IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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ども、お久しぶりです。

いよいよ一夏戦です。青年はどんな戦いを取るのでしょう。


注意
この話では、原作上ありえないことが起こっています。

説明は次話以降に行う予定です。


ではでは、本編です。


IS学園編~勝利の苦汁~

試合終了後、失神した淑女を医療班が回収し、青年はピットに戻ることなく壁に凭れて休憩していた。

 

  『あの時の金剛の荒れっぷりったら凄かったぞ。』

 

  『そうね~、鎮守府が壊れるかと思ったもの。』

 

  「うわー。」

 

仲間と昔話に花を咲かせながら。

 

  『で、提督。』

 

  「何?」

 

  『此処は何処なんだ?』

 

  「あぁ、此処はね…

 

バシュッ 

 

  うん、その話はあれを始末してからでいいか?」

 

音の鳴ったほうを見ると、カタパルトから次の対戦相手が飛び出たところだった。彼はそのままこちらに向かって飛行し、丁度青年の前に降り立った。その顔は怒りに染まっており、青年に対し怒りを吐露した。

 

  『おい渉!』

 

  「何ですか?」

 

  『何であんなことをしたんだ!』

 

  「あんなこと? すいません、ちょっと何を言っているかわからないんですけど。」

 

全く身に覚えの無い青年は、首をかしげ脳内にクエスチョンマークを浮かべる。

 

  『お前は、本当に最低な奴だな。1人の女の子を寄って集って袋叩きにしたことだよ!』

 

  「袋叩きも何も、向こうはブルーティアーズと呼ばれる遠隔制御兵装を持っていると知っていたので、その数に合うようにこっちも独立機動できるのを呼んだだけなんですけど。」

 

  『そんなことは聞いてない! お前男だろ! どうして1人でやろうとしないんだ。』

 

それを聞いた青年と、他の面子も呆れた顔をし始めた。

 

  「つまり、あれですか。織斑さんの言い分は、男の癖に他の人を頼った挙句にその頼った相手が女だったことを怒っている。でいいですか?」

 

  『そうだよ。お前は男の風上にも置けない奴だ。そんなお前は俺が、俺が得た力で、お前を正す!』

 

そう言って、ブレードを展開し刃先をこちらに向ける。

 

  『提督。あいつは何が言いたいんだ?』

 

  「私が君らを使って勝ったのが気に食わないんだと。」

 

  『何だそれ。そんな下らないことに拘ってるのか?』

 

  『どうしようもないわね~。』

 

  『なによそれ。』

 

  『彼にはロシア式の訓練を受けさせるべきだね。』

 

  『ひ、響ちゃん! 気持ちはわかるけど、此処は押さえてほしいのです。』

 

  『大丈夫よ司令官。だって、私が居るじゃない!』

 

  「うん。とりあえず、落ち着こうか。」

 

一部を除き、殺気立ち始める面々を宥める青年。

 

  「まずは、試合だね。これをさっさと終わらせないことには、先に進まない。」

 

  『いいぜ、俺はいつでもいけるぞ。』

 

やる気満々といた風に、自身の武器を持ち直す天龍。しかし、

 

  「いや、今回は1人でやったほうが後々楽そうだから、今回は見学してて。」

 

青年がそれを静止し、案の定反論が出るのだった。

 

  『なっ! 俺を戦線から下げるな。もっと戦わせろ!』

 

  「龍田、持って行って。」

 

  『了解ですよ~。は~い、天龍ちゃん、我侭言っちゃいけませんよ~。言うことを聞いてくれないと、お仕置きするわよ~。』

 

  「うっ、解ったよ、下がるから ってオイ! 襟を引っ張るな!」

 

最終的に、1人ですることにはなった青年。そこに、龍田が近づいていく。

 

  『提督~、1人でなさるのは結構ですけど、あんまり皆を悲しませないであげてね。』

 

  「そうだな、善処する。」

 

  『じゃあ破ったら、金剛4姉妹のフルコースでも食べていただきましょうか。』

 

