「アスタリスクって何コーナー!」
「なんかコロコロ変わるな!?」
「今回は、アスタリスクについて説明して、村雨くんお願い!」
「俺!?はあ、簡潔に説明するぞ。
アスタリスクってのは、日本に出来た巨大なクレーター湖にできた水上学園都市『六花』の通称だ。
そこには、世界各国から集まった
「なんで、六花って呼ぶの?」
「たぶん、学園が六つあるからじゃないか?まず、アスタリスク唯一の女子高、クインヴェール女学院、
「へえ」
「こんなもんでいいだろう。それでは、本編をどうぞ」
村雨は珍しく商業エリアに一人で来ていた。
ジャンクショップに行くためだ。
そこで、銃のジャンクパーツなどを買い、外に出た。
「ふう、高かった・・・」
などと、千円がなくなった財布を覗く。
「はあ・・・・」
ため息をつく。
そこらを歩いていると不意に・・・・
ガン
「ギャア!?」
いきなり頭に何かが当たる。
「いっつつ・・・なんだ?」
それはジュラルミンケースだった。
しかも浮いている。
「な・・・浮いている・・・」
「すまないな君」
「ん?」
村雨の前に浮いているジュラルミンケースを無理矢理取っ捕まえる謎の白コートの男。しかもサングラスをかけている。
「だれですかあんた?」
「いや、ただの通りすがりだ・・・うお!?」
また飛んでくる。
「焔流戦闘術初段、直突き!」
それを村雨が正拳突きを食らわして吹っ飛ばす。
だがそれでも向かってくる。
「なんなんだこのケース!」
「まさか・・・ちょっと来てくれ」
「え?ちょ!?なに!?」
男に手を引っ張られ、ジュラルミンケースも一緒に路地裏に入る。
「誰なんだ本当に」
「すまない、俺は
香坂落星研究所。それは落星工学ではあまり聞かない研究所だ。
未だにジュラルミンケースは村雨の側で浮いているが。
「ん?落星・・・まさかこれ、
「そうだ。どうやらこいつはお前を気に入ったみたいだが」
ルーディがケースを取っ掴み、無理矢理開ける。
そこには、瑠璃色の
そしてそれが村雨に突っ込む。
「痛!?」
それが顔面にヒット。
顔を抑える村雨。
「すまない。どうも強力なウルム・マナダイトを使っているみたいでな。こうも勝手に動くことが少なくないんだ」
「そ、そうっすか・・・・しかしこれ、一体なんの純星煌式武装なんだ?」
村雨がそれを掴み、試しに発動してみる。
「!?」
それは剣だった。
黒い柄に瑠璃色の鍔。半透明だった刃が瑠璃色に輝きだし、やがて刀サイズの大きさになる。
「け、剣・・・」
「ふむ・・・星導館に届けるつもりがまさかここで適合者が見つかるとは・・・連絡しないと」
「あの、返します」
いきなり村雨が瑠璃色の剣を収納体に戻し、差し出す。
「む?何故だ?」
「・・・・・俺の苗字は焔なんです」
「ほう・・・あの焔家の」
「俺、そこで、剣術を続けていたせいで、親、失ったんです。見方を変えれば、妹もなんですが・・」
村雨の声が落ち込んでいく。
「それで、もう剣は握らないって決めたんです。なので・・・」
「どうして向き合わない?」
「え?」
いきなり、ルーディが村雨の言葉を遮る。
「何故、過去と向き合わない。たとえ家族を失っても、どうして続けようと思わない?」
「そ、それは・・・」
「俺には、お前を押す事は出来ないが、まあ、今はそいつといてやれ。住所を知りたいんだが・・・」
「・・・・これです」
「ほう、再開発エリアか・・・それほど危険なところには住んでいないみたいだが・・・その内、データ収集のために回収しにくる。それまでは少しの間だけ一緒にいてやれ。それじゃあ」
ルーディはそのまま立ち去る。が・・・
「まあ、自分の為すべき事を見つければ、いずれ、そいつを振るう時が来るだろう。それと、そいつの名前は『
最後にそい言い残し、ルーディは去った。
「・・・・・」
村雨は周りを楽しそうに飛ぶ黄昏の神剣をながめ、やがて諦めるかのように、それを仕舞ってホームに帰った。
