ラブライブ! ~『正しさ』の本質~   作:k.k.halcyon

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またまたどうも、k.k.halcyonです。

久しぶりに4000字を越えました。といっても、内容は相変わらずゆっくりですが……

カカオ90%のチョコ食べちゃったから、眠れねぇ眠れねぇ……

とりあえず、横になっときます。

それでは、どうぞ。




left-05 憚り声

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 ……某病院内にて

 

 

 「……どうだった?」

 「ああ、隆也か。今告知が終わったところだ」

 「様子は?」

 「予想通りだ。早速5日後、今週の土曜に手術予定だよ。少しでも早くとすがりつかれて、どうにも困ったものだ。

 ……成功率は決して高くはないと説明はしたが、あの様子だとまともに聞いてはいないだろうな」

 「……なんだか、滑稽だね」

 「滑稽?」

 「ああ……

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……他人の命には冷酷なのに、自分が死ぬのは嫌だ、なんてさ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ーーー

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 コーヒーは後で修さんが持ってきてくれるということだったので、俺達は自分の鞄だけ持ったまま、奥の階段を上がって、2階の雛子さんがいた部屋へと上がっていった。

 ちなみに、秋穂さんの話によると、2階は店ではなく、修さんが住む家なのだそうだ。だが真衣さんたちが来たときは、1階の店のスペースではなく、2階の部屋に行くようにさせているらしい。

 

 

 「あの人、お客さんの前で『先輩』とか『お兄ちゃん』って呼ばれるの、嫌がるのよ。客にそれでからかわれるから、ってね。

 

 でも真衣なんて、そういうの全く気にしないで店内でもお兄ちゃん、お兄ちゃん、って呼ぶから、結局先輩が折れちゃってね。

 

 『もう2階の俺の部屋貸し切りにしていいから、ここ来るときはそっちにいてくださいお願いします』って私と雛子頼み込まれちゃって。それ以来、ここに来るときはずっと2階のあの部屋に行ってるのよ」

 

 

 

 「な、なるほど……」

 

 

 

 な、なんか……すごい苦労してんだな、修さん。

 

 

 

 「でも先輩、だからって真衣のことを怒ったりはしないのよ。なんだかんだ大切な妹だし、ぶっきらぼうなことしか言わないけど、それでも真衣のこと、大好きなんでしょうね。

 実際、『お兄ちゃん』って呼ばれてるときの先輩の顔、どこか嬉しそうだもの。真衣もそれが分かってるから、先輩が表面上は嫌がってる素振りを見せても、ずっと『お兄ちゃん』って呼び続けてるんでしょうし」

 

 

 

 あ、これ内緒ね♪と人差し指を口に当てて、内緒のポーズをとる秋穂さん。それを見て、俺達は顔を見合わせ、互いに苦笑いを交わした。

 

 

 「海未ちゃんも、先輩のこと、できれば嫌わないであげてね?先輩のあの顔、確かに怖いけど、根はとっても優しい人だから」

 

 

 「あ……いえ、私は別に、気にしていないので……」

 

 

 

 

 

 

 あー……こりゃ嘘だな。結構堪えてたみたいだ。無理に笑おうとしていたのが分かる。

 でも結局うまく笑えず。それは秋穂さんも分かってたみたいで、「ごめんね」と小さく謝っていた。

 

 

「あの部屋よ、二人とも。ドアの前に靴を入れるところがあるから、そこで靴を脱いでちょうだい?」

 

 

 「はい」

 「分かりました」

 

 

 前を歩く秋穂さんが、俺と海未に向かって奥の部屋を指す。

 なるほど、部屋の向こうから、聞き慣れた声が複数、耳に届いた。

 けど、靴を脱いで入る、って……

 

 

 「あの……靴、ですか?」

 

 

 海未も同じことを考えていたようで、秋穂さんに不思議そうに尋ねていた。

 

 

 「ええ、中は店じゃなくてただの部屋だからね。あ、ここよ。ここに靴を入れて?」

 

 

 「は、はい」

 

 

 「い、いいんかな、勝手に使って……」

 

 

 「さぁ……」

 

 

 少しだけ戸惑いながらも靴を入れた後、ドアを開け、秋穂さんを先頭に中へと入っていく。

 

 

 その部屋には、先程の声の主。見知った顔が3人分。

 

