IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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どもども、お久しぶりです。

前回に引き続き、今後のことについて活動報告に投稿しました。

煩わしいとは思いますが、チラ見をお願いします。


では、本編どぞー


IS学園編~潰れたトマト~

  「(さてっと、何が起こったか端的に説明しろ。)」

 

青年は離脱する相手を最後まで見送った後、リフレイン以外の武装を解除しつつAIと会話をしていた。

今回の事件は青年にとっても全く無視できるような自体ではなかった。今回はどうにかなったが、次回以降も今回のように都合よく相手が撤退してくれるとは限らない。故に青年は対策をするために原因究明を行うつもりだからだ。

 

  “既存のものより遥かに強力なジャミングを受けました。その影響で通信に深刻な影響が発生し維持が不可能と判断しました。その後リカバリーモードへ緊急移行、その後約30万通りの手段を用いて通信復旧を試みていました。”

 

  「(結果は?)」

 

  “不可能でした。この後も約20万通りの手段を講じる予定ではありましたが、その何れも成功確立は非常に低かったであろうと判断します。”

 

  “そして恐らくですが、先ほどの女性が破壊した機械がジャミング装置であると推測され、効力から推測するに対ISを前提とし製作されたものと推測できます。”

 

  「(有効対象は?)」

 

  “既存の通信機器は元より、ISのプライベートチャンネルまで対応可能かと。”

 

  「(二の轍は踏むなよ。)」

 

  “了解。”

 

 

 

  「?何だ?」

 

不意に青年のスマホが何かを受け取ったのか振動を始めた。画面を確認すると非通知でかけられていた。

 

  「はい。」

 

  『あぁ、出てくれた! 四十川さん今何処にいますか!? 』

 

どうやら電話の主は副担任らしく、おそらくアリーナ内の緊急電話で掛けているのだろう。

 

  「今はー、アリーナの外ですね。どうしました? 緊急ですか?」

 

  『ええ! 緊急事態です。決勝戦試合中に所属不明のISがアリーナに乱入しました。その直後、アリーナのセキュリティシステムがハッキングを受け、瞬く間にアリーナ内の全セキュリティシステムを乗っ取られました。その後緊急用防壁によって移動用通路が断絶、各エリアに教員を含め全員が閉じ込められ身動きが取れない状態です。不明ISは現在織斑君と鳳さんが応戦中。セキュリティシステムは、我々教員が総力を尽くして奪還作業中です。なので、今自由に動ける人物は四十川さんしかいないんです!』

 

非常にまずい状況らしいのか珍しく非常に早口で説明を受けた。しかし、噛むことなく説明できるあたりさすがだなと青年は呑気に考えていた。

 

  「事情は理解しました。具体的に私は何をすれば?」

 

  『四十川さんには、閉じ込められている生徒たちの救出作業をお願いします。』

 

  「防壁の対処はどうすれば?」

 

  『それは織斑先生から必要最小限という条件付きですが、破壊許可を頂いています。ですが、防壁破壊の際周囲に十分注意を払い、生徒に直接間接問わず被害が出ないようお願いします。』

 

  「専用機の使用は?」

  

  『許可します!』

 

  「理解しました。」

 

  『では、お願いしますね!』

 

プツッ

 

慌ただしい通話が終わり、青年は指示された事を実行するために準備をしようとした。が、青年は身体から発せられる違和感と悲鳴を感じ取っていた。

 

  「…右眼が見えていないし、頭痛が酷い。直死はさすがに負担が大きすぎたか。」

 

青年の身体には自身のみが持つ例の力による反動が現れており、戦闘時に蒼色になっていた目は既に元に戻っていた。しかし、虹彩の色合いが薄くなっており一時的にオッドアイのような状態になっていた。

 

  「(サーチ開始。)」

 

  “了解。………完了しました。どうやら脳と視神経に多大な負担が掛かっていたようです。ですが十分な休息を取れば完治できる範囲内です。結構ギリギリですけど。”

