ラブライブ! ~『正しさ』の本質~ 作:k.k.halcyon
や、やっと書けた・・・プロローグの終わりが、もうすぐ見えそうです。
今回は長いです。本当に長いです。
七海の親友とか、過去とか、色々姿を表します。
それでは、どうぞ。
時々、ふと思うことがある。
基本的に、俺はビビりだ。自分が怖いと感じる相手には、何か理由が無い限り、決して近寄ったりはしない。
さらに言うと、俺は自分から人と仲良くなろうとすることは、ほぼ皆無と言っていい。俺と親しい相手のほとんどは、だいたいむこうから話しかけてきたところから仲良くなっている。
しかし、ごく一部だけ、その例外がいる。ことりと、海未、穂乃果、そして、真姫だ。
真姫の場合は、本当に小さい頃からの付き合いだし、お互い音楽好きだし、真衣さんからかかってくる愚痴電話の被害者同士ということもあり、仲が良かろうと特に違和感は覚えない。
だが、ことりたち3人は別だ。
いずれも出会ったのは俺が高1のとき、宮島でのことが始まりだ。
あのとき、宮島の地で、不良に絡まれてたことりを、なんの躊躇いもなく助けられた。普段の俺なら不良なんて関わるのも嫌だから、何の気もなく無視していたのに。けれど迷わず間に入った。それはどうしてか、と。
その後、ことりたちと連絡先を交換した後、今に至るまで繋がりが切れることはなかった。普段の俺なら、相手が送ってきたメールに適当な返事だけして、さっさと会話を打ち切る。それなのに、ことりたちとは、俺から電話やメールをすることもあるくらいに、今までにないくらい積極的に繋がりを持とうとした。そうさせたのは、何だったのか、と。
言おうと思えば、同様のことは真姫にも言えるだろう。直接会ったことなんて数えるほどしかないのに、電話やメールを頻繁に交わす。思春期、特に中学生の頃の男子なんて、女子との会話など恥ずかしくてできなくなる、そういうものではないだろうか。にもかかわらず、真姫に対してはそういった感情は涌かなかった。それどころか、会話のなかで真姫のことを知ることができたのが、とても嬉しかった。
誰とも深い関わりを持とうとはしなかった俺が、穂乃果のことを、海未のことを、ことりのことを、真姫のことを、『もっと知りたい』と感じた、その理由。
穂乃果のことを知りたいと思ったのは、海未とことりが、あれほどまでに信頼を寄せている理由に興味があったから。だけど、残りの3人は、違う。
知りたいと感じたのはきっと・・・
・・・3人とも、’’あいつ’’と似ていたから。
真姫よりも早くに出会い、俺が1番最初に仲良くなった。初めて『親友』と呼べる存在となった’’あいつ’’。
そして、天才的な才能を持っていたが故に、孤独であることを強制され、周囲から期待され、嫉妬され、非常識なほどの重圧をその小さな身に受け、そして・・・
・・・押し潰され、俺の目の前で、命を落とした’’あいつ’’。
・・・あいつの死の原因は、俺の呆れるほどの無力さにあると、当時・・・きっと今も・・・俺は感じていた。
だから、あいつが死んでから、俺は今まで以上に努力をするようになった。勉強も、運動も、音楽も、それ以外の多くのことも。今の俺を作り上げた、最大の要素を、もし1つだけ挙げるなら、間違いなく’’あいつ’’だと答えるだろう。俺が父親の死を目の当たりにしてから、あれほど早くに吹っ切れたのも、’’あいつ’’のおかげだと思っている。
多分、日本にいる同年代の人を集めて、『父親と親友、身近な存在を2人も亡くした人』ってくくりで分類したら、そうそう俺と同じカテゴリに属する人間はいないだろうな。
そして、そんな’’あいつ’’と似た何かを、ことりと海未と真姫には感じた。そしてそれは事実、的中していた。
基本的に3人とも、『優等生』と呼ばれる括りに入る。だが、それゆえにか、皆周囲からの期待に、幼い頃から晒されている。
裁縫の才能が素晴らしく、将来はその力を活かして海外に出て活躍すると言われていることり。
文武両道で礼儀正しく、由緒ある園田の家の跡取りとして、日々武道や日舞の稽古を繰り返す海未。
回転の速い頭脳を持ち、大病院の院長の娘として、父のように医者になることを求められている真姫。
皆それぞれ、俺なんて足元にも及ばないような圧倒的な才能や能力を持ち、それを沢山の人に認められている。それ自体は、素晴らしいことだ。
だから、想像してしまった。
・・・3人とも、’’あいつ’’と同じ道を辿ってしまう、そんな未来を。
・・・原因は1つ。『重圧』だ。
大勢の人間に認められているからこそ、彼女たちはできない、気付いていないことが1つある。
それは、『つらい』という感情を、表に出すことだ。
周囲が、社会が、世間が、それを認めない。それを出すことはタブーであると、彼女たちの脳には刷り込まれている。
