「村雨です」
「シルヴィアです!」
「今回でこの第一部は終わりか」
「次回から第二部が始まるんだよね」
そう、そしてこの回でのラストバトルをこうご期待だぜ!
「全く・・・まあ、これでシルヴィとの仲もばれるんだよな」
「私は別にどうでも良いけど」
「いや良くないだろ」
「私は良いの!村雨くんと一緒にいられるから」
「はあ・・・」
それじゃあ本編スタート!
「・・・・」
暗い、ここがどこなのかもわからない。背中になんの感触もない。
落ちているのか?いや、浮遊感はあるが風が無い。と言うか無重力の中にいるみたいだ。
『やれやれ、まだ眠っているのか?いい加減起きたらどうだ?主よ』
目の前に瑠璃色の着物を着た童女が現れる。
「うるせえ・・・起きようにも動けないんだ・・・」
『だからってあきらめるのか?』
「そんな訳あるか・・・なんとか起きてみるさ」
『外はいろいろと騒がしいようだぞ。あの女、結構な有名人みたいだからな』
「当たり前だ。あいつは世界一のトップアイドルだぞ。そいつと俺が付き合ってんだ。騒がねぇほうがおかしい」
『だろうな・・・・だけど、あいつはなんだか苦しそうだぞ?』
「なんだと?」
『どうやら記者会見たるものをやるみたいだが・・・・記者どもの眼が彼女にはキツイのだろう・・・今にも泣きだしそうだ』
「おい待て、シルヴィが泣いたら泣かせた奴と少しOHANASIするが、なんでお前が会場の様子を知っている?」
『なんだか、村雨くんの代わりに一緒にいて、とか言う台詞を言うもんだから、ちょいと懐に隠れているのだ』
「まじかよ・・・・」
『そろそろ起きないと、まずい事になりそうだがな』
「え?」
『何やら危険な奴が紛れ込んでいる』
今にも記者たちのプレッシャーに押しつぶされそうだ・・・・
「それで・・・彼と付き合い始めたのは三週間前と、間違いありませんね?」
「はい」
女性の冷淡な声。
もう、帰りたい・・・・帰って村雨の様子を見たい。
シルヴィアの心はそれしか無かった。
「これからはどうするつもりなんですか?」
「それは・・・!?」
いきなり懐からせめて気休めにと持ってきた
そこへ何かが飛んでくる。
「何!?」
それは槍、しかも何か紐に繋がれており、巻き戻される。
「誰!」
それはスーツを着込んだ男性だった。
あたりはざわつき、一瞬でその男性に視線が集まる。
「やれやれ、せめて一撃で済ませたかったのだが・・・仕方がない」
男は跳びシルヴィアの三メートルほど離れた距離で着地する。
「もう一度聞きます、貴方は誰ですか?」
男は答える。
「俺は
「え!?」
会見に来ていた記者たちは一斉に驚く。
「そしてシルヴィア・リューネハイム。お前に一つ、焔家から要求がある」
「・・・・なんでしょう?」
「焔 村雨と別れろ」
「それはできません」
即答。シルヴィアははなから村雨と別れる気は毛頭ないのだ。
「何故だ」
「私は村雨くんが好きです。この気持ちだけは変わらない。絶対に変わらない。だから、その要求を呑むつもりなど毛頭ありません」
その答えを聞いた竜宮は頭を少し抱えた。
「穏便に済ませようと思っていたんだが・・・」
やがて竜宮は槍型の
「やはり力尽くでやらせる」
