BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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琵琶湖に現れた一隻の船……


(な、何だ一体!!)

「甚!!」


突然、船を見上げながらその名を明日花は嬉しそうにそう叫んだ。


「縄張りだけじゃねぇな?

人の兄弟とガキを襲うとは、いい度胸してんじゃねぇか?」

「嬢!!」


その声とともに船から、明日花に向って何かが投げられた。明日花はそれを受け取り装備した。


(弓矢?)

「当たりたくなきゃ、明日花の前に立たない方が良いよ!!」


そう言いながら、明日花は数本の矢を弦にはめ兵団目掛けて一気に放った。矢は兵団の胸当てを貫き、次々に倒して行った。


「す、すっげぇ……」

「お姉ちゃん、これ使って!!」

「おう!」


そう言いながら、弁丸は紐のついた爆弾を明日花に渡した。明日花は爆弾を受け取り、矢に着け放った。矢は地面に刺さったと同時についていた爆弾が爆発し、兵団を倒した。


「いよっし!!命中!!」

「明日花、早く船に乗れ!!」


才蔵の叫び声に、明日花は弓の弦を外し船へと乗り込んだ。


水上の再会

遠退いて行く幸村達が乗った船を、政宗達は眺めていた。

 

 

「悪運の強ぇ……」

 

「ここへ来て、水上からの加勢とは」

 

 

 

 

 

「た、助かったぁ」

 

 

船の上で一安心する弁丸……

 

そこへ、黒髪を結い前髪を左だけ垂らし髪に羽の飾りを着け、コートを肩にかけた男がだるそうな顔を浮かべながら、近づいてきた

 

 

「何だ何だ?この面白珍道中みてぇな連中はよ!

 

 

はーあ、とんだ拾いモンだ」

 

「何者か知らんが……ありがたい」

 

「オッサンに礼言われても、嬉しくねぇな……

 

お!」

 

 

鼻を打ったのか、鼻を摘む鎌之介を見るなり、男は鎌之介に近付いた。

 

 

「美女発見!!」

 

「あ!?」

 

「お前、目に刺青入れてんのか!?良いねぇ!」

 

「何だテメェ!?」

 

「俺様と一緒にこの船で暮らさねぇか?不自由はさせねぇぞ!」

 

「誰に向かって口利いてんだ?!ぶっ殺すぞ!!」

 

「うへー、気ぃ強え女だなぁ。海賊にはピッタリだぜ!」

 

「頭に何か湧いてんのかこの野郎!!

 

どこをどう見りゃ女に見えんだ!?俺は男だ!!」

 

「え!?こいつ男なのか!?」

 

「一応そうらしい」

 

「甚!助かったぞ!!」

 

 

男の背後に飛び付きながら、明日花は礼を言った。

 

 

「お前等、危機一髪だったな」

 

「運に任せましたが、まさか本当に来るとは……」

 

「優助、主コイツと知り合いか?」

 

「えぇ。四年ほど、この方の所にいました。

 

それに、昔色々助けたんで」

 

「父さんと甚は義理兄弟で、甚は明日花のお師匠だよぉ!!」

 

「はぁあ!!」

 

「んだよ、その驚いたような叫び声は?特にそのオッサン」

 

 

「甚八!!

 

 

幸村様にそのような口の効き方!!改めよ!!」

 

 

聞き覚えのある声に、才蔵達は一斉にその声の方に顔を向けた。

 

そこにいたのは、樽を片手で持った十蔵だった。

 

 

「筧さん!!」

 

「皆、久しいな!息災であったか!」

 

「……筧さん」

 

「無事で何より。

 

しかし、まさか幸村様がいらっしゃるとは」

 

「おかげで命拾いしたわ、筧!」

 

「いえ、某ではなく、この者が入いててくれたおかげです」

 

 

そう言いながら、男は十蔵を手で指した。男は息を吸い大声を出した。

 

 

「根津甚八と申す!

 

好むのは酒と女!!愛すべきものは俺様の船!!

 

『人生楽しく生きれりゃあそれでいい』が信条だ!」

 

(また、変な奴)

 

「へー、良いこと言うじゃん!見かけによらず!」

 

「……あっ!見て見てお姉ちゃん!!大きい猫がいるよ!」

 

 

弁丸が指さす方には、青い首輪をつけた黒い毛並をした豹が寝そべり大きくあくびをしていた。

 

伊佐那海は弁丸と共に、その豹へ近づき見た。

 

 

「お、お主ちゃんとしろと言ったではないか!!」

 

「かしこまった言い方すると、舌噛むんだよ」

 

「気にしなくていいですよ、十蔵。

 

この人、いくら僕が言っても決して敬語を使いませんでしたから」

 

「甚が敬語使ったところ、見た事ないよ」

 

「何が甚だ!!ちゃんと敬語を使わんか!!明日花」

 

「敬語使った方が良いの?」

 

「使うな。バカになる」

 

「了解」

 

「甚八!!」

「甚八さん!!」

 

「十蔵!

 

この船の上では、俺様が絶対だ!

 

 

お前がいい女がいるっつうから、わざわざ助けてやったのによぉ……

 

これじゃ、助け損じゃねぇか!」

 

 

そんな声が聞こえた伊佐那海は、甚八に近付き顔を覗かせながら自分を指で指した。

 

 

「えーっと……私女だよ?」

 

「誰がテメェみてぇな貧乳チンクシャの相手するかってんだよ!!

 

ガキは口をはさむな!!

 

 

これだったら、紫苑の相手してた方がよっぽどいい」

 

「貧乳……チンクシャ……」

 

「僕の妻、捕るのやめてもらいますか?!」

 

「『金髪異人爆乳美女』はどこにいんだよ、十蔵!!」

 

「お、おるにはおるのだが……上田に」

 

「十蔵、アナを売ったのか?」

 

「明日花!!疑いを齎す様な事を言うな!!」

 

「貴様!!

 

伊佐那海を愚弄するな!!」

 

 

突然、伊佐那海の悪口を言った甚八にキレた清海は、前へ出て鉄棍棒を甚八目掛けて振り下ろした。

 

 

「バ、バカ!!船の上で!!」

 

「大丈夫」

 

「?」

 

 

明日花の言葉に、才蔵は疑問を持ったがそれはすぐに解消した。

 

 

甚八は振り下ろしてきた清海の鉄棍棒を受け止めていた。

 

 

「?!」

 

「ね?言ったでしょ?大丈夫だって」

 

「俺様の船で、勝手は許さねぇぞ」

 

(清海の金棒を素手で!!

 

明日花の師なのは確かなようだな……この男!!)

 

 

受け止められた鉄棍棒を振り上げ、新たな攻撃をしようとした途端、甚八は清海の開いた腹へ入り右手を構えた。

 

 

「ノロマ!!」

 

 

甚八の構えた右手に青白い雷が流れ、清海の腹を突いた。清海は抵抗することなく、気を失いそのまま後ろへ倒れた。

 

 

「図体デケェだけのお子様は、オネンネしてな!!」

 

「お兄ちゃん!!」

「清海!!」

 

「甚八!!」

 

「俺様の船で暴れるなんざ、百年早ぇんだよ!!

 

だいたい、まだコイツ等の乗船を認めちゃいねぇしな」

 

「な、何を」

 

「十蔵、テメェとは義兄弟の契りを交わした。無論優助達もだ。

 

だがな、この連中には何の義理もねぇ!

 

 

つーことで」

 

 

一歩踏み入れ、清海を一撃で倒した右手から雷を放ちながら、才蔵達を睨んだ。

 

 

「お前等がこの船に乗るのに、相応しいかどうか……

 

試させてもらう!」

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