  「………約束する。」

 

試合のとき以上に、冷や汗を流す青年。そして、盾を持ち、前へ出て行く。そして、アナウンスが始まった。

 

  『では時間だ。2人とも準備はいいな。これが泣いても笑っても最後の試合だ、2人とも全力を出し切るように。では、試合開始!』

 

 

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

試合開始を知らせるブザーが鳴り響いた。

 

 

 

 

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

  『はあああああ!』

 

開始と同時に、彼がスラスターを吹かし接近を試み、青年に対し先手を仕掛ける。しかし、

 

  「(リグ、とりあえずスキャン開始。)」

 

  "承知しました。"

 

 

青年は、剣を盾で受けることなく全ての攻撃を回避していた。

 

  「(まずは情報を集めないとね、こいつの場合は対処の仕様がない。)」

 

  『くそっ! 攻撃が当たらない。』

 

盾にすら掠らせることすら出来ていない彼は、攻撃の方法を変え始める。スラスターを長時間吹かし、止まることをせずに斬り抜ける方法だった。

 

  『これならどうだ!』

 

  「(切り抜け斬りをしたいなら、もっと機動にメリハリをつけようや。)」

 

青年は盾を鞄のように右腕で背負いながら、彼の攻撃を避けていく。すると、

 

  "お待たせしました。スキャン完了です。今展開しますか?"

 

  「(じゃあ、5秒後に展開して。)」

 

  "承知しました。"

 

それを聞いた青年は、背負っていた盾を肩から下ろし脱力を開始した。それを見た彼は、

 

  『俺をなめるな!』

 

青年に再度突撃をし、青年が腕を動かす前に彼が再度加速した。瞬時加速である。

 

  「?」

 

  『これでどうだ!』

 

完全に不意をつけた。彼の頭の中にはそんな事を思い浮かべていた。何故なら、たった今土壇場で出来たからである。そうこうしている内に、袈裟斬りの構えのまま、青年に接近していく。青年のシールドエネルギーは非常に少ない、一撃でも当てたら自身の勝ちである。自身の勝利を全く疑わない彼は、青年の意図を考えずにそのまま突っ込んだ。そして、彼我の距離が残り数メートルになったそのとき。

 

ズガガガガガガガガッ

 

地面から、白く細長いものが多数勢い良く飛び出し彼に直撃した。

 

  『ガッ! な、何だコレ!』

 

完全に予想外だった彼は、驚きのあまり青年を視界から外してしまう。その事に気付き、もう一度青年に視線を戻すもそこには、

 

  「せー

 

上半身を捻り、攻撃モーションに入っている青年の姿だった。それを見た彼はもう一度武器を振りかぶり、青年を止めようとした。しかし、

 

   のっ!」

 

青年の踏み込みの方が速かったようで、ズガンッという音と共に、彼の胴体に青年の盾が直撃した。

 

  『ごっ、がっ!』

 

彼の発する苦悶の声を全く聞く気の無い青年はそのまま盾を振り抜き、彼を勢い良く吹き飛ばした。そして、吹き飛ばされた彼は壁にめり込み現代アートと化していた。

 

  「(お待たせ、情報展開。)」

 

  "…了解、展開します。"

 

AIにすら引かれつつ、青年は特に気にせず展開された情報を見ていく。すると、あるポイントで首を傾げそうになった。

 

  「(何コレ、色々と突っ込みたいんですけど…。)」

 

青年の目の前にはこう表示されていた。

 

機体名:明月

搭乗者:織斑一夏

世代:試作型第三世代機

武装:雪片改

武装別特殊能力:零落白夜

効果:展開時、シールドエネルギーの無効化

ワンオフアビリティ:発現なし

 

  「(一夏の機体って白式じゃなかったっけ? こんなところで原作乖離って…めんどくせぇなオイ。)」

 

  "警告 対象の特殊能力の発動を確認、当たったら死にます。"

 

  「(さっきとかわらんっつーの。)」

 

