あと、これは決してBLではありません!!!!!!!
「BLっぽい描写」は念のために付けたので、作者には全くそういう風にしたいという願望は全くありません!!!!!
この作品はあくまでも「行き過ぎた兄弟愛が織りなすサイコホラー」を目指しているので、ご理解よろしくお願いします!!!!!!!
最近トド松の様子がおかしい。
前まではよく色々と理由をつけては外出していたのに、この頃ちっとも家を出ようとしない。
ボクが家にいるときは、常にボクをじっと見つめてくるのだ。
兄さんたちの様子はほとんど変わらない。一松兄さんは猫の世話してカラ松兄さんに暴言や暴行を加えるのは相変わらずだし、カラ松兄さんは変な言葉を言ってはみんなに色々と言われて、訳が分からないという反応をするのはいつものこと。おそ松兄さんは相変わらずギャンブルしてばかりだし、その様子を見てチョロ松兄さんが怒鳴り散らすのも、代わり映えのしない日常の一つだった。
ニートのボクたちにとっては、そんな風に代わり映えのない日常の中に非日常なモノが紛れていると、普通の人より気づきやすいのだ。
しかもボクたちは一卵性の六つ子。互いを常にしっかり見ることができるからこそ、より気づきやすくなる。
ある日おそ松兄さんが口を開いた。
「なあトッティ、お前最近十四松のこと見過ぎじゃね?」
「いい加減ぼくのことをそう呼ぶの止めてよ!いやそれより何いきなり変なこと言い出すのさ!」
「フン。ブラザーの一人が日常を抜け出せば、それは何もせずとも」「黙れクソ松」
「カラ松はいい加減その変な口調を止めろよ・・・・・・。トド松、お前ちょくちょく合コンとか言ってよく外へ行ってたのに、最近は家に引きこもってばかりだから心配なんだよ」
チョロ松兄さんがそうトド松に向かって言った。
兄さんたちも気づいてたんだ。またカラ松兄さんは一松兄さんに胸ぐら掴まれてるけど。
「・・・・・・最近はちょっと家出たくないんだよ。どこかの童貞ニートさんたちが邪魔してきたから、合コンとかにも誘われなくなったからね」
「・・・・・・それって俺たちのせい?」
「そうだよ一松兄さん。スタバァでのアレは特に酷かったし」
若干空気が重くなった。みんな心当たりは一応あったようだし、ボクも何かやっちゃったかもしれないから、謝っておこうかな。
「ごめんねトッティ」
「えっ!?十四松兄さんは謝らなくていいんだよ!!むしろ謝って欲しいのは他の兄さんたちだから!!」
「「オイコラトッティ」」
おそ松兄さんとチョロ松兄さんの声が見事に揃った。
「Oh・・・・・・まさかオレたちの行動でマイブラザーが迷惑を被っていたとは・・・・・・すまないトッティ」
あ、カラ松兄さんもう復活したんだ。
「待って何で十四松だけはオッケーなんだよ」
突っ込むところそこなの一松兄さん。
「もうどうしてうちの兄たちは謝ることを知らないのかなー!!だから社会的にダメなんだって!」
トド松はもう頭を抱えちゃってる。
「トッティ、オレは謝ったぞ・・・・・・」
「え、カラ松兄さんそうだったの?ごっめ~ん普段イタい言動しかしてなかったからいつの間にかスルーしてた」
「えっ」
さすがにそれはひどいと思うよトド松。いくら普段変なことしてるからって、大事なことをスルーするのはよくないよ。
この後兄さんたちはトド松と喧嘩になってしまったので、なんとか仲裁しようとその中へ飛び込んだら、いつの間にかみんなはボロボロになっていて「ごめんなさい」と泣きながらボクに謝ってきた。そんなに素直に謝れるなら、おそ松兄さんもチョロ松兄さんも素直にトド松に謝ればいいのに。