一人の少年が、とある道場の外で素振りをしていた。
「九百九十五・・・九百九十六・・・九百九十七・・・」
その顔には大量の汗が流れ、手にも汗が流れていた。
それに、少年の眼も、半ばながら虚ろだった。
道場の中では、活気の良い掛け声と、木刀を打ち合わせるような音が、いくつも聞こえる。
「九百九十八・・・九百九十九・・・・千!!」
そして、やっと休憩できるかのように、脱力した。
「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
木刀を杖代わりになんとか態勢を保ち、荒い息を吐く。
「兄上・・・」
と、道場の玄関の方から、黒髪の少女が近づいてきた。
年は、少年より下だ。
「・・・どうしたんだ?春雨」
少女、春雨は心配そうに、少年を見る。
「大丈夫ですか?」
「心配するな。それにお前も、俺といると、また怒られるぞ」
「し、しかし・・・」
「いいから、才能のあるお前が、こんな凡才と一緒にいると、十分に力を発揮できないだろう。さあ、お行き」
少年は、まだ幼い春雨にやさしく接する。
「・・・はい」
春雨は悔しそうな顔を浮かべると、大人しく、道場の中に入っていった。
「それでいい。それで・・・」
少年は、そんな後ろ姿を見て、微笑む。
そして、今度は・・・・
「なんで・・・・」
目の前に赤い液体が広がる。
それは、倒れている男女を中心に、広がっている。
「あ・・・ああ・・・」
それを見ている少年は、怯えながら後ずさる。
その先には、複数の人影。
その内の一人が、女と思われる影が少年にたった一蹴りで少年との間合いを詰める。
「ひ!?」
「くたばれ」
瞬時に思いっきり下がったが、左目に鋭い痛みが走る。
「があああああああああああああああああああああああああ!!!??」
下がる前に、女の小太刀が左目に突き刺さり、下がった事で思いっきり抜けたのだ。
(痛い、痛い!痛い痛い痛い痛い痛い!!)
必死に左目を抑え、立って走りだそうとするが、立った瞬間正面から強烈な衝撃がはしる。
それのおかげで立つ事が出来なくなる。
「あ・・・があ・・・」
そして、集団の一人が、倒れている少年の横に立ち、野太刀を振り上げる。
それが、今にも振り下ろされそうになった瞬間。
「やめてください!」
一人の少女が少年を庇うように覆いかぶさる。
「はる・・・さめ・・・」
「お許し下さい!私が貴方がたの召使いでも奴隷にでもなんにでもなりますから、どうか兄の命だけはお助け下さい!」
だが男は冷酷な目で春雨を睨む。
「だめだ。そいつは我が一族の恥だ。早急に殺さなくてはな」
「なら・・私もいっしょに死にます!」
「ほう・・・自らの才を投げ出して、その愚か者と一緒に地獄に堕ちるとでもいうのか?」
「その通りでございます。私は家族がいなければ生きていく事は出来ません。ですので、今この場を生き延びられたとしても、崖から落ちるなり、包丁を心臓に突き刺すなりして後を追います!」
春雨は必死に訴える。
「・・・ふん。〇〇、今回はお前の妹に免じて命だけは助けてやろう。だが、その目が治ったら直ぐにここから出て行ってもらおうか」
そう言い、男たちは去っていく。
「ぐ、うう・・・」
「!?兄上!兄上!」
「もう剣は握らない」
「・・・」
病院で、少年はそんな事を言った。
春雨は何も言わない。
解っていたことだ。今頃言っても仕方がないだろう。
「俺、アスタリスクって所に行ってみようかと思っているんだ」
「アスタリスク・・・ですか?」
「ああ、そこで勝って来れば、少しは、銃でも認めて貰えるかなって思ってな」
弱弱しく、力なく笑う兄の姿に、春雨は、悔しそうに俯く。
「心配すんなよ。先生にもらった義眼もあるし、楽勝だって」
「で、ですが・・・」
「大丈夫。勝って戻ってくるから。約束だ」
