ラブライブ! ~『正しさ』の本質~   作:k.k.halcyon

31 / 33
お久しぶりです、k.k.halcyonです。

更新が途絶えてしまって、申し訳ないです。家のほうでトラブルがあり、しばらく忙しかったので……

少し余裕ができたので、また今回からちょびちょび投稿していきます。といっても、いつも通りめちゃスロー進行ですが……

久しぶりなんで、とりあえず今回は1話だけ投稿です。

それでは、どうぞ。


left-03 未だ、か細き糸の端

 

 

 

 

 ーーー某施設にて。

 

 

 「隆也くん?ええ、今は大学も春休みだし、結構来てくれるわよ?」

 

 

 「そう、ですか……」

 

 

 「今日も夕方には来てくれるって……ねぇ、何か……あったの?」

 

 

 「……そのことで「おじちゃーん!」……ああ、大介!元気だったか?」

 

 

 「うん!今ね、さっきまでね、はる休みのしゅくだいやってたんだ!このあときがえて剣道行く!」

 

 

 「そうか、えらいぞ!いっぱい勉強して、いっぱい体を動かして、強くなれよ!」

 

 

 「うんっ!じゃあ、行ってきまーす!」

 

 

 「おう!……」

 

 

 「……大介くん、今度剣道の大会があるのよ。もし良かったら、応援に行ってあげて?」

 

 

 「……ええ、分かりました。それと……」

 

 

 「?」

 

 

 

 

 

 

 「……今日、夕方まで、ここで子供達といても、よろしいですか?」

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ちょい寒いな、もう少し厚着して来たほうがえかったかな……」

 

 

 やや曇りがかった空。雨こそ降っていないものの、太陽が顔を出していない今日は、普段の同じ時間帯よりも肌寒く感じる。

 

 

 櫻庭さんがいなくなった後、秋穂さんに連れられ、俺と海未は風見鶏へと歩いていた。

 

 

 「秋穂さん、今日はお仕事は大丈夫だったんですか?」

 

 

 「ええ、午前中はお客さんもあまり来ないし、お父さんと雪穂に店番任せてるから大丈夫よ」

 

 

 「穂乃果はどうし……ああ、いつものですか」

 

 

 「海未、どういうこと?」

 

 

 「穂乃果のことです。春休みの宿題が終わっていないから、多分部屋に閉じ込められて、勉強させられているのではないですか?」

 

 

 「海未ちゃん、正解。私が午前中お店を抜ける、って言ったら、『じゃあ穂乃果がお店番やるよっ!』って言い出してね……普段は絶対嫌がるのに」

 

 

 よっぽど宿題やりたくなかったんだろうなぁ……”勉強しなきゃ”って時に、部屋の掃除とか、穂乃果の場合は店番とか、普段やらないことをやりたくなる気持ちは分からんくもない。

 

 

 俺は苦笑い、秋穂さんと海未は呆れ顔をしながらそんな話をしていると、どこかからブーッ、ブーッという振動音が聞こえた。けれど2人とも、それに気づいた様子はない。

 

 

 まあ、外だとなかなか気がつきにくいもんな、携帯の振動って。

 

 

 「誰か、携帯鳴ってない?」

 

 

 「携帯……あ、私の携帯ですね。ちょっと失礼しま……」

 

 

 可愛らしいポーチから携帯を取り出し、誰からの電話かを確認すると……

 

 

 

 

 

 

 「噂をすれば、ですね……穂乃果……」

 

 

 

 

 

 うみちゃんは りょうめを ほそめた!

 

 

 

 

 

 

 呆れ顔レベル、僅かな上昇を確認。はぁ……とため息をつきながら、画面に指をスライドさせて、噂の人物の電話に出る。

 

 

 「もしもし、穂乃果?宿題は捗っていますか?」

 

 

 

 

 うみちゃんの こうげき!

 ほのかは うろたえている!

