ラブライブ! ~『正しさ』の本質~ 作:k.k.halcyon
たくさん書いてる割に話が全然進まない、今日この頃です。いつものことか。
今日も今日とて牛歩です。
リリホワはなんだかほっこりする。
5月30日、一部編集しました。
ピピピピッ、ピピピピッ、ピピトン
「ふぁ、あぁぁぁぁぁああぁぁぁああああ~あふ」
ことりたちがやって来た翌日、朝5:00、春とはいってもこの時間は、薄手のシャツじゃあ、まだ少し寒い。目覚ましを止め、ベッドから起き上がるのに少しばかり心が抵抗しながらも、なんとか体を起き上がらせる。
朝5:00に起きて夜10:00に寝る。これが俺のライフスタイルだ。健康的だろ?真姫に電話でこのことを話したら、「おじいちゃんみたいね」って言われて、ちょっとショックだったが、もう日課になっちゃってるから、今さらこの習慣を変えようとはあまり思わない。
ジャージに着替えて、歯を磨く。そして、昨日寝る前につくっておいた紫蘇入りミニおにぎりを食べ、運動靴を履いて玄関を出る。
朝のランニング。俺が以前から続けている日課だ。距離は特に決めてないが、朝の5:30~6:30までの1時間、こうして自宅の近くを走り回る。
こいつのお陰で随分体力がついた。ほら、新学期が始まったら、最初に体力テストってあるだろ?あれで持久走とか20メートルシャトルランとか、ああいう持久系がすごく苦手だったんだけど、今はもう平均以上の評価はもらえるんじゃないかな?
けど、今日はいつもと違って新鮮だ。なぜなら、
「へぇ・・・あ、ここがさっきの道に通じてんのか」
昨日引っ越してきたばかりだから、自宅周辺の探索も兼ねて走っている。道に迷って時間を喰らうのは嫌なので、あまり遠くへは行くことができないが、こうやって自分の足で脳内MAPを広げていくのは結構好きなんだ。
「あ、せっかくだし、穂乃果、海未、ことりの家の前通ってみるか・・・」
あいつらの家なら、何となく分かる。俺の家を中心に、皆の家がだいたい同一円周上にあるので、ちょうどいいランニングコースになるかも知んないな。
じゃあ、最初は・・・海未の家から行ってみるか。
*ー*
海未の家は、西木野家の豪邸ほどではないにしろ、この街の由緒正しい園田の家ということもあり、かなり大きい。剣道場や大きな庭があり、庭の池には大きな錦鯉の「ゴンちゃん」(穂乃果命名)がいる。園田家は「純和風」といった言葉がちょうどよく合ってるかもな。
走っていくと、早速海未の家まで到着した。
「一旦ここでストレッチするか・・・」
玄関前で軽く屈伸やストレッチをしていると、中から「やああああぁぁっ!!!」「小手ぇぇぇぇ!!!」「めぇぇんさぁさぁさぁさぁさああああぁぁぁ!!!!」といった声が聞こえる。
「やあああぁぁぁっ!!!!!!」
「あ、これは多分、海未の声だな。こんな時間から剣道やってんのか・・・」
玄関の大きな門は開いていたので、そこから剣道上の中が見えた。防具で顔は隠れていて見えないが、あの気合いで分かる。あれは海未だ。道場の門下生たちと一緒に稽古に励んでいるようだ。
俺も剣道は以前やっていたので、一度ここで稽古させてもらったことがあるが、基本的な動作から厳しく鍛え上げていく、いい道場だと思う。
準備運動と素振りをを入念に終えた後、防具をつけたら、まずは基本の切り返し、続いて面打ち、小手打ちと、1つ1つ順番に進めていく。1度めは一本一本しっかりと打ち込む。2度めは素早く打ち込む。そのなかで、体さばき、剣さばきに乱れが見えたら、道場主である海未の父が、付きっきりで厳しく丁寧に指導してくれた。
ただのスパルタとは違う、良い厳しさだ。稽古後の充実感は、他の道場の比ではないだろう。
ただ、俺が稽古に参加すると、海未は喜んでくれるのだが、喜ぶ度に海未の父の後ろにスタンドが出てくるんだよ。般若みたいな顔してさ・・・
(それがなければ、俺も楽しいんだけど・・・)
そう思いながら、ストレッチを終えて剣道場に視線を戻すと、稽古は既に終了していた。どうも、さっき俺がここについた時点で、ほぼ終わっていたようだ。
「よし!俺もそろそろ始める「七海さん!!」うぉわあぁぁっ!!!」
背後から急に声をかけられ、驚いて振り替えると、いつの間にか海未が嬉しそうな顔でこちらに来ていた。
「う、海未!!??いつからそこに!!?」