そういった感情を表に出さないこと、それ自体に問題はない。だが、彼女たちの場合、正確には『出さない』のではなく、『出し方を知らない』のではないだろうか。そう感じるようになった。
知らないから、普通なら気にも留めないような一言でも、彼女たちの身には大きな重圧となって、その身にのしかかる。
では、周囲からの期待、重圧は、いったい『何を』圧迫するのか。
それすなわち、『心の容積』の圧迫である。
俺は、心とは、風船のようなものだと思っている。
俺達は、自らの属するコミュニティから、家族、友人、時には見ず知らずの他人、さらには自分自身によって、常に己の風船に息を吹き掛けられている。いつ破裂するかも分からない、見えない風船に向けて。
ただ、多くの人は、その風船を破裂させることはない。普通の人間に期待し、息を吹き掛け続けるような物好きはなかなかいないから、そもそも破裂するほどに彼らの風船は膨らまない。それに、仮に膨らんだとしても、彼らは意識的または無意識的に、感情、特に、強い感情を外に出すことで、風船の中に溜まったガスを様々な場所から外に逃がしているから、結局破裂なんてしない。
けれども、天才たちは、凡人とは比べ物にならないほどの期待、重圧をその身に受ける。彼らの風船に空気を入れ、膨らませようとする人間の数が異常であることも、想像に難くない。けれども、期待、重圧といったものは、そんな風船の破裂限界値を低下させ、更に、1つずつ、ガスの逃げ道を塞いでいくのである。
そんな天才たちのなかで、ガスの抜き方を知らない者ほど、壊れやすい存在はいないだろう。
無数の声無き声が、『期待に応える努力をしろ』と強制・命令し、さらに、ガス抜きのための道に、世間が巨大な門番を置く。『お前の風船はまだ大丈夫だろう。ここでガスを抜く必要はない』と、威圧するような声で囁くのだ。
その風船がまもなく限界を迎えることを悟らせず、まるで気づかないうちに広がっていった虫歯のように、ゆっくり、ゆっくりと、その心を侵食していく。
そして、あるとき、なんの前触れもなく、破裂するのだ。
ーーーそう。’’あいつ’’のように。
途中で諦めて、逃げ出してしまえば、破裂なんてしない。だから、本当に追い詰められた時には、"逃げる"という選択肢をとることも必要だ。
ただ、3人とも、それを良しとはしないだろう。そういうやつらだから・・・だから、怖い。
真姫も海未もことりも、今はまだ疲れた顔はそれほど見せてはいない。今のこのモラトリアムが続いてくれるなら、少なくとも、まだしばらくは大丈夫だと・・・そう願いたい。
・・・けど、手遅れになる前に、ガス抜きの術を手に入れないと・・・『壊れる』未来が、やってくる。
大きな音をたてて爆発するかもしれないし、内側で静かに崩れるかもしれない。けど確実に、そういう未来がやってくる。
・・・こんなもの、俺の考えすぎだと思う。こんな予想が当たる可能性は、ほぼゼロに等しいだろう。そんなのは分かってる。
何もしなくても破裂しないことだってある。あいつら自身が周囲と上手く折り合いをつける可能性だってある。もし折り合いがつけられずとも、本当につらいなら逃げ出したっていい。そういう破裂しない未来だってたくさんあるんだ。
だから、今俺が考えていることなんて、99%杞憂だろう。
分かってる。分かってる・・・けど・・・
・・・それでも・・・あのとき、1%の光景を見てしまったから。
ーーー俺は、怖い。どんなに可能性が低くなろうと、それが起きてしまう未来を思うと・・・多分耐えられそうにない。あんな姿をもう一度見るなんて、もう、ごめんだ。
だから、あいつらが、『つらい』って気持ちを、『楽しい』って気持ちを、はっきりと言葉にできるように。
自分のやりたいことが見つかったなら、心の底から、『これが自分のやりたいことだ』って、声をあげて叫べるように。
そして・・・まあこれは完全に俺のわがままだが・・・そういう感情をぶつけられる相手がもしできたならば、その相手は俺でありたい。
皆、俺の勝手な思い込みでなければ、少なからず俺のことを信頼してくれているように感じる。口にはしないが、俺はそれが堪らなく嬉しい。その信頼が少しでも深いものになれれば、なんて、密かに思ってたりする。だからこそ、あいつらが俺と一緒にいてくれるこの瞬間が壊れる未来なんて、絶対に嫌だ。
防ぐ方法なんて、ちっとも分かっちゃいない。そんな方法、無いのかもしれない。けど俺は少しでも、あいつらのそばにいてやりたい。・・・俺にできる方法で、俺の持ってるもの全てを捧げてでも、あいつらが壊れる未来から、一歩でも、1㎜でも、遠くへ行きたい。
それが俺の、やりたいこと、だ。
ーーー随分と自分勝手だな?