 

  「(おし、なら大丈夫だな。)」

 

AIからの結果を聞きひとまず安堵の表情を見せる青年。その後、青年は後始末のためにスマホである人物に連絡を始めた。すると、数コール後にその人物は出た。その人物とは

 

  『はぁい、どうしたの急に連絡くれるなんて。まさか、おねーさんのことが忘れられなくなっちゃった?』

 

生徒会長だった。

 

  「更識生徒会長。単刀直入にお伺いします。どこから視ていましたか?」

 

  『おねーさんちょっと何言っているのかよくわかr「日本における唯一の対暗部用暗部組織【更識】」………。』

 

青年にセリフを割り込まれ、突如だまり始める生徒会長。しかし、青年はそれでも言葉を止めない。

 

  「長年更識の従者であることを義務付けられた家系【布仏】」

 

  『………。』

 

青年が言葉を紡ぐたびに確実に電話先からの重圧が増していく。

 

  「世界の根底を脅かす可能性を持つ超危険人物である私。これだけの条件があって、普段の関係を疑うなって無理があるとは思いません? それに電話にもすぐ出たでしょ? 今授業中なのに。まだ理由説明が必要ですか?」

 

  『あなた…何処で手に入れたの? 事と場合によってはこちらも強硬手段に出るわよ。』

 

青年の言葉が終わった直後、溜まった重圧が青年対して向けられた。電話越しとはとても思えないほどの声色。しかし、それは決して怒っているわけではない。しかし、相手に対して一切の有無を言わせない非情な声。少なくとも普段のような姿からは予想できないものであった。

 

  「うーん、それは困った。こっちはまだ敵対する気はこれっぽっちもないのに。」

 

それを受けてなお青年は普段と全く変わらない口調で返答をしていく。

 

  「それに、私が何もしていないということを誰よりも知っているのはあなたでしょう?」

 

事実青年は更識や布仏、それの関係者たちに対して特に大きな行動を取っている訳ではない。精々日々の愚痴や世間話をする程度だ。それ以外は何もしていないし、青年としても今すぐ何かをする気はなかった。

数秒間か数分間か定かではない。電話を挟みお互いに無言の状態が続く。しかし、

 

  『…はぁ、私が来たのはほんの数分前よ。』

 

生徒会長が諦めるという形で一応の終わりは見せた。

 

  「具体的には?」

 

  「学園内に突如現れたコア反応が領空離脱する直前よ。」

 

  「なら状況の説明は要りませんね。潰れたトマトの後始末をお願いします。」

 

  『後で事情聴取を受けてもらうわよ。』

 

  「わかりました。では失礼します。」

 

電話を切り、指示通り救援行動を行うための準備をしようとした矢先、青年は自身が殺した人物の付近に鈍く光る金属片のようなものが偶然目に入る。そして、血に塗れた何かを拾い上げる。

 

  「(何だこれ。)」

 

  “おや、ご存知ありません?これはコインです。”

 

  「(んなもん見りゃわかるよ。ふざけとんのか。)」

 

青年が手に取ったそれは世間一般的にコインと呼ばれるもので、硬貨とは違い数字などが明記されていなかった。

 

  「(なんでまたこんなものを?)」

 

  “随分と手が込んでいますね。”

 

  「(ああ、コインを埋め尽くすように偽造防止デザインが刻まれている。現行の硬貨と似たようなところも少しだがある。これを見る限りでは少なくとも、そんじょそこらの犯罪組織が持てるような代物ではないぞ。)」

 

青年は、コインを見て素直な感想を零した。拾ったそれはスペードが表裏共に大きく書かれ、その周りを所狭しと様々な模様が書かれてあった。そして、スペードもまるでトランプのエースのように中まで模様が書かれていた。

 

  “では、いい情報です。似たような金属反応がマスターの周りにあと3つあります。”

 

  「(まさか、潰れたトマトの中とかは無いよな。)」

  

  “説明が楽で非常に助かります。その通りです。どうします?”

