BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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日が暮れ、辺りが静まり返った……


倅の力

伊佐那海の部屋の前に立つ才蔵。彼と同じ様に、佐助は明日花の部屋で立ち見張っていた。

 

その時、口笛がどこからか聞こえてきた。その音に、佐助と才蔵は武器に手を掛け構えた。

 

 

「おやおや、俺様スッゴイ警戒されてるね~」

 

「!?」

 

「ここが、宝を持ってる巫女の部屋か」

 

「!?」

 

 

それぞれの場所に、義将が姿を現した。二人はすぐに武器を構え、彼に攻撃した。義将は難なく避け、手から硝子の欠片を飛ばし攻撃した。硝子を剣で弾き返した才蔵は、伊佐那海の部屋から離れ、外へと出た。彼が出たとほぼ同時に、佐助も庭へ出て彼を攻撃した。さらに別の場所から、剣を手に持ったアナスタシアも、庭へとやって来た。

 

 

「アナ!?なんでお前が」

 

「それはアナタと同じよ、才蔵!」

 

「厄介な者がやっと外に出たか」

 

「?……まさか!!」

 

 

誰もいなくなった伊佐那海の部屋へ入る義将。眠る彼女を見ながら、彼は奇魂に目を向けた。

 

 

「(これが、奇魂か……さて、頂くと)

 

!」

 

 

何かの気配を感じ取った義将は、後ろを振り返り持っていた刀で、攻撃を受け止めた。

 

 

「ガラスで分身を作り、敵をそちらへ誘き寄せている間に宝を奪う……昔と変わりませんね?」

 

「そう言うアンタも、傷を負っても必ず動ける所は相変わらずだな?隊長さん」

 

「これでも、結構痛いんですよ?脚」

 

「そういうところも、相変わらずだな。

 

それより、いいのか?こんな所で、戦ったら大事な巫女さんが起きるぜ?」

 

「大丈夫です。先程お出ししたお茶に、睡眠薬を仕込ませたので。

 

もちろん、他の方々にも。今この場で起きているのは、伊賀の忍二人と甲賀の忍と僕達だけです」

 

「ほぉ……準備がよろしいようで。

 

けど、この攻撃は避けられないだろ?」

 

 

指を鳴らす義将。それを合図に、突如優助の前をガラスの破片が通り過ぎそして体に突き刺さった。力が緩んだすきを狙い、義将は傷口を抑える彼を蹴り飛ばした。飛ばされた優助は、障子を突き破り庭に転がり倒れ、息を切らしながら義将を睨んだ。

 

 

「油断禁物……いつも言ってたじゃねぇか、隊長さん。

 

戦闘中、如何なる時も気を緩めず決して油断するな。全てを倒してもまだ敵はいると思いなさいって……」

 

「そう……でしたね」

 

「そうだ……言い忘れてたことが一つあった。

 

今隊長の前にいるのは、硝子で出来た俺だ」

 

「!?」

 

「本体は今頃、人質に隊長のガキの所だ」

 

 

屋根の上に座る明日花……その背後に、義将は降り立ち鎖を彼女の体に巻き付けた。

 

 

「大人しく来て貰おうか……!?」

 

 

強く引っ張ると、明日花は水となり消えた。

 

 

(水分身?!)

 

「山本流槍術会心突き!!」

 

 

その声と共に、義将の背後から何かが突き当たり彼はそのまま屋根から落ちた。そのせいか、才蔵達の相手をしていた義将達が、突如皹が入り粉々に割れてしまった。

 

 

「割れた?!」

 

「親玉を誰かが殺ったのかしら?」

 

 

消えた義将の硝子を見る優助……すると屋根から、誰かが飛び降り彼に近寄った。

 

 

「……明日花」

 

「酷い傷……」

 

「言ったはずですよ。部屋から出るなと」

 

「っ……

 

でも、明日花がアイツ倒したから助かったじゃん!」

 

「そう簡単に、倒せる相手ではありません」

 

 

硝子を引き抜き、優助はふらつきながら立ち上がった。

 

 

「彼はどこのに?」

 

「池の方に落ちた」

 

「……水の音はしましたか?」

 

「音?してない……」

 

 

「ったく、躾のなってねぇガキだ」

 

 

声の方に目を向けると、そこには腹を手で撫でる義将がいた。

 

 

「ほらご覧なさい。言った通りでしょ」

 

「う……」

 

「隊長、お前ガキにどういう躾してんだ?

 

つか、本当にお前のガキか?」

 

「この子は副隊長に似ただけです」

 

「やい爺!父さんの悪口言ってみろ!!

 

許さないからな!!」

 

「誰が爺だ!!俺はまだ、三十代だ!!」

 

「それじゃあオッサン!」

 

「何でそうなんだよ!!」

 

「じゃあ」

「そろそろその口、閉じましょうか?」

 

 

明日花が喋ろうとした口の前に、優助は笑みを浮かべながら剣先を向けた。剣先を見て、彼女はすぐに黙り込んだ。

 

 

「優助!」

 

 

声と共に、優助達の前へ才蔵達が降り立った。

 

 

「おや無事でしたか、皆さん」

 

「問題無」

 

「あの野郎、変な技使うぞ」

 

「硝子です。

 

彼は自由に硝子を作り出すことが出来るんです」

 

「氷かと思ってたけど、硝子だったのね」

 

「チッ。せっかくバラバラにしてたのに……集まっちまったか……

 

で~も、人質いれば簡単に殺れるか」

 

「人質?」

 

「……佐助、明日花を」

「そうはさせねぇよ」

 

 

義将が指を鳴らすと、明日花の元へ行こうとした佐助の目の前に硝子の壁が現れた。そして硝子は彼女を囲うように現れ閉じ込めた。

 

 

「明日花!!」

 

「武器から手を離して貰おうか?

 

でなきゃ、そのガキの命は無い」

 

 

閉じ込められた明日花の背後に、義将が現れ彼女の首に刀を当てた。

 

 

「……斬れるものなら、斬ってご覧なさい」

 

「?!」

 

「言ったはずです。その子は預かっているだけだと」

 

「けどガキは、隊長のことを」

 

「小芝居をしたまでです。

 

さぁ、斬るなら斬りなさい。その子が死のうが斬られようが、僕には関係ありません」

 

「隊長がそこまで言うなら……

 

 

そうさせて貰う!!」

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