BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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幸村の部屋へ集合した才蔵達……


「儂に六郎、才蔵に伊佐那海、そして優助と明日花……

残りの者は留守を頼む」

「残り?!」

「アナ……

寂しいだろうが、大人しく待っておれよ」


そう言う幸村はアナスタシアに近付き、頭を撫でようとしたがアナスタシアはその手を叩き薙ぎ払った。


「寂しくないわよ!どうぞごゆっくり」

「……」

「?何よ?」

「かわいいのう」

「はあ?!」

「佐助、留守は任せたぞ」

「諾。

幸村様、お気をつけて」


幸村に返事をした佐助は、才蔵を上から見るような目付きで睨んだ。


「しっかりな!」

「んだ!その上から目線は、この猿!!」

「明日花、気を付けて」

「応!」

「無視かよ!」

「というわけで、留守番ね!お兄ちゃん」

「し、しかし……」

「ついてきたら、嫌うから!!」

「う……うむ…」

「何で明日花が行けて、俺が行けねぇんだよ!!

俺は行くからな!!ここにいても、暇だ!!なあ、才蔵!!」

「知らねーよ」

「ハア!!」

「へっへーん!羨ましいだろ?鎌之介!」

「やめなさい明日花。

僕等は幸村様の命で行くんです。誰が好んであの狸の所へ行くか……」

「知るかぁ!!んなこと!!俺はついて行くと言ったら、ついて行く!!」

「まぁ落ち着け、鎌之介。


しばらく離れた後に、殺り合うというのも一興だぞ?」

「い・や・だ!!

才蔵と一緒じゃなきゃ、刺激が無くて腐っちまう!!

俺は才蔵の血が見てーの!!戦いてーの!!」

(恋した女子みたいだのう)

「鎌之介」

「あ?!」

「お前、うぜぇ。

特別役にも立たねぇんだから、大人しく家で遊んでろ!」


上洛道中

馬に乗り道を進む才蔵達……

 

 

「うわぁあ!高ーい!」

 

「騒ぐな!!揺れる!!」

 

「ヤッホー!幸村様ー!」

 

「人の話を聞けって!!」

 

「アタシ、馬で旅するの初めて!

 

楽ちんだね!

 

 

でさでさ、これってお姫様と若君様みたいじゃない?」

 

「いいや、全っ然」

 

「何よもう!!雰囲気台無し!!」

 

「あんまりうるさくすると、下ろすぞ!!」

 

「そんなうるさい姫様、私見たことなーい」

 

「何よ!!明日花ちゃんの意地悪!!」

 

 

隣を歩く優助の馬に乗る明日花に、伊佐那海は身を乗り出して怒った。優助はそんな明日花にため息を吐き、彼の後ろを歩いていた六郎は幸村の方を振り返った。

 

 

「若、お早く!」

 

「そう急ぐ必要もあるまい。

 

久しぶりの長旅だ。ゆるりと行こう」

 

「今頃皆、どうしてるかなぁ……」

 

「何事もなくやっておるだろう……

 

事の発端になる物があるからな」

 

「伊佐那海を連れてくなんて……」

 

「京では徳川が、待ち構えていると言いますのに」

 

「なーに、あの狸の驚いた顔も見ものだと思ってな」

 

「若…」

 

「大層な殿方ですこと」

 

「こちらとしては、余り出たくはないのですがね……」

 

「なあ、京にはどんな奴らが集まるんだよ。『茶会』なんだろ?」

 

「建前だなぁ、才蔵。

 

まあ、主なところでは、石田光成に直江兼続……無論、前田に毛利等、五大老辺りも集まるだろう。

 

 

それと、あの竜……

 

奥州の独眼も来るであろうなぁ」

 

「マジかよ……」

 

 

 

林を抜け、町へと出てきた才蔵達……

 

途中にあった店により、昼食を済ませていた。

 

 

「あー、お腹いっぱい!幸村様、ご馳走様!」

 

「いや、何」

 

「良く食うねぇ、お前」

 

 

「オジサン達、こっちの街道に行くの?」

 

「童(わっぱ)か……」

 

 

馬を引き連れてきた幸村たちの前に、橙色の髪を生やした少年が現れ忠告した。

 

 

「こっちは通れないよ!

 

この間の大雨で、土砂崩れしているからさ」

 

「土地の者か?」

 

「うん!

 

オジサン達、旅人でしょ?先へ行くには、向こうの峠を越えるといいよ」

 

「わざわざありがとう!