 

  「(やむを得ん、回収するぞ。)」

 

  “了解。では、場所を指示します。”

 

青年は、指示通り潰れたトマトという名の元人間を弄り全く同じコインをそれぞれから回収し、青年の持つ鞄の中へ仕舞った。

 

回収している途中に青年は素朴な疑問が浮かんだ。

 

  「(そういえばさ、こいつらって誰? どっかで見たような気がするんだけど?)」

 

今回襲ってきた人物についてである。口調から察するに相手は青年に対し相当な恨みを持っていたようだが、そもそも人の顔を必要以上に覚える気のない青年には全く覚えがなかった。

ただ、弁明を付け加えるのであれば、襲撃者は後ろに控えていた人物以外顔は痩せこけ、全体的に青白く、どう見てもやばい人物にしか見えないレベルで変貌していたので、仮に襲撃者たちと親交が深かった人物であっても気づくには時間が必要だったであろう。

 

  “あの…本気で言ってます?”

 

しかし、それは人間相手であった時の話であり、AIであるリグは全て知っていた。この状況では無駄な情報という事で黙っていただけである。

 

  「(どういうことだ?)」

 

事後考察の一環で使うつもりだった青年はAIの返答に疑問を持つ。

 

  “以前マスターを襲撃して退学になった女生徒を覚えていますか?”

 

  「(事件としては覚えているけど、名前も顔ももう思い出せん。まさか…)」

 

  “ええ、そのまさかです。五十嵐 睦心。氏縄 胡桃。京 麗。水田 麻里。以上4名がそこに転がっているトマトの正体です。”

 

  「(ちょっとまて、確かそいつらって何やらを背負って退学させられたはずだよな。)」

 

  “そうです。多額の借金と多数の罪を背負って強制退学させられました。その後につきましては、公開されていませんので不明です。調べましょうか?”

 

  「(頼んだ。)」

 

青年の頭の中には、様々な考察が浮かんでは消えていく。しかし、頭痛がそれを阻害する。このままでは埒があかないと判断し、考察を後回しにすることにした。

 

  「さーてっと。後始末が来る前にさっさとここから離れてしまおう。」

 

そんな言葉とともに、見えない目を隠すようにフードを深く被り、鞄を持ち、アリーナ内へ再度戻って行った。

 

 

 

青年が最初にたどり着いた場所は、

 

  「雫!聞こえるか!」

 

自分が信頼出来る人物がいる部屋だった。防壁を叩き、中にいる人物との接触を図る。電話を使えばもっと早くできそうな気もするが、この混乱中にうまく指示が通るとは考えにくい。そして、この部屋以外に青年の電話番号を知っている人物はいないのだ。それであれば、実験も兼ねてこの部屋で練習するつもりだった。

 

  『聞こえます! そちらから解錠できますか?』

 

  「めんどくせぇ! 今からぶち抜くから扉から離れろ!」

 

  『わ、わかりました! 皆さん今すぐ扉から離れて! 巻き込まれますよ!』

 

家でも口論の時くらいでしか聴いたことがない少女の大声が扉越しに聞こえ、次第に向こうから聞こえる声が小さくなっていった。

 

結果的には意思伝達は成功したので、青年はこの作戦で行くことにした。

 

  「トランスプラントコード【粘土細工師】部位:両腕」

 

青年が小さく呟いたあと、両手を扉につけた。その直後、扉全体に一瞬だけ白いラインのようなものが青年の手から広がり、何かが割れるような甲高い音が響いた。それを聞いた青年は、ゆっくりと扉を押した。すると

 

ぐしゃり

 

  「はい、トンネル開通ーっと。」

 

まるで粘土のように扉がひしゃげた。当然非常用の防壁だけあって相当な硬度を持っているはずなのだが、青年はいとも容易くぶち破った。

それを間近で見ていた生徒は予想外の余り呆然としていたが、アリーナ内で発生している戦闘音が聞こえた瞬間、我先にと唯一できた脱出口に殺到した。その影響で青年は弾き飛ばされた。

