クインヴェールの守護者   作:幻在

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『少年は歌姫の為に銃を撃つ』編
プロローグ、再開


ある、ドームで一つの試合が行われていた。

だがそれは既に決着寸前となっていた。

片方は少年で完璧にハンドガンと同じ形をしている煌型武装(ルークス)を、膝間付いている少女に向けている。

引き金を引けば勝ち。誰もが予想しえる状況だ。

少女は負けを覚悟し、瞳を瞑る。

だが・・・

「だめだ。やはり俺は君を撃てない」

そして、その煌型武装を自分の左胸に向ける。

「何を・・・・」

「解らない。屈辱だと思うなら、心から詫びるよ」

そして引き金を引き、自身の左胸にある校章を撃ち抜く。

そして、試合終了のアナウンスが入る。

「◯ ◯◯、校章破損(バッチブロークン)

機械音の声が無慈悲に少年の負けを告げる。

「勝者、◯◯◯◯◯・◯◯◯◯◯◯◯」

そして、少女の勝ちを告げた。

 

 

 

 

 

三日三晩、世界に降り注いだ落星雨(インベルティア)により、世界の有り様は変わった。

既存国家の衰退、統合企業財体の台頭、それに伴う倫理観の変貌。

隕石がもたらした万応素による新人類–––––つまり、『星脈世代(ジェネステラ)』の誕生。

それにより、クレーターで出来た湖の上に立つ、学園都市、『六花』、通称『アスタリスク』

そこは、数々の星脈世代たちが力を競い合う『星武祭(フェスタ)』が開催される街。

それが、『学戦都市アスタリスク』

 

 

 

 

 

 

 

アスタリスクの一端、再開発エリア。

そこに、一人の少年が、ごみ収集所のゴミをあさっていた。

「ないな~」

それは決してハイエナのような物ではない。

「お、あった」

どうやら見つけたようだ。

それは何かの電子端末のパーツと半透明の石、『マナダイト』だ。

マナダイトとは隕石から採取された石で、それは現代科学を大きく進歩させた代物だ。

「さて、他には・・・・」

またゴミをあさるが。

「今日はこの辺にしておくか」

そう言って去っていった。

 

 

 

彼の名は、『(ほむら) 村雨(むらさめ)

かつて、星導館学園の序列35位『工魔師(マジックツール)』と呼ばれていた少年だ。

今は、アスタリスクで一番治安の悪い『再開発エリア』に住んでいるゴロツキだ。

自室、といっても使われなくなった研究室(・・・)に住みついているだけなのだが、そこで煌型武装(ルークス)の研究及び開発を行っている。

着いたら被っていた昭和時代の帽子を脱ぎ、そこらにある机に置く。

「さて、今日も調整しますか」

機能は既に回復させているので、使われていた時と同等のペースを保っている。

そして、自身の煌型武装(ルークス)を取り出し、それをある場所に置く。

未だにキーボードオンリーの彼は、空中に浮き出たキーボードを素早く叩く。

普通、煌型武装(ルークス)は、オンにすれば、その武器部分が出現するのだが、彼の煌型武装(ルークス)は素材が全てレアメタルで、マガジンの種類によって効果が変わるものだった。

「よっし、調整終わり。さて、食い物の買い出しに行くか」

そうして、調整し終わった煌型武装(ルークス)を取り、出かけた。

 

 

 

 

商業エリアでの買い出しが終わり、帰路に着く村雨。

「なあ、ちょっとぐらい良いじゃんかよぉ」

近道に廃ビルの多い場所を歩いていると、不意にどこからか声が聞こえた。

その方へ行ってみると、四人の男が、一人の帽子を被った少女をナンパしていた。

(やれやれ、いつまでたってもこの光景はやまないな)

