IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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どもども、お久しぶりです。

先月中に更新しようとは思っていたのですが、間に合いませんでした。


やっぱり、月2が限界なのかな?




まぁそんなことより、本編どぞー。


IS学園編~怒り~

後日

 

  「結局、その鞄はなんなんですか?」

 

  「ただの鞄ですよ? 見た目どおりです。」

 

  「いえ、そういう事ではなくてですね。」

 

普段使いの鞄が変わった青年への質問が増えていた。主に青年とある程度の友好関係を築いている人限定ではあるが。

 

  「そんなに気になるんでしたら、また触ります?」

 

  「良いんですか?」

 

  「どうぞ。別にやましいことは(まだして)無いですし。」

 

  「じゃあ、失礼します。」

 

これはルームメイトとの会話ではあるが、既に数回繰り返している。

 

  「何回見ても良いですけど、終わったら元に戻しておいて下さいね。」

 

  「わかりました。」

 

青年は、宣言したとおり普段にもその鞄を用いていた。中身は主に教科書の類と、外套、手袋、パイルブーツの戦闘3点セットだが、見た目は只の鞄なので普通の人は特に何も感じる所はなかった。

 

普通の人は…

 

そう。普通に属さない人は、鞄そのものに違和感を持っていた。中に常に戦闘用の道具が入っているのだ。

青年は他の人物から見て基本的に必要以上の戦闘を良しとせず、必要であれば勝利を捨てる。事実、クラス代表決定戦では棄権しており、それ以降どれほどの模擬戦、訓練の誘いがあったところで受けることはない。そんな人物が、態々戦闘用の道具を持ち歩くだろうか? 確かに青年の味方となる人物は、この学園には非常に少ない。確認できるだけで数人といって良い。

言ってしまえば青年にとって、敵地に居るも同然なのだ。自己防衛用の手段の一環といえば納得も出来る。しかし、青年は基本的にアリーナに近付かない。整備目的のために整備室に行くことはあっても、ISに乗ることは無い。少なくとも他の目があるところでは。

学園においてアリーナ以外でISを無断展開することは原則禁止となっており、行った場合は厳しい罰則が与えられる。

つまり他の人からすれば、仮初といえ学校内ではある程度の安全は確保されているのだ。にも拘らずである。

 

見る人が見れば、正当な理由の裏に何か隠していても何ら不思議ではない。と考えられるのだ。とはいえ、青年自身が何かしでかしたわけではないので、こちらも大きく出ることが出来ない。故に、今のような現状が出ているのだ。

 

 

昼休み 食堂

 

青年は、良くも悪くもいつも通り全てを聞き流し、食堂に来ていた。

いつも通り一人で食事をしていると、

 

  「ここ開いていますか?」

 

  「どうぞ。」

 

  「かんちゃーん。」

 

偶然見知った2人が隣に現れた。

どうやら青年が何気なく座った場所は眼鏡娘のお気に入りの場所だったようで、バッティングしてしまったようだ。

 

  「その、貴方はいつも一人なの?」

 

  「まぁ、そうですね。確かに大人数で食べる食事も良いですけど、一人のほうが気が楽じゃないですか。」

 

  「そうだけど…。」

 

  「ねーねー、わたるん。これから3人で食べよー。」

 

  「ええ、機会があれば。」

 

成り行きとはいえ、珍しくグループで昼食を食べていると、備え付けてあるテレビが緊急速報をいきなり流し始めた。

 

  『番組を中断し、臨時ニュースを申し上げます。本日12時頃、IS学園より2人目の男性操縦者の存在を公表しました。調べによりますと、1人目の男性操縦者である織斑一夏氏と比べ、格段に適性が低く発見及び確証を得るまでに時間が掛かったため、このような形で公表することになったとの事です。追加情報がわかり次第順次こちらからお伝えさせていただきます。』

 

食堂内にいた青年以外の全生徒がそのテレビに釘付けとなり、ニュースが終わったと同時に、騒ぎ始めた。

ニュースを見ていた人物が生徒だけではない為、肯定的な意見が極小数だがあった。しかし、残りの大多数もとい青年のことを知っている人物はあからさまに青年に対し嫌悪感を出していた。

