ラブライブ! ~『正しさ』の本質~ 作:k.k.halcyon
やっと、やっと!プロローグが終わりました。
といっても、また番外編とかでこの時期の話は入れますけど・・・
またまた、少し長めです。
それでは、どうぞ。
南家の玄関をくぐって、リビングへと進んでいく。
「おじゃましまーす」
「ただいまー♪」
前に来たときにも思ったけど、南家って、地味に広い。
・・・いや、真姫の家とか海未の家とかと比べるのは失礼なんだろうが、一般的な家庭と比べると十分に裕福と言えるだろう。
棚に置かれている紫陽花模様の花瓶も、一目観ただけで結構な値段がするものだと分かる。勘だけど。
貧乏生活が長いせいで、どんなインテリアも値段で判断してしまう自分を許してほしい。まあ、ひとまず食材を冷蔵庫に入れておこう。
「そこのソファに座って待っててね?ことり、着替えてくるから」
「お、おう、了解した・・・」
や、やっぱり緊張する・・・いや、別にことりの着替えを想像して緊張してるわけじゃなく、って、おいそこぉ!!!今ことりの着替えシーン想像したやつ出てこい!!お兄ちゃん怒んないから!!怒んないから一発殴らせろやこらああぁぁ!!
誰に突っ込んでんだ俺・・・。そうじゃなくて、周りに高価なものしかないから、一挙手一投足に気を遣うんだよ!今座ってるソファだってなんだこれ!!めっちゃふかふかじゃねぇか!!前の学校の校長室のソファも柔らかかったけど、やっぱ校長より理事長のほうが格上なんだな!!もう一生ここから動きたくない。雛子さん俺のこと養ってくれないかなあ・・・。
「みーくん、変な顔してどうしたの?」クスクス
振り返ると、いつの間にかことりが自室から戻って来ていた。
緑色の薄手のカーディガンと、膝頭が少し見えるくらいの、白のシンプルなフレアスカート。部屋着なんだろうが、ことりの場合何を着てもオシャレに見える。
多分、ことりの着る服のセンスがいいこと以上に、『ことりが着るから』可愛いんだろうな。
「ん?おお、おかえり、ことり。俺そんな変な顔してたん?」
まだご飯を作る時間帯ではないからだろう。俺の隣に座って、ことりもゆっくりするようだ。
「ただいま♪してたよー?変、っていうか、おかしな顔?」
おうふ、意外とストレートに言いますね、ことりさん。あと『変』も『おかしい』も同義表現だぞ?
「・・・さて、夕ごはんまで、どうしよっかなー。ことり、もう食べるか?」
「ううん?まだそこまでお腹減ってないし・・・あ、でも、みーくんが食べるなら合わせるよ?」
「いや、俺もそこまで減っとらんから・・・じゃあ、もう少し後にするか」
「そうだね♪何して・・・あ、ごめん、メールだ」
「ん?ああ、誰から?」
「お母さんかr・・・ええっ!!?//////」
「ど、どうした?」
「えあっ//////な、なんでもないよ!!なんでも!!・・・うぅ・・・恥ずかしい、けど//////」
「ことり?」
「・・・あ、あのね?あの・・・みーくん、その・・・もうちょっと、そっち、寄ってもいい?」
「・・・?おう、いいけど・・・」
そう答えると、ことりはソファ座ったまま、ゆっくり体を滑らせるようにして、お互いの肩が触れ合うくらいのところまで近づいてきた。
急にどうしたんだろう・・・
「あの・・・みーくん、さ・・・」
なんか膝をこすり合わせて、モジモジしてる・・・
(・・・ハッ!!・・・これは、まさか・・・告白!!?)
・・・・・・って、そんなわけないか。何かお願い事、とか?
「さっきのみーくんが泣いてたお話、あれ、お母さんに話しちゃ、ダメ?」
「お願いします!どうか黙ってていただけないでしょうかあああ!!!」ドゲザ
お願いするのは、ことりじゃなくて、俺でした。
ことりの足下に一瞬で移動し、流れるような、キレッキレのモーションで土下座をかます。
何!?チーズケーキ奢るだけじゃあダメなの!?
「何かしてほしいことがあるなら言ってくれ!!俺に出来ることならなんでもするから!!!だからどうか!!!どうか、あのことだけはあああああっっっっっっ!!!!!!」
「・・・・・・じゃあ、ねぇ・・・・・・」
な、なんだ、またチーズケーキか!?それともケーキ各種取り揃えればいいのか!?
