末っ子の独占欲   作:如月 冬花

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やっと更新できた・・・・・・。長かった・・・・・・。

はい。第3話完成しました。
途中気分がへこむこともありましたが、なんとかできました。

ということで、今回はあの二次創作で人気のあのコンビです。
あの二人はキャラが掴みにくかった・・・・・・。口調があってるかどうか、不安でいっぱいです。なにせ、アニメの方はあまり見ていなかったもので。
こんな作者でもよければ、どうぞ、お楽しみください。

今話から複数視点に変わります。


兄弟の陰り

~カラ松side~

 

 いつもと変わらぬはずの、兄弟の行動。オレたちはずっと6人一緒に過ごして、馬鹿なこともやってきた。

 そんな毎日に、異常が現れた。

 我が愛しの弟たちの一人、十四松が、最近トド松の事を避けようとしているのだ。

 いや、兄弟とあまり顔を合わせたがらなくなった、という方が正しいか。

 十四松は最近、無理をして元気そうな表情をしているようにしか見えない。

 その雰囲気には、オレにも覚えがある。オレも、無理をして笑うことは良くあることだ。

 昔相棒だった末弟に「イタい」と言われ、すぐ下の弟に「お前は何で生まれてきた!」と言われ、兄のあばらを折ってしまって心を痛めては十四松のパチンコ行きの乗り物にされ、一松に至っては暴行や脅迫は日常的だ。こんなハードな毎日では、鈍感なふりをしてやり過ごさないと、いつか兄弟に復讐したくなってしまう。兄弟、特に弟たちを傷つけるのはごめんだ。

 幸いにも、オレは学生の頃に演劇部でスターになるほどの演技力を持っている。辛いのを隠すのはもう得意技にまでなっている。

 だからこそ、演技力がオレ並には無いまま辛いことを隠そうとする十四松を見るたび、オレはもどかしくなる。一松がいつもよりイライラしてオレをサンドバッグのように扱うようになってきた、ということもあるが。

 

 十四松は昔から心優しかった。そして家族が平和のままであることを望んでいた。だからこそ、自分一人で抱え込んで、兄弟に相談せずに平和を守ろうとすることがよくあった。

 もしかしたら、オレたちが気づかない間に、オレたちが止めたのよりもひどいいじめに遭っていたのかもしれない。気づいたときには十四松はおかしくなっていた。ある時十四松を除いた兄弟たちでアルバムを見た時、高校1年生でそうなったことに、オレたちはやっと気づいた。

 なんで早く気づいてあげられなかったんだ、と、オレはあの後で自分を責めた。自分を責めてもどうにもならないことは重々承知しているし、他の兄弟も同じ事を思っていたのかもしれない。

 だからこそ、もう二度と十四松を一人にしない、何か変なことがあったらしっかり言わせよう、と思っていたのに。

 なあ、十四松。なんでおまえはいつも一人で抱え込もうとするんだ?

 もっと、兄弟を信用してくれよ。

 ・・・・・・いや、待て。トド松を怖がっていたということは・・・・・・。

 

 まさか・・・・・・。

 

 

 

~一松side~

 

 十四松が最近元気がない。

 だれが十四松から元気を奪いやがったんだ。ふざけんな見つけたら後でぶっ殺す。

 ああ、イライラする。こんな時にはクソ松を殴ってすっきりしよう。

「おい、クソ松。どこにいるんだ?」

 大声で呼んでも返事が来ない。こんな時にだんまりだあ?何やってんだよクソ松のくせに。

 あ、トド松がいた。クソ松の居場所を聞くのと一緒にイジって遊ぶか。

「おいトッティ、クソ松がどこ行ったか知ってるか?ってかそんなにゴロゴロするのが好きか」

「たぶんまた逆ナンされに橋の方へ行ったんじゃない?っていうかクソなのは一松兄さんのほうだよね」

 くっそ、無駄なのにやりに行くなんて、やっぱりクソ松はアホだ。・・・・・・おい、ちょっと待て。最後なんつった。

「誰がクソだって?」

「あ、普段なら自虐的に『へいへいどうせ俺はクソですよ』とか言ってるのに。やっぱりイライラしてる?」

「真面目に答えろ。正直に言うと俺は今クソ松を殴れなくてイライラしている。普段なら穏便に済ませられることも苛立ってくる。さっさと答えろ」

「おー怖。いいよ答えてあげるよ」

 

