IS ~1人連合艦隊ってすごくね~   作:シトリー

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お待たせしました。

前回に、次回あたりで原作合流すると書いてましたが、


すいません。合流しません。



原作待ちの方々、もう少しお待ちください。


高校生編~旅立ち(前編)~

 

口を尖らせ、ジト目で青年を見る少女。そこに、

 

  『そういえば、問題ってどんなものなの?』

 

女性が話しかけた。

 

  『今、部屋から持ってくるから待ってて。』

 

  『わかったわ。』

 

  「あいよ。」

 

パタパタと部屋に移動し、青年が渡したメモを持ってくる少女

 

  『これ。』

 

メモを女性に見せている間、

 

  『翻訳してわかったけどさ、先輩って性格悪いよね。』

 

  「何を言ってるんだ君は。 いつものことじゃないか。」

 

少女が文句を言い、青年はそれを笑ってスルーしていた。

 

  『あなた、この訳本当に出来たの?』

 

  『一応ね。』

 

  「お、それじゃあ。聞かせてもらおうか。 訳は?」

 

  『待て、然して希望せよ。』

 

  「正解。ちゃんと意味を理解している辺り、まじめに勉強したっぽいね。」

 

  『訳した直後、ため息しか出なかったもん。』

 

  「それでもだ。お疲れさん。」

 

青年が、少女の頭を撫でる。すると、

 

  『やめてよ。お母さんの前で恥ずかしいよ。』

 

茹でたタコのように顔を真っ赤にして手を払おうとするのだった。

 

  『意味がわからないのだけれど、説明ってしてもらえるのかしら?』

 

  「あー。わかりました。少し長いですがそれでも?」

 

  『ええ。いいわ。』

 

青年が、事の発端を説明し始め、

 

  「彼女が、私の卒業後に卒業旅行でドイツに行きたいって、言い出したんですね。その時に、私が出した条件が、ドイツ語の勉強をすることだったんですよ。」

 

  『ああ、それで。』

 

  「ええ。恐らく思っていることであってます。そして、私の卒業式直後にあの問題を渡したわけです。」

 

それに女性は、一つの疑問をぶつけてきた。

 

  『問題の経緯はわかったけど、それがどう性格が悪いと繋がるのかしら。』

 

  「それはですね、『僕が説明するよ。』だ、そうです。」

 

彼女が突如割り込み、問題の真意もとい悪意を暴露してきた。

 

  『先輩が出してきた問題を訳すと。【待て、然して希望せよ。】だったんだけど、これの真意は、【今解けなくてもいずれは機会が来るから、落ち込まずに希望を持って待ってなさい。】ってことなんだよ。これって、問題と課題を出しておきながら、解けなかったことを前提にした問題ってこと。ですよね~、せ・ん・ぱ・い。』

 

  「おー、そこまで出来てたのか。いいよ、合格。連れてってやるよ。」

 

反省の色が全く無い青年の合格通知を聞いて、

 

  『やったー! 勝利のV!』

 

テンションが上がりすぎて変なポージングをしている少女。

 

  『なるほどねー。そういう事だったのね。わかったわ。』

 

少女の行動に全く目をくれず、しきりに頷く女性。

 

  「平和だねー。」

 

遠い目をしている青年という。奇妙な絵面が広がっていた。

 

 

 

数分後、正気を取り戻した少女に対し青年は

 

  「今後の計画と、私の買い物に少し付き合って。」

 

もう一つの本題を出すのだった。

 

 

 

 

  『先輩、買い物って何買うつもりですか?』

 

  「小型の音楽プレーヤー。」

 

  『だから、大型量販店を何件も梯子してるんですね。』

 

少し疲れた表情を見せる少女に対し、

 

  「大丈夫だって。まだ、半分だから。」

 

笑顔でとんでもない発言をする青年。

 

  『まだって、もう5件目ですよ。もうip○d nanoでいいじゃないですか。新型ですよ。』

 

疲れた表情で進言してくる少女を

 

  「うーん。探してるのが無いな。よし次。」

 

一蹴し、続行する青年。

 

  『せんぱーい。一旦休憩挟みましょうよー。疲れましたー。』

 

