目が覚めると、知らない天井――――な訳ではなく、たぶん博麗神社の天井だった。
「……知らない、天井だ」
「分かってて言ったでしょ」
スパンッと小気味良く響く音。
「痛いぜ霊夢」
「手加減したわ」
起きると、霊夢がこちらをこちらを見てくる。
「……どうしたんだよ?」
恥ずかしいじゃないか。とふざけつつ言うと、
「魔理沙の爆弾一撃で倒れられた心配するに決まってるでしょ?」
どうやら心配してくれたらしい。心優しい霊夢。
「で、主犯の魔理沙は?」
「あなたを殺したと思って慌てたあげく、躓いて転んで気絶して今あなたに横で寝てる」
言われて、その方向を見ると、確かに魔理沙が寝ていた。しかもうなされてる。
「むむ…?これは襲えという天啓か…?」
「私の裁きが下るわよ」
おぉぅ、黒い顔で言われてしまったら言い返せない。ここは諦めて、
「おゆはん作りましょうかね」
「作れるの?」
「ん~…
「十分じゃない?」
「何言ってるんだ!幻兄ぃと
「その人達に会ってみたいわよ。何その性能羨ましいわ」
「俺も会いたいわ!」
というか、会えるならすでに会っているはずである。たぶん兄貴たちも事情があるのだろう。というか、よくよく考えると、俺、
「さて、まずは何があるのかだな。食材探索だ」
「お米くらいしか覚えてないわね~」
そんな感じで台所に向かう。
* * *
「本当に無いっていうのは許されないと思うんだ」
「でも無い物は無いのよ」
本当にお米しかない。なんでこうなるまで放って置いたんだ。
「仕方ない。ここは俺が一肌脱ぐしかないぜ」
「一体何をするの?」
「分からない?分からないよね!ならば教えてあげよう!野草を取りに行くのさ!!」
「魔理沙みたいに変なのは拾ってこないでよ」
「安心しなさい!俺はそんなヘマはしない!!」
「……それならいいんだけど…」
ん…?今フラグが立った…?いや、そんな、まさか…そんなことが許されるはずがない!否!許されてはならない!!俺は生き残るぞ!!
「じゃ、行ってくるぜ!!」
「行ってらっしゃーい」
全力で俺は森の中に入って行った。
* * *
「ん~…熱中しすぎたか…」
気付くと、全く知らない上所にいた。
果たしてここは何処だろうか。私はどこに向かって、どこへ辿り着くのだろうか。
別に哲学的それなんかではなく、単に迷子だから適当に歩いたらどこに行くのかって話だ。助けがあれば良いのにな。
その時、ガサガサッ!と物音がする。
「野性動物!?」
別に、お肉が来たとか思ってない。思ってないったら思ってない。きっと。たぶん。おそらく。可能性の中にはある。
そのまま俺はジリジリと音がしたところから距離をとり――――
「あなたは食べても良い人類?」
金髪幼女が現れた。物騒な言葉と共に。
食べても良い人類…?食べても良い…ふむ。たぶん飲食的な意味で食べて良いか。という質問か。
普通はここでNOと言うべきなのだろう。だが!俺はあえて!こう言うぜ!
「お野菜も食べなさい!」
…………………
いやな かぜが ふいた。
沈黙は狼魔を殺す。昔言われた名言だぜ。文字通り、ノーコメントだと俺は死ぬのだ。恥ずかしさで。
「ん~っと、お野菜と一緒なら良いってことなのか~?」
「殺さない程度なら許す」
痛いのは嫌だが、幼女のためならば命を張ろうではないか。
「あ、でも、その前にひとつ。博麗神社ってどっち?」
「え~…それを聞くのか~?」
「教えてくれたら料理をご馳走しよう。霊夢も説得するしな」
「むむ……それなら……こっちかな」
そう言って、幼女はふわふわと飛んでいく。
最近の幼女は空を飛ぶのか。凄い時代になったものだ。
「あ、そういや、名前聞いてなかったな。俺は夢霧狼魔。お前は?」
「ルーミア。それと、本当に連れていっても食べさせてくれるんだよね?」
「俺が作る飯を食べて、その上で俺を食べる勇気があるならな」
「ゴクリ…そこまで言うなら、たぶん美味しいんだよね。これで美味しくなかったら絶対食べるから」
「ふはは!男に二言はねぇ!」
笑うが、内心真っ青だ。いや、だって、満足させられないとこっちがご飯だぞ?なんだその闇のゲームは。ワクワクするわ。
「えっと、そろそろかな。ほら着いた」
開けた場所。見たことのある神社だ。
「おぉ!私は帰ってきたぞー!!」
「そんなことよりご飯~!」
ルーミアが乗っかってくる。
「おうおう。頑張ってうまい飯作るからな。待ってろよ~!」
「わーい」
と言いながら台所に向かうと、途中で霊夢に見つかる。
「狼魔…何やってるの?」
「自分の命を懸けて料理をしにいくんだ」
「何よそれ。そこの人喰い妖怪が原因?」
「そんなことはない。ルーミアは何も悪くない。迷子の代償だぜ」
「そう…まぁ、頑張りなさい」
霊夢は見送った。うん。変に絡まれない方が良いか。
「んじゃ、邪魔はするなよ?」
「は~い」
俺はルーミアを下ろして、調理を始める。
知ってるような名前がちらほら…そして、お米のみの悲しい台所事情。