「一松兄さんって、いっつもぼくが女の子と関わろうとするたびに、下脱いでクソしようとしてるよね。そっちをクソと呼ばずしてイタ松兄さんをクソ松って呼ぶなんて、ホントに我が身を省みてない、って感じが見え見えだよ」

 うわ。これまでイジってきたツケが自分に返ってきちまった。っていうかその毒舌本当にどっから出てくるんだ。死ぬほどうらやましい」

「はあ~ホントに兄さんMなんだね。毒舌を自分から受けたがるなんて本当に気持ち悪」

「そんなこと言ってねえぞ。勝手に自分勝手に俺の言葉を解釈するな。ってかどこから聞いてた」

「ん~『その毒舌』って辺りから聞こえてたよ」

 後半ダダ漏れじゃねえか。

 あーもうこんな時こそ十四松の癒やしが欲しい。十四松がいなけりゃマジで死にたくなる。

「俺はもう行く。・・・・・・なあトッティ、最近十四松の元気がないけど、何か心当たりある?」

「う~ん・・・・・・知らないなあ。でも十四松兄さんの元気が無くなる事って前にもあったし、別に心配しなくても良いんじゃない?」

「そっか・・・・・・ありがとトッティ」

「いい加減その呼び名は止めてって言ってるのに・・・・・・」

 くっそ、手詰りだ。一体どうすりゃいいってんだよ。

 まあいい。とにかくクソ松を早く捜してサンドバッグにしよう。

 

 家を出ようとしたところで、チョロ松兄さんとおそ松兄さんにかち合った。

「どこへ行こうとするんだ?一松」

 チョロ松兄さんが聞いてきた。

「クソ松捜して殴ってくる」

「また?もういい加減機嫌悪くするたびにカラ松をサンドバッグにするのは止めろよ」

「あいつは何度殴ったり蹴ったりしてもキレないから大丈夫だろ」

「アホか!キレないからって甘えてたらそのうち本気でキレられるぞ!」

「まあまあその辺にしとけ」

 エキサイトしていた俺とチョロ松兄さんの間におそ松兄さんが入ってきた。

「何言ってんだよおそ松兄さん!僕は一松が心配で」

「前にも言ったろ?一松がカラ松に対して優しくすることはないって。言っても無駄だから今は下がっとけよ」

「・・・・・・おそ松兄さんがそう言うなら・・・・・・」

 チョロ松兄さんは引き下がっていった。

「ま、あいつの前ではああ言ったけどさ・・・・・・」

 おそ松兄さんが、俺をやけに引き締まった目つきで見てくる。

「何?まだ言いたいことあんの?」

「もうそろそろ、本気で、カラ松に突っかかるのは止めろよ?」

 はっ、結局そういうことか。でもなんで命令口調?

「あいつだってさ、結構我慢して、おれたちが仕掛けた待遇に黙って耐えてるんだぜ?それなのに一松はそれを良しとしてますますカラ松に辛く当たるから、そのうちカラ松本気でお前の事ボコボコにするぞ?」

「ヒヒッ。クソ松にボコボコにされる方がすっきりするから、大歓迎だけどね」

「うっわ本当にお前Mだなあ・・・・・・お兄ちゃんすごくカラ松のこと不憫だなあって思うよ」

「それトッティからも聞いた気がする・・・・・・。だけどクソ松の扱いが酷いのはおそ松兄さんも同じじゃん」

「おれはいーの長男だし。それにおれは裏でちゃんとカラ松を慰めてるんだからな?なんのアフターケアもしないお前とは違うからな?」

「クソ政権は変わりねえな・・・・・・。まあどっちにしろ、クソ松の本心が出れば俺はそれでいいんだから」

「・・・・・・お前、もしかしてそれ狙ってそうしてきたわけ?また随分と勝算の少ないギャンブルやってるねえ。金も増えないし」

 ああ、こんなところでおそ松兄さんと言い合うのは時間の無駄だ。さっさとクソ松を捜しに家を出なければ。

「行ってくる」

「おーい、一応もう一回言っとくぞ-!カラ松にはあんまり辛く当たるなよ-!」

 うっせえ。そんなことどうでもいいんだよ。

 