壁にめり込み、現代アート風になっていた彼はいつの間にか抜け出し、自身の持つブレードに光を灯していた。

 

  『おい渉! お前までそんな武器を使うのか! 男なら剣で戦え!』

 

  「そういうことを言うのは、私に攻撃を当ててから言ってください。」

 

  『じゃあ、避けるなよ。』

 

  「やだ。」

 

そう言うと、青年は彼に不意打ちを仕掛けた白く細長いものを自身の周りに再展開した。

 

  「(ガーレは不意打ちだからこそ当てることが出来たけど、ここからはちょーっと厳しいな。)」

 

  『いっくぞおお!』

 

正面からやはり突撃をしてくる彼に対し、迎撃行動を取るも

 

  「(まぁ、回避してくるよね。)」

 

流石にすべてとはいかないが、7割程度は避けてられている。青年は、時間稼ぎのために動きながら彼に話し掛けることにした。

 

  『あーもう! 見えないところからちくちくちくちくうっとおしい!』

 

  「そういえば、織斑さん。」

 

  『何だ!?』

 

  「その機体の名前って白式だっけ?」

 

  『何言ってんだ、こいつの名前は【明月(めいげつ)】だぞ。避けるなー!』

 

  「ふーん、じゃあその武器は? 雪片弐型とか?」

 

  『さっきから、お前は、何を、言っているんだ!』

 

攻撃は全て回避され、攻撃後の隙をガーレで攻撃され続けている彼はフラストレーションが溜まりっぱなしだった。

 

  『この武器は、雪片改だ。千冬姉から受け継いだ、俺の力だ! だから、大人しく切られろ!』

 

  「さいですか。」

 

そう言った後、青年は彼の攻撃を回避し追撃行動を取ることなく大きく後ろに下がり、距離をとり始めた。

 

  「(リグ、あいつの零落白夜使用時のエネルギー使用量はどうなってる?)」

 

  "2se/sです。なので、常時展開していても公式試合程度なら保てます。"

 

  「(ちょっと待て、2se/sって事は秒間消費量が2って事か。だから、こんなにあるんだね。)」

 

青年が、淑女のときと同じように相手のエネルギーを確認すると、そこには

 

754/1300

 

と表示されていた。

 

  「(とりあえず、もっと減らさないとな。)」

 

  「おーい、龍田。それ貸して。」

 

  『それって、コレのこと?』

 

首をかしげる龍田の手には例の薙刀が握られていた。これを使うつもりなのか? 疑問に思った龍田だが、

 

  「あー、違う違う、その頭の上に浮いている奴のこと。」

 

  『『はい?』』

 

一瞬で龍田とその隣にいた天龍が目を点にしてフリーズした。そうこうしている内に、青年が駆け寄ってきて

 

  「じゃあー借りるーヨン!」

 

青年は何の躊躇いも無く、呆けている龍田から頭部の輪状のものを持って行った。

 

  『龍田、良かったのか?』

 

  『言いも悪いも何も、あれ、ただの電探よ? 提督ったら何をする気なのかしら?』

 

怪訝な視線を向ける先には、持って行った電探を自身の頭の上に浮かべながら相手の攻撃を避け続ける青年の姿があった。

 

  『なぁ、龍田。』

 

  『な~に?』

 

  『なんで、提督の奴は電探とはいえ俺らの装備が使えているんだ?』

 

  『さぁ~ね。それを含めて後で問いただしましょうね~。』

 

良くある顔のみの笑みを貼り付け、龍田は青年の試合を見ていく。因みに、

 

  『『ひ、響~(小声)』』

 

  『暁、雷、もう少し離れてくれないかな、暑いんだ。(小声)』

 

  『ゆ、夢に出てきそうなのです。(小声)』

 

龍田の満身の笑顔を見た駆逐艦組は結構怯えていた。

 

青年は、一瞬背筋が冷えたような気がしたが、その先を見て、考えることはやめた。

 

  "軽巡洋艦 龍田用プリセット電探解析終了。どうする気です?"

