それぞれが、それぞれの敵と戦いを開始した。
清海の上に落ちた黒い鉄球に降り立つ者……
「せ、清海のオッチャン……」
鉄球の下敷きになってしまった、清海の名を震えた声で呼ぶ弁丸……
すると、鉄球の上に降りた者が、弁丸の存在に気づき弁丸を見た。
「チビ。
橙のくせ毛。
ガキ……」
「!!」
突然、降りた者の手が伸び弁丸の首を絞めた。
「お前も勇士だな」
「ぐあっ!!」
「死ね!!」
“パキ”
「ぬおおおぉお!!」
鉄球が割れ、中から清海が雄たけびを上げながら出てきた。出てきた清海は、首を絞められている弁丸を助けようと、敵を攻撃した。敵は攻撃を避けその際、弁丸の首を手から離し、二人から離れた。
手から解放された弁丸は落ちかけたが、その瞬間清海が弁丸をキャッチし、自分の肩に乗せた。
「拙僧の悟りの邪魔をするとは、不届き千万!!
説教してやるから、名を名乗れ!!」
「伊賀異形五人衆の一人、白群」
名を答えながら、白群は立っていた場所を蹴り、地面を浮かせ岩を作りその岩を清海目掛けて蹴り飛ばした。
「あの世へ逝きな!!クソ坊主!!」
落ちてくる地面の一部を、清海は拳で粉々に砕いた。
「無用の殺生は好まん!!
何が目的かは知らんが、今退くなら見逃してやる!!」
「見逃してやる?
アタシより強いつもり?
ハン!お前ら勇士は、皆殺しだよ!!一人残らずな!!」
「一人残らず……!!
いかん!!伊佐那海が!!」
伊佐那海の元へ行こうと、白群に背を向け行こうとした時、清海の前に白群が現れ、笑みを溢した。
「皆殺しって、言ったろ?」
上田城……
部屋から外を眺める幸村……
後ろを振り返り、未だに目を覚ましていない六郎を見た。
煙管を口に銜え、もう一度外を眺めた。
敵と戦う勇士達の無事を祈りながら……
「まっだ!!まだぁ!!」
清海に次々と容赦なく、岩を蹴り飛ばす白群……
その攻撃を、拳で防ぎ止める清海……
「いつまで、避けられるかな?」
「あの小娘、何という怪力か!」
「このままじゃ、埒があかないよ!早く、お姉ちゃん助けに行かないと!
新型の爆弾もあるし、オイラも手助けするよ!」
「子供は大人しく、拙僧の背中におれ!
案ずるな、拙僧には神仏の加護がある」
「加護?
そんなもの、ありはしないよ!!」
そう言い放ちながら、白群は地面を蹴り巨大な岩を出した。
「この世は力が全てさ!!」
出した岩を、白群は力いっぱい蹴り飛ばした。清海はその岩を真っ二つに割り、攻撃を防いだ。
だが、岩が地面に落ちた時清海は確信した。周りを見ると、逃げ道が無くなっていた。
(しまった!!今までの攻撃は、退路を塞ぐための)
「取った!!」
白群は宙を舞い、清海の頭目掛けて踵落としをした。清海は白群の踵落としを腕で難なく受け止めた。
「小娘の攻撃など!!」
受け止められ、逆さまになった白群は清海の空いた腹に拳を喰らわせた。
その瞬間、清海の口から唾が噴出し、その場に膝を付き苦しそうに咽た。
「清海のオッチャン!!」
「見てくれだけか、クソ坊主!!
信心深くても、テメェじゃ誰も救えないね!!」
「信ずれば救われる……
信ずれば救われるのだ!!
出雲を出て苦節十年!あらゆる神仏に、帰依する拙僧が得た悟りだ!!
人は神々に守られている!!お前如きに、否定はさせん!!」
「……
あーあ、これだから嫌だよ。坊主とかって……
目に見えないものを平気で信じてんだから!
生きるも死ぬも、すべて自分の力次第!自分を守るのは自分だけだ!」
「何と貧しい思考の持ち主か!哀れな……
時間があれば、回心させてやるものを……
しかし、今は一刻も早く伊佐那海を……」
「その伊佐那海って、アレだろ?
何でも、化け物らしいじゃないか」
「!!
