ラブライブ! ~『正しさ』の本質~   作:k.k.halcyon

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どうも。k.k.halcyonです。

昨日めっちゃ日焼けして、両腕がかゆいです。

日焼けは火傷。冷やすのが良いみたいですね。

今日も今日とてめっちゃ遅いです。

それでは、どうぞ。


First step-03 覆水掴め。盆に返すべからず。

 

 

 

 

 「はぁ・・・はぁ・・・・・・っ・・・・・・はあっ、はあっ、くそっ・・・」

 

 

 

 

 

 

 一刻も早く海未を見つけなければいけないのに、足がなかなか前に進まない。

 

 

 当然だ。かれこれ一時間はランニングを続けていたのだ。その上、神田明神のあの階段を本気で登っていた。そんな状態で、海未を探しに全力ダッシュ。いつ体力が尽きてもおかしくない。

 

 

(こんなときに・・・・・・こういうときのために、今までずっと努力してきたんだろうが!!

 

 

 ・・・まだ行ける・・・まだ走れる・・・・・・ここで、止まるな!!!!)

 

 

どれだけ疲れていようが、今だけは足を止めたくない。息を荒げながら、どうにか前へ進む。

 

 

大事な友達が泣いてたんだ。今動かなくて、どうする。

 

 

(・・・絶対に、見つけてやる・・・)

 

 

 

 

 

 

 しかし、思いとは裏腹に、海未はなかなか見つからない。

 

 

 「はあっ、はあっ・・・・・・くそっ!考えろ!海未はどこだっ!」

 

 

 あいつが行きそうな場所はどこか・・・可能性があるとしたら・・・

 

 

 穂乃果の家、ことりの家、あとは近くの公園、それから・・・・・・まだ多すぎる。

 

 

 

 

考えろ。考えろ!考えろ!!

 

 

 

 

(海未が家を飛び出して、真っ先に考えること・・・『一人になりたい』と思うのか・・・?

 

 

・・・・・・いや、『誰かに見つけてほしい』って思うんじゃ・・・?

 

 

 

 

 

 

・・・くそっ!!!何か絞り込めねぇのかよ!!!!)

 

 

 

 

 

 

『あの子、今日海未ちゃんと朝から遊びに行くって言ってたし・・・今から起こしてこようかしら』

 

 

 

 

 

 

今朝の穂むらでの会話が本当なら、海未が穂むらに向かう可能性は、ゼロではない。けど・・・・・・

 

 

(・・・だめだ!それでも確証はない!・・・近いところからあたって行くしかないか・・・

 

 

・・・そうだ、恐らく出ないとは思うけど・・・)

 

 

念のため、海未に電話をしてみる。可能性は低いが、出てくれたら一番楽だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

prrrr...

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

コール音が続く。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(・・・・・・だめか・・・仕方ない、とにかく探しに行こう!)

 

 

ここから一番近いのは・・・ことりの家・・・いや、穂むらだ・・・なら、まずは穂むらに向かうぞ。

 

 

(確か、あそこの公園を横切って行けば、店に着けるはず・・・)

 

 

去年、海未の家に泊まった翌日に、穂むらに寄って行ったから、大体の道順は覚えてる、と思う。

 

 

その頃の記憶に従って、公園に進む角を曲がると、

 

 

 「あれは・・・」

 

 

幸運にも、ひとつ向こうの角を曲がろうとする、青みがかった綺麗な黒髪の少女を見つけた。

 

 

「見つけたっ・・・」

 

 

公園とは違う道だが、海未が見つかったのなら問題はない。そのまま彼女の後を追いかける。

 

 

「うm、かはっ、こほっ・・・海未!!」

 

 

 咳き込みながらもどうにか彼女の名を呼ぶが、気付いていないのだろうか。足を止める気配はない。

 

 

「くそっ・・・はぁ・・・はぁ・・・くそっ・・・・・・」

 

 

もう、体力も限界が近い。走るスピードも、次第に下がっていく。

 

 

しかも、海未は普段から鍛えているだけあって、かなり足が速い。このままじゃあ・・・

 

 

 (どうする・・・どこかで先回りするか?・・・いや、もうそんな体力はない・・・

 

 

 ・・・そもそも、あいつがどこに向かってるかなんて見当も・・・・・・って、あれ?)