そんなこんなで就寝時間になった。みんなで横長で大きい布団を敷いて、六個の枕を並べて・・・・・・という風に、その時もいつもと変わらない光景があった。
どんなに喧嘩をしても、やっぱりボクたちは六つ子。寝るときは仲良く六人一緒に寝るのだ。
明日はまた一松兄さんとバットの素振りをしようかな。
「いいー?消すよ-」
トド松の声が聞こえた直後に明かりが消えて、ボクたちは眠りにつくはずだった。
「十四松兄さん、起きて」
突然ユサユサと誰かに体を揺すられた。
「ん・・・・・・なあに・・・・・・」
「ちょっと一緒についてきてほしいところがあるんだけど・・・・・・」
体を起こして目を擦り、周りを見ると、左にトド松がいた。
「どうしたのトッティ、トイレならチョロ松兄さんを呼んでたはずだよね?」
「ううん。十四松兄さんじゃなきゃダメなところなんだ。他の兄さんたちを起こさないように、静かにしてね」
「うん・・・・・・分かった・・・・・・」
たった一人の弟が、ボクに頼み事をしてきている。こんな珍しいことはないから、ちゃんとお兄さんらしく、真面目につきあおう。
小学生のころ、ボクとトド松が表だって一緒に行動することはあまりなかった。甘えん坊なトド松は、飽きっぽいけどしっかり引っ張っていってくれるカラ松兄さんと行動することが多かったし、気弱だったボクは、真面目な一松兄さんに引っ付いておとなしくしていることが多かった。
でも下の方の兄弟ということもあってか、一緒になった時にはそれなりに仲良くやっていた。
やがてボクたちが中学生になるというときに、父さんと母さんはボクたちにある物をくれた。
赤、青、緑、紫、黄、ピンクの、それぞれ色が別のパーカーを、六枚。
当然ボクたちはどの色を着るかで揉めた。
おそ松兄さんは早々に赤を取っていった。カラ松兄さんは渋々といった表情で青を取っていった。トド松はウキウキしながらピンクを取っていった。
ボクは、紫のパーカーを手に取った。チョロ松兄さんは黄色を取ろうとしたけれど、一松兄さんに取られて、イライラした様子で残った緑のパーカーを手に取った。
その直後に、一松兄さんがボクの方に来て、ボクが持っていた紫のパーカーをヒョイと取った。
「どうしたの一松!」
ボクがそう文句を言おうとしたとき、一松兄さんは手に持っていた黄色のパーカーをボクに渡してきた。
「十四松が少しでも明るく過ごせるようにと思って、チョロ松が持って行こうとしたこれを奪ってきた。紫は僕が着るから、十四松はこれを着て」
そこまで思ってこんなことしたんだ、と、当時のボクは思った。
「ありがとう、一松!」
この後に、おそ松兄さんが「これから上の兄弟には『兄さん』を付けて呼ぶこと!」なんて事を言い出して、トド松が「そんなことになったら、ぼくはどれだけ『兄さん』って言わなきゃなんないの」とか言ったっけ。とにかく中学に上がるときがボクたちの分かれ目だった。
中学に上がってから、他の兄弟はそれぞれの色のイメージになろうとするかのように、どんどん個性を付けていった。
おそ松兄さんは、他の人たちとよく喧嘩してワルざんまいしていた。
カラ松兄さんは演劇部でスターになって、カッコイイ自分というものを目指すようになった。
チョロ松兄さんは生徒会や風紀委員に入って、校則を破った人たちを目ざとく見つけては怒鳴り散らしていた。
一松兄さんはかなりひどいいじめをされていたせいか、いつの間にか卑屈になり、性格が歪んでしまった。
