死の王と黒い剣士《OVERLOAD×ベルセルク》   作:y=ー( ゚д゚ )・∵.ターン

1 / 2
ベルセルク読んだから衝動的に書いてしまいました。


序幕
《眠れぬ夜の始まり》1/2


大型MMORPG《ユグドラシル》

五感を利用した全く新しいタイプのゲーム

ゲーム界隈に彗星の如く現れた世界樹の名を冠するそのゲームは、人々の心を掴んでやまなかった。

自らの分身を作成し、自らが望む幻想世界の生活を疑似体験するゲーム

多種多様な種族に職種

無限に拡がるコミュニティ

狭苦しい現実に囚われた人々にとって、このゲームの出現は正に革新的であった。

やれることは無量大数、楽しみ方は無限大、ひとりではあまりにも広すぎる世界

ひとりでは、味わい尽くすことの出来ない世界

 

 

 

当然、その中には徒党を組む者達も現れた。

俗に言う《ギルド》だ。

《対人戦闘を主としたギルド》

《異形種のみのギルド》

果てには《ゲーム内通貨を利用したPK代理ギルド》なんてものも存在した。

その中にあって――――栄華を極めようとする者達が居た。

曰く《傭兵団》、金さえ貰えればどのようなギルドであっても肩入れする戦闘集団

戦場の前線を駆け回り、鮮やかに、大胆に敵将の首を据ぎ取るその姿はまさに圧巻

《ユグドラシル》における《最強》に最も近かった者達

彼らの名は《鷹の団》

白き鷹が率いる、夢へと向かう白き翼

 

だが、盛者必衰と言う言葉に現れている様に…栄華とは長く続かないモノだ。

《ユグドラシル》は数十年のサービス期間を得て、その役目を終えようとしていた。

 

 

 

《ユグドラシル》がそうであるように、《鷹の団》もそうなのだ。

栄華を極めようと太陽に近づき、その身を炎に包まれた。

白き鷹が消えてしまったその時から《鷹の団》は消えてしまったのと同義だったのかもしれない

 

 

 

話は少し戻り、《ユグドラシル》全盛の頃

《ギルドの長が全てのギルドメンバーの経験値を奪い取る》と言う事件があった。

実装されて間もなかった《プレイヤーの経験値を奪うスキル》

無論、批判が殺到し僅か数日にしてこのスキルは消えてしまったわけだが…このスキルを悪用した大事件というのが上記のそれだ。

確かな信頼と、確かな経験

白き鷹はそれを天秤にかけ…後者をとった。

 

 

 

そのスキル名は《蝕/しょく》

 

最低数百の有人プレイヤーを、数カウントの間に特殊アイテム《ベヘリット》が開く異空間に閉じ込めることが成立条件

閉じ込めることを失敗した場合、発動者は全ての経験値を失う

もしもそれに成功すれば――――

特殊種族《神の手/ゴッドハンド》に転生する権利を得る

 

 

 

『さぁ、唱えるのだ。《捧げる》と』

 

『運命が人智を超越し人の子を玩ぶが理なら人の子が魔をもって運命に対峙するは因果!』

 

荘厳なNPCの大音声が、白き鷹の耳に届いた。

白き鷹は、大勢を見下ろしていた。

白き鷹の虚無に満ちたその双眸をあらんばかりに開き、その迷いに瞳は揺れた。

 

『グリフィス!!なんだよこれは!!』

 

叫ぶ

あらんばかりの、その限りを持って

大勢の内の誰かが叫んだ。

 

『ただの集会って聞いて呼び出されたんだぞ?!ダンジョンなんて聞いてねぇよ!』

 

『準備も何もしてねぇよ!』

 

『なんだよこれ!』

 

不気味に広がる地平を背に、大勢の――――仲間達が声を荒らげた。

仲間達…仲間達…仲間達…

白き鷹が率いてきた《戦友たち》

彼に従い、彼を信じてきた《唯一無二》

 

「ぁ…う…」

 

迷っていた。それが常識に反することも分かっていた。

だが、それでも、そうであったとしても

《白き鷹には、あの城があまりにも眩しすぎた》

夢を裏切ることが、できなかった。

 

『グリフィス!グリフィイイス!!!』

 

眼下の仲間達の先頭に、男が居た。

巨躯の男が声を張り上げ、白き鷹に叫ぶ

 

『お前は…お前はァ!!!!』

 

そうだ。

 

『何をするつもりなんだ!?グリフィス!!』

 

そうだ。

 

『突発イベントかなんかだろ…そうだろ?…待ってろ!今助けてやるからな!!!』

 

そうだ…

 

何千の仲間

 

何万の敵の中で

 

唯一お前だけが

 

唯一お前だけが…

 

 

 

俺に夢を忘れさせた。

 

 

 

「………………………………げる」

 

 

 

宴が、始まった。

 

 

 

ギルド《鷹の団》からプレイヤーが消えた。

経験値を奪われたプレイヤー達は意欲を無くし、その殆どがゲームから退会、及び野良プレイヤーとして消えていった。

次々と消えていくプレイヤー達

遂には《鷹の団》はNPC数体を残し、ただひとりのプレイヤーを残すのみのギルドと成り果てた。

宴から中途半端に生き残ってしまった『男』

《鷹の団》の権限を受け継ぎ夢の残骸に寄り添い続ける、たった一人の孤独な男

中途半端なその身から、必死に足掻いて元の場所まで登り詰めた。

吸収された経験値分をゼロから稼ぎ直し、全てをやり直そうとした。

なのに、これはなんだ?

あれほど賑わっていた集会場には唯一人――――『男』しか居ないではないか

…何を守ろうとした?

…何を得ようとした?

…何を…遂げようとしていた?

『男』の巨躯が僅かに揺れる、欠損したアバターの躯を無理やり繋ぎ合わせる為に付け替えた『義手』がカタカタと音を立てた。

 

「…終わって…ねぇ…」

 

そうだ。

 

「終わって…ねぇ…!」

 

そうだ。

 

「終わってねぇ…!!」

 

ギチリと、歯が不気味に音を立てた。

 

 

「俺は…売られたケンカは…必ず返す…!」

 

 

背負った大剣の柄を握りしめ、『男』が吼える

 

「グリフィス…俺は…俺は…!!」

 

怒りに身を任せ、『男』は吼え続ける

絞り出すように、哭くように

 

「ちくしょう、畜生、畜生があ!!!!!!」

 

 

 

そしてそれから、長く、永く、永過ぎる時が過ぎた。

 

時に換算し7年

 

ユグドラシルは、最期の瞬間を迎えようとしていた。




眠れぬ夜が、始まる
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。