ラブライブ! ~『正しさ』の本質~ 作:k.k.halcyon
更新が途絶えてしまって、申し訳ないです。家のほうでトラブルがあり、しばらく忙しかったので……
少し余裕ができたので、また今回からちょびちょび投稿していきます。といっても、いつも通りめちゃスロー進行ですが……
久しぶりなんで、とりあえず今回は1話だけ投稿です。
それでは、どうぞ。
ーーー某施設にて。
「隆也くん?ええ、今は大学も春休みだし、結構来てくれるわよ?」
「そう、ですか……」
「今日も夕方には来てくれるって……ねぇ、何か……あったの?」
「……そのことで「おじちゃーん!」……ああ、大介!元気だったか?」
「うん!今ね、さっきまでね、はる休みのしゅくだいやってたんだ!このあときがえて剣道行く!」
「そうか、えらいぞ!いっぱい勉強して、いっぱい体を動かして、強くなれよ!」
「うんっ!じゃあ、行ってきまーす!」
「おう!……」
「……大介くん、今度剣道の大会があるのよ。もし良かったら、応援に行ってあげて?」
「……ええ、分かりました。それと……」
「?」
「……今日、夕方まで、ここで子供達といても、よろしいですか?」
ーーー
「……ちょい寒いな、もう少し厚着して来たほうがえかったかな……」
やや曇りがかった空。雨こそ降っていないものの、太陽が顔を出していない今日は、普段の同じ時間帯よりも肌寒く感じる。
櫻庭さんがいなくなった後、秋穂さんに連れられ、俺と海未は風見鶏へと歩いていた。
「秋穂さん、今日はお仕事は大丈夫だったんですか?」
「ええ、午前中はお客さんもあまり来ないし、お父さんと雪穂に店番任せてるから大丈夫よ」
「穂乃果はどうし……ああ、いつものですか」
「海未、どういうこと?」
「穂乃果のことです。春休みの宿題が終わっていないから、多分部屋に閉じ込められて、勉強させられているのではないですか?」
「海未ちゃん、正解。私が午前中お店を抜ける、って言ったら、『じゃあ穂乃果がお店番やるよっ!』って言い出してね……普段は絶対嫌がるのに」
よっぽど宿題やりたくなかったんだろうなぁ……”勉強しなきゃ”って時に、部屋の掃除とか、穂乃果の場合は店番とか、普段やらないことをやりたくなる気持ちは分からんくもない。
俺は苦笑い、秋穂さんと海未は呆れ顔をしながらそんな話をしていると、どこかからブーッ、ブーッという振動音が聞こえた。けれど2人とも、それに気づいた様子はない。
まあ、外だとなかなか気がつきにくいもんな、携帯の振動って。
「誰か、携帯鳴ってない?」
「携帯……あ、私の携帯ですね。ちょっと失礼しま……」
可愛らしいポーチから携帯を取り出し、誰からの電話かを確認すると……
「噂をすれば、ですね……穂乃果……」
うみちゃんは りょうめを ほそめた!
呆れ顔レベル、僅かな上昇を確認。はぁ……とため息をつきながら、画面に指をスライドさせて、噂の人物の電話に出る。
「もしもし、穂乃果?宿題は捗っていますか?」
うみちゃんの こうげき!
ほのかは うろたえている!
電話越しでも分かる穂乃果の大きな声。何を言ってるかまでは聞き取れんが、多分『なんで分かるの!?海未ちゃん、エスパー!?』とでも言ってるんだろう。
「はぁ……前にも言ったとおり、私もことりも、今年からは手伝いませんからね?……自業自得です!今までやってこなかった分のつけが、今穂乃果に廻って来ているのです!」
うみちゃんの せっきょう!
きゅうしょに あたった!
こうかは いまひとつのようだ!
尚も言いすがる穂乃果を無視して、海未は電話を切った。ため息こそ吐いてはいないが、眉をハの字にして困り顔。もともと少したれ目なのもあって、ちょっと可愛い。
「行きましょうか、七海さん」
「はは……そだな」
「穂乃果も全く……あ、そこを右に曲がったら、もうすぐよ」
前を歩き出した海未に追い付こうと、俺と秋穂さんは少し小走りで進んでいく。曲がり角を通る直前、ふと海未が、携帯を先程のポーチに入れようとしていたとき、角を曲がった向こう側から、元気に走ってこっちへやって来る子供が1人。
「うわっ!」
「きゃっ」
携帯を鞄に入れようとしたせいで、その子に気付くのが少し遅れてしまったんだろう。普段の海未なら、子供がぶつかりそうになってもかわせていたはずだ。
咄嗟に海未を掴もうと腕を伸ばすも、時既に遅し。どんっ!という音をたてて、2人はぶつかってしまった。
「海未っ!」
……倒れるっ!