トド松は甘えん坊な性格が災いしてか、男子たちにいじめられるようになり、女子たちに守ってもらえるようにと思ってか、ますます女の子っぽいことのまねをして、女の子たちの間ではやっている物を調べるようになった。
みんなが変わっていく中で、ボクだけは相変わらず気弱で、いじめられても反撃できなかった。一松兄さんがわざわざ確保してまでボクにくれた黄色のように、明るく振る舞うことはできなかった。いじめられなくなりたいと思って野球部に入ったけれど、まともに練習できなかったあの時のボクでは、バットを護身用具にすることしかできなかった。
いじめのことは上の兄さんたちも知っていたし、実際にそれを見たら兄さんたちは止めてくれた。
でもそうされるたびに、いじめはますます酷くなった。
なぜそうなったかは分かってる。
喧嘩の強いおそ松兄さんじゃ、仕返しに行ってもすぐに負ける。
カラ松兄さんに喧嘩を売ろうものなら、確実にほとんどの女子から嫌われる。
チョロ松兄さんには学校が全面的にバックについているから、それ相応の処罰を受ける。
それ故にいじめはボクたちに回ったのだろう。
まじめ故に、先生に媚びているように見られてしまった一松兄さん。
気弱だったから、格好の標的にされてしまったボク。
女子に近づいたために、いじめっ子の逆鱗に触れたトド松。
だから、ボクたちは互いにかばい合うしかなかった。
あの日もまた、トド松はいじめられていた。
やめてよ、というか細い声を聞いて、ボクはトド松のいるかもしれない場所へ行った。
案の定、トド松は今にも泣きそうな顔でいじめっ子たちを見つめていた。
「トド松!」
「十四松兄さん!?どうしてこっちに来るの!?」
「おやあ~?泣き虫の十四松く~ん、また俺たちに殴られに来たのか~?」
「いいからトド松から離れてよ!」
この時のボクには、精一杯の虚勢を張るしかできなかった。
「十四松兄さんもう止めてよ!ぼくは平気だから!」
そう言ったって、ボクはトド松の兄さんなんだから、守ってあげなくちゃいけないもん。同い年だけど。
「まあどっちでも殴る事には変わりねーけどな!」
そう言ってあいつらはボクの腹にこぶしをぶつけてきた。痛かったけれど、トド松を守るためなら平気だった。
その後も暴行は止まなかった。トド松が心配してくれたけれど、ボクはただただ大丈夫と繰り返すしかできなかった。
「おまえら本当にむかつくほど仲が良いようだな。見てるこっちがイライラするぜ」
鉄パイプを振り上げた奴がそう言った。
「弱っちいくせに、俺らに歯向かうんじゃねーよ」
そうあいつが言った瞬間、ボクの中で声がした。
『君は本当に弱いね。ビクビクしてばかりで、まともに弟を守れてないじゃないか」
(だって、あの人たち痛いことばかりしてくるんだよ?ぼくが殴ったり蹴ったりしたって、きっと意味なんてないよ)
『まったく、どうしようもないね。じゃあ一松がくれた黄色は、どうするつもりなの?』
(・・・・・・ぼくには背負えない!無理だよ!)
『無理って勝手に決めつけるな!自分で着こなせるぐらいにならないとダメなんだよ!』
(着こなす・・・・・・?)
『黄色が似合う人間になれってことだよ。それに・・・・・・鞄の中に入ってる釘バットは、今使わないならいつ使うの?』
その時、ボクはいじめの時にたくさん釘を刺されて使い物にならなくなったバットを、鞄の中にこっそり入れていたのを思い出した。
(あんなの使ったらあの人たち怪我するよ!?)