「いえ、今さっきからです。それより、どうしてここに?稽古でしたら、中に入って見学していけば良かったのに!」
海未が喜んでいる。思わず俺は周囲に海未の父を探した。・・・良かった。今はいないみたいだ。
「あー、いやいや、ランニングがてら街を散策にね。今日は海未と穂乃果とことりの家の前を通って走ろうかなーて思ってたんだよ」
「ああ、そうだったんですね!こんなに朝早くから・・・尊敬します」
「いやいや、海未のほうが立派だろうよ。俺ただぼーっと走ってるだけだし。ちゃんと目的をもって稽古に励むほうがよっぽど尊敬されるて!」
これはその通りだと思う。ただただ走っているだけの俺より、将来家元を継ぐという目的のもと、日々厳しい鍛練をこなしている海未の方が、よっぽど凄いと俺は思う。
けど、こいつはそういう厳しい毎日を、決して苦痛だとは言わないんだよな。さっきの稽古だって決して楽じゃなかったはずなのに、そんな素振りを一切見せない。
それが海未の良いところでもあり、悪いところでもある。心の中で感心しながら、少しだけ、寂しくも思う。「たまには『つらい』って言ってくれてもいいんだぞ?」って、言いたくなる。
「いえ、これはただの日課ですから」
ほら、前もそう言ってた。「少しは休んでもいいのに」って言いかけて、踏みとどまる。
言いたい。けど、今の俺には、そんな台詞を言えるほど海未の気持ちを知らないし、考えたところで、その推測が合ってる保証はない。
ーーーこういうとき、身近なやつの助けになってやれないのって、悔しいな。
「七海さんはいつもこの時間にランニングを?」
「そうだな。基本毎日5:30~6:30って決めて走ってる」
「そうですか。・・・ふふっ」
「海未?」
「ああ、いえ、ごめんなさい。私はだいたい毎日朝はここで稽古をしているので、またいつでも立ち寄ってくださいね♪お茶くらいなら喜んで出しますから」
「ありがと。海未の入れてくれたお茶は美味いからな、是非また来るよ。それじゃあ、今日はそろそろ行くわ」
「もうですか?少しくらいゆっくりしていっても良いのに・・・」
「こっちに来て初ランニングだからな。今日くらいはきっちり走りきらないと!」
「ふふっ、七海さんらしいですね。わかりました。学校が始まったら、登校もご一緒しませんか?」
「あ、俺登校も一緒に行って良いの?」
「勿論ですよ。むしろダメな理由がありませんから♪」
「・・・嬉しいな。ありがと・・・ん?」
「七海さん?」
「海未・・・ひょっとして共学化の話、知ってた?」
「ええ、ことりから電話で。そのあと電話越しにことりのお母様から怒られてたようですが」
「まあまだ非公開情報だからな。海未も他言はなしでたのむわ」
「くすっ・・・分かってますよ。穂乃果はまだ知らないようですが・・・まあ、言えないですよね・・・」
「まあ、あいつが知ってたらソッコーで電話かかってくるだろうな。『もーなんで教えてくれなかったの!?』みたいに」
「非公開の意味を分かっていないでしょうからね・・・」
「あはは・・・・・・さて、じゃあ本当にそろそろ行くよ。またなー!」
「ええ、また」
(ランニング続ける理由が、またひとつ増えたな)
*ー*
海未と別れ、心の中でささやかな決意をしつつ、再びランニングを始めようと思ったが、時計を見ると、6時14分だった。
(あー、ちょっと話しすぎちゃったな・・・まあしゃーない、帰るか)
穂乃果とことりの家も通ろうかとは思ったが、まあ明日以降にでも行ってみるか・・・。
自宅に向かうまでの帰り道、さっき走れなかった分の埋め合わせをしとこうと、少しペースをあげて走っていると、ある神社が目に留まった。
「うひゃー。階段なげーなこれ。えっと・・・『神田明神』?」
目に留まったのは、神社の雰囲気とかではなく、上に登るまでの階段である。長い。とにかく長い。
「ランニングの後、最後にここに寄って、ここ階段ダッシュとか、いいランニングコースになりそうかもな・・・登ってみるか・・・」
軽くストレッチした後、目を閉じて一度大きく深呼吸する。
力を抜き、心を落ち着かせ、何もない深海に、どこまでも、深く、深く、沈んでいく。
集中するための、俺なりのイメージだ。
(・・・・・・もっと・・・)
深く、深く、
周囲の雑音が少しずつ薄れていく・・・
(・・・・・・もう少し・・・)
深く、深く、
瞬間、
(・・・・・・よし、行ける!!)