「・・・・・・頭、撫でてほしいな?」
「・・・・・・へ?」
ことりの口から出た言葉は、俺の予想を大きく外れるものだった。
「・・・だめ、かな?」
少しだけ瞳を潤ませて、俯いたまま、上目遣いでこちらを見つめてくる。
これが計算してやっていることなら、鼻で笑ってやるところなんだが、いかんせんことりのこれは本気だ。
「いや、だめなんてことは無いんじゃけど・・・その、そんなんでいいのか?というか、女の子ってそういうの嫌がるんじゃ?」
「・・・みーくんのは、嫌じゃ、ないから///・・・その、おねがい//////」
ことりのおねだりには、どうにも逆らえそうにない。
「わ、分かった・・・」
・・・・・・
あれ・・・?さっきは勢いでわしゃわしゃ撫でちゃったけど、こう面と向かって撫でようとすると・・・あれ?なんかすっごいやりづらい・・・
えっと、とりあえずソファに座り直して・・・体はことりに向けたほうがいいか、撫でやすいし・・・えっと、それから・・・
(・・・えーと・・・えーっと・・・ど、どうしよう・・・)
沈黙がつづく・・・
ーーーまだ?
俯いていたことりが、ほんの少し顔を上げて、こちらの表情を伺う。不安そうな表情が見てとれた。
(ええい!もうヤケじゃ!)
そっと右手を、ことりの頭の上にのせる。髪が乱れないように、ゆっくり、ゆっくりと撫でていく。
「んんっ・・・ふぁ・・・えへへへ//////」
ことりは俺の服の胸辺りをきゅっとつまみ、頭を俺の肩へと預けてきた。
吐息が首に触れ、少しくすぐったい。それに、ことりの髪から、シャンプーだろうか、柑橘系のいい匂いが鼻腔をくすぐる。
「・・・気持ちいいなぁ・・・ねぇ、みーくん?」
「ん?」
「その・・・これからも、さ・・・時々、こうやって、頭、撫でてくれない?」
「・・・え?」
「・・・だめ?」
「い、いや、別に、いいけど・・・」
「ふふっ、ありがと」
ぽつりぽつりと、言葉を交わす。
何を話したらいいか分からなくて、さっきみたいに、声が出ない。
けど、そんなに悪い気分じゃない。
そのまましばらく、お互い無言のまま寄り添って、俺はことりの頭を撫でていた。
*ー*
南家に来て、ことりの頭を撫ではじめてしばらくたった頃・・・
「・・・そろそろご飯食べるか?」
「んぅ・・・あとちょっとぉ・・・」
相変わらず俺の服の胸辺りをそっと掴んで、ことりは肩に頭を乗せたままだ。
撫でやすいように俺も腰をひねって体をことり側に向けているので、若干腰が痛いのだが・・・
「くすっ、分かった」
「んんぅ・・・えへへ///」
・・・まあ、もう少し、このままでもいいかな・・・
ーーー10分後
少し撫でる手が疲れてきたので、一度手を離したのだが・・・
「・・・・・・」パッ
「ぇ・・・あっ・・・・・・うぅ・・・///」
「・・・そんな寂しそうな顔すんなよ?分かった、まだ撫でてやるから」ポンポン
「あ・・・んふぅ・・・えへへへ、ありがと///」
「どういたしまして」
そんな顔されたら、誰だってまだ撫でていたくなるだろ・・・
ーーー20分後
・・・いや、ちょっと流石に疲れてきたぞ・・・お腹も減ってきたし・・・
「・・・も、もうそろそろ食べない?」
「そう・・・だねぇ~・・・・・・んゅ」
「あ、あれ・・・?ことり?」
「・・・スー・・・スー・・・」
「・・・ネチャッタノォ?」
ーーー1時間後
ジュー
「・・・鯛の方も、そろそろか・・・」
ことりが寝てしまったので、起こさないようにゆっくりと彼女をソファに横にして、キッチンへと移動し、先にご飯を作っておく。
前にことりの家に来たときに、ことりと雛子さんと3人でご飯を作ったことがあったので、その時の記憶からどこに何があるのかは大体覚えてる。
ことりがする分だった料理も、それほど手間のかかるものではなかったので、俺の方でさっさと済ませてしまう。
「・・・うん、なんだかとっても、いい感じ~・・・」
煮付けのほうも上手くできてる。
本当だったらもっと手間掛けてたんだけど、さっき時計を見たら20:00を過ぎてたため、今回は少し手抜きだ。
「・・・そろそろことり起こすか・・・おい!ことり起きろ!ご飯できたぞ?」
「・・・んゅぇ?・・・あぁ、みーくんだぁ・・・・・・
・・・・・・え!?みーくん!?」
「おはよ、ことり。ご飯出来るけぇ、もう目ぇ覚ましとき?」
本当に熟睡してたな・・・やっぱこのソファ、恐ろしい子っ!!!子じゃないけど・・・
「あああぁぁ//////・・・あの、寝顔・・・その、見た?」
「ああ、可愛かったぞー?あ、涎とかは垂らしとらんかったから大丈夫だからな?」
「それでも大丈夫じゃ・・・って、あれ・・・?この匂い・・・」
「おお、そうだった、もうすぐ出来るから、手ぇ洗っとき?」
鯛の煮付けを確認して見ると、ちょうどええがいにできとった。広島弁じゃあ分かりづらいかな?