 中学校の頃のいじめは悲惨なものだった。

 十四松やトド松は殴る蹴るで済んだが、俺はそれだけでは無かった。

 当時、通っていた中学校には野良猫が住み着いていた。俺はそいつにチロルという名前をつけていた。チロルはとても可愛くて、他の兄弟たちと一緒に可愛がっていた。

 しかし、カラ松は平穏な学校生活をむちゃくちゃにする原因を作ってしまった。

 カラ松の演劇部初出演の舞台で、俺たちはカラ松に演劇の才能があったことに驚いたものだった。

 その時は、俺も他の兄弟たちと一緒にカラ松を応援していた。

 だが、カラ松が演劇部のスターになったときから、俺と十四松とトド松はいじめられるようになった。

 原因は知っていた。おそ松兄さんは喧嘩で恨みを買い、チョロ松兄さんは学校の不良を頻繁に取り締まっては不良の恨みを買っていた。そしてカラ松がスターになったことで、カラ松に女子の視線がごっそりと取られた。その三つの要因が、一気に弟の俺たちへの八つ当たりに向かっていった。

 俺たちは何もしていないのに、兄さんたちの買った恨みはどんどん俺たちへの暴力に変わっていってしまった。

 兄さんたちが止めてくれるときもあったが、完全に逆効果だった。余計俺たちにかかる暴力が増えるだけだった。

 だけど、暴力をどれだけ受けても、俺は心を完全に折られたりはしなかった。チロルが俺を慰めてくれていた。

 時々十四松やトド松と一緒に、チロルに慰めてもらうこともあった。

 しかし、そのほんのささやかな慰めも、やっぱりカラ松のせいで絶望に変えられてしまった。

 

 ある日のことだった。また俺は殴られまくっていた。

「くっそ、僕も強ければ、あんな奴に勝てるのに・・・・・・!」

 またいつものように、チロルがいるところに行った。

 しかし、その日は、チロルはそこにいなかった。

「えっ・・・・・・?どこ行ったの、チロル」

 学校中を探しても、チロルはどこにもいなかった。

「チロル!チロル!」

 そう叫びながら学校を走り回っていると、その日殴ってきた奴らが近づいてきた。

「こ、こっち来るな!」

「こっち来るなって、ひどいねえ。俺たちいい物持ってきてやったのに」

 そいつらの声を聞いた途端、悪寒が体中を駆け巡った。

「ほーら、お前が探してたのはこれだろ?」

 そう言って奴らの一人が、手に持っていたモノを叩きつけた。

 それが何なのか分かった瞬間、俺は泣き叫んだ。

 目の前に叩きつけられたのは、チロルが残酷に殺された後の、死体だった。

「チロル!そんな、チロル!!」

「はははは!あいつ、ただの野良猫に名前つけてたのかよ。チロルってだっせぇ名前だなあ」

 悔しかった。あいつらにとっては、ただの俺が可愛がっていた野良猫でも、俺にとっては癒やしの存在だったのに、あんなに悲惨な最期を迎えさせてしまったのが、すごく悔しかった。

「何でなんだよ・・・・・・。どうして僕たちにこんなことばかりするんだよ・・・・・・。僕たち何もしてないじゃないか・・・・・・」

「はあ!?お前の兄さんが悪いに決まってんだろ!あんだけ目立って俺らのオンナ奪いやがって!ふざけるのもほどほどにしろよ!」

 その言葉を聞いたとたん、俺はカラ松を本気で恨み始めた。

 演劇部で活躍し始めてから、カラ松はイタい言葉しか口に出さなくなった。本心も全然聞き出せなくなっていた。

 兄弟なのに本心を隠して、周りの興味を奪って俺や二人の弟に迷惑をかけるあいつが許せなくなった。

 その恨みを、全部、チロルを殺した奴らにぶつけることにした。

 痛みは恨みを増やす原動力。暴力は恨みを晴らす最高の手段。

 