 

  「遅れてすまんかったね。状況は…どっちも良くないか。」

 

狭い出口に譲り合いの精神の欠片も見かけられない集団が密集しており、無駄に出口を量産する気の無い青年は、出口から離れたところにいる少女に話しかけた。

 

  「生徒は大体あんな感じです。問題はこちらですね。」

 

  「まぁ、そうなるわな。」

 

青年と少女が目を向けた先には既に満身創痍となりつつある彼とチャイナ娘、そして外傷らしい傷が余りない全身装甲型ISが戦闘相手である2人をじっと見るように立っていた。

それ以外にも、客席の至るところが壊れていた。

 

  「状況を簡潔に説明できる?」

 

  「シールドを突き破ってきて、そのまま2人を翻弄している。ですかね。」

 

  「うーん、簡潔すぎるな。もう一押し欲しい。」

 

  「このままでは負けます。」

 

  「オッケー、君が2人に恨みを持っていることは十二分に理解した。」

 

あくまで無表情ではあるが、その殺伐とした返答に青年は、呆れはしたものの事情を知っているだけにそれ以上は突っ込まなかった。

 

  「因みにこの惨状は?」

 

  「相手が撃つ、織斑さんが考えもなしに無闇矢鱈と弾き飛ばす。」

 

  「理解した。」

 

そうこうしているうちに、生徒が脱出出来たようで、入口付近には人がいなくなっていた。

 

  「さて、雫さんも避難しておきな。」

 

  「渉さんは?」

 

  「私はこれから残業。」

 

  「手伝います。」

 

  「止めとけ。」

 

  「…わかりました。」

 

不満そうな表情になりながらも、そう言うと青年がこじ開けた穴から少女が脱出した。

 

  「さーてっと、お仕事を再開しますか。」

 

その後、合計3箇所の客室への防壁をひしゃげさせ、生徒を解放していくのだが、その時に生徒から何故か暴言が飛んできた。具体的には、

 

  「ノロマ」「愚図」「もっと早く助けなさいよ!」「本当に役に立たないのね! 一夏君を見習いなさい!」

 

等といったものなのだが、青年はある点を見ていたので全く興味を示さず全て空返事を返していた。そのある点とは、

 

  「(今の後ろ姿って、篠ノ之さんだよな。)」

 

どこから脱出したのか原因は不明だが、ポニテ娘が非常口とは全くの別方向に全力疾走している姿を、青年は視界の隅で捉えていた。

 

  「(なんでだろう。すごーく嫌な予感がするのは気のせいかな?)」

 

  “残念ながら大当たりです。真意はわかりませんが、どうやら放送室に向かっているようです。”

 

  「(マジで何する気?)」

 

  “自らデコイにでもなりに行ったんじゃないですか? 彼女が避難行動の手助けをするとは思えませんし。”

 

  「(…追うぞ。)」

 

  “了解。”

 

AIからの言葉を聞いた瞬間、青年の中で厄介事が一つ増えた。溜息をつきながらもポニテ娘の後をばれないように追うのだった。

 

 

 

………side

 

  「一夏、勝って来い。」

 

  「ああ、任せろ!」

 

試合前に一夏の奴と交わした会話だ。一夏の奴は私の期待を裏切らない活躍を見せ、順調に決勝まで勝ち進んでいった。私の訓練のおかげで一夏は此処まで戦っているのだと思うと私も鼻が高くなる。だが、

 

「何故貴様が此処にいる。」

 

「あら、それは貴方も同じですわ箒さん。」

 

私と同じように満足そうな顔をしているセシリアがいなかったらの話だ。本来は私が一夏と訓練するするはずだったのに、この泥棒猫が横からそれらしい理由とわけのわからない理屈を並べて一緒に訓練するようになってしまったのだ。

 

  「私は一夏の教官だからな。それに私は貴様を一夏の教官と認めたわけではない。」

 