  「えー。」

 

青年は渋々といった顔で、近くにあったス○バに入り、二人分の飲み物を買うのだった。

 

  「移動手段は車だし、君乗ってるだけじゃん。どこが疲れるの?」

 

  『先輩の移動スピードが早過ぎるんです…。もう、徒歩じゃなくて競歩ですよ。それ。』

  

青年は少女の不満と愚痴を聞きつつ、8件目で

 

  「あ、あった。」

 

青年が探していたものを見つけたのだった。その声に反応した少女は、

 

  『どれですか?』

 

見に来たので、

 

  「これ。」

 

青年がパッケージを見せる。そこには、モノトーンの箱に商品名だけ書かれているという、非常にシンプルなものだった。

 

  『○-snap? 聞いたこと無いですね。というか、パナ○ニックって音楽機器出してたんですね。』

 

率直な感想をこぼす少女に、青年が

 

  「このシンプルさがいいんだよ。ラジオと、音楽しか聞けないけど。」

 

語り始めるも、

 

  『わかりました。早く帰りましょう。疲れました。』

 

少女はそれを遮り、青年は不満そうにしながらもおとなしくレジへ向かうのだった。

 

 

購入中

 

 

  「おまっとさん。」

 

  『随分と遅かったですね、いくつ買ってたんですか?』

 

  「4つ。黒と銀2つづつ。」

 

  『………』

  

絶句する少女をよそに、青年は駐車場へ移動する。

 

  『ちょっと待って下さいよー。』

  

少女も、釣られて移動する。

 

 

 

車内

 

青年と少女は、車で移動しつつ、今後のことを話し合うのだった。

 

  「そもそも、何故ドイツなの?」

 

青年は、今更感がある質問を突如し、

 

  『本当に今更ですね。』

 

少女は呆れ、

 

  『僕がドイツに行きたい理由は、コブレンツ国防技術博物館に行きたいからだよ。』

 

自身の理由を話し、

 

  「お前、そういう趣味のヤツだったか?」

 

青年が呆れるのだった。

 

  「とりあえず、フランクフルトとコブレンツは確定だな。道中にリューデスハイムも行きたいんだが、いいか?」

 

  『いいですけど、何するつもりですか?』

 

  「本場のリューデスハイマーカフェを飲んでみたい。以上。」

 

  『何ですか、それ。』

 

  「珈琲の飲み方の1つと思ってくれればいいよ。」

 

  『美味しいんですか?』

  

  「さぁ? それを確かめに行くんだよ。因みに、家で再現したときは、結構美味しかった。」

 

余談だが、この世界は18歳成人の世界ですので。あしからず。

  

  『へー、僕も飲んでみていい?』

 

青年の発言に多少興味を持ったのか、青年に聞いてみるも、

 

  「やめとけ。」

 

一蹴される。あまりも即答だったためか、少女は少しジト目をして、

 

  『なんでさ。』

 

青年に問いかける。それに対し、青年は

 

  「リューデスハイマーカフェには少量とはいえ、アスバッハと呼ばれるブランデーを使ってるんだ。キャラメライズしてるから度数は落ちてるけど、未成年のお前は念のためやめとけ。」

 

明確な理由を説明したにもかかわらず、

 

  『むーーーーー。子供扱いするな。』

 

膨れっ面で青年を見ている少女に対し、

 

  「大人はもう少し聞き分けが良いぞ?」

 

青年は煽るのだった。

 

  『むーーーーー。』

 

ポカポカポカポカポカポカポカポカ

 

  「痛いし、今運転中だからやめろ。」

 

運転中に運転者の妨害となりうることをするのは、重大な事故を引き起こしかねないので、良い子の皆は絶対真似をしないでね。

 

それはさておき、日程を決めるための話に入っていく青年と少女。

 

  「さて、春休みって来週からだっけ?」

 

  『そうだよ。』

 

  「じゃあ、今日から10日後でどうだ。」

 

  『入ってすぐじゃあないんですね。』

  

  「まぁ、お互い準備があるし、妥当なところじゃないかな?」

 

  『わかりました。あー、楽しみだなー。』

  