閉じていた目を開いて、強く一歩目を踏み出す。
タッタッタッタッタッタッタッタッ
一段目、二段目と、リズムよく登っていく。うまく集中できているためか、体がスムーズに動く。
四字熟語で『無念夢想』って言葉があるけど、今がまさにその状態だろう。
雑念が消え、ただひたすらにこの体を動かす。
気付けば、頂上だった。
「・・・・・・すうぅぅぅ、はあぁぁぁ・・・」
最後にもう一度目を閉じて深呼吸。スイッチを切る。
「・・・ふうっ」
軽く息を吐き、目を開くと、自分でも集中が切れたのが分かった。
呼吸こそそれほど乱れていないものの、登っていたときの疲労が今になって、どっと押し寄せてくる。
「・・・はぁ・・・はぁ・・・ええ感じのランニングコースになるな、こりゃあ」
「・・・随分真剣な顔で走ってたなぁ」
「えっ?」
一人ボソボソと呟いてたところ、横から急に声をかけられたので顔を向けると、
女神・・・あ、間違えた、巫女さんじゃった。
少し紫がかった長い髪を首の後ろあたりで2つに結び、境内の掃除をしていたのだろう、箒を持った女性。
幼い顔つきと豊かな胸含めスタイルの良さが、ええがいに(うまい具合に)マッチしとる。もう広島弁で『ええがいに』とか使う人、もうおらんのんかな?
けど、この人の喋りには違和感を覚える。関西弁なんだけど、関西の人じゃない人が無理矢理使ってる、みたいな。広島弁あまり知らない人が、広島に来て調子にのって「俺広島初めて来るじゃけぇ!!」とか言ってたりする。とってつけたように語尾に『じゃけぇ』入れんなや。『じゃけぇ』そんな使い方せんわ。・・・っと、
「そんな顔してましたか?」
「してたで~?あ、真剣っていうよりも、なんやろ、無我の境地、って感じ?さっきの顔、めっちゃかっこよかったで?」クスクス
やっぱり、この人のしゃべり方、変だ。ただ、この人自身は、そんなに悪い人じゃない気がする。穏やかな雰囲気を身に纏っているというか、なんとなく。
「ありがとうございます」
「いえいえ。けど、このあたりやとあまり見かけない顔やね~?なんとなく、やけど」
「いえ、合ってますよ。昨日こっちに引っ越してきたんです。ランニングがてら、街の散策にね」
「なるほどな~。けどそれなら、せっかくやし、お参りくらいはしていき?」
「あ、ですね。じゃあちょっと行ってきます!」
「いってらっしゃーい♪」
ーーーお参り中・・・
「・・・ふぅ」
お参りを終え、そろそろ帰ろうかと思って階段の方まで歩いていると、さっきの巫女さんは階段近くで掃除をしていた。足音で俺に気付いたのか、掃除をやめ、「おかえり~」と微笑みながら近づいてくる。
「それにしても、すごい階段ですね」
「ふふっ、この階段って地味にきついから、ランニングコースにしようって人、あんまりおらんのよ?」
「そうなんですか?いい感じのトレーニングになるとは思いましたけど・・・」
「うちはここでバイトしてるから登り慣れてるけど、最初のうちはきつかったな~。お兄さん運動部か何かだったん?」
「いえ、帰宅部です。まあちょこちょここういうトレーニングはしてましたけどね。基本高校は勉強以外では使いません」
「あ、高校生やったんやね・・・うち、てっきり大学生やと・・・」
「失礼な(笑)今度の4月から高3です」
「高3なん?じゃあうちと同い年やんな♪」
え・・・この人高校生だったの・・・?マジで・・・?めっちゃ『お袋オーラ』出てんだけど・・・
「『あ、高校生やったんやね・・・うち、てっきり大学生やと・・・』」
「失礼な(笑)今度の4月から高3やで?」