 

 「あ、来た来た。秋穂ー!七海くーん!」

 

 

大きな声で俺たちの名前を呼ぶ、西木野総合病院の看護師、西木野真衣さんと、

 

 

 「真衣、少し静かにしなさいよ……」

 

 

 それをたしなめる、音ノ木坂学院の理事長、南雛子さん。そして……

 

 

 「……おはよ、海未♪」

 

 

 「お母様……おはようございます」

 

 

 海未の母、園田朋未さんの姿もあった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*ー*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「ごめん、私達最後だったのね……」

 

 

 「良いって!秋穂が来るまでおしゃべり楽しかったし!」

 

 

 「真衣、その言い方だと、まるで私が来たせいで楽しくなくなった、っていう風に聞こえるんだけど?」

 

 

 「なっ、ち、違うってば!?別にそんなつもりじゃ……っていうか、からかわないでよ秋穂!」

 

 

 「くすっ、ごめんごめん♪」

 

 

 「もぉー秋穂ー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……へぇ。

 

 

 

 

 

 

 秋穂さんと真衣さんの会話。年齢を考えると失礼な話だが、2人の……いや、この4人の間の雰囲気には、どこか幼げな何かを感じる。

 悪い意味じゃない。なんというか……何年経っても変わらない暖かさ、とでもいえばいいんだろうか。そんなものが、この人達の空間にはある気がした。

 

 

 「朋未。隣、いい?」

 

 

 「ええ、ほら、海未も七海くんも座って?」

 

 

 「あ、はい!」

 

 

 秋穂さんは朋未さんの隣に。俺と海未もすぐに腰を下ろした。机を挟んで、左から秋穂さん、朋未さん真衣さん、それぞれの向かいに、雛子さん、俺、海未の順で座る。

 

 

 

 

 

 

 「しっかし……この部屋って、お店……じゃないですよね?真衣さんのお兄さんの店だって聞いたんですけど……いいんですかね?使っちゃって……修さん、あんまりいい反応じゃなかったし……」

 

 

 部屋を見渡しながらそう口にする。

 部屋は先程の1階のカフェスペースとは違い、8畳ほどの洋室だった。3段になっている焦げ茶色の本棚や、所々革の剥げた白いソファ、それにやや大きめのテレビ等、些か殺風景ではあるが最低限の家具が置かれているところを見ると、やはりここは修さんの部屋なんだろうと思う。今俺たちが座っているのも、カーペットの上。木製の少し大きなテーブルを3人ずつで挟んで、柔らかいクッションの上に皆腰を下ろしている。

 

 

 なんか店に来ているっていうより、友達の家に遊びに来てる感覚だよなこれ……

 

 

 「ああ、だいじょーぶだいじょーぶ!ちゃんとお兄ちゃんに許可もらってるから♪」

 

 

 ほ、本当に大丈夫なんかなー……

 

 

 「許可出した覚えはねぇんだが?」

 

 

 「あ、コーヒーきた!」

 

 

 真衣さんを先頭に皆振り返ると、マスターが飲み物を持ってきてくれていた。スリッパを脱いで部屋に上がり、先程注文した飲み物含め、コップが3人分がテーブルに置かれた。

 

 

 「お前が客の前で『お兄ちゃん、お兄ちゃん』って言わなきゃいいんだけどなぁ。ほれ、エスプレッソとブレンド2人前」

 

 

 「え~、お兄ちゃんはお兄ちゃんでしょ?お兄ちゃんのことお兄ちゃんって呼ばなかったらお兄ちゃんがお兄ちゃんじゃなくなってお兄ちゃんが……あれ?」

 

 

 「はいはい、ここなら好きに呼んでくれて良いからよ。じゃあな、追加注文あったら呼んでくれ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「あ、お兄ちゃんちょっと待って!」

 

 

 出ていこうとする修さんを引き止めた真衣さん。何か言おうとしたことがあったんだろうか。修さんの右肩から顔を出して、そっと耳打ちをしていた。

 

 

 「ーーー」

 

 

 「……なんだ、そんなことか」

 

 

 真衣さんは、なんて言ってたんだろう。読唇術を持ってるわけじゃないから、唇の動きから言葉をつかむなんてこと、到底出来るわけがない。

 けど、その後の修さんの表情を見たら、何となく言ってたことが分かった気がした。

 