 

  「(ひっみつ~。あ、でもエネルギーを過供給しておいて。)」

 

とてもいい声で答える青年。

 

  "はぁ… 碌でもないことを考えていることだけはわかりました。"

 

  「(ひっでーの。で、奴さんとの差は?)」

 

  "彼のおかげで差は400弱になりそうです。因みに試合時間はあと4分です。"

 

  「(さいですか、そろそろ動かないと負けるな。)」

 

青年は、満身創痍になりつつある彼に、ずっと攻撃をし続けていた彼に視線を戻した。

 

  「どう、攻撃は当てられそう?」

 

  『嫌味か!』

 

彼を煽りながら。

 

  「ほらほら、来ないの?」

 

  『どうせ避けるだろ。』

 

  「あらそう。」

 

ドスッという音を鳴らしながら青年は、彼と自身の間に盾を縦に置いた。そして、

 

トッ

 

  「じゃあ、こっちから仕掛けてみますか。」

 

  『なっ!!』

 

青年は彼の背後からソバット(パイルシューズのオマケ付き)を繰り出した。

 

  『畜生!何時の間に!』

 

  「だめだよー、どんなときでも相手から目を逸らしちゃあ。」

 

  "エネルギー過供給完了しました。"

 

盾のときほどではないが、10数m程度吹き飛ばし、青年は頭部の電探を手にし、自身の前に縦に再展開した。そして、

 

  カシャンッ

 

そのまま広げた。円状のまま青年の背丈と同程度まで。

 

  『え?』『はぁ!?』

 

自分の慣れ親しんだ道具が見慣れない変化をしたことで、あっけに取られる龍田と天龍、そして、

 

  『させるかぁぁぁ!』

 

起き上がった彼が広がったそれごと切るために突撃していった。

 

  「さーて、必殺の~~~

 

青年の掛け声と共に、円の中心部にプラズマが帯びていく。そして、

 

  龍田砲。」

 

青年が手を前に出すと、電探だったものから照射ビームが飛び出した。突撃中だった彼は、回避できるわけも無く、

 

  『なんだそりぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!』

 

そんな声と共に光の中に飲まれていった。

 

  「(うん、ぶっつけ本番だったけど案外どうにかなるもんなんだね。)」

 

  "まさか、照射型とは何考えているんですか? あと、敵生存中です。残量197"

 

  「ありゃ? 生きてら。」

 

光に飲まれた彼は、ブレードを盾の様に自身の前に出し、全身から煙を出しながらも両の足でしっかり立っていた。

 

  「どうやって生き延びたのかな? もしかして、そのブレードの能力でビームを斬ろうとしたか?」

 

  『そうだよ。結果は失敗だけどな。』

 

  「いやいや、成功でしょ、内容はどうあれこっちの思惑を超えてきたんだから。誇ってもいいと思うよ。」

 

青年は、彼に向かって歩き出した。展開した電探は既に元に戻っており、青年の頭の上で湯気を出しながら浮かんでいた。そして、満身創痍の彼に近づくと武器を持っている手を触り、

 

  「良くがんばったね。結果は伴わなかったけど、君は精一杯がんばった。だからもう休んで良いんだよ。織斑先生も、オルコットさんも誰も君を責めない。だから、もう良いんだよ。」

 

甘美な毒を話し始める。

 

  『お、俺は…。』

 

  「君はまだ弱い子供なんだから。」

 

  『ち、違う! 俺は弱くなんか無い!』

 

  「いいや、君は弱い。でもそれは全体で見たときだ、動かして1週間という時間を考えれば正に奇跡と言わざるを得ない現象だ。だから、今負けても決して恥ずかしいことではないんだよ。」

 

  『違う! 俺は皆を護る為に、この機体を動かしたんだ! 健闘したんじゃあ意味が無い!』

 

彼は、顔面蒼白になりながら必死に青年の言刃から身を守っていく。しかし、

 

  「じゃあ、なんで自分のみで戦おうとしなかった? 何故私を巻き込んだ?」

 