  「これはこれは、変なことをおっしゃいますのね。それに、教官を決めるのは貴方では無くて一夏さんでは? まぁ、結果はわかりきっていますけれどね。Cランクの篠ノ之さん?」

 

  「だまれ! 私は一夏の幼馴染なのだ。貴様にどうこう言われる筋合いは無い。」

 

  「でも途中で離れ離れになってしまわれたんでしょう? であればこの私にも勝機があるというもの。せいぜいそのアドバンテージの上で胡坐を書いていてくださいな。その間に私が優雅に一夏さんの心を掴んで見せますので。」

 

  「きさまぁ!」

 

セシリアと話しているとどうにも振り回されてしまう。いかん、一夏は私を見ているんだ。周りがどれだけいようとも最後には私のところにくるのだ。そうに決まっている。

 

  「貴様ら騒ぎたいのであれば観客席のほうへ移動しろ。周りの教員の方々に迷惑だ。」

 

  「だそうだ、残念だったなセシリア。」

 

  「あら、随分と都合のいい耳をしていらっしゃるようですわね。出口はあそこですわよ篠ノ之さん。」

 

  「「………。」」

 

何を言っているのだろうかこの金髪縦ロールは、千冬さんも言っていること無視する気か?

 

スパァン! スパァン!

 

  「っぅーー。」「うぅーー。」

 

しかし、千冬さんは私たちに出席簿を当ててきた。痛みに思わず声にならない叫びをこぼす。

 

  「私は貴様らといったはずだ。どちらか片方ではない。ここで大人しくしているか、観客席に移動して大声であいつらを応援してくるか。今すぐどちらかを選べ。」

 

千冬さんは何もわかってない。此処で追い出すべきはセシリアの奴なのにどうして私までも出席簿を食らわねばならないのだ。しかし、私は一夏の教官だから此処を動くわけにはいかない。隣を見てみると非常に不本意だがセシリアも同じように大人しくすることを選んだようだった。

 

  「全く最初からそうしていれば良いものを。余計な手間を掛けさせるなよ。」

 

そんな言葉と共に千冬さんはモニターの前に移動し仕事に戻った。暫くすると、教員の触る機材の一つからエラー音が吐き出された。

当然千冬さんも原因究明に走り始める。しかし、それはアリーナの外で起こったことらしく今の教員たちでは対応しきれないらしい。慌ただしくどこかに連絡をし始めた。どうやら外部の人間に対応を任せるらしい。連絡も終わり、一息つこうとしたその瞬間。

 

 

どおおぉぉぉぉぉぉおおおぉおぉぉぉぉおんん!!

 

 

アリーナ内に轟音が鳴り響き、先ほどとは比べ物にならない量のエラー音が司令室に鳴り響いた。

 

  「どうした! 何があった!」

 

  「アリーナ内に侵入者です! コア反応あり、敵性対象をISと断定!」

 

  「セキュリティシステムに侵入者あり!………嘘、セキュリティシステム全権限掌握されました!」

 

  「アリーナシールドレベル上昇! 数値は4! 各連絡通路の緊急防壁起動! 各エリア断絶されました!」

 

どうやら、不審者がアリーナ内に侵入したらしい。機材を触っていた教員たちが悲鳴に近い声で状況を説明していく。私にはさっぱりわからなかったが…

アリーナ内を映すモニターには土煙ばかりが映っており、安否を確認することすらできず、思わず私は叫んだ。

 

  「一夏の奴は大丈夫なのか!」

 

  「そうですわ! 早く一夏さんの救援を!」

 

  「うるさいぞ貴様ら! 第一2人のコア反応はまだあるんだ、お茶でも飲んで落ち着け。」

 

そういって近くにあったペットボトルを手に取り、何処から取り出したのか紙コップに人数分のお茶を注いでいた。流石は千冬さんだ、全く動じていない。これが大人の余裕という奴か。私が感心していると、山田先生が非常に申し訳なさそうな声で千冬さんに話しかけてきた。