 

そのような人の醜さを表したかのような、光景を見た2人は少し悲しそうな目をしていた。

 

  「皆何で、アイツと貴方の接し方に差があるの? こんなのおかしいよ。」

 

  「まぁ、いつもの事ですね。」

 

  「それにしても、皆があそこまでおりむーに対して盲信できるのかはちょっとわからないなー。」

 

  「布仏さん、気にしたら負けですよ。」

 

  「どうして?」

 

  「コワーイ顔したお友達に連れていかれるかも知れませんよ。」

 

お化けのように手を垂れさせ、コメディのような調子で返すと

 

  「にしし、それもそうだねー。」

 

ダボ袖少女が青年に乗ってくれたことで、事なきを得た。

 

  「どうして?」

 

  「? どうしました?」

 

不意に、横から声が聞こえたので青年が顔を向けると、顔を曇らせた眼鏡娘がこちらを見ていた。

 

 

  「四十川さん、貴方は悔しくないんですか? 理不尽に貶められて、ただ居るだけで周りから指を差されてる。」

 

  「…………。」

 

  「私の見た限りでは、アイツよりも貴方はよっぽど努力している。でも現実は狂ったようにアイツを支持する。どうして、ここまでされても平然としてられるの? 周りを見返そうとは思わないの?」

 

  「かんちゃんの言う通りだよー。ねーねー、わたるんー。なんでー?」

 

  「そこまで、気になることですかね? 案外そのままの通りかもしれませんよ?」

 

  「もし本当にやる気が無いのなら、私に整備書以上のことを聞いたりしない。」

 

  「更識は全員こんな奴なのかな。」ボソッ

 

  「え?」

 

  「何でもありませんよ。さてと、質問にお答えしましょう。【興味が無いからです。】」

 

  「「えっ?」」

 

キーンコーンカーンコーン

 

  「おや、時間が来てしまったようですね。」

 

  「待って、それって」

 

  「失礼しますね。」

 

青年は、昼食が乗っているトレイを片付け、食堂を後にした。

 

  「(腐っても暗部、人を見る目は有る…か。めんどくさいな。)」

 

 

教室

 

青年が、教室に戻ると普段以上に視線を感じた。どれもこれも悪意の類であり、青年にとって特に気にするようなものでもなかった。何事も無かったかのように、自身の席で次の授業の準備を進めていく。すると、非常にご機嫌な声で話しかけられた。

 

  「渉おめでとう! これでお前も晴れて俺と同じ舞台に立てたな。同じ日本の代表候補生として頑張ろうぜ!」

 

  「はい?」

 

青年に話しかけてきたのは、彼である。あるのだが、どうにも話が噛み合わない。あのニュースのことであるということはわかったものの、そこに代表候補生として登録する旨が放送されたのであろうか。

だとすれば、重大な契約違反となる、事実確認後然るべき行動を取る必要があるのだが…

 

  「でも、あのニュース不思議だったよな。渉のことを男性操縦者としか言ってなかったもんな。俺が代表候補生なんだから、渉も当然候補生のはずなのに。おかしな話だな。」

 

  「はぁ…。」

 

  「まぁ、あとで発表されるだろ。細かいこときにするなよ渉。俺はわかってるから。」

 

  「………。」

 

その必要はないことはわかったが、別の問題が出ていることが発覚した。青年はその事実を見て、心の中で深い深い溜息を吐いた。

 

 

 

午後

 

  「それでは、授業を開始する。」

 

  「「「お願いします!」」」

 

  「さて、授業に入る前に何人か名前を呼ぶ。呼ばれた者は早急に職員室へ行くように。」

 

  「「「???」」」

 

担任の普段とは違う行動にクラス内がさざめき出す。

 

  「静かに。五十嵐 睦心。氏縄 胡桃。京 麗。水田 麻里。以上4名だ。今日の授業は出席扱いとしておくので、今すぐに職員室に行くこと。わかったな。」

 

呼ばれた4人は、なぜ呼ばれたかまるで理解しておらず、互いに顔を見合わせていた。そして、4人は教室を後にし、担任は授業を再開した。

 

 

授業はある程度滞りなく(彼に対するヘッドショットを除く。) 進み、おおよそ折り返し地点に差し掛かろうとしたとき、

 

ダァン!