 

 

 

 

 電話越しでも分かる穂乃果の大きな声。何を言ってるかまでは聞き取れんが、多分『なんで分かるの!?海未ちゃん、エスパー!?』とでも言ってるんだろう。

 

 

 「はぁ……前にも言ったとおり、私もことりも、今年からは手伝いませんからね?……自業自得です!今までやってこなかった分のつけが、今穂乃果に廻って来ているのです!」

 

 

 

 

 うみちゃんの せっきょう!

 きゅうしょに あたった!

 こうかは いまひとつのようだ!

 

 

 

 

 尚も言いすがる穂乃果を無視して、海未は電話を切った。ため息こそ吐いてはいないが、眉をハの字にして困り顔。もともと少したれ目なのもあって、ちょっと可愛い。

 

 

 「行きましょうか、七海さん」

 

 

 「はは……そだな」

 

 

 「穂乃果も全く……あ、そこを右に曲がったら、もうすぐよ」

 

 

 前を歩き出した海未に追い付こうと、俺と秋穂さんは少し小走りで進んでいく。曲がり角を通る直前、ふと海未が、携帯を先程のポーチに入れようとしていたとき、角を曲がった向こう側から、元気に走ってこっちへやって来る子供が1人。

 

 

 「うわっ!」

 「きゃっ」

 

 

 携帯を鞄に入れようとしたせいで、その子に気付くのが少し遅れてしまったんだろう。普段の海未なら、子供がぶつかりそうになってもかわせていたはずだ。

 

 

 咄嗟に海未を掴もうと腕を伸ばすも、時既に遅し。どんっ!という音をたてて、2人はぶつかってしまった。

 

 

 「海未っ!」

 

 

 ……倒れるっ!

 

 

 今度は、考えるより先に、腕と足が動いた。バランスを崩して倒れそうになった海未を掴み、そっと抱き寄せる。

 

 

 「ひゃっ……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「……ふぅ、間一髪じゃったな……」

 

 

 

 

 

 

 どうにか、間に合った。伸ばした腕の中に彼女がちゃんと収まっているのを確認して、ほっと一息つく。

 

 

 

 

 

 

 「……海未、大丈夫か?」

 

 

 「ぁ……」

 

 

 

 

 

 

 「海未?」

 

 

 なんだろ、急に顔を赤くして……

 

 

 「ぁ……い、いえ、その……」

 

 

 「ん?」

 

 

 「き……昨日の、ことを……思い出して……その……」

 

 

 「昨日……あ」

 

 

 ああ……そういうことか。

 

 

 今の体勢。転びそうになった海未の脇から、背中に腕を回して、こちら側へ引き寄せた。

 

 

 今の俺たちを客観視してみよう。

 

 

 手は海未の背中に。お互いの膝がぶつかっている。目と鼻の先に、海未の顔。もし別の男女がこうなってたら、場を弁えないカップルだと思い込むだろう。人はこれを、密着と呼ぶ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……なんか、すげぇデジャヴ感じる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「わ、悪い……すぐ退くわ」

 

 

 昨日みたく、海未が泣いているわけじゃない。この体勢を続ける意味もないので、すぐに海未から離れた。

 

 

 「ぁ……」

 

 

 「どうした?」

 

 

 「……なんでも、ありません」

 

 

 顔を少し赤らめて、そっぽを向く海未。

 

 

 

 

 

 

 ……あー、これってひょっとして、ちょっと怒ってる?けど、なんでだろ……ちょっと乱暴に掴みすぎたかな……

 

 

 

 

 

 

 「っ……」

 

 

 ……いや、怒ってるわけではないのか?顔は赤いけど、眉間に皺が寄っていたりはしない。桜色をした、海未の小さな唇が僅かに尖っていて……もしかして……

 

 

 

 

 

 

 これは……拗ねてる?