「あんな約束したのにな・・・」
夜、ホームのベッドに一人、寂しく天井を見上げる村雨。
「あの約束より、シルヴィの事を優先しちまったし、どうしよっかなぁ・・・」
ふと、村雨の目の前を、何かが通る。
「・・・・おい
すると、黄昏の神剣は大人しく、作業台の上に降りた。
「ふう・・・」
瞼を閉じ、少し、思った。
(この事を話したら、シルヴィはどう思うのだろうな)
そして、ゆっくりと、意識を手放した。
土曜日、シルヴィアが遊びに来た。それも日の出前。
「・・・・早いな」
「だって、明日からまた仕事が入るし、当然じゃん」
シルヴィアはいつものように変装をしてきていた。
「今日は何の用だ?デートの約束じゃないし、学校の方でも何かあるんじゃないのか?」
「今日は村雨くんと日の出を見ようと思って」
「それ大晦日の時の方がいいんじゃ・・・」
「いいの!またいつ君とあえるか解んないからこうしてきたの!ささ、行こう!」
「お、おい!」
シルヴィアは村雨の手をとり、走り出す。
村雨はワイシャツを着ているとはいえ、眠そうだが彼女からのせっかくの誘いだ。あまり断る訳にもいかないだろう。
屋上につき、水平線が見える所まで来た。
「わあ、そろそろ出そうだよ!」
「そうだな」
シルヴィアと眺め、村雨はふと思った。
「村雨くん?どうしたの?」
シルヴィアが顔を覗いてくる。
「あ、いや、なんでもないよ」
「じゃあさっきから村雨くんの後ろを飛び回ってる純星煌式武装はなに?」
「え?」
振り向くとそこにはまるで気付いてくれと呼び掛けているかのように飛び回っている『
「な!?お前!?」
村雨は慌ててそれを掴み、しまう。
「それどうしたの?」
「ああ、いや、その・・・」
「それ、持ってると
「わ、解ってるけど・・・」
「誰からもらったの?」
村雨に詰め寄るシルヴィア。
そして村雨は観念するように口を開いた。
「・・・貰ったんだ。なんでか知らんけど、適合したみたいで、それでそのまま貰っちまったんだ」
「だれに?」
「確か香坂落星研究所・・・だったっけ?そこで作られたものみたいなんだが、そこの研究員にあって、それでこいつがどうしても俺から離れないから、それで貰っちゃったんだ」
「そう・・・なんだ」
いぶかしむように睨むシルヴィア。
「でも・・・俺にこいつを振ることなんて・・・出来ない」
「え?」
村雨の表情が暗くなる。
「前にも言ったけど、俺が才能が無いのに剣術を続けていたから両親が死んで、妹と引き離されて、そして左目を失った。俺は、俺が剣術を続ければ、いずれ誰かが不幸なってしまうんじゃないかと思って、剣を投げたんだ。だから、剣のこいつを握りたくない。俺がこいつを使ったら、今度はお前が不幸になるんじゃないかと思ったんだ」
右手を握り絞める。
「だから俺は剣を・・・」
「逃げるの?」
「え?」
「同じことの為に、また逃げるの?そんなの、村雨くんらしくない」
シルヴィアは真剣な表情で村雨を見つめる。
「付き合いは短いけど、私の知ってる村雨くんは、強くて、危険で、目が離せなくて、それでいて命に関わるような責任の取り方をする。でも、村雨くんはどんな時だって、それがとても重要で、危険な事なら、逃げようとしなかった。でも、今の村雨くんは逃げてる。どうして戦おうとしないの?どうしてその子と向き合おうとしないの?」
「そ、それは・・・」
「家族だって、そんな村雨くん見たくないと思うよ。もし、辛いなら」
シルヴィアが村雨の手を引っ張り、頭に腕を回す。
「うお!?」
そして、自分の胸へいざなう。
「私が、支えてあげる」
その瞬間、村雨の中で何かが弾けた。
「君は一人じゃない。少なくとも、私がいる。どんなに辛くても、どんなに苦しくても、私がいつだって、君を支えるよ。辛い事、悲しい事、悔しかった事全部、私も一緒に背負うから。だから、聞いて」