「やれるものならやってみなさい!」
竜宮が突っ込む。
「ハア!」
「!?」
いきなりほぼ同時、いや、全く同時に繰り出された三連突きを起動した煌式武装でなんとか凌ぐ。
「まだまだ行くぞ」
今度は満月を描くような回転しながらの薙ぎ払い。
シルヴィアはそれを飛んで回避するが・・・・
「甘いな」
「!?」
空中に浮いた一瞬の隙を突かれたシルヴィアの腹に槍の先が突き刺さる・・・・・かに思えた。
「む?」
「あ!?」
シルヴィアと竜宮の槍の間に挟まるように、黄昏の神剣が割り込んでいた。
「その
「その・・・とおりよ!」
黄昏の神剣が槍を弾く。そこに剣型の
「無駄だ」
と、そこで竜宮が槍を手放した。
「え・・・?」
そこへ襟元を掴まれ、背負い投げで投げられる。
さらに腹部へ衝撃が加わる。
「あ、あぐ・・・」
背中からの衝撃により、空気が吐き出され、腹部のダメージでとどめをさされる。
放った順から技名を言うと。
焔流槍術初段、
同じく中段、
同じく中段、
焔流戦闘術中段、
「う、うう・・・」
「おわりだ」
「まだ・・・だ・・よ・・・」
「?・・・・!、しまった!」
竜宮がシルヴィアに気を取られている隙に黄昏の神剣が背後から突進してくる。
竜宮は何とか避けたものの、黄昏の神剣はすぐに方向変換し、竜宮に斬りかかる。
「ぐ、この!」
それから何回も斬りかかり、竜宮を攻撃をしている間に、シルヴィアは呼吸を整え、『歌う』。
「な!?」
会場の椅子が全て浮き上がり、一斉に竜宮に襲い掛かる。
だが・・・
竜宮が恐ろしいスピードで槍を突きまくる。
「嘘・・・」
それらは一秒も立たずして全ての椅子が切り伏せられる。
いくら歌で万物万象を操る力を持つとはいえ、ここには大量の記者たちがいる。そこまで大規模な攻撃はできない。
「周りに人がいなければ、お前ももうちょっと本気を出せたかもな」
「!?」
さらにものすごいスピードでシルヴィアに急接近し、首を片手で掴み持ち上げる。
「あ、ああ・・・・」
「終わりだ。さあ、村雨と別れろ。そして今後一切奴とは会わないと言え」
黄昏の神剣がシルヴィアを助けるべく竜宮に斬りかかろうとするが。
「動くな。さもなければこいつを殺す」
それを聞いた黄昏の神剣は止まった。
「さあ、言え。奴と別れると」
そんなもの、決まっている。
「絶対・・・いやだ・・・・」
「そうか」
竜宮が、槍を刃がついていない方をシルヴィアに向け、腹を突こうとする構えをとる。
(村雨くん!)
シルヴィアは目を瞑り、ただ心の中で最愛の人の名を呼ぶ。
そして、いざ槍がシルヴィアを突こうとした時・・・
「焔流戦闘術極段、
今、もっとも聞きたかった人の声と共に、竜宮が吹っ飛んだ。
「あ・・・」
シルヴィアは目を見開き、そして、歓喜に満ち溢れた。
こげ茶色の髪、樹海の様に深い緑の眼。
間違いない。この少年は・・・
「村雨くん」
焔 村雨だった。
「てめぇ・・・俺の恋人に何してんだァ!!」
『やれやれ、やっと来たか』
「悪い、遅くなった」
村雨は今、ジーンズにジャケットと言った服だが、それでも、病院からこの会場までは結構の距離がある。
ではどうやってついたのか?