半ば呆れ、買い物袋をそこらに置き、少女に近付く。

「あーいたいた。探したよ」

少女は一旦首を傾げたが、直ぐに意図を察したのか、合わせ始めた。

「もう、どこにいってたの?」

とにかくこれで行けそうだが・・・

「誰だお前?」

「この娘の連れだよ。さ、行こう」

そのまま立ち去ろうとするが、不意に退路を塞がれる。

「ちょっと待ちな。彼女とはこれから用事があるんだ。だからお前がどっか行け」

内心、ですよねー、思ったが、直ぐに切り替え、こう反論する。

「いやいや、お前らがどっか行けよ。どうせナンパして朝まで帰さないつもりなんだろ?悪いがそうは行かねぇな。彼女が困るだろう?」

「は?んなもん知らねーよ。逆らってんじゃねーよ三下。それとも、俺がレヴォルフの序列十五位のバラン様って知っての事か?」

「だろうな」

「ああ!!」

村雨が嘲笑う。

「こう見えても情報は広い方なんだ。最近退学になったみたいだけど」

「テメェ・・・」

「あ、退学の理由は確か、麻薬を使っていた事だっけ?」

「テメェ!!」

バランとか名乗った男は、自分の大剣型の煌型武装(ルークス)を起動させ、一気に振り下ろす。

「避けれるか?」

「もちろん」

だがそれを少女と村雨は軽々と避け、攻撃を回避する。

「さっきから聞いてりゃぺらぺらぺらぺらと喋りやがって!お前ら!やっちまえ!」

バランの掛け声でゾロゾロと出てきた取り巻き達が煌型武装(ルークス)を起動する。

「なんかごめんね、巻き込んじゃって」

「いいよ、どうせ自分から巻き込まれに行く性格だから」

襲いかかってくる取り巻き。だが村雨は体術だけでそいつらをあしらう。

少女の方もあしらっている。どうやら相当の手練れのようだ。

まあ、騒ぎになる前に連れ去りたがったが、どうやらそうは行かないようだ。

「喰らえ!」

「甘い!」

一人が村雨の後ろを取るが、村雨が後ろ回し蹴りを食らわせ吹っ飛ばす。

「そこまで時間は掛けていられないか」

戦いは三分しか立っていないがそれでも警備隊が気づいても可笑しくない時間だ。

なので村雨は自分の煌型武装(ルークス)を腰のホルスターから抜いた。

「ハンドガン型煌型武装(ルークス)、HGRK弐式(にしき)

二つの内片方を抜いた村雨は右手に装備し、敵に向ける。

「意識消失」

引き金を引いた途端、銃を向けたゴロツキが音もなく倒れる。そして、ピクリとも動かなくなった。

そのまま、瞬足で動いて次々と倒していく。

少女は何が起きているのかわからず、唖然としているが、その間にも、どんどん倒れていくゴロツキ達。

「な、なんなんだよぉ!」

「俺の煌型武装(ルークス)の特性さ」

「ちくしょおおおおぉ!!」

バランは大剣を大きく掲げ、振り下ろそうとするが・・・

「遅い」

いつの間にか背後に回られ、そして意識を刈り取られた。

「まさか、殺してないよね?」

「当たり前だろ。ただ脳震盪を起こさせただけさ」

煌型武装(ルークス)をホルスターに戻し、少女の質問に返答する。

「脳震盪?どうやって?」

「それは・・・・!? やばい、もう来たようだ」

耳を澄ませば複数の足音が聞こえてきた。

「そのようだね・・・」

「じゃあ失礼」

「え?キャア!?」

不意を突かれて横抱き――――世間で言うお姫様抱っこ――――をする。

少女は若干顔を赤くしながらも、大人しく体を預けた。

「飛ぶぞ」

「うん・・・」

そして、星脈世代(ジェネステラ)の身体能力で跳躍する。

そして、空中で失速するが、足に万応素(プラーナ)を集中させ、再度跳躍する。

「これは・・・占星術・・?」

「ちょっと違うかな?」

そのまま人目に付かない場所まで飛び、少女を下す。

「ふう、ありがとね、助けてくれて」

「お安い御用だ」

少女は礼を言う。

「そう言えば、さっきあいつ等を昏倒させたアレは何?」

「ああ、あれか。あれは俺の煌型武装(ルークス)の特徴の一つで、入れてるマガジンで効果が変わるんだけど、あれは意識消失って言って三回の波を起こしてそれを敵に重なるようにして、それで大きな波を作って敵の脳を揺らしたんだ。相手にとっては、酷い酔いにあったのと同じだけどな」

「でもそれって正確な調整が必要だよね。まさか、その調節を自分でやっているって訳?」

「そ、だから結構難度の高い武器なんだ。なみの星脈世代(ジェネステラ)じゃ扱えないよ」

「ふーん」

少女は興味深そうに近寄る。が・・・

「あ・・・」

「え?」

つまずいた。そして村雨を巻き込んで倒れてしまった。

「いたた・・・だ、だいじょう・・・・ぶ?」

右手に何かとても柔らかい物がある。試しに二三回、揉んで見る。

「ふにゃ!?」

上から何やら短い悲鳴らしき物が聞こえたが、それでもなんなのかもう一度揉む。

「あ、にゃ、やめ」

「・・・・」

そこで理解する。

「・・・・殴れ」

「じゃあ、遠慮なく」

若干怒ったような声が聞こえたと思ったら、次に大きな悲鳴と共に頰に強烈な痛みが走って思いっきり吹っ飛ばされた。

「やーーーーーーーーーー!!!」

「ぐほぉ!?」

そのまま手すりに激突。クラクラする頭を抱えながら達上がるが、それでも強烈な一撃だった。

「〜〜〜!!」

「いや、その、なんか、ごめん・・・ごめんなさい!」

未だに顔を赤く染めてへたりこんでいる少女にまるでお手本顔負けのものすごく綺麗な土下座を披露する。

「も、もう良いよ!むー」

「いや、だけど・・・」

腕を胸の前で交差して隠していじける少女。

「と、取り敢えず・・・今日の所は帰った方が良いんじゃないかな?」

「そ、そうね・・・そうするよ・・・うん」

未だに顔が赤い少女は、そう言って立ち上がる。

「じゃあ、俺はこれで」

村雨はそう言ってビルから飛び降りた。そして、足に万応素を集中させ、また跳んだ。

(そういやあいつの顔、どっかで見た事あったような気がするが・・・気のせいか)

疑問は晴れぬまま、跳ぶ。

 

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