 そんな確固とした考えが俺の中で固まった途端、俺の見る世界が変わった。

 

「あっははははは。よくも俺のチロルを殺したなあ・・・・・・!」

「だからなんだよ。弱いくせに」

()の恨みを、全部受けろよ」

 

 恨みを全部拳と蹴りに込めて、あいつらが謝っても徹底的に痛めつけてやった。

 時々反撃を受けるときもあったが、恨みが増えてますますハイになった。あいつらは完全に気味の悪いモノを見る目つきで俺を見てきたが、気分は完全に最高だった。

 全てが終わった頃に、やっとカラ松がやってきた。

「一松!大丈夫かって・・・・・・えっ・・・・・・?」

 顔が完全に判別つかない状況までやったからか、カラ松は呆然とした顔で俺を見つめていた。

「まさか、これ、お前が」

 その言葉さえ憎らしく、俺はカラ松を全力で殴った。

「お、落ち着け一松!なぜオレを殴るんだ!」

「お前なんかがいるから・・・・・・()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()!!」

「いきなり何を言うんだ一松!いやそれより、『兄さん』を付けるのが兄貴との約束だっただろ!」

「こんな所までおそ松兄さんが聞き耳立ててる訳無いし。つか、カラッポなオツムで俺たちに関わろうとかもうするんじゃねえぞ」

 そう言い放ってからはずっと、俺はクソ松を嫌っている。

 もちろんあいつが優しいのは知っている。その優しさに甘えてしまうときもある。だけどその優しさが、本気なのか演技なのか、それとも自分に酔っているだけなのかは俺には全く分からない。

 そんなことを考えると寒気が走る。

 だからこそ、俺はクソ松が嫌いだ。

 

 橋へ行くまでもなくクソ松は見つかった。俺が普段行って猫にご飯をやっている路地裏だ。

「クソ松そこで何やってんだ」

「ああ、一松か。今日もカラ松girlはシャイだった」

 最後まで言わすかバカヤロ。腹に蹴りを入れてやった。

「い、いきなりはダメだろマイブラザー・・・・・・。オレにも心の準備が・・・・・・」

 心の準備なんてさせてたまるか。いきなり蹴りつけたり殴りつけたりしてクソ松をキレさせるのが目的なんだぞ。それに今こっちは十四松が元気ないせいで、お前のうるせえカラッポな言葉なんか聞くのもイヤなんだよ!!

「待ってやるほど俺は心の余裕なんかないんだよ」

「・・・・・・やっぱり、十四松が原因なのか?」

「あん?」

「ここ最近、一松がオレに殴ったり蹴ったりする回数が増えてきただろう?その数日前から十四松が兄弟を避けるようになった。そうなると、一松の機嫌が悪くなったのは、十四松が元気じゃなくなったから、だろ・・・・・・?」

 完全解答だ。そこまで突き止めていたとは。

「ビ、ビンゴ~?」

 頭カラッポだと思っていたが、案外中身詰まってたんだな。

「・・・・・・当たり」

「そうか・・・・・・。なあ、一松」

「なんだよ」

 ここで一体何を言い出すんだ?

「オレは誰が十四松をあんな風にしたか、見当はついてるんだが・・・・・・聞きたいか?」

 は!?もうそんなところまで考えてたのかよ!普段底抜けのアホやってんのにどうしてこんな時には頭が回るんだよ!十四松がおかしくなった原因を突き止めてくれるなんてなんて優しくて良いやつなんだよ!俺もう惚れたよ!俺はもうカラ松boysになっちまったよお~!!!

 ・・・・・・はっ!何考えてたんだ俺。あいつが演劇部のスターだったのは嫌と言うほど知ってるだろ。演劇をやるときでもそれなりに頭を使うだろうからそれぐらいできても当たり前だむしろできない方がおかしい。

 でもその論理でいくと、俺はおかしい奴になるぞ・・・・・・?