『いいんだよ。何も分からない子供のようになれば、あいつらに気を遣うなんて面倒なことは考えなくて良い』
(正気なの!?子供のようになるなんて、馬鹿なことやったらどうなるか)
『トド松を守りたいなら、ちゃんと強い自分にならなくちゃ』
(・・・・・・あくまでも、トド松を守るときだけだから)
『ふふ。今は別にそれでもいいよ』
『(さあ、今までの自分を変えよう)』
その時、ボクの中で何かが壊れた音がした。
「あはっ」
子供のように無邪気な、今のボクの性格の基本になったボクの人格は、そう呟いて、今まで「ぼく」が使えなかった釘バットを鞄から取り出した。
「もうやられまくりはうんざりだよ」
そして、釘バットを振り上げ、こう言った。
「だから、やきゅうであそぼ?」
釘バットを下ろしたときには、いじめっ子たちは血まみれになりながらボクに土下座してきた。
なんとかトド松にも謝らせて、家に帰るまで無邪気な「ボク」はそのままだった。
いつの間にか袖を伸ばすのが癖になり、トド松を守ろうとするときに「ぼく」から「ボク」に変わることを繰り返していくうちに、トド松と一緒にいるときには常に「ボク」になり、そしてそれが一松兄さんと一緒の時にも「ボク」が出てきたり、やがて他の兄さんたちがいるときにも出てくるようになり・・・・・・ということを繰り返すうちに、いつの間にか今のボクが確立していた。
今となっては「昔はこんなんじゃなかった」と言われるまでに性格が変わってしまったけれど、今でも元の気弱な部分は少しだけ顔を出してくる。
彼女・・・・・・カオリちゃんに振られてしまった時は、悲しいあまりにみんなの前で泣いてしまった。まあその後おそ松兄さんに励まされて、なんとかカオリちゃんの見送りに間に合ったから、そんな思い出があったという笑い話にできたけれど。
チョロ松兄さんの就職が決まった時に、ボクがふざけておそ松兄さんにぶつかり、おそ松兄さんに蹴られた時も、心の中ではいじめで蹴られた時の記憶がフラッシュバックして、うっかり泣きそうになった。
でもボクはそれを抑えて、大丈夫と言った。
だって、みんなにこれ以上心配をかけるのは嫌だったから。
トド松に連れられ、ボクは家の中を歩いていく。トド松は暗いのが平気であるかのように、ずんずん進んでいく。
「一体どこへ行くの・・・・・・?」
「もうすぐだよ、兄さん」
そしてトド松の足が止まり、トド松はしゃがみ込んで床をいじり始めた。
「何やってるのトド松」
「ちょっと待っててね」
やがて、床からがちゃり、とあり得るはずがない音がした。
「えっ!」
さすがにボクも目がさえた。
「しーっ!みんなが起きちゃうでしょ!」
「ご、ごめんトド松」
「さ、行こう」
そう言って、トド松はボクの手を引いて、床が開いて現れた階段を降りていく。
そして、扉の前に着いた。トド松は鍵を取り出して扉を開けた。
「さあ入って、十四松兄さん。ここでは大声出しても良いよ」
「えっ!?いーの!?」
「いいよ」
「うおおおおおおおすっげえええええ!!!」
部屋の中には、ピンク色の小物が入っていた。ウサギのぬいぐるみもいっぱいあったけれど、猫のぬいぐるみもあった。どれもかわいいものばかりで、コレをいっぱい集めてきたトド松は本当にすごいなあ。あ、猫のぬいぐるみは、一松兄さんに見せたら喜ぶかな。
「うわああああすっげえかわいいものばかりだね!」
「えへへ、そうでしょ。これだけ集めるのにも何年もかかったんだよ」
扉の方でガチャリという音がしたけれど、その時のボクは気づいていなかった。
「この猫のやつ、一松兄さんに見せたいなあ・・・・・・。トッティ、これ明日一松兄さんに見せても良いかな?あ、もちろんこれはトッティのだってちゃんと言うから!」
「残念だけど、それは無理だよ」
すぐに聞こえてきたトド松の声は、どこか闇を帯びた声音だった。
「えっ!?どうして!?」
「十四松兄さんは、ちょっとしばらくここにいて欲しいんだ」
ボクが振り向いたら、トド松はボクの方を見ていた。
ただ、トド松の笑顔はから、どことなく危ない感じがした。
「と、トド松!?」
「大丈夫だよ。朝みんなが起きるまでには、ちゃんと布団の方に戻しておくから」
それって・・・・・・監禁ってやつっすか!?