 

 

 

 

 

 

 「君、大丈夫?」

 

 

 俺と海未は、秋穂さんの言葉で我に返った。海未とぶつかった子供のほうへ駆け寄る。

 

 

 「あたた……だ、大丈夫……」

 

 

 6、7才くらいだろうか。竹刀袋と防具袋を持って、胴着と袴を身に付けたその子供。俺も海未もすぐに気づいた。これは剣道の格好だ。

 

 

 尻餅をついて少し痛そうにしてはいるが、怪我をした様子はないようで、ひとまず安心する。

 

 

 「ごめんなさい、ぶつかってしまって……大丈夫でしたか?」

 

 

 「うん、大丈夫……ぼくも、ごめんなさい。おねーさんに、ぶつかっちゃって」

 

 

 「ええ、私は大丈夫です。この人が……受け止めてくれましたから……」

 

 

 

 

 

 

 ……なんだよ、さっきまで拗ねた顔してたのに。そんなはにかんだ顔でこっち見るなよ……

 

 

 「見たところ、怪我もしてないし、良かったな、2人とも」

 

 

 

 「うん!」

 「はい!」

 

 

 

 この子さっき走ってたし、曲がり角の先に人がるとは思わなかったんだろうな。汗もそんなにかいてないし、多分これから稽古なんだろう。

 

 

 「剣道、やってんだな。俺も剣道やってたんだよ」

 

 

 「そうなんだ!ぼくね、こんどね、大会があるの!いま一生けん命れんしゅうしてるんだ!」

 

 

 「そうなんですね。なら私も、負けていられませんね。お互い頑張りましょう!」

 

 

 「うんっ!じゃあ、ぼく行くね!こんどは、角をまがるときはきをつける!」

 

 

 「ええ、私も気を付けます」

 

 

 元気に立ち上がった子供は、ぱっぱっと袴についた砂を払って、どこかの剣道場だろう、に向かって、歩いていった。

 

 

 「それじゃあ、私達も、ね」

 

 

 「「はいっ!」」

 

 

 今度、海未の道場に顔出してみるかな……

 

 

 

 

 

 

*ー*

 

 

 

 

 

 ……ちなみに、その後。

 

 

 

 

 

 

ブーッ、ブーッ

 

 

 

 

 

 「あ、俺の携帯だ……誰だろ?」

 

 

 今度は俺の携帯の、無料通話アプリが反応。携帯を開いて確認すると、

 

 

 

 

 

 「……穂乃果……」

 

 

 

 

 

 

 ななみは りょうめを ほそめた!

 

 

 

 

 

 

 前にいた秋穂さん、隣にいた海未はその名前に反応し、両横から俺の携帯を覗き込んできた。

 

 

 「穂乃果……」

 

 

 海未さんや、その台詞はさっき俺が言ったぞ。

 

 

 海未に構ってもらえなかったから、今度は俺に、ってことか。

 

 

 

 

 

 

 

 でも、これ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 『(T^T)』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……俺、なんて返せばいいの?

 

 

 

 

 

 

 まあ、とりあえず……

 

 

 

 

 

 

 『泣いても宿題の量は変わらん』

 

 

 これでいいか。

 

 

 

 

 

 

ブーッ、ブーッ

 

 

 

 

 

 

 『たすけて』

 

 

 『だめ』

 

 

 『(ToT;)』

 

 

 『泣いてもだめ』

 

 

 『m(__)m』

 

 

 『土下座してもだめ』

 

 

 『(´・ω・`)』

 

 

 『なんだその表情』

 

 

 『(´・д・`)タスケテ』

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……はぁ、俺も甘いな。

 

 

 

 

 

 

 『……半分だけなら手伝ってやる。チャートとか教科書とか使って、分かるところだけでもいいから、どうにか半分埋めろ』

 

 

 「ちょっ、七海さん!」

 

 

 「いきなり全部やらせるのは、あいつにはまだしんどいだろ……とりあえず、自分である程度は頑張らせる。まずはそっからだ」

 

 

 「……まぁ、七海さんがそう言うのなら……」

 

 

 

 

 

 

ブーッ、ブーッ

 

 

 『大好きっ!!』

 

 

 「やっぱりだめです!」

 

 

 やっぱり、女の子はよく分からん。

 

 

 

 

 

 

 

 




一旦ここまでで。

来週か再来週あたりに、また続けて投稿していこうかと思います。多分。

いつもこの作品を読んで下さり、ありがとうございます。

時間はかかりますが、確実にこの章の終わりに向かって進んでいるので、どうか気長に待っててください。

ではでは。




  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。