 

  「あのー、織斑先生。それ私のお茶なんですけど…。」

 

  「…すまない。」

 

どうやら、千冬さんも結構動揺しているようだった。

 

暫くすると、土煙が晴れ2人と侵入者の姿が見えてきた。

 

  「織斑君! 今から教員部隊が向かいます。絶対に攻撃を仕掛けないでください!」

 

  『何でですか! こっちには鈴もいるし人数で勝ってます。他の生徒のためにも先に制圧しておいたほうが良いはずです!』

 

  「生徒を危険な目に合わせておいて何が教師ですか!」

 

  『っ!』

 

  「我々教員は全生徒の安全を命に代えても守る義務があります! こういったことのために教員部隊があるんです! 織斑君、貴方は確かに侵入者を制圧できるかもしれません。でも、それで怪我をしたら周りの人が悲しむのですよ!」

 

  『俺は皆を守りたいんです! それに、こんなところで逃げたら男じゃない!』

 

  「あーーもう!」

 

山田先生が一夏と通信で口論しているようだが、何故山田先生は一夏の意見を尊重してやれないのだ。一夏がやりたいと言っているのだから、やらせてあげれば良いのだ。それに安全を守るのが義務らしいがISを纏っておいて死ぬことなどあるはずがないだろうが。

埒が明かないと判断したのか、山田先生は千冬さんに通信を変わってもらっていた。

 

  「織斑、今から教員部隊を向かわせる。それまでの時間稼ぎだ。それ以上の譲歩は出来ない。そして、無事に帰ってくること。これが出来ないと判断したら敵に背を向けてでも逃げろ。これが条件だ。」

 

  『っ! わかったよ千ふ…織斑先生! ありがとう!』

 

ブツンッ

 

  「山田先生すまない。今回の件についての責任は全て私が取る。」

 

  「はぁ、独断行動が好きなのは血筋ですね。いつもこっちが振り回されていましたからね。わかりました。此処まできたら最後まで付き合います。」

 

  「感謝する。」

 

  「どの道、アリーナに突撃する為にはセキュリティシステムを奪還しないといけないんですけどね。久々に腕が鳴りますよ。」

 

気のせいか、山田先生の目に火が灯ったような気がする。前々から気になっていたのだが、彼女は一体何者なんだ? 今も腕をぐるぐる回して腕まくりをし始めている。

私はモニターに視線を戻し、状況を確認した。

 

  『ちょっと一夏! ちゃんと攻撃当てなさいよ!』

 

  『鈴だって龍砲で俺を巻き込むなよ!』

 

  『射線に入るあんたが悪いのよ! ちゃんと避けなさい!』

 

  『無茶言うな!』

 

何がしたいのだろうか…。さっきから攻撃の度に口論が混じっていて、なんというか、聞いているとイライラする。なんだろうなこの何とも言えない気持ちは。

 

敵も一方向ではあるが機敏な回避能力を見せ、背後からの砲撃であってもまるで後ろに目がついているのかと疑ってしまう位華麗に回避していた。まぁ、ハイパーセンサーで背後まで目視確認をしているだけなんだろうが。

時折敵から攻撃が来るものの一夏は雪片改で弾き飛ばしていく。弾き飛ばしている方向には観客席があるがアリーナシールドがあるから問題はないだろう。そんな中、教員の一人が叫んだ。

 

  「山田先生、セキュリティシステム3割奪還成功しました! 」

 

  「アリーナ外部にISのコア反応有り! 数2 片方は四十川です!」

 

  「どういうことですか? どうしてそんなところに彼がいるんですか?」

 

  「わかりません! コア反応移動開始! 学園の領空を離脱していきます。」

 

どうやら、侵入者はほかにもいたようで、それの対応をしていたのは四十川のやつらしい。しかし、何故やつは外にいたのだ? まさか、あいつが侵入者を手引きした? でも、ひょっとしたら偶然巻き込まれただけかもしれん。でも、わざわざ試合中にアリーナの外へ出るか? 怪しい。