ーーーそうやってかっこつけてるけど、結局それって、お前が怖いから、ただそれだけの理由で、あいつらの未来に介入するってことだろ?お前いつからそんな偉くなった?そういう身勝手な押し付けが、あいつらの重荷になるかもしれねぇんだぞ。。それに何より・・・
ーーーそれはお前の最も嫌った、『傲慢な自己保身』ってやつなんじゃねぇのか?お前はあの母親・・・いや、あのクズと、同じ方法を選ぶのかよ?
頭の中で発される声が、また脳内を蝕んでくる。
・・・ははっ。全くもってその通りだ。結局俺は、それ以外の選択肢を思い付けない。あのクズと違う道を選ぼうとしても、最後に見えるのはいつも、元の道との合流地点。結局こうなるしか無いのかも知れない。
(分かってるよ・・・だけど、今はそれでもいい。
嫌だけど、あんなのと同じなんてハラワタ煮えくり返るぐらい嫌だけど・・・)
『ガキが大人の真似事なんて、するもんじゃないよ?
子供だから出来ることってのが他にあるから。だから子供は、子供になれ!!』
頭の中で、’’あいつ’’の声が聞こえる。
いつか、どこかで聞いたな、そんなこと。
『子供は、子供になれ!!』か・・・あの時はその言葉の意味、よく分かんなかったけど、今なら少し、分かる気がする。
その意味は、きっと・・・《子供の特権》を自覚し、思う存分に使え、ということ。
《堅苦しいこと考えるな。わがままでも、理不尽でも構わない。お前はただ、お前がしたいことを、お前がやりたいようにやれ》・・・そういうこと、だろ?
『あなたはまだ子供なんだから、そういうのは私達大人に任せて、あなたは、あなたが本当にやりたいことをやりなさい』
・・・真衣さんも、そんなこと言ってたっけな。
我儘でいることには、まだ抵抗を感じている。こんな境遇だから、周囲よりも早く大人にならなきゃいけない俺が『子供になる』なんて、本当にしてもいいことなのか、正直まだ分からない。だけど、
俺が信頼している人が、2人も、同じことを言ってたんだ。
ーーーなら、それはきっと、『正しい』んだろう。
俺は、そう信じてみよう。’’あいつ’’のことも、真衣さんのことも・・・俺自身のことも。
(・・・そっか・・・
・・・・・・別に、今答えを見つけなくても、良いんだな・・・・・・
・・・・・・なら、今俺がすべきは・・・・・・
・・・問題の先送り、だ)
解決策がが思い浮かばないから、後回し。我ながら最低だ。無力だ。けど、別にいい。俺は《子供》だから、これぐらいの我儘、許されるんだ。
(言われた通り、思う存分使ってやるよ。めいいっぱい使って、そんで・・・)
・・・いつか。いつか見つけてやる。
形も在処も知らないけど、あいつらといれば、掴める気がする。
長い迷宮の出口の鍵も、その先にある欲しいものも。
・・・
・・・・・・
・・・・・・・・・
「・・・みーくん?どうしたの?急に静かになって・・・」
「・・・いや、なんでもないよ。気にすんな!」
「そっか、分かった!」
「・・・へ?」
「どうしたの?」
「いや、随分とあっさりだな、って・・・」
「だって、今のみーくん、すごく楽しそうなんだもん!きっと良いことあったんだろうなー、って♪
それが何かは分からないけど・・・・・・えっとね、今のみーくん、ことり、大好き!!」
・・・まったく、ことりの方が楽しそうじゃねぇか。本当、ことりに言われた言葉が、心の奥にすうっと入ってくる。
(・・・あったかいなぁ・・・)
昨日真衣さんと話したときのような、涙の出る嬉しさとは違う。
きっと、これは・・・
・・・ただ純粋な、『喜び』だ。
「・・・ふふっ、なんだよまったく!!!」
なんだか嬉しくて、思いっきりことりの頭をわしゃわしゃ撫でてやる。
「いやー!!!やめてよー!!髪ぼさぼさになっちゃうからぁ!!」キャッキャッ