テンションが上がっているのか、手を頬に当て、クネクネと身体を揺らす少女

 

 

 

黒岩宅前

 

  「はい、お疲れちゃん。それじゃ、10日後の朝10時に迎えに来るから。準備しといてね。」

 

  『わかりました、朝10時ですね。他に何かあります?』

 

  「あー、そうだ。私の車トランクが凄く小さいから、大きいスーツケース持って来るなよ。入らんぞ。」

 

  『M○-2でしたっけ。何でこんな車にしたんですか?』

 

  「趣味だ。気にするな。」

 

青年の発言に溜息をこぼす少女。

 

  『というか、いつの間に免許取ったんですか?』

 

  「就職内定直後に車校でがんばった。合宿じゃないけど、1ヶ月ちょっとはきついな。」

 

  『そうですか。じゃあ、お疲れ様です。』

 

  「おう。」

 

青年と少女は互いの家に帰っていくのだった。

 

 

 

 

自宅

 

青年は帰宅後、自室で購入した音楽機器を魔改造していた。

 

  「バッテリーの持ちを千倍くらいにして、リグをこの中に仕込もう。」

 

  『ちょっと待ってください。マスター、何をする気ですか。』

 

あまりにも規格外のことにAIが口を出し始める。

 

  「いやいや、いつも外出中に事件に出くわすから、このままだとコナン君風眼鏡じゃあ、力不足になりかねん。だから、小型のお前をこれに仕込む。」

 

青年が真顔で力説するも、

 

  『そもそも、入るんですか?』

 

呆れるAIに対し、

 

  「何を言ってるんだね君は。突っ込むんだよ。」

 

表情を全く変えずに、言い切る青年。そして、

 

 

数時間後

 

 

 

  「デケター」

 

背後からテッテレーと効果音がなりそうなほど元音楽機器を高く持ち上げる青年に、

 

  『私を仕込むってそういうことなんですね。』

 

  「君はマザーAIだから、このままだよ。AIを仕込むというよりも、有事の際の緊急オペレートユニット。といったほうが正確かな?」

 

  『具体的には?』

 

  「有事の際、主観ではなく第三者から、つまり君にオペレートを任せたい。今までは、情報伝達も眼鏡を介していたが、これは、電源をつけているときは常に君と繋がっている。主な仕事は、情報伝達だが、情報の取得、敵性対象への妨害工作、ハッキング、ジャミング、情報操作等も行ってもらう。」

 

  『全力での連続稼働時間と、空から満充電までに掛かる時間は?』

 

  「連続運用で1時間。全力だとその半分だ。充電時間は、家庭用電源からだと約6時間。特殊充電器だと約4時間半。」

 

『運用法がかなり難しいですね。』

 

AIが唸る。

 

  「仕方がない。ハロのバッテリー技術とかを総動員してこれだからな。現状ではこれが一杯一杯だ。というわけで、有事の時は任せたよ。」

 

  『承知しました。』

 

青年は、自身の身を守るため補助技術をどんどん強化していった。今では、自室はどこぞのアニメに出来そうな、コードとケーブルまみれの凄まじい部屋へと変わっており、電気代はどう考えても、一世帯が払う金額を大きく超えるほどにまでなってしまっている。それでも、青年は自身の足で歩み続け、その歩みを止めることは一切なかった。

 

 

 

  『ところで、残りの音楽機器はどうするつもりですか?音楽用に1つ。オペレートユニット用に1つ。残りの2つは?』

 

  「予備。」

 

  『………そうですか。』

 

 

 

後日

 

 

青年と、少女はとある施設に居た。

 

  「まぁ、あんまり気張るな。落ちたら後で笑ってやるから。」

 

  『やめてくださいよ。余計に緊張します。』

 

少女の試験日だった。特に問題は無いとAIにもお墨付きをもらっていて、正直慌てる程でもないと、青年は思っているのだが、

 

  『帰りたい。』

 

少女はそうでも無いようだった。そうこうしている内に、

 

  『四十川 雫さん。時間ですので、入ってお待ち下さい。』

 

時間が来て、スタッフに呼ばれる。

 

  『はい。それでは、また後で。』

 

