BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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勇士達に戦いを挑む、伊賀異形五人衆……


それぞれが、それぞれの敵と戦いを開始した。


届かぬ祈り

清海の上に落ちた黒い鉄球に降り立つ者……

 

 

「せ、清海のオッチャン……」

 

 

鉄球の下敷きになってしまった、清海の名を震えた声で呼ぶ弁丸……

 

 

すると、鉄球の上に降りた者が、弁丸の存在に気づき弁丸を見た。

 

 

「チビ。

 

橙のくせ毛。

 

 

ガキ……」

 

「!!」

 

 

突然、降りた者の手が伸び弁丸の首を絞めた。

 

 

「お前も勇士だな」

 

「ぐあっ!!」

 

「死ね!!」

 

 

“パキ”

 

「ぬおおおぉお!!」

 

 

鉄球が割れ、中から清海が雄たけびを上げながら出てきた。出てきた清海は、首を絞められている弁丸を助けようと、敵を攻撃した。敵は攻撃を避けその際、弁丸の首を手から離し、二人から離れた。

 

手から解放された弁丸は落ちかけたが、その瞬間清海が弁丸をキャッチし、自分の肩に乗せた。

 

 

「拙僧の悟りの邪魔をするとは、不届き千万!!

 

説教してやるから、名を名乗れ!!」

 

「伊賀異形五人衆の一人、白群」

 

 

名を答えながら、白群は立っていた場所を蹴り、地面を浮かせ岩を作りその岩を清海目掛けて蹴り飛ばした。

 

 

「あの世へ逝きな!!クソ坊主!!」

 

 

落ちてくる地面の一部を、清海は拳で粉々に砕いた。

 

 

「無用の殺生は好まん!!

 

何が目的かは知らんが、今退くなら見逃してやる!!」

 

「見逃してやる?

 

アタシより強いつもり?

 

 

ハン!お前ら勇士は、皆殺しだよ!!一人残らずな!!」

 

「一人残らず……!!

 

いかん!!伊佐那海が!!」

 

 

伊佐那海の元へ行こうと、白群に背を向け行こうとした時、清海の前に白群が現れ、笑みを溢した。

 

 

「皆殺しって、言ったろ?」

 

 

 

 

上田城……

 

 

部屋から外を眺める幸村……

 

 

後ろを振り返り、未だに目を覚ましていない六郎を見た。

 

 

煙管を口に銜え、もう一度外を眺めた。

 

 

敵と戦う勇士達の無事を祈りながら……

 

 

 

 

「まっだ!!まだぁ!!」

 

 

清海に次々と容赦なく、岩を蹴り飛ばす白群……

 

その攻撃を、拳で防ぎ止める清海……

 

 

「いつまで、避けられるかな?」

 

「あの小娘、何という怪力か!」

 

「このままじゃ、埒があかないよ!早く、お姉ちゃん助けに行かないと!

 

新型の爆弾もあるし、オイラも手助けするよ!」

 

「子供は大人しく、拙僧の背中におれ!

 

案ずるな、拙僧には神仏の加護がある」

 

「加護?

 

 

そんなもの、ありはしないよ!!」

 

 

そう言い放ちながら、白群は地面を蹴り巨大な岩を出した。

 

 

「この世は力が全てさ!!」

 

 

出した岩を、白群は力いっぱい蹴り飛ばした。清海はその岩を真っ二つに割り、攻撃を防いだ。

 

だが、岩が地面に落ちた時清海は確信した。周りを見ると、逃げ道が無くなっていた。

 

 

(しまった!!今までの攻撃は、退路を塞ぐための)

 

「取った!!」

 

 

白群は宙を舞い、清海の頭目掛けて踵落としをした。清海は白群の踵落としを腕で難なく受け止めた。

 

 

「小娘の攻撃など!!」

 

 

受け止められ、逆さまになった白群は清海の空いた腹に拳を喰らわせた。

 

その瞬間、清海の口から唾が噴出し、その場に膝を付き苦しそうに咽た。

 

 

「清海のオッチャン!!」

 

「見てくれだけか、クソ坊主!!

 

信心深くても、テメェじゃ誰も救えないね!!」

 

「信ずれば救われる……

 

信ずれば救われるのだ!!

 

 

出雲を出て苦節十年!あらゆる神仏に、帰依する拙僧が得た悟りだ!!

 

人は神々に守られている!!お前如きに、否定はさせん!!」

 

「……

 

あーあ、これだから嫌だよ。坊主とかって……

 

目に見えないものを平気で信じてんだから!

 

 

生きるも死ぬも、すべて自分の力次第!自分を守るのは自分だけだ!」

 

「何と貧しい思考の持ち主か!哀れな……

 

時間があれば、回心させてやるものを……

 

 

しかし、今は一刻も早く伊佐那海を……」

 

「その伊佐那海って、アレだろ?

 

何でも、化け物らしいじゃないか」

 

「!!

