う~ん…巫女さんが迫ってくる…あの…お祓いとかでバッサバッサ振るあれを持って。お札とか針とかも持ってる…っていうか、殺しに来てる…!?
「ウギャアァァァァァァァ!」
俺は跳ね起き今のが夢だと気付く。
「はぁ…はぁ…そ、そうだよな。空飛ぶ巫女さんなんていないよな…はぁ、良かった」
「何が良かったって?」
声の方向に目を向けると、そこには夢に出てきた巫女さんが――――
「イヤアァァァァ!」
「黙りなさい」
ゴスッ!と鈍い音をたてて突き刺さる棒。
「これ…人に向けていいものじゃないだろうが…」
「大丈夫。いままで数十数百とそれで殴ってきたけど問題なかったわ」
「そういう問題!?」
「そういう問題よ」
「怖いわー、巫女さん怖いわー……夢は儚く消えるのね…」
優しい巫女さんいなかったんや…そうに決まってる…
「現実逃避は許さないわよ」
「逃げ道がっ!!」
仕方ないので、現実を見ることにする。
「で、なんで霊夢はここに居るんだ?」
「別に、私がどこにいたっていいでしょ」
「まぁ、それもそうか」
「そうそう。問題ない問題ない。でもね?貴方が人の話を聞かないのは別よ?」
「あ、うん。ごめんなさい」
たぶん、気絶する前の話だろう。そう言えば、弾幕ごっことか言ってたな。あれか?銃撃戦でもするのか?散弾銃くらいなら避けられるぞ。
「はぁ…全く。説明くらい聞きなさいよ。霊力って言われても分からないでしょ?」
「霊力……これか?」
俺はそう言って、白い光の球を生み出す。
「……え?出せるの?」
おぉ、霊夢が目を丸くして驚いてる。そんなに珍しいことなのか。なんか得した気分。
「これくらいはなんとか。でも、俺がいつも使うのはちょっと工夫するけどな」
「工夫?」
「あぁ。例えば、ただ打つのでも良いけど、あえてかっこよさを追求する。こんな風に」
俺はそう言って、能力を使う。
数秒をかけて俺の右腕を白いスライムのようなものが包み、とれると同時に俺の右腕は白く、また、強靭そうな筒となっていた。
「バスターキャノン。相手は死ぬ」
「殺してどうするのよ」
「……じゃあ、男は死ぬ」
「性別で生死が決まるの!?」
「ちなみに女性は捕獲される」
「どのみちダメじゃない!」
ちなみに、このバスターキャノンで捕まった人は『ひんぬー』になる呪いにかかるって兄ちゃんが言ってた。姉様で試したから間違いない。
ついでに、その後全力で殴られたのはお察しの通り。
まぁ、三時間で解ける程度の弱いものだったけど。
「試しに撃ってみる?」
「……私は実験台にならないわよ」
「ちぇ。じゃあ良いや」
どうせ撃たれても変化はそんなにないだろうに。とは突っ込まない。まだ死にたくないんでな。
「霊夢ぅ~!っとと、あ、狼魔。起きたのか」
魔理沙は上空からふわりと降りてきて、霊夢の隣にいた俺に気づいたらしい。
酷いぜ。最初からいたのにな。
「なんの用よ」
「いや、狼魔が起きてるならいいんだぜ。道具も揃えたし、これで大丈夫だろ……ぉ?あれ?霊夢。狼魔の右腕ってこんなのだったか?」
おっと、やっと気付いたらしい。
「あぁ、これね……撃たれてみたら?」
おぉ、霊夢。友人を売るのか。
「なんだそれ。怪我は…しないのか?」
「怪我はしないぞ。怪我はな」
嘘は言ってない。怪我はしないからな。物理的な怪我は。
「そうか……変な言い方だったけど、ちょっと撃たれてみるか。実験台っていうのも中々味わえないしな!!」
この子、大丈夫だろうか……もし俺の発言が嘘だったらとか考えないのかな?
「まぁいいや。くらえ!!」
ドンッ!と放たれた砲弾は――――
「やっぱり怖いんだぜーー!!」
「ちょ、魔理沙!?」
すかさず盾にされた霊夢にぶつかり――――
「やったか!?」
「やっちゃダメなんだぜ!?」
おっと正論だ。そうだな。家主を倒しちまったら困る――――あれ?問題なくね?
「霊夢!?大丈夫か!?」
魔理沙が霊夢を心配して近付くと、
ガシッ!
魔理沙の頭が捕まれる。
「魔理沙……?」
威圧感大の声。
「誰を盾にしてるのかしら……?」
しかし、どことなく全てが――――
「霊夢……お前、どうしたんだぜ……?」
――――幼くなっていた。
* * *
うん。殴られたよ。胸が小さくなってるって。体全体が小さくなってるじゃんか。なんて突っ込めなかったよ。殺されそうだったよ。
「なんでその怪我で死なないんだ?」
「死んでも死なない普通の人間だからな!」
「いや、普通の人間だったら死んでるっていってるんだぜ」
失礼な。俺はちゃんと人間だぞ。周りは人間やめてたけど。右手からビームくらいしか出ないぞ。
「全く……お前の能力は一体なんなんだぜ?」
「ん~…確か……なんだったっけなぁ……」
「焦らすなよ~」
魔理沙が俺の事を揺らす。
「ふはは。教えてほしければあの巫女様の怒りを鎮めるのだ~!」
「じゃあいいや」
俺の後ろで未だに俺の背中を叩いている霊夢を見て、魔理沙は断言した。
「霊夢の怒りを鎮めるくらいなら知りたくないのか…でもまぁ俺は寛大だからな!教えてやるぜ!」
俺はそろそろ黒い赤が飛び出そうな背中を叩き続ける霊夢を無理矢理抱え、
「俺の能力は、『ロマンを具現化する程度の能力』だ。よろしくな!」