「・・・・・・聞かせろ」

 ここは大人しく、カラ松の推理を黙って聞こう。

 

 

~カラ松side~

 

 一松が大人しくオレの言うことを聞くなんて、これ程珍しい事はもう二度と来ないかもしれない。いやそれはさすがに言い過ぎか。

 手当をするところまではさすがに無かったが、いろいろと暴言を吐かれたり暴行されるよりはましだろう。

「今帰ったぜ~、マイブラザー」

「・・・・・・ただいま」

「お~、意外と戻ってきたの早いなあ、一松~」

 そう言って玄関まで歩いてきたのは兄貴だった。その後ろからチョロ松がついてきている。

「うっわまたそれ一松にやられたのかよ」

「いや、まだこれは軽い方だ、おそ松。それにオレは頑丈だからな」

 そう応えるも、二人はまだ戻ってくれない。

「いやいやいや、いつもより怪我が軽いって言われても酷いことには変わりないし!一松おまえもういい加減にカラ松をボコるの止めろ!」

「・・・・・・」

「せめて何か言えよ!」

「・・・・・・十四松が元に戻ったら」

「は?十四松?なんで十四松が関わってくるんだよ」

 おい、チョロ松・・・・・・おまえ、もしかして気づいていないのか?

「・・・・・・チョロ松兄さん、もしかして、ここ最近の十四松の様子、よく分かってないの・・・・・・?」

 一松もほぼ同じ事を思っていたようだ。それにしても、チョロ松は鈍感過ぎないか?

「いつもと同じような様子だったじゃん。なんでよく分かってないとか訳分かんないこと言ってんの」

 確かに十四松は、なるべくいつもと同じような振る舞いをしようとしているようだが、明らかに無理をしている様子が丸わかりだr「クソ松もちゃんとしゃべれよ」

 しまった。つい一人だけで考え事をしてしまっていた。

「あ、ああ。オレが見たところでも、十四松は最近、みんなとあまり顔を合わせずにしようとするし、無理をして笑うことが多くなった。明らかにおかしいぞ」

 オレがそう言うと、チョロ松は首をかしげた。本当に心当たりが無いようだ。

「うーん・・・・・・そうなの?ねえおそ松兄さんはどう思ってるの」

「あ~おれパチンコ行く予定あったから今から行くわ」

「ちょっ、おいコラクソ長男待てーーーー!」

 兄貴はなぜかこのタイミングで家を出て、チョロ松が怒鳴りながら追いかけていった。

「ケッ。どうしようも無い兄たちだよホントに」

「・・・・・・それにはオレも含まれているのか?」

「お前はどうしようも無いを超えてる」

 それは良い意味なのか、悪い意味なのか・・・・・・。

「それで、さっきの続き」

「ん?何だ?」

「自分から振っといて忘れるなよ!お前十四松の元気を奪った奴に見当がついてるんだろ。ちゃんと答えろ嘘だと言ったらぶち殺すぞ!」

 ただでさえ日常的に半目で目つきが悪い一松の目が、オレを間近で睨みつけているせいでますます凶悪そうな目つきになっている。マジで怖い。

「分かった分かったちゃんと話すから取りあえず落ち着いてくれ!」

「ちっ、しゃーねぇ」

 なにはともあれ、一松の目つきが普段に戻った。よかった。

「んで、十四松を滅茶苦茶にした奴は誰だよ」

「ああ・・・・・・オレは、トド松じゃないかと思っている」

「トッティ?あいつそんな素振りしてなかっただろ」

「いや、十四松は最近、トド松を避けているようにオレには見えた。トド松が家にいるときは、夕方になるまでずっと出かけたままだし、トド松が出かけたときにはずっと家に引きこもっている。十四松の近くに一番いるおまえならすぐ分かるはずだろ?」

「は・・・・・・?何でそんな・・・・・・あ、俺最近は十四松の事ばかりずっと気がかりで、猫やお前以外の奴はほとんど気にしてなかったわ。もちろん十四松のことはずっと気にかけてたけど」

 Oh・・・・・・。一松、こんな時こそ他の人に注意を向けるべきだろうが・・・・・・。

 だがそれを安易に口にしようものなら、一松に酷い目に合うということも分かっている。誘拐されたときに石臼を投げてきたようなやつだ。ちゃんと学習しておかなければ、いつか本当に殺されてしまう。