 

 

 さっきまで足を止めていなかった海未が急に速度を緩め、誰かの家の中へと入っていく。というか・・・

 

 

(あそこって・・・・・・俺の、家?・・・・・・)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*ー*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺が家の前まで来ると、海未はスカートが汚れるのも気にせず、家のドアの前で座り込んでいた。

 

 

海未の表情は見えない。膝を抱えて座り込み、顔を埋めている。

 

 

「はぁ・・・はぁ・・・・・・海未・・・」

 

 

 俺が近づいても、海未は反応を示さない。

 

 

 (・・・なんで、海未は俺の家に・・・・・・)

 

 

 横から顔を覗こうとすると、彼女は俺とは反対側に体を向けてしまった。

 

 

 

 

 

 

 「・・・どうして、こんなに早く来ちゃうんですか・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 こちらに背を向けたまま、僅かに聞き取れるほどの声で、海未は呟く。

 

 

 

 

 

 

 「・・・どこかに逃げようとしたら、七海さんの家が浮かんで・・・

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・七海さんが来るまでに、いつも通りの私に戻ろうって、考えてたのに・・・

 

 

 

 

 

 

 ・・・・まだ、見せられませんよ・・・・・・こんな顔・・・

 

 

 

 

 

 

 ・・・ははっ・・・・・・惨めですね、私・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・微かに、肩が震えている。すすり泣くような声も聞こえる。

 

 

 海未をここまで追い詰めた直接の原因を作ったのは、恐らく将臣さんと朋未さんだろう。

 

 

 そして、こうなるきっかけを作った人間には・・・・・・俺も含まれている。

 

 

昨日の海未に何も言わなかった自分を、今すぐにでも殴ってやりたい。

 

 

 

 

 

 

(もう隠さない。俺も海未も、こんな惨めな隠し合いは、これっきりで終わりにする)

 

 

 

 

 

 

 海未が横を向いたことで空いた背中に、そっと寄りかかって、俺も玄関に腰かける。

 

 

 今は、背中合わせのほうが、お互いに話しやすいと思ったから。

 

 

「もういい。自分をそんなに傷つけるな」

 

 

「穂乃果みたいに自由に生きられなくて、ことりみたいな女性らしさもなくて・・・七海さんみたいに、強くもなくて・・・・・・」

 

 

「もういいから・・・」

 

 

 

 

 

 

「それでも必死で頑張っていたのに・・・・・・あんなこと言われるなんて、思ってもいませんでした・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・昨日、お婆様がやって来て、お見合いの話をいただいたんです」

 

 

「・・・お見合い?」

 

 

 由緒正しい園田の家なんだ。お見合いだって普通にあるのかもしれない・・・けど・・・

 

 

 

 

 

 

 「いくら何でも、早すぎないか?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・私が今年で16歳になるから、園田の家にふさわしい婿を連れてくると、そう言われました。

 

 

 

 

 

 

・・・高校を止めさせ、来年には結婚させるつもりのようです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「なっ!!?」

 

 

流石に驚いたな・・・婿って・・・結婚って・・・

 

 

 それに、高校をやめる、なんて・・・

 

 

「いつの時代の話だ、って思いますよね。私だって、こんなの絶対に嫌です・・・それなのに・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「その夜、お婆様が、お母様に話していたのを、こっそりと聞いていたんです。そうしたら・・・ぐすっ・・・・・・お婆様が・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

昨日のことを思い出しているのだろうか、泣くのを必死でこらえながら話す海未から聞いた話は、こうだった。

 

 

 

 

 

 

朋未さんの母、つまり海未の祖母である園田信子(そのだ のぶこ)さんは、海未を名家の男と結婚させることで、園田の家の繁栄を図ろうとしている。

 

 

園田の家の娘として産まれた朋未さんは、一般の男性である将臣さんと婚約を交わしたが、信子さんはそれを『失敗』と話していたそうだ。

 

 

女に学問の才など不要。名家のご子息を捕まえ、立派な男の子を産み、育てることが、女としての最高の誇り。そういう考えの人らしい。

 

 

だから、自分の娘が平凡な男性と結婚し、しかも女である海未しか産まなかったせいで、園田家は大きな危機を迎えている。

 

 

せめて孫である海未には、家柄のある男性と婚約を交わし、立派な男の子を産んでもらわなければいけない。

 

 

そう考え、櫻庭家という、かねてから親交のあった家と、独断でお見合いの約束を交わしたのだという。しかも今日から6日後、今週の日曜日に。

 

 

 

 

 

 

 海未の気持ちなんてまるで汲んじゃいない。ただの横暴だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「それに・・・・・・ひっぐ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『あの子の容姿なら、大抵の男は釣れます。櫻庭の方々も大層気に入ることでしょう』って・・・・・・ぐずっ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・なんだよ、それ・・・」

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・家を守るために、そのためだけに、自分の孫を生け贄にするってことかよ・・・・

 

 

 

 

 

 

 「朋未さんはそれを聞いて、なんて答えたんだよ・・・」

 

 

「・・・・・・分かりません。そこまで聞いて、耐えられなくなって、自分の部屋に戻りましたから。

 

 

・・・だって・・・・・・お婆様にとっての私の価値って、なんなんですか・・・・・・」

 

 

「・・・・・・」

 

 

「・・・その話を、今朝お母様から聞いたんです。お父様もすでに知っているようでした。

 

 

当然断るつもりでしたよ。絶対に嫌ですもの。

 

 

 

 

 

 