待って、兄弟同士で監禁ってそれってオッケーなの!?いやいやだめだよね!?いくら兄弟だからって部屋にずっと閉じ込めるのは絶対アウトだよ!!
・・・・・・もしかして、今までトド松をみんなで色々とイジってきたのが原因かな!?もしそうなら謝らなくちゃ!!
「ほ、ホントにごめんなさいトド松!今はボクしかいないから足りないかもしれないけれど、朝一番に兄さんたちと一緒に謝るから、お願い!今まで散々トド松の事をイジってごめんなさい!!」
「十四松兄さんは悪くないって言ってるよね?ぼくを散々いじめてきたのは他の兄さんたちであって、十四松兄さんはなあんにも悪くなんかないんだから」
「いや、でもボクだって兄さんたちと一緒に色々とトド松の邪魔してきちゃったし・・・・・・!」
「だから、十四松兄さんは、他の兄さんがやってることに合わせて、ちょっとはしゃいじゃっただけだよね?」
「ま、まあ確かにそうだけど・・・・・・」
「それに、これは兄さんたちに恨みがあってやった訳じゃないよ」
あ、それならよかった。
「個人的に、ぼくが兄さんを
待ってなんかすごくヤバそうな言葉が出てきたよ!?
「だから、朝まで、ずっとここにいてね?」
ねちっこく、歪んだ笑いと恍惚そうな表情を浮かべながら、ボクのもとに迫ってくるトド松。
ボクは生まれて初めて、トド松に恐怖を感じた。
(そうだ、扉・・・・・・!)
慌てて扉を開けようとするも、ぜんぜん開かない。
「もう、ぼくがそんなにぬるい失態を犯すと思ったの?ちゃんと鍵はかけておいたよ」
「じゃあ鍵ちょうだい!早くここから出して!!」
「ぼくはもう何年もこの時を待ってたんだよ?兄さんたちがいちゃあぼくは十四松兄さんと二人きりになれないから、逃がすつもりはないよ!」
「そんな。今までボクにだけはあまり嫌そうにしてこなかったのに、どうして今こんなことをするの。お願い。教えてよ、トド松」
思わず、本音が漏れ出てくる。
「あ~。小さい頃の十四松兄さんに戻っちゃったね。そんな気弱そうな口調と、泣きそうな声でそんなこと言わないでよ。いつもの兄さんはどこへ行っちゃったの」
いつの間にか、昔の自分が顔を出してたんだ。でも今はそんなこと気にすることもできない。こんなに精神的に危ない状況なんて、今まで感じたことはないよ。
「まあ、昔の優しいけれど気弱な兄さんも、今のぶっ飛んでるくらい明るくて無邪気な兄さんも好きだよ」
一瞬だけ、いつものトド松の笑顔に戻った、気がした。
「だって、どっちの兄さんも、『かわいい』から」
そう言って、トド松は、ボクに急に飛びついてきた。
「と、トド松、苦しい・・・・・・!!」
「ごめん・・・・・・でも、ぼくはずっとこの時を楽しみに、ここを作ったんだよ?お願いだから、もう少しぼくを楽しませてよ」
「なん・・・・・・で・・・・・・?なんでボクにこんなことを・・・・・・」
「何でって?それはね、かわいいものがぼくは好きだからだよ」
「説明になって・・・・・・ないよ、トド松・・・・・・」
「ぼくはかわいいものなら何でも自分だけのモノにしたいんだ。もう分かるよね?」
さっぱり分からない。それなら、物を集めるだけで十分じゃん。
「これでも分かんないんだ」
トド松はボクの心を読み取ったかのように、そう呟いた。
「じゃあ教えてあげるね」
そう言って、トド松はボクの耳元へ口を寄せて、こう囁いた。
「ぼくは、十四松兄さんも、コレクションの対象に入れてるんだ。このたくさんの小物やぬいぐるみたちと同様にね」
「十四松兄さんは、ぼくのコレクションの中でも最高のお気に入りだよ。だから、決してぼくから逃げないでね?」