言葉とは裏腹に、ことりも笑顔で嬉しそうだ。
「うっせえよー!!ぼさぼさになっちまえー!!」ワシャワシャ
「きゃー!!!」ワーワー
女の子って、髪を触られるの嫌がるって聞いたんだけど、まあことり喜んでるし、いいか。
(・・・ことりと歩いてるのに、本当なんてこと考えてたんだ俺は。
・・・とりあえず、今はもう考えるのはやめだ)
スイッチを切って、隣を歩くことりに意識を向ける。思考もいつもどおりに戻ってきた。
「俺さ」
「ん?」
「ちょっと肩肘張りすぎとったみたいだわ。色々迷惑かけるかもしれんけど・・・まあ、なんだ。
・・・これからも、よろしく頼むわ」
「・・・ふふっ!顔真っ赤だよ?」
「言うなや。分かっとるから」
「・・・やっと、聞けた」
「え?」
不意に、ことりが立ち止まる。
なんだろ、車の音も、人の声も、風の音も、鳥たちの声も、今は、聞こえない。
「みーくんの広島弁。みーくん気付いてないかもしれないけど、みーくんが広島弁使ってるときって、すっごい優しい顔してるんだよ?」
「・・・気のせいだろ」
ーーー今のお前の方が、ずっと優しい顔、しとるじゃろうが。
「ううん、気のせいじゃないよ・・・昨日ね、みーくんと会う前に、穂乃果ちゃんと海未ちゃんと話してたの。『みーくんの前では、悲しい顔は絶対にしないようにしよ!』って」
「・・・そんなそぶり、まったく気づけんかったぞ」
何かが溢れそうになったときに、皮肉くらいしか言えない自分が、もどかしい。
「見せないように必死だったんだよー?
・・・みーくんのお父さんのことがあってから、なかなか会えなかったでしょ?ことりたち、昨日みーくんに会う前、久しぶりに会えるのが嬉しかったけど、すっごく怖かったんだよ?
みーくんが変わっちゃってたら、どうしよう、って。変わっちゃってたら、どんな顔して会えばいいんだろ?って」
「・・・そう、だったのか・・・」
「車から降りてきて、ことりたちに『久しぶり!』って言ってくれたとき、ことりすっごく嬉しかった。『ああ、変わってなかったんだ』って。
・・・けど、そのあと話してると、みーくん、広島弁じゃなくて、標準語になってたのに気付いて、ちょっと、寂しくなっちゃった・・・。最初は『変わってなかった』って喜んでたけど、『やっぱり、あのときとは、違うんだな』なんて思ってて・・・」
「・・・そんなつもり、なかったんだけどな。ごめん」
「あ、謝らないで!・・・それに、今はもう、大丈夫でしょ?」
「え?」
俺が聞き返すと、ことりは再び歩き出す。そして、
「みーくんはもう戻ってる。お父さんのことがある前のみーくんに。
・・・穂乃果ちゃんが大好きな、海未ちゃんが大好きな・・・
・・・・・・ことりが大好きな、みーくん、だよ?」
俺の一歩前へ出ると、今度は俺の方に振り返って、
近づいてきた夕日のせいか、顔を少しだけ赤くして、
今まで見たこともないような、最高の笑顔を、見せてくれた。
「・・・」
さっきは、純粋な喜びだ、なんて言ってたのにな・・・
・・・やべえ、また泣きそうだ。こっちに来てから、2日連続で泣くの、は、やめ・・・あ・・・やっぱ、無理だ・・・
「ううっ・・・くっ・・・」
一度溢れ出した涙は、そう簡単には止まらない。
歪んだ視界が、不意に真っ暗になる。ことりの肩に顔をうずめ、そっと抱き締められながら、頭を撫でられていた。
「・・・あのときと、逆だね。
修学旅行で、ことりが男の人たちに囲まれて、怖くて、誰も助けてくれなかったときに、みーくんが来てくれた。
肩とか声とか、色々震えてたけど、それでも必死で守ろうとしてくれて・・・。
あのあと、男の人たちの気をそらして、ことりの手を引いて、一緒に走ってくれたこと、覚えてるよ?