  『だって、お前だって悔しかっただろ? 日本をあそこまで侮辱されて、黙っていられなかったんだ。』

 

  「違う。そんなことはどうでもいい。そこに何故私を入れたんだ? 私が一度でもオルコットさんの言葉に対して憤慨していましたか?」

 

  『そ、それは、』

 

  「貴方は、他人を守りたいといいながらも、その行動は他人を巻き込んでいる。これは事実だ。」

 

  『………。』

 

彼は俯き黙ってしまった。それを見た青年は、彼に背を向け距離をとろうとした。

 

  「(存外呆気無かったな。)」

 

そんな事を考えながら。

 

 

………side

 

青年の言葉を聞いた彼は、俯いたまままるで呪詛の様に言葉を発していた。

 

  「違う、俺は間違ってない。間違ってないんだ。俺は皆を守るんだ。もう二度とあんな思いをしたくない。あんな思いをする人を作りたくない。だから、俺は弱くない。千冬姉から貰った力があるのに負けていいはずが無い。」

 

小声で、青年の毒を振り払おうと必死になっていた彼はふと顔を上げた。そこには、背を向けた青年が歩いているところだった。

 

  「(完全に後ろを向いている。今なら届くかもしれない。あいつを倒せば、あいつの言葉を否定できる。そうすれば、俺は皆を守っていける。できる!俺なら!)」

 

自身の歪んだ考えを認めない彼は、自身の剣を握りなおし、最後の瞬間加速を行い、青年に一太刀入れるため加速した。

 

  「(あたれぇぇぇ!!)」

 

距離は、数mもない。ISの加速を持ってすれば1秒以内に奴の下にたどり着ける。そして、剣を振りかぶったその直後、青年の足が止まり、

 

ガアアアン!

 

  「がっ!」

 

見えない壁のようなものに激突した。

 

  「な、んで、」

 

何故、如何してといった疑問が彼の頭の中を駆け巡るが、次第に意識が薄れていく。そんな時、青年が振り返りこちらに近づいていた。もうこちらのエネルギーは2桁にまで落ちてしまっている。そんな中目の前の青年は何かを言っている。

 

  『………………………。』

 

何を言っているか全く聞こえない、それを察したのかどうかは解らないが、青年が腕を高く上げ、その数秒後

 

 

 

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

試合終了を告げるブザーが鳴った。そして、その音を最後に彼は意識を失った。

 

 

 

 

医務室

 

次に自分が目を覚ますと、そこには白い天井と鼻に付く独特の匂いがあった。

 

  「…ここは?」

 

うわ言のように声を出す、するとその声に気が付いたのか、自分の幼馴染である箒が心配そうな顔で顔を覗き込んできた。

 

  『一夏、目を覚ましたか。身体は大丈夫か? なにか身体におかしな所は無いか?』

 

あれこれ聞いてくる幼馴染をと会話していると、とあることを思い出した。

 

  「箒! 試合はどうなった!」

 

がばっと急に上半身を起こし、聞いた。しかし、

 

  『落ち着け、試合のことはこのあと千冬さんから説明してもらえる。今呼んで来るから待ってろ。』

 

  「なぁ、箒も見てたんだよな。知っているんじゃあないのか?」

 

  『ああ、知っているさ。でも、説明が出来ないんだ。』

 

  「どういうことだ?」

 

  『だから、そのための説明を千冬さんにしてもらう為に今から呼んで来るんだろうが。だから、貴様はそこある私が切っておいたりんごでも食べて待っていろ。』

 

そういわれて視線を横にずらすと、そこには1口サイズに綺麗に切られたりんごとフォークが置いてあった。

 

  「…わかった。」

 

  『わかったのならそれでいい。』

 

そう言った箒は部屋を出て行った。すると、見覚えのない白衣を纏った人が入ってきた。

 

  『君が織斑一夏君だね。身体の調子はどうだい?』

 

  「あ、はい。だいじょうぶですけど、あなた誰ですか?」

 

  『僕? 僕はこの部屋の主任だよ。』

 