簡単だ。
バイクを盗んだ。(後でちゃんと返しました)
村雨は
不意に後ろから、どん、と何かがぶつかってきた音と衝撃がくる。
「シルヴィ・・・」
「おかえりなさい」
「・・・ただいま」
竜宮が出てくる。
「貴様・・・・」
「おーおー、頑丈な事で、結構強めに殴ったつもりだったんだがな」
「黙れ、貴様如きが幸せを手に入れるなど、あってはならないのだ」
「人は誰しも幸せになってもいいはずだ。お前はそれを否定するのか?」
「貴様のような凡才が、一族から出たと知られれば評価に傷がつく」
「だから学校に圧力をかけたのか?いくら銀河の幹部であるあの
その途端、ブチッと、何かがちぎれるような音がした。
「我らが
竜宮が猛進してくる。そして槍を振り上げ、振り下ろす。
村雨はそれを黄昏の神剣で受け止める。
「下がってろシルヴィ!」
「わかった!」
村雨は竜宮を弾く。
「
『わかっておる!』
「我が内なる剣を持って、汝が秘められし力を開放する!」
剣と一体化し、義眼を開放する。
眠っている間に、ある交渉をした。
「なあ
『なんだ?』
「少し、代償を変えてもらいたいんだが・・・」
『ほう?生命力から何に変えるというんだ?』
「ああ、俺のシルヴィへの『愛』を代償にしてほしい」
『は?』
「だめか?」
『く、くく、あははははは!!面白いやつだな!お前はよう!いいだろう、お前の愛は本物だ。これからの妾への代償は』
『本当に愛している者への、絶え無き愛情だ』
「さあ、竜宮。やろうぜ」
「貴様のような、弱者にこの俺が負けるかぁ!」
竜宮がイノシシの如き突進を仕掛けるが、それは無駄なあがきだ。
「焔流剣術初段、
「な!?」
弧を描くような剣の軌跡が竜宮の槍をそらす。そこへすかさず肘打ちを喰らわす。
「ぐあ!?」
「焔流剣術上段、九尾!」
更にそこへほぼ同時に繰り出される九連撃が襲い掛かる。
「なめるなぁ!」
だが竜宮はすかさず体制を立て直し迎撃。
だがそれでは終わらない。
「焔流剣術上段、蜘蛛ノ太刀」
八方からの連撃。
竜宮はそれをとんで回避する。
だが・・・・
「焔流剣術上段、時雨」
上段から切り下げる攻撃が竜宮を叩き落す。
「ぐは!?・・・何故、お前が上段を使える!?」
「見て覚えたんだよ。俺の記憶力なめんな」
「貴様が如きがぁぁぁぁ!」
竜宮が連続で突きを放つが、村雨はそれを全てあしらう。
「貴様が・・・・貴様如きが・・・幸せになれるものかぁぁぁぁぁ!!」
「俺の生き方に」
「!?」
村雨が攻撃に転じる。それは居合。
だが、この前放ったものでは無い。
「勝手に口を出すんじゃねぇよ」
抜く。
これは、巌流と呼ばれる、とある武人が得意とする、奥義。
「秘剣、燕返し」
燕を斬るが如きの鞘無しの居合。
「な・・・に!?」
「さようなら
そして、突きの構えに移る。
そして、
『やるぞ、主よ』
「おう」
「『
己の限界を超える、
使用者と一体化し、思考のみで体を動かすのが黄昏の神剣の能力だが、
この第二の能力は、己にかかる
それは、本当に愛している人に注ぐ『愛情』。
それは、一見簡単そうに見えて、実はとても難しい。
仮に、それを使うために恋人を作ったとしても、別れてしまえばそれだけの話だ。
だからこそ、シルヴィアを心から愛している村雨にしか、使えない究極の身体強化能力。
その力は、並みの
「焔流剣術極段、獄龍羅刹」
焔流の剣術は速さを求める剣術。
その中で最速と言われる、縦、横、突き、居合、裏の五つの剣技が一つ、『獄龍羅刹』。
その技により、竜宮は吹っ飛ぶ。
「村雨くん」
シルヴィが駆け寄る。
「・・・遅くなってごめん」
「いいよ。ちゃんと、帰ってきてくれたから」
二人はしばし見つめあうと、村雨が視線を外す。
そして、マイクを一つ手に取り、こう言った。
「先ほどは、内の身内が失礼をいたしました。その事についてはお詫びします」
記者たちに謝罪し、そして、次の言葉をはく。