  「おう。頑張っておいで。」

 

少女に話しかけていると、女性が話しかけてきたので、

 

  『庇護者の方ですか?』

 

  「あ、はい。四十川です。以後お見知り置きを。」

 

青年は返事と礼を返す。と、女性が

 

  『女性の方でしたか、雫さんも幸せものですね。こんな綺麗な方と家族になれるなんて。』

 

盛大に青年を女と間違えられ、青年が頬を引くつかせながらも

 

  「…そうですか。ありがとうございます。」

 

なんとか、社交辞令を述べ、それを見た少女は肩を震わせていた。

しかし、青年の見た目は元々が非常に中性的で、髪の毛も非常に長く既に腰まで届いている様な状態だった。今更ではあるが青年自身も諦めていた。

 

  『庇護者の方は、別室で待機していただきます。雫さんが入室後、また別のスタッフが案内しますので、少々お待ちください。』

 

  「わかりました。」

 

少女は女性に連れられ教室には入っていき、青年は別室で小説を読みながら時間を潰しているのだった。

 

 

約6時間後

 

青年は疲れた表情の少女を抱え込み歩いていた。

 

  「なんで、緊張が解けたからって腰が砕けるかねぇー」

 

  『うるさいです。気にしているんですから言わないでください。あと、抱えるならおんぶか何かにしてください。脇だと、荷物みたいでいやです。』

 

  「文句言うなら、自分で歩け。落とすぞ。」

 

比喩ではなく、少女を文字通り脇に抱え込んで運んでいる青年だった。

 

 

  「で、結果は?」

 

  『この後、教えてもらえるそうです。エントランス前の待機室で待っていてくださいとのことです。』

 

  「はいよ。」

 

途中で復活した少女は青年の腕から脱出しようとしたところ、変に力を加えてしまったせいで危うく頭から落ちそうになるのだが、それはまた別のお話。

 

エントランス前

 

  『四十川さん。結果が出るまでにもう少しお時間が掛かりますので、そちらの席でお待ちください。』

 

  「『はい。』」

 

数分後

 

  『お疲れ様です、四十川さん。そして、お待たせしました。結果です。』

 

  「で、どうなったんです?」

 

  『雫さんの学力及び社会適応力も非常に高く、尚且つISの適正がAとなっていますので、保護者の方がよろしければという前提となりますが、こちらとしてはIS学園への進学をお勧めします。』

 

  「『………………まじか。』」

 

絶句し、思わずハモる青年と少女。そこに、女性が追い討ちをかけていく。

 

  『IS学園でしたら国立ですし学費も国から賄われるので、そのあたりの心配はないかと。寮での生活が必須ですが、長期休みには帰れますし、別件の際は届けを出していただければ、外出も可能です。』

 

  「『………………。』」

 

  『なにより、ISの操縦者になれます。雫さんは適正も高いので、国家代表も夢ではありません。仮に、操縦者にならなくても学園卒業者ということだけで、今のご時勢それだけで箔が付きますし、選ばないメリットは無いかと思われます。』

 

ものすごい勢いでまくし立ててくる女性を見つつ、青年は

 

  「わかりました。数日以内に答えを出しますので、この子の学力圏内の高校をいくつか教えてください。」

 

無難な答えを返すも、

 

  『なぜですか? IS学園に行かないつもりですか? もったいないですよ?』

 

逆に突っ込まれてしまうのだった。

 

  「選ぶのは私ではなく、この子です。選択肢を多くとることはそこまで悪いこととは思いませんが?」

 

  『…そうですか。それでは、こちらの封筒の中をご覧ください。IS学園を含めた、お勧めの高校と、進学先を決めた際の連絡先が書かれた紙が入っています。決められましたら、そちらの連絡先に一報ください。』

 

  「わかりました。今日はこれで全てですかね?」

 

  『はい。これにて、全工程終了とさせていただきます。繰り返しになりますが、お疲れ様でした。』

 

 

女性の挨拶を聞き、施設を後にする青年と少女。駐車場内の車に入って出た第一声が、

 

  「『疲れたーーーー。』」

 

だった。

 

