「ロマンを具現化?なんだそれ」
魔理沙が聞いてくる。
「カッコいいと思うもの!それがロマン!!魔法だってロマンだ!コスト度外視の高火力!見た目重視で実際にはほとんど使えない武器!燃えるシチュエーション!萌えるシチュエーション!皆の憧れる存在!それを具現化するのが俺の能力だ!!震えるぞハート!燃え尽きるほどヒート!刻むぜ!ロマンのビートオォォォ!!」
「お、おぅ……そうなのか」
「魔理沙もロマンを持っているだろう?俺の前では全てが具現化出来る!まさに夢の能力よ!!」
「お、おぉ!なんかよく分かんないけど凄そうな能力だぜ!!」
「凄そうな能力だろ!?」
「それは分かったから私を元に戻しなさいよ」
膝の上で跳び跳ねた霊夢の頭が見事に顎にぶつかる。
「いぎゃあぁぁぁ!!痛い!!超痛いんだけど!?後視界がぐわんぐわん揺れる!」
「叫ぶと悪化しないか?」
魔理沙が的確に突っ込んでくる。そこは心配しようぜ?
「うぅ……魔理沙……俺はもうダメだ……霊夢のことを頼んだぞ……立派に育ててくれ……」
「狼魔……?狼魔!!おい、しっかりしろ!!狼魔!狼魔ぁぁぁ!!!」
ガクッと力が抜け、魔理沙の握っている手からも力が抜ける。
「何ふざけてるのよ」
容赦の無い蹴りが俺を襲う!!
「ゲフゥッ!!な、なにをするだー!」
霊夢の蹴りを甘んじて受け、文句を言わないと止まるだろうから悲鳴を上げる。
「……喜ぶとか怖いんだけど」
「何故バレたし!!」
「目が全然嫌がってないのよ…むしろ輝いてた」
ぐぅっ!そこまで見抜くか!
「なぁ狼魔~。弾幕ごっこしようぜぇ~?暇なんだよぉ~」
魔理沙…会話を逸らすの露骨すぎでは…?
「ん~…ルールを教えてくれたら考えよう!」
「よっし!じゃあ説明するぜ!しっかり聞いとけよ!!」
「待ちなさい魔理沙。私の姿を戻すのが先よ」
おっと。霊夢様のお怒りだ。これは勝てない。
「すまんな霊夢。それは時間が経たないと元に戻らないんだ」
「へぇ……ちなみに、どのくらいかかるのかしら…?」
「三時間くらいだ!!」
ドヤ顔で言い放ったら黒い空気を纏い始めたぞ?
「針か殴られるか。どっちが良い?」
「ならば両方で!」
「じゃあ死になさい」
ギャアアアアァァァァァ!
という叫び声が、神社にこだました。
* * *
「針は痛いです。霊夢様……」
「かわいいのに怖いんだぜ……」
「何?魔理沙も狼魔と同じような目にあいたいの?それなら今すぐやるわよ?」
「ごめんなさいなんだぜ」
「分かれば良いわ」
本当に両方をやってきたんだが…針はちょっとやりすぎだった……キャッチしなければ今頃ここら一帯が血の海になってたぜ……
「それで、本当に戻らないの?」
「うぅ…嘘じゃないぞ…戻るのには三時間くらいだ…反対の効果をかければ今の状態じゃなくなるが――――」
「それでいいじゃない」
「反対の効果が発生するんだよ」
「……つまり、どういうこと?」
「『ボンッキュッボンのわがままぼでー』になるってことだ!!」
「「な、なんだってーーー!?」」
「つまりだ!それをかけると『ひんぬー』の良さが無くなって、全体的にすごい良いすごい良いスタイルになるってことだ!!」
「……良いんじゃないの?」
「否だ!断じて否だ!!ボンッキュッボンは美しくあっても、かわいくは無い!よって!俺は認めん!」
「なんというか……すごい情熱なんだぜ……」
「大きいだけじゃダメなのね…」
「いやいやいや、霊夢?何流されてるんだぜ?」
「いや……一理あるかも知れないと思って」
「俺は!無い胸を張って頑張ってる子が好きなんだ!好悪的な意味で!」
「恋愛的にはどうなんだぜ?」
「正直あんまり気にしない!しっかり家事が出来るならなんの問題もないね!」
「……で、本音は?」
「霊夢も魔理沙も好きです」
「「………………はい?」」
ふむ?意味を理解してない感じかな?固まってるぜ。
「だから、恋愛的には二人とも好きだって。まぁ、霊夢の場合は元の姿の方だけど」
「じょ、冗談だろ?大丈夫。冗談でも怒らないぜ?」
「冗談じゃないって。二人とも美人だし、年も近いだろうし。完璧だろ」
「面と向かって言われると、変な気分ね……正直想定外だったんだけど」
「そう言われてもな…事実だし……」
疑う余地無くパーフェクトに美少女だろうが。と思う。
「魔女っ子に巫女。しかもどっちも美人だぞ。惚れないわけがない。恋人でもいない限りな」
「む、むぅ……想定外の事を言われると本当に頭が真っ白になるのね…」
「もう訳がわからないんだぜ…どこからどこまでが嘘なんだか…」
「終始嘘吐いてないっての。心外だぞ」
大体、俺は嘘は吐かないんだ。隠しはするけど。
「まぁ、いいわ。そこら辺は気にしないようにしましょ。で、貴方的には私を強引に戻したくないのね?」
「そうなるな」
「そう……よし。魔理沙。全力でこのバカを倒しなさい。良いわね?」
「あ、はい。分かりました」
おぉぅ、魔理沙ちゃんが霊夢に気圧されてるんだぜ…これはさっき言ってた弾幕ごっこをするフラグかな?
「さて。じゃあ説明を始めましょうか」
黒い笑みの霊夢に言われ、姿勢をただして俺は説明を受けるのだった。