今の言葉、撤回せよ!!」
殴りかかろうとした時、清海の背中にいた弁丸が、爆弾を投げた。爆弾は爆発し、辺りに煙が充満した。
「今のうち行こう!清海のオッチャン!!
こんな奴、相手にしちゃダメだよ!」
「ならん!!
伊佐那海は我が最高神!!それを侮辱するとは……許さん!!」
その時、煙の中から清海目掛けて手が伸びてきた。清海はその手を受け止めた。
「どう許さないって?」
「!?」
目の前にいたのは、先程の体とは違う巨大化した白群だった。
「見せてみな」
「拙僧に腕力で挑むとは、笑止!!」
(何コイツ!?いきなり大きくなった!)
腕を掴んだ清海を、白群は地面へ投げ倒した。倒されたと同時に、腕の関節が外れたような音が聞こえた。
「あーあ、弱いなぁ……
お前の信じてる神の力っての?見せてみろよ」
関節を戻した清海は、気合を入れ拳を入れた。
「六根清浄!!」
だが、その攻撃を白群は手で払い避けた。拳には、無数の切り傷ができ、血を噴き出した。
「神と精霊の御名において、悔い改めよ!!アーメン!!」
血塗れになった拳でもう一度、殴る清海……
「それだけ?」
その攻撃を喰らっても、笑みを溢す白群……
負けまいと、次々に殴りかかる清海……
だが、殴るごとに指は血塗れになっていくが、白群は弱っている様子はなかった。
(何故だ?……拙僧の拳が、まるで効かん!)
「もう、おしまい?」
攻撃が止んだ隙を狙い、白群は清海の腹に拳を入れた。その次に、顔面を殴りった。
倒れる清海を、白群は容赦なく殴り続けた。
「どうした?救われないねぇ」
気を失い、倒れる清海……
(何故だ……何故なのだ……
拙僧の信ずる力が、足りんのか……
これでは、伊佐那海のもとへ行けぬ……
すまん、伊佐那海……
お主を悲しませたまま……救えそうにない……)
『人を救うなどと、思い上がるな!!清海!!』
気を失った清海の頭に蘇る記憶……
―――――思い上がりじゃない!!
神とは、人を救うもの!その神に、使える我らが人を救うのが当然!!
『戯けが!!清海、お前は何も分かっておらん!!神は万能ではない!!』
では、神とは何なんだ!?仏教じゃ、念仏を唱えるだけで救われると言うじゃないか!!
こんな狭っ苦しい神社に、縛られてるからダメなんだ!!
俺は出て行く!!自分で『神』を見極める!!
『……伊佐那海の守りはどうするのだ?』
俺なんか、必要ないだろ!!
『……
好きにするがいい』
ああ!!好きにするさ!
『お兄ちゃん、どこに行くの?』
伊佐那海……
『もう暗いよ?お外、怖いよ?』
俺は男だから大丈夫だよ。
……ちょっと出かけてくる。伊佐那海はいい子で待ってな。
『うん!じゃあお土産、買ってきてね!』
笑顔を浮かべる幼い頃の伊佐那海……
(あの時は笑顔だった……
それは変わらず、ずっとそこ(出雲)にあると思っていた)
焼け野原になった出雲を前に立つ清海……
『巫女が一人、生き延びたらしい』
(捜せねば!!悟りを開いた拙僧が、救ってやらねば!!
笑って待っている伊佐那海を……
だが、これではもう……拙僧の信じた者は)
「あきらめるな!!オッチャン!!」
その声と共に、白群の前に煙が充満した。その隙に、弁丸は清海に駆け寄った。
「オイラもいる!!
頼ってみなよ!!」
「拙僧は、敗れたのだ……信ずべき神々に見放されたのだ」
「それならオイラ(仲間)を信じなよ!!
さぁ、出来た!!」
清海の右手に、弁丸はメカを取り付けた。
「弁丸印絡繰炸裂拳火之迦具土!!」
「このガキぃ!!」
煙の中から出てきた白群は、弁丸を攻撃しようとした。
「いけぇ、オッチャン!!」
「おおぉおお!!」
メカを着けた拳を、白群目掛けて殴りかかった。
その瞬間、滝壺から爆発が起き、煙が上がった。
その頃、鎌之介は……
「?」
暗い場所で目を覚ます鎌之介……
「ここは?」