村雨を腕から解放し、少し離れる。
そして・・・・
村雨の心が、安らいだ。
それは、とあるテンポと、歌声によって生み出される、シルヴィアの歌。
その歌に呼応するように、彼女の
それは村雨を包み、心地良い風が吹く。
自然と、村雨の
瞬間、歌がより、鮮明に、より、はっきりと、その声音が鼓膜の芯にまで響く。
まるで、彼女が、美しい音楽を奏でる楽器と、彼がそれをより鮮明に拡声する拡声器の様に・・・・
『
気付けば、歌は終わっていた。
そして、シルヴィアが語り掛けてくる。
「村雨くんは、弱くないよ。ただ、その家の人たちより、才能が無いだけ」
シルヴィアが、両手で村雨の顔を挟む。
「シルヴィ・・・」
「だから・・・向き合って、逃げないで」
「・・・・ありがとう」
村雨は笑った。
やがて、二人の顔が近付き、触れる。
この日、村雨は心から幸せを感じた。
日曜日、早朝。
村雨は、人気の無い、廃ビルに来ていた。
その後ろからは、気配が二つ。
「今回はお前らが相手か、どうやら、リーダーは生徒会と影星の相手で忙しいみたいだな」
村雨が変装を解き、振り向く。そして、柱の陰から、二人ほど男が出てくる。
「久しぶりだな、
その服装は星導館学園の制服にその左胸には不撓の象徴たる『赤蓮』の校章があった。
「よお、元気そうにしてんじゃんか、裏切り者」
「そうですねぇ、貴様のような弱者には、すぐにあの世に行ってもらわないと」
「そうかよ。ま、俺はお前らほど、弱くは無いけどな」
正人と輝の挑発を軽く受け流し、逆に挑発する。
「ッ、いいだろう。じゃあここでくたばれ、村雨!」
正人が槍型の
「はっはー!さあ!死ねぇ!」
その槍で村雨を攻撃する。だが・・・
「
「な!?」
その槍は何かに弾き飛ばされた。それは、村雨の背後から現れた。
「こ、こいつは!?」
それは、空中に浮いている瑠璃色の光の刀身を持った、剣だった。
「
「そうだ」
その剣、黄昏の神剣は村雨の元にゆっくりと向かい、村雨がその柄を掴む。
「テメェ、
「研究所にはしっかりと許可を貰った。まあ、ほぼ強制的にだが・・・」
「ふざけるな!お前如きに、純星煌式武装を・・・剣を振れるかぁ!」
正人が槍を突いてくる。
「そうさ・・・俺に、
だが、それは村雨が軽く黄昏の神剣を振っただけで、いとも容易くはじかれる。
そして、左斜め上に黄昏の神剣が構えられた時、両手で柄をしっかり握って振り下ろす。
「焔流剣術初段、
それが正人の胸板に浅く当たる。
「ぐう!?」
「今度は深く斬るぞ」
村雨が黄昏の神剣を突き付け、宣言する。
「ふざけるなよ・・・」
そこで輝が動く。
「三下がいい気になるなぁーーーー!!」
輝の能力は風を操る事。
伊達に『
風が吹き荒れる。
「く!」
村雨が黄昏の神剣を盾にするように構えた瞬間、腕に重い衝撃が走り、肩が切れる。
「やはり、カマイタチか・・・」
「ふん!さっきので楽になれたものを・・・」
「いや、これくらいで俺は死なんさ。なにしろ、あいつがいるからな」
「シルヴィア・リューネハイムか?」
「そうだ」
正人の質問に即答する村雨。
「ふざけんなよ・・・あの
「だけど信じるしかない。あいつのおかげで、俺はもう一度、剣を持てるようになったんだ。もう逃げない。責任は、全部、生きて償う」
真剣な顔で、二人に向かってもう一度宣言する。
「ここから先は、俺の
その瞬間、どこからか声が聞こえた。
『面白い奴だなぁ。なら、妾がお前の舞台の手伝いをしてやろう』
次回、少年は歌姫の為に銃を撃つは?
だが、怒りを爆発させた二人の能力で苦戦を強いられてしまう。
だが、その瞬間、黄昏の神剣の自我が村雨に語り出す。
「さあ言え、お前が妾に捧げる代償を」
その瞬間、その剣の能力が発動する。
「憎い!貴様が憎い!」
「知るかそんなもん」
「くたばれぇ!」
「これが、俺の剣術だ!」
次回もお楽しみに!