  『何なんですか、あの方は。こちらが何も返さないことをいいことに、好き放題言ってくれましたね。』

 

それ以上に、少女は先ほどのことに対しかなりご立腹だったようで、不満をこぼそうとするも、青年が

 

  「とりあえず、ここに居ても仕方が無いから、いったん帰るぞ。話はそれからだ。」

 

  『わかりました。』

 

静止し、帰宅するのだった。

 

 

 

自宅

 

帰宅し、一服付いた後、青年は予告どおり話し合いを始めるのだった。

 

  「で、どうする? あの人の言い方はともかく学び舎としてみるならかなり優秀なとこなんだよなあ。ただ、」

 

  『ええ。』

 

  「『ISがなーー。』」

 

青年と少女が接触するきっかけになったものが他ならぬISであり、基本的に厄介ごとは、IS関連を通していることの方が圧倒的に多かった。それ故に、2人は迷っているのだった。厄介ごとに関わるリスクと、そこで得られるであろう経験等のリターンとの釣り合いが、あまりにも不明確過ぎてわからないのだ。

 

  「ここまで来ると、どうしようもないような気がしてきた。」

 

  『諦めるの早過ぎません?』

 

  「『うーん。』」

 

  「他にはどんな学校があったんだ?」

 

  『有名所ですと、藍越学園、湘丸高校、桃塚高校、野崎付属高校、光苑高校。ですかね。』

 

  「もう、藍越学園でいいんじゃねぇの。いいぞ、あそこ。」

 

青年がめんどくさそうに言うも、

 

  『しかし、ああいう手合いはしつこいですよ。聞いたところによると、適正Aはなかなか居ないんだとか。』

 

少女が反論する。

 

  「AだろうがSだろうがΔ+だろうが知るか。家族の安全を考えないで、庇護者が名乗れるかっての。まず、一番に優先すべきは君の安全だ。つまり、IS学園は個人的に論外。」

 

  『逆に、考えてみましょう。』

 

  「?」

 

  『周りの阿呆共を、練習台にすれば自己防衛力が鍛えられますし、なにより、他に行くと組織からの追撃が万が一来た時に、被害が大きくなってしまいます。』

 

  「そんな、周りの目につくようなとこでドンパチす…してたな、あいつら。裏路地とはいえ、京都のド真ん中でバトってたわ。」

 

京都での事件を思い出し少しナイーブになる青年。しかし、少女は口撃を緩めない。

 

  『あの組織は、目的のためなら一般人すら殺します。それに、隠密行動に長け隠蔽工作も万全の体制で行動します。』

 

  「正直、もうあの女とは戦いたくない。手段を選ばなかったら勝てるとは思うけど、めんどくさすぎる。」

 

  『オータムに勝てるのですか!?』

 

少女が目を見開き身を乗り出しながら青年に問い、

 

  「勝てると思うよ、あれが全力じゃない事を差し引いても、こっちにはまだ切り札が幾つか残ってる。あと、近い。座れ。」

 

青年の答えに愕然としつつも、少女は席に戻り、

 

  『私と今から模擬戦してくれません?』

 

青年を誘うも、

 

  「いや。」

 

断られるのだった。

 

 

中略

 

 

  「うーーーん、藍越もいいと思うんだけどなー。」

 

  『私としては、IS学園の方がいいと思います。』

 

かなりの時間話し合いをした結果、

 

  「じゃあ、IS学園にしとくか。正直気は全く進まないけど…。」

 

  『ありがとうございます。』

 

少女のIS学園への進学が決定し、次の日、青年が書類を提出しに行ったところ、例の女性に捕まり延々とIS学園について話を聞かされるのだった。

 

 

後日

 

 

今日は待ちに待ったあの日。つまり旅行の出発日である。青年は準備を済ませ、少女の部屋の中で胡坐をかきながらじっと待っていた。

 

 

 

時計の短針が、もうすぐ11時を指そうとしているのを見て青年が呟いた。

 

  「間に合うのか? これ。」

 

その呟きが聞こえたのかどうかは定かではないが、布団の中の少女が寝返りをうち、最早開いているのかどうか判別がつかない状態の目をこちらに向け、徐々に意識を覚醒させていく。