 

あ、そうだ!ちょっと待ってて」

 

「若、いかがいたしましょう」

 

「少し遠回りになるが、いたしかあるまい」

 

 

幸村と六郎が話している中、伊佐那海はしまっていた飴を出し少年に渡した。

 

 

「あげる!」

 

「いいの?!」

 

「うん!道教えてくれたお礼!」

 

「伊佐那海行くぞ!(!?……火薬の匂い?)」

 

 

どこからか火薬の匂いがし、才蔵はにおいの元を探した。火薬の匂いに気付いているのか、明日花は才蔵に近付き話した。

 

 

「あの童、ただ者じゃないと思うよ?」

 

「おい、いくら何でもアイツはガキだぜ?」

 

「ガキでも、戦える奴はいるぞ」

 

「……」

 

「明日花、行きますよ!」

 

「それではな、童!」

 

 

それぞれの馬に乗り、少年に言われた道へ向かう才蔵達……

 

才蔵達を見送った少年は、貰った飴をなめながら不敵に笑った。

 

 

 

 

峠道を歩く中、手綱を引く才蔵の腕の中で疲れたのか伊佐那海は眠ってしまっていた。

 

 

「寝やがった、コイツ」

 

「純真無垢だのう」

 

「こちらも寝ました」

 

 

優助の方に目を向けると、明日花は彼の羽織を握りながら眠っていた。

 

 

「緊張感なさ過ぎだ!」

 

「まあ、誰ぞに狙われているわけでもあるまいし」

 

「狙われているようなもん、連れて歩いてるじゃねぇか!!」

 

「それより、いいんですか?この人数で。

 

 

京に上ると言うのに、かなり質素ですが?」

 

「見栄のために、ゾロゾロと人を引き連れて歩く趣味など、持ち合わせておらんわ。

 

儂はすまして歩くよりも、お前等とこうしていく方が性にあっておる。

 

 

風が心地よいしな」

 

「……

 

つくづく変わってるよな?オッサン」

 

「そうか?」

 

「若君っつーより、遊び人って感じだし」

 

「フン」

 

「遊び人なのは確かです!」

「遊び人なのは確かです!」

 

 

六郎と優助は口を揃えて言った。才蔵は納得したかのような顔で、幸村を見た。

 

 

「やっぱり」

 

「若、くれぐれも京女などとことを起こさないでくださいよ」

 

「何?!

 

その楽しみが無くて、何の京だ!!」

 

「それしか楽しみが無いのですか!?」

 

「当たり前だろうが!」

 

「オッサン……」

 

「ハァ……」

 

 

“パァアン”

 

 

突然空に、何かが光った。その光に驚いた馬達は暴れ出した。

 

 

「どう!!」

 

「うわっ!何!」

 

「オッサン!!伊佐那海を頼む!!」

 

「どう!!どう!!」

 

 

馬を落ち着かせる六郎……

 

暴れる馬の後ろ脚が、何かに当たりその衝撃で茂みに仕込まれていた竹の棒が六郎目掛けて放ってきた。

 

 

「六郎!!」

 

 

放ってきた竹を、才蔵は蹴り飛ばし剣で斬った。それが引き金になったのか、崖から多数の岩が落ちてきた。

 

 

「ギャー!!」

 

「次から次へと!!」

 

「罠にはまったか?!」

 

(この数の岩じゃあ……)

 

 

「伊・佐・那・海ぃ!!」

 

 

その声と共に、目の前に何かが現れ落ちてきた岩を素手で粉々にしていった。

 

 

「拙僧が来たからには、もう大丈夫だ!!」

 

「お兄ちゃん、凄い!!」

 

「何でいるの?!」

 

 

燥いでいると、伊佐那海が乗っている馬の首に何かが当たり、それに驚いた馬は暴れ出し走り出した。

 

 

「伊佐那海!!」

 

「と、止まってぇ!!」

 

「いかん!!」

 

 

走り出そうとした幸村の馬の脚に、草に隠されていた網が上がり馬はそれに引っかかり、幸村は馬が転んだと同時に転げ落ち地面に落ちた。

 

だが落ちたと同時に、地面の穴が開きその中へ落ちてしまった。

 

落ちる寸前、幸村の手に何かが巻き付き、穴の底には先の尖った竹が数本刺さっていた。

 

 

「大丈夫ですか?!若!!」

 

「ふぃー……助かったわ!」

 

「今、引き上げます!」

 

 

幸村を引き上げる六郎の頭上を飛び越え、才蔵は暴走している馬に乗っている伊佐那海を抱き上げ馬から離れ着地した。

 

だがそこに仕掛けがあり、それを踏んだ途端上から袋が落ち中から多数の爆弾が落ちてきた。

 

 

「由利鎖鎌奥義風神掌!!」

 

 

明日花が術を放とうとした途端、後ろから激しい強風が吹き荒れ、爆弾を防いだ。

 

 

(嫌な予感)

 

「これで一つ貸しな!才蔵!」

 

 

そこへ現れたのは、誇らしげな笑みを浮かべた鎌之介だった。

 

 

「何でテメェがいるんだよ!?」

 

「いちゃ悪いか!」

 

「やっぱりついてきたか」

 

「伊佐那海、無事か!?」

 

「皆、無事のようだな」

 

「はい」

 

「しかし、一体何者がこのような事を」




その時、崖を滑り降りてくる音が聞こえ、才蔵達は崖の方に目を向けた。

降りてきたのは、町で道を教えてくれたあの橙色の少年だった。


「決めた!!

オジサン!!僕を雇え!!」
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