 

教室のドアが勢いよく開けられた。

 

そこに居たのは、先程職員室に行った4人のうちの1人だった。しかし、どうにも様子がおかしかった。身体から溢れ出る雰囲気というべきものだろうか、それが澱んで見えたのだ。

 

それを見た担任は咄嗟に。

 

  「山田先生!」

 

  「わかりました!」

 

  「………。」

 

副担任に対応を指示し、指示された副担任はその女生徒を外へ連れて行こうとした。しかし、その女生徒は副担任が接触してくる前に、青年の前まで移動した。そして、

 

  「お前のせいだ!」

 

叫んだ。叫んでしまった。

 

青年を除き全員が唖然とし、クラス内に静寂が訪れる。その後、叫んだ女生徒は目に怪しげな光を残し、そのまま教室を後にした。

 

  「山田先生。」

 

  「わかりました。行ってきます。」

 

呼ばれた副担任もその生徒を追いかけるように、教室を後にした。

 

短期間とはいえ、自分のクラスメイトが豹変といってしまっても差支えが無いほど変わり果ててしまったのだ。当然クラス内が騒ぎ始める。

 

  「静かに! 彼女たちは今情緒不安定な状態になっている。今は会えないが、暫くしたら会える。そのときに話しかけてやれ。」

 

担任が必死の弁明を行うものの効果は芳しくなく、最終的に教卓を出席簿でぶっ叩き、強引に授業へ引き戻すのだった。

 

そしてその授業中に、副担任が戻ってくることは無かった。

 

 

青年は授業が終わったあと、周りを無視し少女のもとへ向かおうとした。が、彼が青年の前に立ちふさがるようにして立っていた。

 

  「おい渉。お前何したんだよ。」

 

  「さぁ?」

 

  「さぁ? ってお前な、人があんな状態に簡単になるわけ無いだろ。しかも最後にお前に向かって叫んでいたじゃないか。それはどう説明するつもりだよ。」

 

  「すいません。ちょっと急ぎの用があるのでどいてください。」

 

  「嫌だ。お前から答えを聞くまで俺は此処からうごかねぇ。」

 

  「そうですか。」

 

青年はそういうと、少女までの最短通路ではなく、大きく大回りしていくことにした。

 

  「な、おい! 逃げるのか!」

 

  「織斑さんこそ答えを聞くまでそこから動かないのではなかったのですか?」

 

  「うっ。そんなのは詭弁だ。」

 

  「そうですか。」

 

 

 

最終的に、ポニテ娘と淑女に連れて行かれることで青年は解放された。時間は掛かったものの青年は少女の下にたどり着き、用事を済ませることにした。

 

  「雫さん雫さん。ちょいとばかしお願いがあるのですが、今いいですか?」

 

  「問題ないですよ。内容は?」

 

  「私の親に手紙を送ったんですけど、ちょっとめんどくさい事がおきましてね、きちんと送られているのかどうか確認をして欲しいんです。」

 

  「わかりました、確認しておきますね。」

 

  「緊急なんでね、急ぎでお願いします。」

 

  「わかりました。」

 

 

青年と少女の会話を終えた後、何事も起こらないことを願いながら、心の底から願いながら部屋へと戻ろうとした。が、それが叶う事はなかった。何故なら、青年の目の前に、教室を途中退出した4人が廊下を塞ぐ様に青年の前に立っていたからだ。

 

  「すいません。ちょっと通りたいのでいいですか?」

 

  「「「「…………。」」」」

 

  「あのー、聞こえてます?。」

 

  「「「「…………。」」」」

 

