青年は赤点からの補填に成功し卒業できた。のだが、
「(藍越高校に入学したのは良いが、やることが無さ過ぎて暇だ。)」
大体暇をもてあましていた。
理由のひとつに友人がいないというのもあると思われる。
「(何か失礼なことを言われた気がするが、気のせいだろう。)」
「(んーーーー、どうするかねー)」
青年は誰もいない放課後の教室に1人で椅子を揺らしながら今後のことを考えていた。すると、青年のことを探していた教師が声を掛けてきた。
「おい、四十川。お前部活どうするつもりだ?」
「おや、板垣先生。どうするとは?」
素で何も理解していない青年は、首を傾げながら質問していく。
「この学校は、部活動が必須だぞ。パンフレット読んでないのか?」
「まじっすか」
「マジもマジ、大マジだ。で、どうする?」
この教師が青年に話しかけてきた理由とは、青年だけ部活に所属していなくて催促させる為だった。
予想外のことではあったものの青年は暇つぶしには良いかなと軽い気持ちで質問していく。
「それって同好会でもいいんですか?」
「内部評定が部活よりも下がり、学校からの予算もそこまで下りてこない。それでも良いなら良いぞ。」
「じゃあ、同好会を作ります。」
「はい?」
唐突な言葉に思わず、疑問で返してしまう教師。しかし、青年は止まらない。
「パソコン同好会ってことで」
「一応聞こう。活動内容は何だ?部室は?担当顧問は?もう決まってるのか?」
「活動内容は、パソコンの基本動作を学びつつ、P検等の資格取得を目的とした同好会です。場合によっては他からの依頼も受け付けます。部活動のチラシや、文化祭のパンフレット作成とかね。部室は、この学校が新しく改修工事されたときに、PCルームなる部屋を見つけているので、差支えが無ければそこが良いです。担当の顧問は、可能であれば板垣先生にお願いしたいと考えてます。」
「内容と、部室は後で確認を取るから良いとしても、顧問が何故俺なんだ?一応、文芸部の顧問なんだが。」
「この学校で、見た目に左右されずに私に話しかけてくださった先生の1人だからですよ。あと、活動は文芸部のほうを優先してもらってかまいません。何か活動した際はこちらから連絡すれば良いだけですし、何より同好会なので、毎日の参加義務なんぞありませんから。先ほども言ったとおり、依頼があったときに、そのスペースで私が作業をするのに必要なことをして頂ければ。」
つらつらと答える青年に驚きを隠しきれない教師。それはまるで予想外と言いたそうな顔であった。
「お前、色々と考えてるのか?」
「いえ、咄嗟に考えて頭の中で文章を作りながら、話をしただけですよ。」
「…そうか、分かった。顧問の兼任ができるかどうかはまだわからないが、一応それで上に掛け合ってみよう。後は、できた時にまた話し合おう。」
「ありがとうございます。」
会話と用事が終わった教師は教室を後にし、青年も帰宅した。
後日
「四十川、この前の同好会の件だが、申請が降りた。ほぼ、お前の要望どおりに使えるようになったぞ。よろこべ。」
「やったー(棒)。で、ほぼってことは何かしらの制限があるんですね。」
「ああ、そのとおりだ。上が提示してきた条件はこれだ。」
・部長を含め総部員数を3人以上とすること。
・最低でも、1週間に1回以上の部活動を行うこと。
・毎月の部長会議に参加すること。
「なるほど、サボり防止ですね。」
「そのとおり。他はどうにかなったが、そこだけがどうにもならなかった。」
「ここまでして頂いてありがとうございます。部員に関してはこっちでどうにかします。」
「わかった。あぁ、そうだ。1つだけ言い忘れてたことが。」
「何です?」
「ソレ(創部申請書類)の提出期限今日までだから。」
その言葉を聞き、青年は自身の腕時計を見る。そこには短針が3を少し過ぎていて、長針が丁度2に指しかかろうとしていた。
「…先生、私の腕時計が壊れてなかったら、今15時を回っているような気がするんですけど。」
「そうだな。まぁ、がんばれ。」
「……」
青年は同好会に入ってくれそうな人を探して、学校中を駆け回り、何とか創部することに成功した。
Side ……
とある女性は、現状に絶望していた。宇宙に飛び立ちたいという一心で、作り上げた自分の娘とも言える傑作が兵器としてしか見られていないことに。自分のことを一切理解しようとしない、理解できない塵芥共。そして、全員がインフィニット・ストラトスのことをISと呼ぶ理由を考えていないことに。最近では親友や妹ですらそれに染まりつつあることに。