その日から毎日、ボクは兄さんたちが寝てから秘密の地下室に連れられ、ひたすらトド松に抱きしめられるということをされている。そして、朝に兄さんたちが起きるまでに寝室に戻って、ほとんど寝られずに朝を過ごす、という事を、ずっと毎日繰り返されている。
一度トド松に、「兄弟じゃなくて、恋愛対象として見てるの?」と聞いたら、「何言ってるの兄さん。ぼくはただ最高のコレクションとして兄さんを見てるんだよ?」と返されてしまった。
兄さんたちや昼の日常は、あの日までとは全く変わっていない。だからこそ、余計に兄さんたちの日常を壊すまいと、必死に普段通りの生活をしようと努めてきた。
でも、夜はずっとトド松が抱きしめてくるせいで眠れないし、寝室へ戻っても少ししか寝る時間がなく、結局寝ずにみんなを大声で起こす、なんて日もあった。
トド松はいつもボクを抱きしめながら寝ているので、ボクみたいに寝不足にならず、ちゃんと朝になったら起きることができてる。
夜にずっと起こされているせいか、素振りをしている最中に寝こけて一松兄さんをバットごと落として気絶させてしまったり、朝になっても起きられず昼まで寝ていたり、昼寝をする回数が増えてしまったりと、生活に弊害が出てきてしまっている。
睡眠不足になっても、トド松は自分のことばかり気にして、ちっとも止めようとする気はない。
止めようとしても、泣いたり脅しをかけてきたりして、逃げたり兄さんたちに言うこともできない。
ボクはもう、八方塞がりだった。
それでもトド松に、ボクは手を上げることはできない。
だって、ボクの唯一の弟だから。
可愛い弟だから、兄さんのボクが我慢してあげなくちゃ。
誰か助けて。
一松兄さん。カラ松兄さん。おそ松兄さん。チョロ松兄さん。
ボクを
いかがでしたでしょうか・・・・・・。
スキッといきたかったのにどうしてこうなった・・・・・・。
トド松が明らかにヤバい人です。これがこの話のすべてです。
十四松はこの話の特性や作者のテンションが彼について行けないため抑え気味になってます。仕方ないんだよ・・・・・・彼がずっとハイテンションじゃあ話書けないから・・・・・・作風に合わないから・・・・・・。
いろいろな二次創作作品をネタに使っているので、もはや三次創作と言っても過言ではないかもしれませんが・・・・・・。
あ、ちなみに作中の「カオリちゃん」は、アニメ9話に出てきた十四松の彼女です。分かっていらっしゃる方もいるかも知れませんが。私が勝手に名前つけました。
十四松の「くん」時代の性格と「さん」の性格があまりにもかけ離れすぎているので(他の兄弟も変わってはいますが)、何かきっかけがあったんだろうなと思い、学生時代を創作しました。
一応ここでは中学生時代を変わり目に置いています。また、キャラの性格の変わり方がなんとなく色をイメージしたように見えたので、パーカーの色についても考察して書きました。
まあ私の個人的見解なので、気にしなくても結構ですが・・・・・・。
次回はあのお二人がメインです。
どのコンビになるかは、まあお楽しみということで。
次もまたゆっくり待っていてください!
2016/6/11 ご指摘があったため、少し後書きに変更を加えました。
2016/11/28 加筆修正しました。(話は変わりますが、私の中では「十四松くんは本当は賢いが、普段あえてそれを隠している」と思っているんですよね。それと同時に、「唯一の弟に当たるトド松の事は決して傷つけないし、兄たちより扱いは丁寧にしている」とも思っています。そこからだんだん妄想を膨らませて行くうちに、非常事態が起こったら狂人の仮面をぶん投げてトド松くんを全力で助けに行く、という場面が理想になり、末松好きになっていったんですよね・・・・・・まあこの話はそれとは全く違う方向に進んでいますが)