4人は無反応であり。青年が幾ら声を掛けても下げた頭をこちらへ向けること無く、ただただ道を塞いでいた。

 

  「(リグ、頼んだ。)」

 

  "了解です。"

 

青年はAIに指示を出した後、あの隙間を通る為、4人に近付いた。その瞬間。

 

  「殺してやる。」

 

静かに、そして明確に殺意を青年に対し向けてきた。

 

その言葉を聞いた瞬間、青年はその4人から距離をとった。そこで、今日初めて青年の前に立つ4人の顔を見た。その顔は変わり果てており、そして

 

  「なんで、私たちがこんな目に遭わなくちゃいけないのよ。」

 

目からは光を失っており

 

  「あんたさえいなければ、私たちはこんな目に遭う事は無かった。」

 

絶望と怒りに染まり

 

  「ISは私たち女の為に与えられた特権なのよ。」

 

目を赤く腫らし

 

  「あんたはこの世界に要らない人間なのよ。だからね、」

 

  「「「「この世界から、消えろ!」」」」

 

醜かった。

 

 

その言葉を言い終わると同時に、4人は青年に襲いかかった。その手にはカッターナイフや、ボールペン等先が鋭利なものがそれぞれに握られており、かなり危険な状態だった。しかし、4人が襲いかかった人物は、非公式な試合ではあるが、学園内最高戦力チームに防戦一方とはいえ、凌ぎきった人物であり、この程度であれば片手でも処理が可能だった。

その為青年は、4人の攻撃を目視で確認し、安全マージンを十二分に取った上で回避を行っていた。

 

そんな事を知る由もない4人は戸惑いを見せ始める。4人で掛かれば何の苦労もなく始末出来ると思い込んでいた。

青年にとっては予想できる範囲内であり、4人からしてみれば予想外もいい所だった。しかし、ふとした拍子から、4人の顔に落ち着きが戻り始める。

諦めたような顔ではなく、策を講じている顔だった。その顔を見た青年がほっておくはずもなく、警戒を上げつつ距離を置き始めるのだった。

 

そして、その行動が裏目に出てしまう。

 

  「オイオイ、管理が雑すぎるだろ。(どうなってる?)」

 

  「これが、お前が嫌われているという証明よ。」

 

  “警戒レベル上昇。あと、8分です。”

 

  「私達も居るわよ。」

 

青年は、その光景を見た瞬間手袋を付け始めた。それも当然である。目の前に居る4人の内1人がISを纏っていたのだから。

それだけではない。纏っていない残りの3人も射出式スタンガンや暴徒鎮圧用ゴムショットガンなど、死にはしないものの、一度でも食らったら結果的に死ぬ装備を取り出してきた。

 

もし距離を取っていなかったら、危険はあるもののショットガンを奪うなどの手段が使えたものの、一度でも距離を離してしまうとそれを詰めるのに多大な苦労と危険が伴ってくる。

 

  「(完全に失策だったな。どうしよ。とりあえず【バウンド】へのエネルギー供給開始。)」

 

青年は行動を悔やみつつ、自身が持つ鞄【バウンド】に対し【リフレイン】からエネルギーを送り込み、最悪な事態を想定していた。

そんな青年の険しい顔を見て、追い詰められているということを確信した4人組は余裕の笑みを浮かべ始める。それもそうだ。ISは最強なのだから。

 

  「これで、私達の圧倒的有利は揺るがないわ。さて、どうしてくれましょうか。わたしたちの味わった屈辱を数百倍にして返してあげるわ。」

 

  「そりゃ、遠慮願いたいですね。」

 

それを言った直後、青年は動き始めた。

 

  「そう。じゃあ、死ね。」

 

4人組も言い終わると同時にIS以外からの攻撃を始めた。面制圧攻撃が多く、回避することは非常に困難である。と、思っていたのだが

 

  「は?」

 

  「「「え?」」」

 

攻撃しているはずの4人が一斉に間抜けな声を出し始める。成すすべなく青年は4人によって打ち倒され、無残な姿で転がっていると思っていたのだ。しかし、そこには

 