ISの適正者を間違った方法で探し出していることに。
「もう、こんな世界のことなんか知るもんか。オマエラの好きにすれば良いさ。こっちも好き勝手に動くから。」
Side out
青年は進級し、ほんの少しの友人と日常会話を楽しむレベルまでには高校関係を作ることにも成功していた。そして、1つの小さい転機が訪れる。
「(放課後に教室残ってくれって何だ?人伝だから、相手が誰か全く分からん。)」
青年は、外を見ながら時間を潰していた。すると、教室の扉が開きショートカットの生徒が入ってくる。
見た目は前髪が目を隠すほど長く、全体的に線の細い生徒だった。ズボンを穿いているのもそれを助長していた。
「四十川先輩。」
やや低めのハスキーなボイスで苗字を呼ばれ、彼が今回の相手であることを青年は理解した。
「やっときたね。さて、用件はなんだい?」
予想が出来ていない青年にとって結構わくわくしていた。しかし、
「先輩。僕と付き合ってください。」
とんでもない爆弾が落とされた。よりにもよって同姓から告白されたのであった。
「……(私も男なんですけど…)」
思わずフリーズする青年。しかし目の目の人物は答えを催促してくる。
「返事を聞かせてください。」
この時点で青年の答えは
「うん。ごめんね。」
決まっていた。
「やっぱりですか、先輩ご迷惑をおかけしました。失礼します。」
青年からの返答を聞き、声を上ずりながら教室を出ようとする。しかし、その姿を見て違和感を覚えた青年は一つ質問をする。
「ちょっと待ってもらっていい?」
「何ですか?」
「私の性別知ってる?」
この場面において本来ありえない質問だが、それでも聞かずにいられなかった。答えが返ってくるものの、それは良くも悪くも予想を裏切るものだった。それは
「女性ですよね?」
青年の性別を間違えていたのだった。それであれば納得できる、彼にとっては異性に告白しているのだから。
「男性だよ。」
青年から、真実を告げる。すると、目に見えるほど体が硬直し、フリーズした。
「「………」(気まずい…)」
暫くし、フリーズから復活した彼は青年に対し質問を投げかけてきた。それは
「すいません、僕の性別知ってます?」
青年が投げかけたものと全く同じものだった。
「知らないけど、男じゃないの?」
それに対し、青年は正直に答える。
そもそも青年はクラスメイトづてに聞かされていただけで、全く前情報など持って居ないのだ。
しかし、その質問を投げかけられ何となくではあるが予想が出来てしまう青年。そして
「女です。」
予想通りの答えが返ってきたことに、再びフリーズしたのだった。
「「………」(マジかよ…)」
「多分、お互いにズボンはいていたのが原因だと思うな… ハハッ」
「………。」
お互いに非常に気まずい空気の中、青年はあることに気が付いた。目の前の彼女は青年のことを女だと思い告白した。つまり、彼女にとっては同性に告白したのだ。
「ちょっと待て、女だと思って告白したんだよね。」
「はい。」
「君って、レズ?」
「?」
「あー、百合のこと。同性愛者のこと。」
「はい、色々事情があって男性が怖いんです…」
「男よりも、女のほうが安心できるってことでいいの?」
「凄く大雑把にはそういうことです。」
それを聞いた青年は、ある答えにたどり着く。
「じゃあ、私と付き合って、男に慣れればいいじゃん。」
とんでもない荒療治だった。
「そんな、仕事みたいに言わないでくださいよ。」
「じゃあ、このまま帰る?私が拒否した理由は、君の事を男と思っていたことが原因だから。女だったのなら別に拒否する理由はないわな。」
青年の説明を聞き、暫く考える彼女。そして、
「付き合います。」
それを了承するのだった。
「オッケー。これからよろしくね。後輩ちゃん」
「後輩ちゃんじゃないです。僕の名前は黒岩 凛です。」
「黒岩かー、じゃあ、黒リンだね。」
「ちょっ、何ですかそのあだ名は。」
「気にしない、きにしなーい」
「先輩は気にしなくても、僕が気にするんです!」
青年は、勘違いし、勘違いされ最後には彼女ができました。
リア充シスベシ、ジヒハナイ
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