コンロの火を止めて鯛を皿に乗せていると、トトトッとことりが申し訳なさそうな顔でやってくる。
「ご、ごめんなさい!!自分で誘っておいて、ことりだけ寝ちゃうなんて・・・」
「はは、別に全然良いよ?昨日は完全に任しちゃったし、今日は俺が作ってもいいだろ?」
「で、でも・・・」
「なら、片付け任せてもいいか?昨日と逆パターンってことで」
「えっ!?あ・・・うぅ・・・ごめんなさい・・・」
「もう気にすんなよ?早いとこ手ぇ洗ってきな?」
「あ・・・うんっ!!」
*ー*
「じゃあ、「いただきますっ!」」
2人で向かい合わせに座って、食べ始める。
まずは『ほうれん草・ベーコン・卵のバター炒め』から。・・・うん。我ながら美味い。
次に鯛の煮付けを。・・・うん。これも我ながら大した出来だ。
広島にいた頃はよく父と釣りに行ってたので、塩焼きとか煮付けとか、魚料理は割とよく作ってた。また今度こっちでどこか釣りにでも行ってみるか・・・
ちらっとことりの顔を見ると、ことりもこちらを見ていたようで、目が合ってしまう。
「みーくん、これどっちも美味しいよぉ♪ことりが作るより美味しいかも・・・」
「ありがと。けどそれはないぞ?これお腹減ってたから手抜きで作った奴だし。ことりが作ったほうが断然美味いと思うぞ?」
「ううん。そんなことないよぉ。ね、この鯛の煮付けってまだ余ってる?」
「ああ、雛子さん戻るなら雛子さんに食べてもらおうかなーって」
「じゃあこれお母さんにも食べてもらおうよ!お母さんご飯家で食べるってさっきメールで言ってたから!」
「おお、そうなのか。じゃあ残しとかないとな」
「うん!お母さんきっと喜ぶよー♪こんなに美味しいんだもん!」
「はは。ありがと、ことり」
タダイマー
「お?噂をすれば、ってやつ?」
「お帰りー♪ねぇねぇお母さん!みーくんが作ってくれたお魚、とっても美味しいよ!食べよ食べよ?」
「ふふっ、あらあら♪あ、いらっしゃい七海くん♪」
「お邪魔してます!ご飯すぐ用意しますんで」
「ありがと、って、まあ・・・♪本当に美味しそうねぇ。すぐに着替えて来るわね?」
「分かりました!」
「・・・七海くん、着替え、覗いてk「覗きませんよ。年を考えてください。早く降りてきてくださいね?」ぶぅ、ふふっ、はーい♪」
その後、雛子さんも交えて3人で食べ始めたが、俺が作った煮付けが雛子さん大絶賛だったので、ちょっと照れ臭くなってしまったな。みんな空腹だったようで、たくさんあったご飯もあっという間に無くなってしまった。
「「「ご馳走さまでした!」」」
「七海くん、本当に美味しかったわ♪作ってくれてありがとうね?」
「いえいえ、ただの男の手抜き料理ですよ?」
「そんなに謙遜しなくても良いのに。砂糖とか醤油とかの加減もちょうどいいし、それにこの鯛、臭みが全然無いわね」
「あ、それ多分長ネギですね。上手く匂いがとれてたなら、良かったです。
っていうか褒めすぎですよ。魚料理は慣れてるってだけですから。釣りとかよく行ってましたし・・・」
「それだけみーくんの料理が美味しかったんだよ♪さて、じゃあことりはお片付けしてくるねー♪」
「ありがと、頼むわ」
「どういたしまして!作るの任せちゃったし、お片付けはことりに任せて♪」
「・・・?ねぇ七海くん」
「はい?」
「ちょっと気になってたんだけど、このほうれん草のやつって、七海くんが作ったの?」
「ええ、まあ」
「ことりは?」
「ああ、ちょっと疲れてたっぽいんで、ソファで寝かせておきましたよ?といっても、30分くらいですけど」
「・・・そう・・・ごめんなさいね?全部七海くんに任せてしまって・・・」
「全然良いですよ?作るのは別に嫌いじゃあないですし」
「(2人で一緒に作るんだって言ってたじゃない・・・何やってるのよことり・・・)」
「フンフフンフフーン♪」
「・・・嬉しそうな顔しちゃって、本当に♪」
「雛子さん?」
「ねぇ七海くん、私が帰る前、ことりに何かしてあげた?」
「何か、ですか・・・?いえ、そんな大したことはしてないと思いますけど・・・」
「15年ことりの母親やってると、分かってくるものなのよ。
ことりがあんなに楽しそうなのって、ご飯が美味しかったってだけじゃあないと思うの♪
その前に何かしてあげたんじゃない?」
「そう、ですかね・・・何かしたのかもしれないですけど、まあ今日は色々あったんで、どれのことかは分かんないですね、すみません」
「謝らなくて良いのよ♪ことりのあんな笑顔なかなか見れないから、母親としては嬉しいの。
・・・そういえば、ことりさっき寝ちゃってたのよね?」
「ええ、そうですね」
「あの子、今日どんな下着履いてた?」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・はい?