  「あっぶねー。ギリッギリじゃねーですか。」

 

青年の声と

 

  「いやー助かった。案外ドアって簡単に取れるんだね。」

 

すぐ横にあった扉が根元から引き千切られて、青年を守るように置かれていた。

 

つまるところ青年が取った行動とは、相手が動き出す前に青年が動き、偶然横にあった扉を開き、そのまま引っ張り、蝶番を破壊した。そして、そのまま盾にした。それだけだった。

 

  「(とはいっても、この扉だと全く持たないね。数発抜けてきたし。あとどう?)」

 

  “もうすぐです。あと、3分。”

 

  「(カップ麺作れますやん。)」

 

  “彼女も迅速に動いていますよ。これ以上は不可能です、耐えてください。”

 

  「(さーて、どうすっべ。)」

 

青年が盾にしている扉はフレームは金属製だがその大部分は木製であり、鍵の部分が学園で支給されるカードによるセキュリティシステムによるものとなっていた。

本来は、その部屋の鍵を持っていない青年が開けることは出来ないのだが、AIにハッキングさせることで半ば強引に開錠させることに成功した。したのは良いのだが、先程も述べたとおり、大部分が木製の為防御力は殆ど無い。金属製でなかった為スタンガンは防御しきれたものの、ゴムショットは数発貫通しており、このまま棒立ちしていると死の危険があることは明白だった。

 

青年としては、どうにかして攻撃手段を奪いたいと考えていたが、ISが居る以上こちらから接近するのは自殺行為以外の何者でもない。どうしようか必死に考えていると…

 

  「数発貫通したのを確認したわ。どうせ動けないのだから、このまままわり込みなさい。」

 

  「………。」

 

向こうから来てくれるようだった。

 

  「(UPEに動きは?)」

 

  “全く無いです。余裕の表れとでも言いたげな顔をしています。”

 

  「(まじで?)」

 

  “まじです。3秒後に接触します。あと、1分です。”

 

  「(じゃあ、やる事は1つだな。タイミングを計ってくれ。)」

 

  “了解。”

 

青年は、扉を片手で支え、そのときを待つ。そして、

 

  “今です!”

 

  「ぶっ飛べ!」ガスン!

 

  「なっ!」

 

  「きゃあ!」

 

  「がっ!」

 

青年が取った行動とは、近付いてきた3人に対し、扉を蹴っ飛ばし、それを壁にし死角を縫う様に動き、武器を奪うことだった。

 

全く予想が出来ていなかった3人は飛んできた扉に直撃し、武器を落としそれを青年に回収されてしまう。

 

  「卑怯じゃないの! 大人しくしてなさい!」

 

  「多対一をしてる貴方方の言える事ではないですけどね。」

 

  「うるさい! 消えろ!」

 

ISを纏っていて尚且つさっきから何も行動していなかった生徒が、ブレードを取り出し、青年に向けて接近を始めた。恐らく斬るつもりであろうか、構えは袈裟斬りの構えとなっており、武器を持っているとはいえ青年に取れる行動は残っていなかった。しかし、

 

  “間に合いました。来ます。”

 

青年にとっては勝ちだった。

 

ガキン!

 

  「う、嘘。」

 

自身のブレードを止めた人物を見て、今まで以上に青ざめる女生徒。青年を守るように立ち、女生徒のブレードをとめているのは

 

  「貴様ら、折角の恩情を此処まで無駄にするとはな。覚悟は出来ているんだろうな。」

 

IS用ブレードを携えたスーツ姿の担任だった。担任の表情は非常に暗く、ただ、目の前に居る人物に対し軽蔑の念を送っていた。

 

  「まーた、ギリギリですか。」

 

  「すまない、四十川。怪我は無いか?」

  

  「ゴムショットが数発ヒットしたくらいです。なので、内出血をしているくらいですかね。」

 

  「そうか。直に山田先生が来る。先生と共に保健室へ行け。ここの後始末は私がしておく。事情聴取はそれからだ。」

 

  「わかりました。」

 