 

  「彼なら外から動けるのでは?」

 

  「そうですね。私が連絡を取ってみます。皆さんは引き続き奪還作業を続けてください。」

 

  「分かりました!」

 

山田先生が慌ただしく電話で連絡を取り始めた。本当に外にいたらしく山田先生が指示を出していく。なんだろうこの疎外感は、セシリアも防壁の外で万が一に備えシールドの外で準備を整えている。ほかの先生たちも慌ただしく作業をこなしていき、織斑先生も途中から奪還作業に参戦し始めた。私だけだ。何もしていないのは。

 

私には力がない。でも出来ることがあるはずだと思っていた。しかし現実は何もすることがなかった。専用機を持っているわけでもない、専門知識を持っているわけでもない。直接応援をしようにもここでは声は届かない。それに通路が封鎖されているからここから出ることもできない。私は無力だ。せめてここから出ることができれば…

 

  「山田先生! システム奪還率6割超えました! 隔壁順次解除していきます!」

 

  「生徒の避難経路を最優先で! 他は後回しにしてください!」

 

  「わかりました!」

 

私の姉はいつでも私のことを見てくれているようだった。私が願った瞬間、目の前の扉で光っていたロックランプが消えたのだ。周りを見渡してもこちらに気がついている様子はない。これはチャンスだ。私にもできることがあるということを姉が手を貸してくれたに違いない。私は、すぐさまこの部屋から飛び出した。後ろから何か私を呼ぶ声が聞こえるがそれに構っている余裕はない。私にはすべきことがある。そのために私は放送室へ全力で走っていった。

 

シュイン

 

  「なっ! 篠ノ之さん! 何処へ行くんですか!」

 

  「篠ノ之! 戻れ!」

 

  「織斑先生、2人のエネルギー残量が2割を下回りました!」

 

  「あークソっ。織斑、鳳、そろそろだ。撤退の準備をしろ。」

 

  『まだだ! まだ俺はやれる!』

 

  「これは命令だ! 直ちに撤退しろ!」

 

  「山田先生、指示を!」

 

  「織斑君のことは織斑先生に任せてください! 皆さんは自分の仕事を最優先でお願いします!」

 

  「は、はい!」

 

 

 

私は放送室の部屋など知らない。しかし、隔壁が開いているところを走っていくと放送室前に辿りついた。やはり、姉は私を見ていてくれるようだ。

意気揚々になかに乗り込むと、司令室とは違いアリーナ全体を見渡すことができた。そして、私は既にボロボロになっている一夏を見ると、私の役目を確信した。その後、近くにあったマイクの電源であろうスイッチを入れ、よくわからなかったが全部のレバーを一番上まで上げてから叫んだ。

 

 

  「一夏あああぁぁぁぁぁぁああぁぁぁ!!!。男なら、男なら!その程度の敵に勝てなくて、なんとする!!」

 

言い切った。若干ハウリングもあったような気がするが、それでも一夏の奴には喝が入っただろう。私は満足そうに試合を見ようと視線を戻すと、目の前には視界を覆い隠すほどのレーザーが目の前に迫っていた。それを見た瞬間、目の前が真っ白になった。怖いとか、逃げたいとか、そういったものを考える余裕すらない。

そう思った矢先、突如体が動かなくなり、体が後ろに引っ張られるように飛ばされた。状況が理解できず、誰がこんなひどいことをしたんだと思い、飛ばされて視界が安定しない中最後に見たのは、いつぞや見た、フードと外套を纏った人物が握りこぶしを振り上げているところだった。私はそれを見た直後、頭に衝撃が走り意識を失った。

 

 

Side out

 




ども、最後まで読んで頂いてありがとうございます。

中途半端のような気がしますが、気のせいです。(白目)


これからものんびりと更新していきますので、
気長にお待ちください!


コメント(理不尽な批判以外)、質問、代替案、どしどしお待ちしてます。
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