逃げ切ったあと、ことりが泣いちゃって、困らせちゃって、ごめんなさい。
でもそのあと、ことりのことぎゅってして、頭撫でてくれて。
ことり、それまで男の人って、肩を触られるのもダメなくらい苦手だったのに・・・
・・・みーくんだけは、不思議と平気だった。
ううん、平気なんかじゃない・・・嬉しかった。
心の中がぽかぽかして、安心して・・・そのあと、わんわん泣いちゃって。
・・・あのとき、みーくんが言ってくれたこと、そのまま言うね?
『俺が一緒にいるよ。だから・・・
・・・今は思いっきり泣いてしまえ。溜め込まずに、全部吐き出せ』」
「・・・そう・・・だな・・・うぅ・・・うああああああああぁぁぁぁあぁあぁああっぁぁぁああ!!!!!!!!!!!!」
大の男が泣いている。それも大声をあげて。まったく、みっともねぇったらありゃしねぇ。
けど・・・・・・今は、泣きたい気分なんだ。
(・・・《子供の特権》、早速1つ、使わせてもらうわ・・・)
俺はしばらく、ことりの肩に、顔をうずめていた。
*ー*
・・・不意に、昔真姫と2人で作った歌を、思い出した。
俺も真姫も、曲作りなんてしたことなくて、真姫が広島に来たとき、丸1日かけて、1番だけできた、2人の思い出の、あの歌。
・・・・・・ああ、そうだったな・・・思い出したよ・・・・・・
悲しいなら笑って、吹き飛ばせばいい。
けど、たまには思いっきり泣くのも、必要なんだ、って。
・・・もし泣くのなら、今が、そのときなんだと、そう思う。
・・・・・・今度真姫と会ったら、久しぶりに、2人で歌ってみるかな・・・・・・
*ー*
あのあと、ようやく泣き止んだ俺は、改めてスーパーへと向かっていた。
え?泣き止むまでのところ、もっと詳しく書けって?嫌だよ恥ずかしい!!
あのあとことりには「えへへ///みーくんの泣き顔、可愛かったよ?」ってからかわれるし!!他言しないように頼んだらまたチーズケーキ奢る約束させられるし!!
あああああぁぁぁぁ/////////思い出すだけで恥ずかしいな・・・女の子の、しかも年下の女の子の前で大泣きするなんて・・・
・・・まあ、もううじうじ考えてもしゃーない。ことりももう追求はやめてくれたみたいだし。いい加減スーパーへ行かんとな・・・
そう思っていたところで、ふと思い付いたことがあるので、ことりに聞いてみる。
「なあことり、よかったら穂乃果と海未も、暇なら誘ってみない?」
どうせ食べるなら、人数が多い方がいい。ことりも2人がいた方が嬉しいかなーと思って、なんとなく提案したんだが、
「ふえっ!?あ・・・き、今日は確か2人とも、えと、家の用事で忙しいって言ってたから!その、誘うと悪いと思うよ!」
なんか急に慌て出したけど、どうしたんだろ?まあ用事なら仕方ないわな。
あと、ことりの「ふえっ!?」はやっぱり可愛い(切実)。
「そうなんだ。じゃあ俺らだけで食べよっか」
「う、うんっ!・・・ホッ」
「・・・?」
そうこうしてる間にスーパーにやって来た。24時間営業しているところで、俺もよく利用している。けど、今日はやけに主婦のおばちゃんが多い。それになんか、みんな殺気立ってるし・・・あ、一人黒髪ツインテールのちっちゃい子、めっちゃ怖がってる・・・って、音ノ木坂の制服着てるし。1年生かな?
そういえば・・・
「今日って確か、卵タイムセールだったはずだ・・・ってことは、卵手に入れるには、まさか・・・」
そう言った瞬間、店内放送が耳に届く。
『ただいまより、特設コーナーにて、卵1パック80円、お一人様最大2パック限定、タイムセールを開催しまーす!!数に限りがございますので、お早めにお買い上げくださーい!!』
聖杯戦争の、幕開けである。
とりあえず一旦ここまでで!
プロローグは、多分あと2、3話で終わるかな、と思います・・・終わるかな?終わるといいなぁ!!
’’あいつ’’のこととか、’’あいつ’’と七海父の死とか、そこから七海が立ち直るまでの過程とか、色々まだ明かしていないところはありますが、いずれ書いていこうと思います・・・いつになるか分かりませんが。
ではでは。