青年は、女生徒から奪った非殺傷武器をこっそり鞄の中に格納し、その場を後にしようとした。

それに対し、ISを纏った生徒は大変不服だったようで、質問を担任にしていた。

 

  「千冬様! 何故あの男を庇うのですか! 私達は被害者ですよ!」

 

  「仮に被害者だとしても、学生の喧嘩にISを持ち込むのは過剰過ぎる。それに校則違反だ。」

 

  「自身に与えられた力を使って何が悪いんですか! 専用機持ちの、オルコットさんや凰さんだってアリーナ以外でも普通に展開しているし、一夏君に普通にぶっ放しているし、私達も似たようなものです!」

 

  「(そういや結構な頻度でぶっぱしとるね、あいつら。)」

 

その言葉に思わず、青年も思い返し危うく同意しかけてしまった。しかし、それは彼女たちが(一応)代表候補生として学園に来ており、それまでに(恐らく)血の滲むような努力があったからこそ、個人携帯を許可されているのであろう。それにしてもやりすぎである。

 

  「ほう。国家代表候補生と一般生徒である貴様が同一格だと? 笑わせるな。奴らは見た目はああでもそこに至るまでに努力を重ねている。それを知ろうとしない貴様にそれを語る資格は無い。これ以上の問答は不要だな。私に斬り倒されるか、自首するか好きなほうを選ばせてやる。」

 

その言葉を共に、考え込むように頭を下げてしまった。

 

  「お待たせしました! 四十川さん大丈夫ですか? 怪我は無いですか? って普通に立っていますね。」

 

  「ええ、まぁ。」

 

  「山田先生、ここに居る4人の制圧は私がしておきます。四十川はどうやら暴徒鎮圧用の硬質ゴムショットガンを食らったらしいです。」

 

  「ええ!? あんなものを受けたんですか? 大丈夫ですか?」

 

  「一応は。」

 

  「急いで保健室へ行きましょう!」

 

  「そうします。」

 

副担任の言葉を聞き、その場を後にしようとしたそのとき

 

  「四十川! あんたのせいだ! 例えこの身が滅びようとも、お前だけは道連れにしてやる!」

 

  「愚かな。」

 

やけくそになったのか、目の前に担任がいるにも関わらず、青年へ向かってブーストを吹かそうとする。担任もそれを止めるため、動き始める。しかし、それは徒労に終わってしまう。

 

  「え?」

 

  「なんだと!?」

 

  「危ない!」

 

  「あーあ。終わったな。」

 

それぞれが、反応を示したのも無理は無い。何故なら、ブーストを吹かそうとする直前のISが突如強制解除されたのだから。

 

  「何で!? 動いてよ!」

 

  「そんな、ありえない。だって、訓練用ISの解除は安全の為に接地していないと出来ないはずなのに…。」

 

これだけでも十分異常事態。しかし、ある人物の怒りはこの程度で収まるはずが無かった。

 

カツーン

 

強制的に待機形態に戻されたISは地面に落下し、数回跳ね、そして、

 

  「あっ…。」

 

  「嘘…、私のせいじゃない。私のせいじゃない、私のせいじゃない私のせいじゃない私のせいじゃない私のせいじゃない。全部全部全部、アイツが悪いんだああぁぁあぁ!!」

 

女生徒が発狂した。その理由とは、

 

  「「ISが自壊した!?」」

 

そう。ISの最小形態である待形態中に、崩れるようにその姿を消したのだ。待機形態の中には当然、ISのコアも含まれている。つまり、コアを壊してしまったということだった。

 

  「(奴さんの怒り、か。そういう約束だったな、確か。なら手加減は要らない。存分に知らしめてやるといい。博士。)」

 

一瞬で凄まじい環境に変貌した廊下を見て、青年は今後の波乱を確信するのであった。

 




ども、最後まで読んで頂いてありがとうございます。



これからものんびりと更新していきますので、
気長にお待ちください!


コメント(理不尽な批判以外)、質問、代替案、どしどしお待ちしてます
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