BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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ある日の夜……


口笛が響く城下町……霧に包まれた道を笠を被った旅人が、鎖を回しながら歩いていた。その歩く道には、血塗れで倒れる数人の人影があった。


「変わらないねぇ……信濃は」


見えない攻撃

翌朝……

 

 

庭で組み手をする明日花と優助。明日花の蹴りを優助は、難なく腕で受け止めそれを見た彼女は、蹴りの次に拳を作り殴り掛かった。拳を優助は払い避け、宙を舞い身動きできなくなったのを狙い、明日花を蹴り飛ばした。彼女は地面に転がり飛ばされ、腕を押さえながら彼を睨んだ。

 

 

「蹴るなんて卑怯!」

 

「これは組み手です。卑怯ではありません」

 

「意地悪ー!」

 

「あのねぇ……」

 

 

膨れる明日花に、優助はため息を吐いた。

 

 

縁側に座り、明日花は優助から傷の手当てをして貰っていた。優助は、手から水の玉を出しそこに彼女の腕を入れもう片方の手で、傷の手当てをした。

 

 

“ドーン”

 

 

爆風の音が聞こえ、音がした方に目を向けると鎖を振り回し風を起こす鎌之介と、それから逃げる才蔵の姿があった。

 

 

「全く、朝っぱらから騒がしい方々ですこと」

 

「賑やかで良いじゃん!」

 

 

 

その頃、城下町を歩くアナスタシア。ふとざわつく声が聞こえ、その声の方に目を向けた。町の一角に民が群がっていた。

 

 

「こりゃあ酷い……」

 

「医者呼ぶか?」

 

「呼ぼうにも、もう手遅れだ」

 

「誰がこんな事を……」

 

 

野次馬をかき分け、アナスタシアは現場を見た。

 

 

硝子のような破片が体にいくつも刺さっていた。

見て明らかにもう息はしていない……亡骸は六つもあり、一つ一つの胸に、留めかのように硝子の槍が刺さっていた。

 

 

(何か潜り込んでるわね……)

 

 

「!?」

 

 

何かの気配を感じたのか、優助は動かしていた手を止め辺りを見た。

 

 

「?父さん、どう……!?」

 

 

同じようにして気配を感じたのか、明日花は辺りを見回した。気配は才蔵と佐助にも分かり、二人はほぼ同時に庭へ降りた。

 

 

「さすが、隊長。

 

気配に気付くなんて」

 

 

その声に、優助は立ち上がり前方にいる者を凝視した。笠を被り鎖を回す一人の男。

 

 

「やはり君でしたか……」

 

「知ってんのか?」

 

「彼は、元武田軍の者……名は木曽義将」

 

「まだ俺の名前を覚えてたとは……嬉しいねぇ」

 

「裏切り者が何を今更……」

 

「な~に……

 

少しばかり頼まれたんでね……ここにいる宝を持った巫女を、徳川に連れて行くようにってな」

 

「?!」

 

「まぁ、夜を楽しみな。

 

今は軽くご挨拶だ」

 

 

義将が指を鳴らすと、どこからか硝子の槍が飛び才蔵達の頬を傷付け、明日花の腕に掠った。彼女は傷口に目をやるが、すぐに背後から優助の服を掴み、怯えた様子で義将を見た。

 

 

「あれ?隊長、いつの間にガキで来たんだ?」

 

「この子は預かっている子です。別に僕の子ではありません」

 

「おや、そうかい……顔立ちが似てたから、そうかと思ったが違ったか。

 

まぁいいか……あ、そうだ」

 

「?……!」

 

 

義将が何かを投げた……その瞬間、優助の脚から大量の吹き出しその場に倒れた。

 

 

「優!!」

「優助!!」

 

「隊長さんは厄介なんでな。

 

そんじゃあ、また夜に」

 

 

煙玉を落とし、煙と共に義将は姿を消した。

 

 

「優!優!」

 

 

突き刺さった硝子を、優助は引き抜き破片を捨てた。出てくる血を、明日花は水の玉を作り傷口に当てた。水の玉は見る見る内に赤く染まっていった。

 

 

「何を突っ立っているんです……佐助、早くこの事を幸村様に!」

 

「諾!」

 

「才蔵、手ぇ貸して!父さんを」

 

「あ、あぁ」

 

 

手拭いで自身の脚を縛り止血した優助は、才蔵の肩を借り立ち上がり縁側に座った。

 

 

「すみません……」

 

「どうってことねぇよ……

 

それより、あいつ」

 

「先程も言いましたように、彼は武田軍にいた部下です」

 

「父さん、アイツ……徳川って」

 

「えぇ……戦時中、彼は我々を裏切り、徳川の部下へ移ったんです」

 

「そうだったのか」

 

「それより明日花、傷は」

 

「明日花のより、父さんの傷の方が」

 

「僕は平気です」

 

 

「優助!!」

 

 

声が聞こえ、三人は同じ方向に振り向いた。六郎と共に、幸村が佐助に釣られてやって来たのだ。

 

 

「幸村」

 

「話は佐助から聞いた」

 

「……」

 

「才蔵、お主は伊佐那海の傍におれ」

 

「応」

 

「佐助、お主は明日花だ」

 

「諾」

 

「何で?私は別に」

 

「彼の事です。恐らく、君を人質にする可能性が」

 

「……」

 

「彼は勘が鋭い人ですから、先程の嘘は見抜いているでしょう」

 

「……」

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