今度は、考えるより先に、腕と足が動いた。バランスを崩して倒れそうになった海未を掴み、そっと抱き寄せる。
「ひゃっ……」
「……ふぅ、間一髪じゃったな……」
どうにか、間に合った。伸ばした腕の中に彼女がちゃんと収まっているのを確認して、ほっと一息つく。
「……海未、大丈夫か?」
「ぁ……」
「海未?」
なんだろ、急に顔を赤くして……
「ぁ……い、いえ、その……」
「ん?」
「き……昨日の、ことを……思い出して……その……」
「昨日……あ」
ああ……そういうことか。
今の体勢。転びそうになった海未の脇から、背中に腕を回して、こちら側へ引き寄せた。
今の俺たちを客観視してみよう。
手は海未の背中に。お互いの膝がぶつかっている。目と鼻の先に、海未の顔。もし別の男女がこうなってたら、場を弁えないカップルだと思い込むだろう。人はこれを、密着と呼ぶ。
……なんか、すげぇデジャヴ感じる。
「わ、悪い……すぐ退くわ」
昨日みたく、海未が泣いているわけじゃない。この体勢を続ける意味もないので、すぐに海未から離れた。
「ぁ……」
「どうした?」
「……なんでも、ありません」
顔を少し赤らめて、そっぽを向く海未。
……あー、これってひょっとして、ちょっと怒ってる?けど、なんでだろ……ちょっと乱暴に掴みすぎたかな……
「っ……」
……いや、怒ってるわけではないのか?顔は赤いけど、眉間に皺が寄っていたりはしない。桜色をした、海未の小さな唇が僅かに尖っていて……もしかして……
これは……拗ねてる?
「君、大丈夫?」
俺と海未は、秋穂さんの言葉で我に返った。海未とぶつかった子供のほうへ駆け寄る。
「あたた……だ、大丈夫……」
6、7才くらいだろうか。竹刀袋と防具袋を持って、胴着と袴を身に付けたその子供。俺も海未もすぐに気づいた。これは剣道の格好だ。
尻餅をついて少し痛そうにしてはいるが、怪我をした様子はないようで、ひとまず安心する。
「ごめんなさい、ぶつかってしまって……大丈夫でしたか?」
「うん、大丈夫……ぼくも、ごめんなさい。おねーさんに、ぶつかっちゃって」
「ええ、私は大丈夫です。この人が……受け止めてくれましたから……」
……なんだよ、さっきまで拗ねた顔してたのに。そんなはにかんだ顔でこっち見るなよ……
「見たところ、怪我もしてないし、良かったな、2人とも」
「うん!」
「はい!」
この子さっき走ってたし、曲がり角の先に人がるとは思わなかったんだろうな。汗もそんなにかいてないし、多分これから稽古なんだろう。
「剣道、やってんだな。俺も剣道やってたんだよ」
「そうなんだ!ぼくね、こんどね、大会があるの!いま一生けん命れんしゅうしてるんだ!」
「そうなんですね。なら私も、負けていられませんね。お互い頑張りましょう!」
「うんっ!じゃあ、ぼく行くね!こんどは、角をまがるときはきをつける!」
「ええ、私も気を付けます」
元気に立ち上がった子供は、ぱっぱっと袴についた砂を払って、どこかの剣道場だろう、に向かって、歩いていった。
「それじゃあ、私達も、ね」
「「はいっ!」」
今度、海未の道場に顔出してみるかな……
*ー*
……ちなみに、その後。
ブーッ、ブーッ
「あ、俺の携帯だ……誰だろ?」
今度は俺の携帯の、無料通話アプリが反応。携帯を開いて確認すると、
「……穂乃果……」
ななみは りょうめを ほそめた!
前にいた秋穂さん、隣にいた海未はその名前に反応し、両横から俺の携帯を覗き込んできた。
「穂乃果……」
海未さんや、その台詞はさっき俺が言ったぞ。
海未に構ってもらえなかったから、今度は俺に、ってことか。
でも、これ……
『(T^T)』
……俺、なんて返せばいいの?
まあ、とりあえず……
『泣いても宿題の量は変わらん』
これでいいか。
ブーッ、ブーッ
『たすけて』
『だめ』
『(ToT;)』
『泣いてもだめ』
『m(__)m』
『土下座してもだめ』
『(´・ω・`)』
『なんだその表情』
『(´・д・`)タスケテ』
……はぁ、俺も甘いな。
『……半分だけなら手伝ってやる。チャートとか教科書とか使って、分かるところだけでもいいから、どうにか半分埋めろ』
「ちょっ、七海さん!」
「いきなり全部やらせるのは、あいつにはまだしんどいだろ……とりあえず、自分である程度は頑張らせる。まずはそっからだ」
「……まぁ、七海さんがそう言うのなら……」
ブーッ、ブーッ
『大好きっ!!』
「やっぱりだめです!」
やっぱり、女の子はよく分からん。
一旦ここまでで。
来週か再来週あたりに、また続けて投稿していこうかと思います。多分。
いつもこの作品を読んで下さり、ありがとうございます。
時間はかかりますが、確実にこの章の終わりに向かって進んでいるので、どうか気長に待っててください。
ではでは。