・・・でも・・・お父様が・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

『あの櫻庭のご子息と結ばれるんだ。素晴らしいじゃないか』って・・・」

 

 

 

 

「・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・・・・そっか、将臣さんがそんなことを、ねぇ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「・・・それを聞いたとき、私、分かっちゃいました。

 

 

お父様も・・・お母様も・・・お婆様も・・・・・・

 

 

この家の人は皆、私がそうなることを望んでいるって。

 

 

私の気持ちなんて、あの人たちにとっては、大した問題じゃあないんです。

 

 

 それよりも、家を守ることの方が、よっぽど大切なんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

けど・・・・・・きっと、うちにとっては、それが普通なんでしょうね。

 

 

 いいんです。娘が我儘なんか言って、皆を困らせてはいけないんです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

・・・もう、仕方ないんです」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

俺が振り返った先で、海未はゆっくりと顔を上げる。

 

 

彼女の顔には、もうさっきまで流していた涙は残っていなかった。

 

 

 

 

 

 

残ったのは、何もかも諦めたような、乾いた笑顔だけだった。

 

 

 

 

 

 

「もう、高校には行けませんね。せっかく七海さんとも会えて、学校にだって、一緒に登校できるかも、って、ちょっと期待していたんですよ?

 

 

 

 

 

 

 でも、お見合いが終わったらきっと、良き妻になるためのいろはを、お婆様から仕込まれるんでしょうね。・・・花嫁修行って、もっと楽しいものだと思ってました。

 

 

 

 

 

 

 穂乃果とことりにも、きっとなかなか会えなくなるでしょうね。・・・ちょっと、寂しい、です。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・・・・ねぇ、七海さん?」

 

 

 不意に、海未が立ち上がった。

 

 

 「・・・なんだ?」

 

 

 「最後に、1つだけ、お願いします。

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・私のこと、どうか忘れてください。

 

 

 

 

 

 

 もう、これから先、思い出さないでください。

 

 

 

 

 

 

 それが、私のお願いです。

 

 

 

 

 

 

 ・・・・・・こんな惨めな姿なんて、覚えていてほしく・・・ありませんから・・・」

 

 

 

 

 

 

 海未はさっきの乾いた笑顔のまま、そう呟いた。

 

 

 海未の話は聞いた。海未が何を考えているのかは、分かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 けどさ・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 (海未、気付いてるか?お前はもう、自分の’’やりたいこと’’を、とっくに見つけてんだぞ?)

 

 

 

 

 

 

 『お婆様にとっての私の価値って、なんなんですか・・・・・・』

 

 

 

 

 

 

 『お父様も・・・お母様も・・・お婆様も・・・・・・

 

 

 私の気持ちなんて、あの人たちにとっては、大した問題じゃあないんです』

 

 

 

 

 

 

 『もう、高校には行けませんね。せっかく七海さんとも会えて、学校にだって、一緒に登校できるかも、って、ちょっと期待していたんですよ?

 

 

 でも、お見合いが終わったらきっと、良き妻になるためのいろはを、お婆様から仕込まれるんでしょうね。・・・花嫁修行って、もっと楽しいものだと思ってました。

 

 

 穂乃果とことりにも、きっとなかなか会えなくなるでしょうね。・・・ちょっと、寂しい、です』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 言葉から滲み出たものは、2つの願いだった。

 

 

 ’’園田家の跡継ぎ’’としてではなく、ただありのままの自分を見てほしい。

 

 

 穂乃果やことりと・・・多分俺のことも・・・これからもずっと一緒にいたい。

 

 

 

 

 

 

 それがきっと、海未の願い。

 

 

 

 

 

 

 たった2つだ。それも、願って当たり前のこと。

 

 

 

 

 

 

 そんな当たり前のことに、誰も向き合っていなかった。

 

 

 

 

 

 

 『いいんです。娘が我儘なんか言って、皆を困らせてはいけないんです。』

 

 

 

 

 

 

 自らの願いに背を向けられた海未は、『これは願ってはいけないことなんだ』と思ってしまった。

 

 

 

 

 

 

 それがきっと、海未の間違い。

 

 

 

 

 

 

 多分これが、何より海未を追い詰めた。

 

 

 

 

 

 

 消えるはずのない気持ちを消し去ろうとして、心の奥底に封じ込め、頑丈な扉を建てて、強く、強く塞いでいた。

 

 

 

 

 

 

 時が経ち、いつしか彼女は、扉の在処も、扉の開けかたも、忘れてしまった。

 

 

 

 

 

 

 それなら、俺は・・・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「・・・なあ、海未の言いたいことは、それだけか?」

 

 

 

 

 

 

 「・・・・・・ぇ?」

 

 

 

 

 

 

 「・・・なら、こっちの番だ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 今から、それを変えてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回はここまでで。

なんだか書いててつらくなってきた・・・

海未ちゃんのデレを早く書きたいよぉ・・・・・・真姫ちゃんたすけて・・・

ではでは。
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