「はは。じゃあタメか。俺は三橋七海だ。4月から、音ノ木坂学院ってとこで「音ノ木坂学院!?」・・・お、おう、急にどうした?」
「それじゃあ君が、例の共学化の・・・」
「試験生・・・って、共学化のこと知ってんの?」
「うん。うち、音ノ木坂で生徒会の副会長やってるんよ。初めまして。東條希です!同い年やし、希でええよ♪うちも、七海くんって呼んでもええかな?」
「ああ、いいよ。ありがと、希。」
「ほな、七海くんやね♪よろしくな~。
あ、けど、共学化の正式な発表はまだやから、あまり口外せんといてな~?」
「あ・・・そうだったな、悪い」
「ええよ♪かくいううちも、職員会議での話を盗み聞きしただけやしな!」
「おい副会長」
「先生には内緒にな?お願い♥」
「手を組んで上目遣いでウインクすな。可愛いから勘違いしちゃうだろ。まあ言わないけどさ」
「か、かわ///・・・あ、ありがと///」
可愛いと言われることに慣れてないのか、さっきまですごくフレンドリーだったのに、急に希の顔に朱がさした。挙動も少しおかしくなってる?なんかモジモジしてるし・・・この人、いろいろギャップがすごいな・・・
「どういたしまして。それじゃあ俺は行く・・・あ、そうだ、なあ、聞いてもいい?」
「え・・・な、なに?」
「・・・動揺しすぎだ。変なこと言って、悪かったな、ごめん」
「い、いや、気にしないで?別に褒められて嫌な気はしなかったから・・・それで、どうしたの?」
「(標準語になってる・・・?)ああ、俺今日、転入手続きで2時から音ノ木坂に行かなきゃなんだけどさ、ここから音ノ木坂学院って、何分ぐらいかかんのかな?」
「あ、ああ、それやったら、15分か20分くらい見ておけばええと思うで?うちもこの後生徒会で学校に行くから、七海くんよければ連絡先交換しよ?道わかんなくなったりしたら教えるし」
「(あ、戻った)助かる!今携帯ある?」
「あるよ~。ちょっと待ってな・・・ほい!」ヒョイ
「よっと!じゃあ・・・ほい!交換完了!」ヒョイ
俺たちはお互いのスマホを投げ合って、交換した。
「ありがと~。ほな七海くんのスマホは・・・って違うやん!!連絡先の交換やん!!スマホ自体交換しても意味ないやん!!」
「ナイスつっこみ!!」
「いえーい!」ハイタッチ
「イエーイ!」パーンッ
「・・・」
「・・・」
「・・・なんや、これ」
「・・・よく分からん。普通に交換するか」
「・・・せやね」
ーーー連絡先を交換しました。
「よし!ありがと、希」
「ええよ!うち男の子のアドレスもらったの初めてやし♪大事にするな~」
え?そうなの?見た目だって可愛いし、それに、あんだけ気さくで親しみやすい性格してるなら、男の友達だってたくさんできると思うけど・・・
・・・って、詮索は良くねーわな。やめよ。
「そりゃ光栄だ。っと、それじゃあ俺はそろそろ行くよ」
「うんっ!また学校でな~♪」
そう言って、希とは別れた。
正直、新学期が始まる前に、同学年の知り合いができたことはラッキーだった。転入生、しかも女子高に男子が入ってくるんだ。それに俺は3年。既存のコミュニティーの中に知り合いゼロで入っていけるほど、俺のコミュ力は高くない。
「希か・・・覚えとこ」
誰に告げるわけでもなく独り呟いて、階段を降りていく。
途中振り返ると、希はまだ俺を見送って、手を振っていた。俺も手を振り返して、階段を再び降りていった。
とりあえず、今日はここまでで。
音ノ木坂学院に行くんじゃねーのかよ!?って思った皆さん、本当にごめんなさい・・・
次回、音ノ木坂にいきます。
やっと3年生出せた。3年生は希が一番出しやすいですね、、、
ではでは。