「そして、俺が、シルヴィ・・・シルヴィア・リューネハイムと付き合っている焔 村雨です。ここから先は、俺の勝手な演説をしてから、質問をしてください」
そして、村雨は語りだす。
「まず言っておきますが、俺は彼女と別れるつもりなどありません」
会場がどよめく。だが村雨はそんな事気にもせず続ける。
「俺は確かに、
一つ間を置き、そして言い放つ。
「彼女のアイドルとしての活動はやめさせねぇ。俺の為だけにやめるなんて自分が許せねぇ。それでも俺は彼女と別れない。俺から奪うなら奪ってみろ。俺は真正面から受けて立つ。だからこそ・・・」
「俺が彼女を幸せにする」
そこからは、村雨への質問はたった一つだった。
「本当に彼女を幸せにするか?」
それは、一人の男のフリージャーナリストだ。
その言葉に村雨は、簡潔に、ただはっきりと、力強く。
「はい」
そう答えた。
そのジャーナリストは、それを聞くと、満足したように笑い。
「結構」
と、そう答えた。
「ありがとう」
「どういたしまして」
シルヴィアが乗ってきた車の中で、シルヴィアは村雨にお礼を言った。
「もう、君があそこで来てくれなきゃ気絶してたところだよ」
「まあ、間に合ったのも、こいつのおかげかな」
そう言って、村雨は黄昏の神剣の収納体が入った場所に手を当てる。
「でも、嬉しかったな。君があんな事言ってくれて」
「悪い少し恥ずかしいから言わないでくれる?記憶にとどめてくれるだけで良いから」
「むー、いいじゃない」
そして、笑う。
「あー、良い雰囲気な所申し訳ありませんが、少しいいでしょうか?」
「「!?」」
ペトラに間をさされ、赤面する二人。
「す、すみません・・・」
「はあ、とにかく、貴方はシルヴィアと別れる気はないと。それでも彼女にはアイドルとして活躍して欲しい」
「矛盾した事言ってすみません」
「とにかく、今後の事は、世間の反応に任せますが・・・・そこで一つ提案があります」
「・・・なんでしょう?」
村雨は真剣な顔になり、ペトラを見る。
「クインヴェール女学院に転入してもらいたいのです」
「は・・・・・?」
爆弾を投下した。
村雨はポカンと
「いや、あの、なんで?」
「口止めと思って貰っても構いません。とにかく、貴方はシルヴィア・リューネハイムの恋人として、世間が注目するでしょう。ですから、我が学園ならそれが少しは改善されるかもしれないというわけです」
「いやいやいや、そもそも俺『男』ですよ!?男が女しかいないクインヴェールに入学するって前代未聞っすよ!?」
「それでも、シルヴィアと過ごす時間が長くなると思いますが?」
「ぐ・・・」
痛い所をついてくるなこの人!
と心で愚痴りながらも、耐える村雨。
「それに、可能な範囲なら、焔家の圧力に耐えれるかと」
「!?」
焔家の現当主は世界に影響を与える人物だ。
その圧力が少しでも和らぐならこんな美味しい話はない。
村雨は考え込む。
「・・・・」
「悪い話じゃ、ないと思うのでうすが?」
「村雨くん・・・」
シルヴィアが心配そうに村雨を見る。
「・・・・
「ええ、そこまで保証は出来ませんが、貴方のような技術者が欲しいくらいです」
「・・・・」
シルヴィアの方を見て、やがて決心する。
(シルヴィの為だ。それに、あそこは危険だ)
いつ焔家の人間が攻めて来るかわからないし、クインヴェールなら、少なくとも、
「良いでしょう。クインヴェールに入学しましょう」
次回!
「今日からこのクインヴェールの生徒として一緒に学ぶ焔 村雨くんだ」
「よろしく」
とうとうクインヴェールに転入した村雨。
その初日は質問攻めの嵐!
「兄上!」
「春雨!?」
そこで唯一の家族、春雨と再開する。
そして・・・
「勝負ですわ!」
「わかったよ・・・」
先輩から決闘を申し込まれる。
「村雨くんに勝てる訳ないのに」
「ハアアァァア!!」
「面白いな、ここは」
第二部、『クインヴェールの守護者』編
次回をお楽しみに!