 

 「……ま、俺は別にどっちでもいいんだけどな」

 

 

 「くすっ、また癖出てる。お兄ちゃん嘘つくときすぐに目逸らすから、すぐ分かっちゃうんだから」

 

 

 「べ、別にそんなこと……」

 

 

 「そうやってごまかそうとするところ……なんだか真姫とそっくり♪」

 

 

 「なっ、いや、だから俺は、別に……!」

 

 

 「も~、お兄ちゃんも可愛いな~!なでなで~」

 

 

 「ば、ばか、やめろこら!頭撫でようとしてくんな!俺兄貴だぞ!」

 

 

 「そうだね~。シスコンお兄ちゃんだもんね~。そんなお兄ちゃんには、こうだっ!!」

 

 

 「あああああくっついてくんなあああぁぁぁ!!!」

 

 

 「……」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ……え、なにこれ?

 

 

 さっきまでの真面目な空気から一変、兄弟の仲睦まじいスキンシップ(?)に、思わず言葉を失う。

 

 

 いや、だって……

 

 

 「えへへ~♪」

 

 

 「やめろっつってんだろ、こら!」

 

 

 

 ……修さんの顔、真っ赤じゃけど……すげー嬉しそーだし……

 

 

 

 言葉こそ乱暴なものの、真衣さんのなでなでや抱きつきを振りほどく素振りは全くない。

 真衣さんの両肩に手を置いて引き離そうとしてるのは分かる。けど、全然力が入っていない。それどころか、最初1階で会った時は仏頂面だった修さんの表情が……正直、気持ち悪く緩んでる。

 多分、にやけそうになるのを必死でこらえてるんだろうなぁ。すごく歯を食い縛ってる。

 修さんの人間像を修正。この人は、シスコンだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*ー*

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「はぁ~♪」

 

 

 「はぁ……」

 

 

 数分後、部屋では真っ赤な顔をして息の切れた修さんと、まるで憑き物がとれたかのように清々しい笑顔を浮かべる真衣さんがいた。

 秋穂さんたち周囲の反応を見るに、これはいつものことなんだろうか。俺と海未以外は誰も驚いた様子はない。あるいは、真衣さんの抱きつき被害に遭うのを避けるため、あえて無関心なふりをしていたのかも。

 海未はブレンドコーヒーを飲んで幸せそうな顔をしている。ちなみに俺はコーヒーがめっちゃ美味かったから、もう飲み干した。

 

 

 「ったく……それじゃあ、今度こそ下に降りるからな。なんか追加注文あったら、呼んでくれ」

 

 

 「はーい!!じゃあお兄ちゃんを注文しまーす!」

 

 

 「お前はもう何も頼むな!」

 

 

 「えーっ!?なんでー!?」

 

 

 「真衣、そろそろ先輩をからかうのはやめておきなさい?お互いもうそういう年じゃないでしょう?」

 

 

 「雛子まで……うー分かったわよー……ちぇ~」

 

 

 子供か、真衣さんは……

 

 

 真衣さんも修さんも……というか、ここにいる大人たち皆、とても高校生の娘を持っているような年齢には見えない。まあ修さんは娘いるのかも、そもそも年齢も知らないけど。

 美男美女の組み合わせということもあってか、さっきまでのじゃれあいも、「年甲斐もなくなにはしゃいでんだこいつら、鏡見ろよ……」みたく、呆れるような雰囲気はあまりなかった。

 まあ、修さんのあの顔の染め上がりよう。ありゃあ真姫の反応と少し似てたしな。真衣さんのことだ、可愛くて、からかわずにはいられなかったんだろう。本当、真姫も修さんも御愁傷様です。

 

 

 「はは……あ、すみません、ブレンドもう1杯お願いします。こっからはお金払いますんで」

 

 

 「おお、もう飲んだのか。あいよ、少し待ってな」

 

 

 俺が飲み干したコーヒーだけ持って、修さんは下へ降りていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 部屋を出ていく途中、微かに聞こえた修さんのぼやきが、やたら印象に残っていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「『ずっと心配かけて、ごめんね』か……ったく、心配くらいいくらでもかけろっての……くすっ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




今回は一旦ここまでで。

また来週か再来週に、連続して投稿していきます。

カカオ侮ってた……今日眠れるかな。

ではでは。




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