地下から出てきた才蔵達……
「や、やっと地上か……」
「随分長い事、穴倉の中にいた気がする……」
「……にしても、この女。
いつまで気ぃ失ってんだ!?
伊佐那海!おい、伊佐那海!」
「……?
才蔵?
!!そうだ、蛇!!」
気が付いた伊佐那海は、素早く起き上がり辺りを見回した。
「あれ?ここ外?
!?
そ、その怪我……」
才蔵達の怪我を見た伊佐那海は、申し訳なさそうな顔を浮かべて、才蔵達の傷を見た。
「どうってことねぇよ……
言ってるだろ?傍の借りがあるうちはってよ!」
(どうってことねぇだぁ?!俺が助けなかったら、ヤバかったくせに……)
「うむ。お主が無事でよかった……
それが何よりだ」
「ごめんなさい……アタシのせいで」
「伊佐那海のせいじゃないよ!」
「原因はその簪だろ!?」
「そうだ、奴等の捜していた物がそれだったとはな……」
「……奇魂。
神主様が、アタシにくれたもの……」
「……」
「へぇ……それかい」
その声が聞こえ、後ろを振り向こうとした瞬間真上を何かが飛び去り、その何かに乗っていた者が伊佐那海を奪った。
「伊佐那海!!」
「才蔵!!」
目の前に着地したのは、馬に乗ったあの政宗だった。政宗の姿を見た明日花は、怯えだし足を引いた。
「何者だ!!」
「伊達政宗!!」
(政宗!?)
「伊達政宗!?あの奥州の」
名を聞いた瞬間、明日花の脳裏に記憶が蘇った。壊された建物……その中心に立つ、血を浴びた自分の姿。
「……嫌」
「明日花?」
「嫌だ……あの力は……嫌……」
怯えきった明日花の周りから、木の根が生え政宗を攻撃してきた。彼は懐から刀を取り出し根の全てを防いだ。
「何だ!?あれ!」
「何で……何で、技が!?」
恐怖に包まれていた明日花は、自身の手を見ながら座り込み泣き出した。政宗は、何かを察したのか刀をしまいながら、言い放った。
「テメェの父親に、よろしくな」
「!?」
「テメェ等の主に言っとけ。
奇魂……
この伊達政宗が、貰い受けた!!」
「才蔵!!」
「伊佐那海!!」
才蔵は追いかけようと立ち上がろうとしたが、傷を負っているせいで上手く体を動かすことができず、去っていく政宗に手を伸ばした。
「伊佐那海!!」
「待て!!」
(何で……何で、技が出たの……
それに……何でアイツ……父さんのこと……)
フラッシュバックで蘇る記憶……
だがその記憶は、全く身の覚えのない記憶ばかりであり、明日花は戸惑い政宗が去った後も、未だに恐怖心が消えないでいた。
(帰りたい……早く、父さんの……所)
気が抜けたのか、明日花は力なくその場に倒れ、気を失ってしまった。明日花が倒れた音に気付いた十蔵は駆け寄り、明日花の体を起こした。
「白ガキ、死んだのか?」
「いや、気を失っただけだ(それにしても、一体あの技は……それに、あの怯え方……尋常ではない)」
明日花の体を支えながら、十蔵は地面を叩きながら悔しがる才蔵の後ろ姿を見た。
「(伊佐那海!!またお前を、守れキレないのか!!)クッソオオオオ!!」
伊佐那海をあっさり連れ去られてしまった悔しさから叫んだ才蔵の声は、出雲大社一帯に響き渡った。