  「この部屋?」

 

そういわれて初めて部屋の中を見てみると、病院で見たような道具からISまでいろんなものが置いてあった。

 

  『此処はね、アリーナ内にある緊急ドックだよ。まぁ、人が使う分には保健室のようなものと思ってくれればいいさ。』

 

  「あのどうして、ここに?」

 

  『君は気絶している人を道端に置いておくかい?』

 

  「そんなことしませんよ。」

 

  『そうだね。そういうことだよ。』

 

それを聞いた彼はそのまま黙ってしまった。暫くすると、

 

ガラッ

 

  『失礼する。』

 

織斑先生がやってきた。

 

  『一夏起きたか。身体の調子はどうだ。妙なところとか無いか?』

 

  「それは大丈夫。それよりも千冬姉『織斑先生だ。』織斑先生、試合はどうなったんですか?」

 

それを聞くと、渋い顔をして

 

  『一夏、貴様の勝ちだ。』

 

  「え?」

 

それを聴いた瞬間、頭の中が混乱した。自身の記憶が正しければ、渉にはおろかあいつの持つ盾にすら攻撃を当てることができなかった。それなのに、どうして、何で

 

  『理由を聞くか?』

 

  「ああ。教えてくれ。」

 

  『奴は最後の最後で試合放棄したんだ。』

 

  「はぁ!? それって『落ち着け、話はまだ終わってない。』………。」

 

  『試合後、当然奴を問い詰めた。如何して棄権したのか? とな。すると奴はこう答えた。

 

  【自分が負けることで、総合戦績が全員1勝1敗になり引き分け扱いになります。試合後のことを考えるとこれが一番収まりが付きます。唯でさえ肩身が狭いですからこれ以上を欲するのは欲張りってもんです。】

 

  とな。』

 

その話を聞いた彼は

 

  「そんなくだらない理由で棄権したのか! 俺はあんな奴に負けたのか!」

 

  『………。』

 

  「千冬姉、俺は強くなる。あんな奴に負けないように、片腕しか出さないような奴に負けないように。」

 

握りこぶしを作り宣言する彼を、織斑先生は何も言わず聞いていた。

 

 

………side out

 

 

 

  「(存外呆気無かったな。)」

 

そんな事を考えながら、彼から距離をとっていく青年。

 

  “警告 対象のブレードへのエネルギー供給再開を確認”

 

  「(後方警戒。瞬時加速の使用を想定しとけ。)」

 

  “了解。って、もう来ます! 接触まであと2秒!”

 

それを聞いた青年は立ち止まり、

 

  「結」

 

後方に板を壁となるように展開した。その直後、

 

ガアアン!!

 

  “対象、結界へ直撃しました。残量56 ”

 

  「(残り時間は?)」

 

  “あと100秒です。”

 

残り時間を確認すると青年は、不可視の壁にぶつかり地面へ倒れている彼に向かっていった。

 

  「驚いたよ、あそこから立て直すとはね。君の底力は本当に侮れない。さすがは本当の主人公。そんな君に敬意を表したい。」

 

青年は一度周りを見渡し、彼に視線を戻した。そして、盾を持たず右手を高く上げ

 

  「降参。」

 

一言そういうと、その場から離れ、隅に居た龍田たちのところへ行こうとした。

 

  『待て、降参ということはこの試合を放棄するということだぞ! わかっているのか!』

 

アナウンスで警告がされるも、

 

  「間違いないですよ。私、四十川渉はこの試合を放棄します。」

 

  『そう…か。』

 

その直後

 

ビーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

試合終了を知らせるブザーが鳴り、

 

  四十川渉の棄権により 勝者 織斑一夏!

 

結果が知らされるのだった。




ども、最後まで読んでいただいてありがとうございます。

書いていて思ったんですけど、うちの主人公が主人公らしい行動を全くしてないんですよね。
困った子です。


次回は、延長戦(予定)です。



コメント(理不尽な批判以外)、質問、代替案、どしどしお待ちしてます
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