「実の娘の前でなんつー質問してんですか・・・知りませんよ。見てませんから」
「え?だって、ことり寝てたんでしょう?あの子、親の贔屓目抜きにしてもとっても可愛いし、寝てる女の子のスカートめくったり、男の子ならしてみたくなるものじゃないの?」
「しませんよ。おっさんか、あんたは!!指1本触れてません」
「私の娘がそんなに可愛くないって言うの!?」
「そんなこと言ってないでしょ!?ことりは俺なんかには勿体ないくらいに可愛いですよ!!そうじゃなくて、大事な友達だから、むしろそういうことしたくないんですよ・・・」
「だ、そうよ、ことり?」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・ん?」
ま、まさか・・・
恐る恐る振り返るとそこには・・・
「あ、あはは・・・///」
食器の片付けが終わったのだろう、ことりが顔を真っ赤にして苦笑いしていた。
「ことり、えっと・・・どこから聞いてた?」
「あう、えと・・・どこから、だと思う?」
「いや、やっぱ言わんでいい。聞かないでおく」
「その、ありがとう、ね?か、可愛い、って///」
「あ・・・いや、その・・・うん///」
なんと答えればいいか分からなくて、思わず黙ってしまう。
「(・・・別に、みーくんなら、ちょっとくらい、よかったのに・・・)」
「ひゅ~ひゅ~」
「何歳だほんと!おっさんか!」
「私は女よ!ふざけないで!」
「あんたが一番ふざけんなや!!」
まったく、散々だ・・・・・・
そうこうしている間に、もう21:00を過ぎていた。
「あ、もうこんな時間か・・・そろそろ俺は帰りますね」
「あら、そう?泊まっていってもいいのに♪」
「女の子の家に男を泊めさせようとせんでください、ほんと」
「七海くんなら別に良いわよ?ねっ、ことり?」
「ふぇっ!?あ、えと、その・・・・・・みーくんさえ良ければ、その・・・・・・いいよ?」
勢いで了承すんなや・・・・・・あと顔赤くして上目遣いやめてくれ。可愛いから。
「・・・・・・また、今度な?」
「・・・うん///」
「私達はいつでもまってるから、ね♪」
「はは・・・じゃあ、お邪魔しました。失礼します」
「はーい♪」
「あ、みーくん!・・・・・・また、ね//////」
「ああ!またなー、ことり」
玄関を開けて、2人に一言挨拶をし、家路を辿る。
「本当、雛子さんのあれは冗談なのやら、本気なのやら・・・
まあでも、ことりがあれだけ甘えてくれたのは、嬉しかったなぁ・・・・・・」
『頭、撫でて?』なんてお願いがくるあたり、あいつもまだまだ子供だなぁ。
・・・まあ、これからも、穂乃果と海未含め、ちゃんと見守っててやんないとな・・・
これからの未来を想像しつつ、俺は一人、歩いていた。
未来というのは木の枝のようなものだと、俺は思う。
育っていくなかで無数に枝分かれをして、か細く、遠くまで伸びていく。
途中で風に煽られて、折れていくかもしれない。けど・・・
いつか、枝の先に小鳥が止まって、寄り添いながら歌を奏でる。
そんな未来が来るといいな・・・なんて、がらにもなく考えながら。
prrrr...
「なんだ、電話か?・・・真姫?」
ピッ
「もしもし、どうした、真姫?」
『あ、七海、今大丈夫?』
「ああ、いいぞー」
『もう聞いてよー、さっきお母さんが帰ってきたらさー?・・・・・・』
「ははは、飲みすぎだろ真衣さん・・・・・・」
ああ、そうだった、真姫もいたな・・・
夜の帰り道には、少年と、電話越しの少女の楽しそうな声が聞こえていた。
ひとまず、プロローグはこれで終わりです。
あとから見ると、ことりの話だけやたらと長いですね。
次回以降は、ことり以外との絡みも増えます。まきちゃんまきちゃん・・・
あと、一度ことりsideの番外編を挟んでから、新しい話に入っていこうかと思います。
ではでは。