盤台や長点上機などの名門校に入学し、それ以外の場合は普通に試験を受けて学力にあった学力に入学する訳だ。
俺はワクワクしながら能力診断テストを受けに行ったよ。俺がどんな能力を持っているのか気になったのもあるし、新たなlevel5が生まれた事を世に知らしめたかったから。
果たして、俺はキチンとlevel5だった。だったのだが……
能力名『
その名の通り、俺の能力は透視だ。それと千里眼の凄いやつ。他にも小さいものを拡大して視たり、紫外線などの人には目視出来ないものが視えたり──要は“視る”系の能力の頂点だ。
流石level5というだけあって、能力の精度は素晴らしい。その精度の程と言ったら、沖縄にいながら北海道の微生物を観察出来るほどだ。
そう、出来てしまうのだ。
ここで問題になるのは、学園都市でおこなわれている非人道的な実験の数々、暗部の闇、
それに気づいた暗部は、俺を殺す事に決めたらしい。
希少なlevel5を殺すか? という疑問もあるだろう。
しかし俺の能力は驚く位社会に貢献しないのだ。ただ“視る”事が出来るだけで、何の役にも立たない。
そのうえ他のlevel5と違い俺の能力は、コストや効率を度外視すればだが、科学で再現可能なのだ。千里眼は衛星で、透視はレントゲンなどで、普通なら不可能だが、学園都市の科学力ならば可能だ。つまり、俺は不要ってこと。
しかも俺の能力には戦闘力がほとんど無い。
一般人相手なら、俺はまあまあ強い。相手の皮膚を透視して筋肉を直接見ることで、相手の動きをかなりの精度で予想出来るからだ。骨の隙間や筋肉の薄いところなんかも“視え”るから、弱点だってつける。それに背後からの奇襲だって通用しない。
しかし相手の動きが“視え”るからと言って、必ずしも体がついていく訳じゃ無い。
学園都市には身体能力向上系の能力者は沢山いる。先の動きが“視え”ていても俺が動くより速く動かれたらどうしようも無い。それに、普通に銃を使われたら俺に避ける術は無い。
殺しやすく、利益になりにくく、不利益になりやすいlevel5。それが俺だ。
そんな訳で、俺は暗部に命を狙われることになったのである。
『
どうやら、また追いかけっこの始まりの様だ。
可愛い女の子とも、穏やかな生活とも無縁の生活。こんなの、こんなの──
「思ってたのとなんか違う!」
そう愚痴らずにはいられなかった。