東方浪漫録   作:大神 龍

6 / 6
第六話

 目が覚めると、知らない天井――――な訳ではなく、たぶん博麗神社の天井だった。

 

「……知らない、天井だ」

 

「分かってて言ったでしょ」

 

 スパンッと小気味良く響く音。

 

「痛いぜ霊夢」

 

「手加減したわ」

 

 起きると、霊夢がこちらをこちらを見てくる。

 

「……どうしたんだよ?」

 

 恥ずかしいじゃないか。とふざけつつ言うと、

 

「魔理沙の爆弾一撃で倒れられた心配するに決まってるでしょ?」

 

 どうやら心配してくれたらしい。心優しい霊夢。

 

「で、主犯の魔理沙は?」

 

「あなたを殺したと思って慌てたあげく、躓いて転んで気絶して今あなたに横で寝てる」

 

 言われて、その方向を見ると、確かに魔理沙が寝ていた。しかもうなされてる。

 

「むむ…?これは襲えという天啓か…?」

 

「私の裁きが下るわよ」

 

 おぉぅ、黒い顔で言われてしまったら言い返せない。ここは諦めて、

 

「おゆはん作りましょうかね」

 

「作れるの?」

 

「ん~…(げん)()ぃには敵わないが、一応は。俺の場合は一度食べた料理を大まかに再現する程度しか出来ないしな」

 

「十分じゃない?」

 

「何言ってるんだ!幻兄ぃと(じん)()ぃはフルコピーだぞ!俺と比べるなんて兄貴達が可哀想だ!」

 

「その人達に会ってみたいわよ。何その性能羨ましいわ」

 

「俺も会いたいわ!」

 

 というか、会えるならすでに会っているはずである。たぶん兄貴たちも事情があるのだろう。というか、よくよく考えると、俺、()()()()()()()()()()()()

 

「さて、まずは何があるのかだな。食材探索だ」

 

「お米くらいしか覚えてないわね~」

 

 そんな感じで台所に向かう。

 

 

 * * *

 

 

「本当に無いっていうのは許されないと思うんだ」

 

「でも無い物は無いのよ」

 

 本当にお米しかない。なんでこうなるまで放って置いたんだ。

 

「仕方ない。ここは俺が一肌脱ぐしかないぜ」

 

「一体何をするの?」

 

「分からない?分からないよね!ならば教えてあげよう!野草を取りに行くのさ!!」

 

「魔理沙みたいに変なのは拾ってこないでよ」

 

「安心しなさい!俺はそんなヘマはしない!!」

 

「……それならいいんだけど…」

 

 ん…?今フラグが立った…?いや、そんな、まさか…そんなことが許されるはずがない!否!許されてはならない!!俺は生き残るぞ!!

 

「じゃ、行ってくるぜ!!」

 

「行ってらっしゃーい」

 

 全力で俺は森の中に入って行った。

 

 

 * * *

 

 

「ん~…熱中しすぎたか…」

 

 気付くと、全く知らない上所にいた。

 

 果たしてここは何処だろうか。私はどこに向かって、どこへ辿り着くのだろうか。

 

 別に哲学的それなんかではなく、単に迷子だから適当に歩いたらどこに行くのかって話だ。助けがあれば良いのにな。

 

 その時、ガサガサッ!と物音がする。

 

「野性動物!?」

 

 別に、お肉が来たとか思ってない。思ってないったら思ってない。きっと。たぶん。おそらく。可能性の中にはある。

 

 そのまま俺はジリジリと音がしたところから距離をとり――――

 

 

 

 

 

 

 

「あなたは食べても良い人類?」

 

 金髪幼女が現れた。物騒な言葉と共に。

 

 

 

 

 

 

 

 食べても良い人類…?食べても良い…ふむ。たぶん飲食的な意味で食べて良いか。という質問か。

 

 普通はここでNOと言うべきなのだろう。だが!俺はあえて!こう言うぜ!

 

「お野菜も食べなさい!」

 

 …………………

 

 いやな かぜが ふいた。

 

 沈黙は狼魔を殺す。昔言われた名言だぜ。文字通り、ノーコメントだと俺は死ぬのだ。恥ずかしさで。

 

「ん~っと、お野菜と一緒なら良いってことなのか~?」

 

「殺さない程度なら許す」

 

 痛いのは嫌だが、幼女のためならば命を張ろうではないか。

 

「あ、でも、その前にひとつ。博麗神社ってどっち?」

 

「え~…それを聞くのか~?」

 

「教えてくれたら料理をご馳走しよう。霊夢も説得するしな」

 

「むむ……それなら……こっちかな」

 

 そう言って、幼女はふわふわと飛んでいく。

 

 最近の幼女は空を飛ぶのか。凄い時代になったものだ。

 

「あ、そういや、名前聞いてなかったな。俺は夢霧狼魔。お前は?」

 

「ルーミア。それと、本当に連れていっても食べさせてくれるんだよね?」

 

「俺が作る飯を食べて、その上で俺を食べる勇気があるならな」

 

「ゴクリ…そこまで言うなら、たぶん美味しいんだよね。これで美味しくなかったら絶対食べるから」

 

「ふはは!男に二言はねぇ!」

 

 笑うが、内心真っ青だ。いや、だって、満足させられないとこっちがご飯だぞ?なんだその闇のゲームは。ワクワクするわ。

 

「えっと、そろそろかな。ほら着いた」

 

 開けた場所。見たことのある神社だ。

 

「おぉ!私は帰ってきたぞー!!」

 

「そんなことよりご飯~!」

 

 ルーミアが乗っかってくる。

 

「おうおう。頑張ってうまい飯作るからな。待ってろよ~!」

 

「わーい」

 

 と言いながら台所に向かうと、途中で霊夢に見つかる。

 

「狼魔…何やってるの?」

 

「自分の命を懸けて料理をしにいくんだ」

 

「何よそれ。そこの人喰い妖怪が原因?」

 

「そんなことはない。ルーミアは何も悪くない。迷子の代償だぜ」

 

「そう…まぁ、頑張りなさい」

 

 霊夢は見送った。うん。変に絡まれない方が良いか。

 

「んじゃ、邪魔はするなよ?」

 

「は~い」

 

 俺はルーミアを下ろして、調理を始める。




 知ってるような名前がちらほら…そして、お米のみの悲しい台所事情。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
※参考:評価数の上限
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。