 

今の言葉、撤回せよ!!」

 

 

殴りかかろうとした時、清海の背中にいた弁丸が、爆弾を投げた。爆弾は爆発し、辺りに煙が充満した。

 

 

「今のうち行こう!清海のオッチャン!!

 

こんな奴、相手にしちゃダメだよ!」

 

「ならん!!

 

伊佐那海は我が最高神!!それを侮辱するとは……許さん!!」

 

 

その時、煙の中から清海目掛けて手が伸びてきた。清海はその手を受け止めた。

 

 

「どう許さないって?」

 

「!?」

 

 

目の前にいたのは、先程の体とは違う巨大化した白群だった。

 

 

「見せてみな」

 

「拙僧に腕力で挑むとは、笑止!!」

 

(何コイツ!?いきなり大きくなった!)

 

 

腕を掴んだ清海を、白群は地面へ投げ倒した。倒されたと同時に、腕の関節が外れたような音が聞こえた。

 

 

「あーあ、弱いなぁ……

 

お前の信じてる神の力っての?見せてみろよ」

 

 

関節を戻した清海は、気合を入れ拳を入れた。

 

 

「六根清浄!!」

 

 

だが、その攻撃を白群は手で払い避けた。拳には、無数の切り傷ができ、血を噴き出した。

 

 

「神と精霊の御名において、悔い改めよ!!アーメン!!」

 

 

血塗れになった拳でもう一度、殴る清海……

 

 

「それだけ?」

 

 

その攻撃を喰らっても、笑みを溢す白群……

 

 

負けまいと、次々に殴りかかる清海……

 

だが、殴るごとに指は血塗れになっていくが、白群は弱っている様子はなかった。

 

 

(何故だ?……拙僧の拳が、まるで効かん!)

 

「もう、おしまい?」

 

 

攻撃が止んだ隙を狙い、白群は清海の腹に拳を入れた。その次に、顔面を殴りった。

 

倒れる清海を、白群は容赦なく殴り続けた。

 

 

「どうした?救われないねぇ」

 

 

気を失い、倒れる清海……

 

 

(何故だ……何故なのだ……

 

拙僧の信ずる力が、足りんのか……

 

 

これでは、伊佐那海のもとへ行けぬ……

 

すまん、伊佐那海……

 

お主を悲しませたまま……救えそうにない……)

 

 

『人を救うなどと、思い上がるな!!清海!!』

 

 

気を失った清海の頭に蘇る記憶……

 

 

―――――思い上がりじゃない!!

 

神とは、人を救うもの!その神に、使える我らが人を救うのが当然!!

 

『戯けが!!清海、お前は何も分かっておらん!!神は万能ではない!!』

 

では、神とは何なんだ!?仏教じゃ、念仏を唱えるだけで救われると言うじゃないか!!

 

こんな狭っ苦しい神社に、縛られてるからダメなんだ!!

 

俺は出て行く!!自分で『神』を見極める!!

 

『……伊佐那海の守りはどうするのだ?』

 

俺なんか、必要ないだろ!!

 

『……

 

 

好きにするがいい』

 

ああ!!好きにするさ!

 

 

 

『お兄ちゃん、どこに行くの?』

 

伊佐那海……

 

『もう暗いよ?お外、怖いよ?』

 

俺は男だから大丈夫だよ。

 

……ちょっと出かけてくる。伊佐那海はいい子で待ってな。

 

『うん!じゃあお土産、買ってきてね!』

 

 

笑顔を浮かべる幼い頃の伊佐那海……

 

 

(あの時は笑顔だった……

 

それは変わらず、ずっとそこ(出雲)にあると思っていた)

 

 

焼け野原になった出雲を前に立つ清海……

 

 

『巫女が一人、生き延びたらしい』

 

(捜せねば!!悟りを開いた拙僧が、救ってやらねば!!

 

笑って待っている伊佐那海を……

 

 

だが、これではもう……拙僧の信じた者は)

「あきらめるな!!オッチャン!!」

 

 

その声と共に、白群の前に煙が充満した。その隙に、弁丸は清海に駆け寄った。

 

 

「オイラもいる!!

 

頼ってみなよ!!」

 

「拙僧は、敗れたのだ……信ずべき神々に見放されたのだ」

 

「それならオイラ(仲間)を信じなよ!!

 

さぁ、出来た!!」

 

 

清海の右手に、弁丸はメカを取り付けた。

 

 

「弁丸印絡繰炸裂拳火之迦具土!!」

 

「このガキぃ!!」

 

 

煙の中から出てきた白群は、弁丸を攻撃しようとした。

 

 

「いけぇ、オッチャン!!」

 

「おおぉおお!!」

 

 

メカを着けた拳を、白群目掛けて殴りかかった。

 

 

その瞬間、滝壺から爆発が起き、煙が上がった。




その頃、鎌之介は……


「?」


暗い場所で目を覚ます鎌之介……


「ここは?」
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