クインヴェールの守護者   作:幻在

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獄龍羅刹

村雨が踏み込む。

そこに竜巻が横向きで襲ってくる。

「焔流戦闘術初段、鳶骸(とびむくろ)

それを見事な体捌きで回避し、それに沿って正人と輝に迫る。

「うがあああああ!!」

獣の様な咆哮を放つと同時に、正人から竜が火を吹くが如き炎が村雨を襲う。

「焔流剣術中段、斬馬(ざんば)

その攻撃を馬の首を跳ね飛ばす勢いで振り下ろされる剣の真空波によって正面から両断。視界さえも遮るその攻撃を利用し、輝の懐に飛び込んだ村雨が剣を振るう。

「焔流剣術上段、九尾(きゅうび)

九つの尾を持つ狐の数だけ切り刻む技。

それが正人に直撃し、吹っ飛ばす。

「ぐはぁ!?」

「貴様ぁ!」

そこに正人がやられた事でさらに激昂した輝の竜巻が襲う。

だが村雨は脅威的な反応速度でそれを回転しながら飛んで回避し、その勢いを使って斬りかかる。

「焔流剣術中段、虎巻(とらまき)

それを喰らい、吹っ飛ぶ輝。

だが・・・

「くそがああああああ!!」

「死ねぇぇぇぇぇぇぇ!!」

理性が完全に消えた目を村雨に向け、能力を連発する二人。

ビルがどんどん壊れていく。

『おい主、そろそろ決着つけないと大変な事になるぞ』

そこで、どこからか声が聞こえた。

「わかってる、代償が尽きそうなのはこっちだって解ってるし、なんとかするさ」

それに平然と答える村雨は、本来ならありえないスピードで躱し続ける。

そして・・・

「「死ねえぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!」」

二人が、残った星辰力(プラーナ)を全て振り絞った攻撃を仕掛けた。

正人の高火力の炎に纏わりつくように竜巻がそれを包む。

破壊力と攻撃力(殺傷的な意味で)を兼ね備えた渾身の攻撃。

(ここだ!)

だが、村雨はそれを待っていたかのように真正面から突撃する。

今、正人と輝は互いにすぐそばに立っている。

そこで村雨は星辰力(プラーナ)を自身の推進力に変える。

血流を加速させ、右目を充血させ、左目を限界にまで加速させる。

右足で地面を踏みしめクレーターを作り、剣を突きの構えで猛追する。

一つの壁にぶつかる。それは音速の壁。

義眼の思考速度は千三百分の一秒。

まだ行ける。

こんなんじゃだめだ。

加速しろ、加速しろ。

まだまだ加速しろ。

極限を掴め、限界を超えろ。

 

壁、突破。

 

加速しろ。

 

義眼、千五百分の一秒に到達。

 

そして・・・

 

 

 

              「焔流剣術極段、獄龍羅刹(ごくりゅうらせつ)

 

 

 

 

 

轟音。

同時に、炎が消失。風が裂かれる。

人影が吹っ飛ぶ。

壁に叩き付けられる。

倒れる。

立っているのは、一人だけ。

「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」

村雨は剣を地面に突き刺し、耐える。

『・・・・時間切れだ。しばらく休め』

黄昏の神剣(トワイ=ライト)がそう言う。

「そう・・・させて・・・もら・・うよ・・」

そして、村雨も力尽きた。

(あ・・・そう言えば今日、シルヴィのライブだっけ?まあ、あいつなら心配ないか。とりあえず、勝ったから気にせず歌えや・・・・)

そして、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

「それで、二人を倒したと」

「・・・仰る通りでございます」

星猟警備隊、取調室にて村雨、事情聴取中。

「まあ、純星煌式武装(オーガルクス)の事に関しては、研究所から聞いているからいいが、あの二人に関しては、裁判に持ち込まれるようだ。最も、有罪には変わりないが・・・」

「はあ・・・」

村雨が気絶した後、気付いたら警備隊支部の牢獄の中に入っていたのだ。

それで、事情を隅々まで話して、一応、『黄昏の神剣(トワイ=ライト)』の事は許されたが、問題は村雨が正人と輝の二人に重傷を負わせた事。

「整理するが、お前が星導館に所属していた時にチーム・アビリティズに恨みを買い、そいつらがお前を襲ってきたから、迎撃して倒した。

この前と同じだな?」

「はい」

「ふう・・・お前に身内がいないから、これで返すから、次はするなよ」

「いえ・・・あと一人のこっているんですが・・・」

「そいつの事はこちらでも調べておく、今日はこれで帰れ」

というわけで返された訳だが・・・村雨の家の前に・・

「村雨くん」

「シルヴィ・・・お前仕事は?」

「今日はないよ、まだあの記事の事でごたごたしてるから、休みが多くなるって」

「そうか・・・」

変装しているとはいえ、見慣れた姿。

「一週間も寝てたんだって?」

そう、村雨は黄昏の神剣の代償である生命力を消費していたので、それの回復にかなりの時間がかかったようなのだ。

「すまないな、心配かけて」

「本当、そうだよ」

シルヴィアが抱き着いてくる。

「私の恋人に何かあったら、そりゃ心配するよ」

「・・・ごめん」

その後、シルヴィアは村雨と少し話をして帰った。

 

 

 

 

「?」

シルヴィアは、何かの気配を感じ取った。

「誰?」

問いかけてみる。だが次の瞬間。

「あぐ!?」

背中から重い衝撃がかかる。

一瞬にして意識を刈り取られ、倒れる。

「・・・少し、着いてきてもらうぞ、シルヴィア・リューネハイム」

 

 

 

 

アビリティズ、残り一人。

 

 

 

焔 村雨、殺害計画実行まで、残り三日。

 

変更点、シルヴィア・リューネハイムの抹殺。

 




次回!

シルヴィアが行方不明になり三日。
その昨夜、クインヴェールの情報工作機関であるベネトナーシュの攻撃を受けているため、捜査は難航。
だが、そんな中、一本のメールが入る。

『シルヴィア・リューネハイムを取り戻したかったらここに来い』

そこで待っていたのは、現星導館序列一位、『雷鳴の魔術師(ボルト・マキシマ)こと、ジェームズ・バンだった。

「焔 村雨、貴様には最高の絶望を与えてから死なせてやる」

「あああああああああ!!」

「ジェェェェェェェムズ———―—————————————!!!」

「ヒャハハハハ!!」

拘束され、愛する者を人質に取られ、映像を街中に流され、そして、守れない絶望を味わう少年・・・・それを痛みに苦しみながら見ている少女は・・・

「ごめんね・・・さよなら・・・」


「シルヴィィィィィィィィィィィィィィィ!!!」

次回をお楽しみに!!
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