「だから分からなかったのか」

「よりによってクソ松にその言葉を言われたのがムカつくけど、その通りだよ」

「とはいえ、なぜ十四松がああなったのか、原因は依然分からない」

「ま、この段階で原因が分かってたらこんな苦労はしないで済むから、仕方ないよ」

 そこで会話が途切れてしまい、数十秒間沈黙が場を支配する。

「おい、何か良いアイデアは無いのかよ」

「今の所無いな・・・・・・」

「おいふざけんな」

「し、仕方ないだろ!根本的な原因の糸口は全然分からないんだぞ!」

「せめて、十四松から聞き出すことができれば・・・・・・」

 そうか。その手があったか。

 いや、でも十四松はあれから、ほぼ兄弟全員に心を閉じている状態だ。そんな状態の十四松から、一体どうやって聞き出すんだ・・・・・・?

「・・・・・・オレたちが推理できる段階まで証言が得られれば、大丈夫じゃ無いか?」

「・・・・・・それはありかもね」

 おっ。一松から良い方の返答が来た。

「でも、今の段階でそこまで聞き出すのは無理だと思うけど。その点は一体どうすんの」

「そこは、オレたちの推理を十四松に聞いてもらって、オレたちを信用してもらうしか方法は無い。それ以外思いつく方法が他にあるか?」

「・・・・・・確かに、無い」

 よし、これでたぶん一松が暴走することは、しばらくは無いだろう。

「コレで決まりだな」

「聞き出すのはいつ」

「・・・・・・なるべくなら、オレと一松と十四松だけが家にいる時にしよう。トド松がいる時は論外だし、おそ松やチョロ松がいても十四松は本音を言わないだろう。父さんや母さんがいても、十四松は過剰に心配して話そうとはしないだろうしな」

「だろうと思った。クソ松と一緒でなきゃなんないのは癪だけど、これも十四松のためだ。我慢する」

「どこまでオレのことが嫌いなんだ・・・・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 十四松、すまない。どうかもう少しだけ、耐えてくれ。あともう少しで、お前を救えるかもしれないんだ。

 だから、その時が来たら、ちゃんと本音を話してくれ。

 もう、あの後悔はしたくないんだ。

 もう、お前を一人で壊れたままにはしたくないんだ。

 

 

 

 

~一松side~

 

 

 

 

 

 

 十四松。十四松。

 ごめん。気づいてあげられなくて。

 でも、もう俺が来るから、安心して。

 俺はずっと、おまえのそばにいるから。

 

『だから、僕に本音を言って』




いかがでしたでしょうか・・・・・・。

この二人ならこんな展開に至ってもおかしくはないとは思いましたがね・・・・・・。まあ、そこは私個人の見解ということで、許してください。

ということで、キャラの設定。

カラ松・・・・・・この作品ではアホではない。ちょっと鈍感なだけ。
      兄弟の扱いが若干不満(?)
      学生時代の事が原因で弟たちがおかしくなったことに後悔の思いを持っている。

一松・・・・・・十四松が元気じゃ無いといろいろ壊れてる。
     カラ松のことは全力で嫌っている。(今回は事情により協力)
     トド松のことはいい遊び(イジリ)相手と認識しているが、ちゃんと兄として、十四松ほどではなくても愛そうとは思っている。


なお今作では長男と三男の見せ場はなしです。話の進みでも入ってくる予定は入れてません。すみません。

今回は前回までよりアニメネタを多く入れてみました。もう本当にこの二人が関わりあうと面白い話が出てくる。たまんない。
とはいえ、次がこの二人の本番なので、期待して待っていてください!



・・・・・・とはいいましたが、次は一旦リフレッシュとして、自己満足の短編を書く予定です。
また長くお待たせすることになってしまうかもしれません。ごめんなさい。
それでは、次の投稿を、ゆっくり待っていてください!

2016/11/28 加筆修正しました。(話は変わりますが、今ではこの二人の関係性についても私のなかで別の解釈が生まれているんですよね・・・・・・。でもここではこの関係のまま書き続けなければならない・・・・・・難しいなあ)
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