 

  『ぁ、せんはいー、おはようございまふー。今日はあの日れすよ、たろしみれすねー、えへへへ。』

 

非常にいい笑顔の少女に対し、青年は部屋に置いてある目覚まし時計を少女の前に持ってきて、問うた。

 

  「what time is it now.」

 

  『ふぇ?』

 

突然英語で話され、目にハイライトを無くした状態の青年を見て、驚く少女。

 

  「what time is it now.」

 

繰り返し青年が問う異様な姿を見た少女は、寝ぐせだらけの頭を起こし、目を擦りながら伸びをし、青年が持つものを見て、

 

  『え?』

 

愕然とするのだった。

 

  『え? これ、嘘ですよね。』

 

  「what time is it now.」

 

  『ちょっと待って下さいよ、私ちゃんと目覚ましかけましたよ。』

 

  「what time is it now.」

 

  『え、あの、その、せn「what time is it now.」じゅ、11時前です…。はい、ごめんなさい。』

 

素直に謝る少女、それ見て青年は溜息を付き、

 

  「飛行機は次の便にずらしたから、急いで準備する。」

 

  『せ、センパイ~。』

 

  「ほら、急げ急げ! ずらしたとはいえ、時間に余裕は全く無いぞ! 冗談抜きで10分以内に支度しろ! 駆け足!」

 

  『は、はいぃぃぃぃぃぃ!』

 

ドタドタと、家中を駆けまわる少女を見て青年と女性は、

 

  『「平和だねー。」』

 

ズルッ デンッ ガンッ 

 

  『「あ、コケた。」わね。』

 

  『痛ったーい。』

 

廊下で滑ったらしい少女は下着姿で、臀部を擦りながらリビングで着替え始めるのだった。

 

  「もうちょい、恥じらい位持とうや。」

 

  『そうよ、はしたないわよ。』

 

  『時間ないんだから、しかたがないじゃん! ほら、出来たよ。行こう、先輩。』

 

  「おし、じゃあ、彼女を3日ほど預かります。」

 

  『わかったわ、道中気を付けてね。』

 

  「わかりました。」

 

  『母さん行って来まーす。お土産期待しててね。』

 

  『はいはい、行ってらっしゃい。あまり、迷惑かけるんじゃありませんよ。』

 

  『わかってるって。』

 

荷物をトランクに入れようとするも、

 

  「オイコラ。トランク小さいから大きいスーツケースは用意するなって言ったよな。」

 

入りきらず頬をひくつかせる青年

 

  『小さいトランクが悪いです! 横にして押し付ければ閉まりますよ。多分。』

 

強引に入れようとする少女を見て、青年は自身の荷物をあらかじめ宿泊先のホテルに送り込んでおいてよかったと、心の底から思った。

 

 

 

最終的に、トランクに収納できたので青年と少女は空港へ移動を開始し、ギリギリではあったものの、何とか間に合うのだった。

 

 

 

飛行機内

 

  『おぉー! 先輩見てください超高いですよ! 僕の家って見えますかねぇ?』

 

  「見えるわけ無いじゃん。何キロ離れると思ってるんだ。」

 

青年はテンションが上がりまくってる少女を適度にスルーしつつ、暇つぶし用の本を出した。

 

  『日本がどんどん小さくなっていってる。日本って本当に島国だったんですね。』

 

よくわからないことをつぶやきつつ、窓に張り付く少女。

 

  「フライト時間は約12時間ちょっとだけど、時差の関係で着いたら早朝の6時半位だから、適当に自己判断で過ごせ。私は寝る。お休み。」

 

  『ちょっ』

 

止めようとする少女に一切の目もくれず即睡眠してしまう青年。

 

  『ま、いいや。僕の我侭を聞いてくれてありがとね、渉。』

 

青年の前髪を押し上げ、額にキスをした後少女も眠りにつくのだった。

 

 

 

青年がふと目を覚ましたときに、少女の頭が寄りかかっていたのは余談である。

 




はい、最後まで読んでいただいてありがとうございます。

ドイツ旅行編です。

もうそろそろ原作に入りたいと思う今日この頃です。





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