BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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幸村の城で茶を飲む三成と兼続……


「やれやれ……

幸村をこちらの陣営に、引き入れるつもりが……


どこもかしこも、騒がしくて困ったものです」


三成の話を聞きながら、出されていた茶を飲む兼続……


「……んー

不味い」

「……もし…


もしも、幸村が挙兵に応じなかったら、どうする?」

「応じる者は他にもおりましょう……

徳川のやり口に、不満を募らす輩は多い。


そうだな……

ことは急を要する……私が立ち上がれば」
「私(石田三成)が」


そんな二人の会話を、部屋の外から聞く幸村……


(こちらも戦……

あちらも戦か……)


死を司る者

息を切らす十蔵と佐助……

 

 

二人を囲う様にして飛ぶ虫の大群……

 

 

(この羽音……

 

邪魔!!気配掴めない!!)

 

 

苦戦する二人を、蜘蛛の巣に張り付いた伊佐那海は心配げな表情を浮かべた。

 

 

「佐助……筧さん」

 

「案ずるな!!某と佐助がすぐ助けてやるぞ!!

 

(伊佐那海が悲しめば)」

 

「応!!無問題!!

 

(『闇』生まれる!!)」

 

(それだけはさせない!!)

(それだけはさせない!!)

 

 

二人の目の前に、巨大蜘蛛が突進し二人を前足で攻撃した。二人は寸前で攻撃を避け、佐助は近くの木の枝に乗り、十蔵は地面を転がり、銃を構えた。

 

 

「巨体の割に、俊敏な!!

 

こっちは任せろ!!佐助!!」

 

「諾!!」

 

 

巨大蜘蛛を十蔵に任せた佐助は、自分達を囲って飛ぶ虫の大群の中へ突っ込もうとした。その時大群の中から、佐助目掛けて飛んできた女の足が出てきた。

 

その足を佐助は、蹴りで弾じ避けた。それと共に、大群の中から灰桜が姿を現し、佐助は地面へ着地し機転を変え、灰桜に攻撃した。佐助の攻撃を灰桜は胸にしまっていた小太刀を取り出し、彼の攻撃を防いだ。

 

 

佐助はもう片方の爪で、灰桜を攻撃しようとした時、目の前に虫の大群が攻め寄り、やむ終えずその攻撃を中断し灰桜から離れた。

 

 

「ホホホ……

 

あの小娘には、近付けませんわ!!

 

 

伊賀亜流操蟲術千極蟷螂!!」

 

「蟷螂!?」

 

 

灰桜が立つ辺りの地面から巨大蟷螂が無数に姿を現した。

 

 

「あなた達は、私という蜘蛛に、捕らえられた贄!

 

決して逃れませんわよ?」

 

 

灰桜の声に、蟷螂の大群は一斉に十蔵目掛けて突進してきた。十蔵は銃を構え、突進してきた蟷螂を一気に打ち放った弾で貫いた。

 

 

「あら?意外にやりますわね」

 

 

十蔵の攻撃を見ながら、灰桜は小太刀の束を手握り飛び掛かろうとした時だった。

 

灰桜の後ろから首に爪を翳す佐助……

 

 

「伊佐那海、解放(はな)せ!!」

 

「お戯れを……

 

捕らえた獲物を手放す蜘蛛がおります?」

 

「なら、即殺!!」

 

 

刃を首に当てる佐助……

 

その時、灰桜は顔だけ後ろへ振り返り、佐助の唇に自分の唇を触れさせた。佐助は、異様な気配を感じ取り、灰桜から唇を離し後ろへ引いた。

 

 

「フフ……

 

口づけを、拒むなんて……いけず。」

 

 

舌を出しながら言う灰桜の舌の上に、小さな毒雲が一匹乗っていた……

 

 

その瞬間、佐助は体の異変を感じ、地面へ着地しようとした時、足が滑り地面へ落ちた。

 

 

「佐助!!」

「佐助ぇ!!」

 

 

痙攣を起しながら、何とか立ち上がろうとする佐助……

 

 

「この子が、体中に侵入したらもうおしまい。

 

ほどなく、心の臓が食い破られますわ」

 

「さ、佐助ぇ……」

 

 

今にも泣きそうな声で、佐助を呼ぶ伊佐那海……

 

そんな伊佐那海に、佐助は口についていた血をふき取りながら、立ち上がった。

 

 

「心配無用!!(伊佐那海、悲しませない、泣かせない!!)

 

我、万全!!」

 

「そうだ!!このような虫けら如きに……

 

すぐに一掃してみせる!!」

 

「……どうかしら?」

 

 

不敵な笑みを十蔵に向ける灰桜……

 

その時、十蔵の体に激痛が走り声を上げた。激痛に耐えきれなくなった十蔵は、その場に膝を付いた。

 

 

「ホホホ……

 

声を上げるほど、激痛(いた)くて?

 

貴方は、大きいものに囚われ、小さきものを見落としていた」

 

 

十蔵ははっと、自分の脚を見た。足には数匹の毒を持った蟻が歩いていた。

 

 

(蟻!?)

 

「蟲は小さき存在なれど、肉を土に還す死の使い……

 

それらを操る私こそ、死を司る者!

 

 

肉の外から蝕まれて、のたうち踠き死ぬがいい!!」

 

 

蟲達の攻撃を次々に喰らう十蔵と佐助……

 

 

(か、体が……)

 

(痺れる!!)

 

 

避けきれず攻撃に当たり、血を吐き出し倒れる十蔵と佐助……

 

 

「も…

 

もう嫌……

 

 

二人共、死んじゃうよう……」

 

「問題ない!!」

 

 

涙を浮かべて言う伊佐那海に、十蔵と佐助は立ち上がり叫んだ。

 

 

「これしきの責め……

 

痒くもないわ!!」

 

「即決着!!

 

目閉じ、しばし待て!!」

 

(佐助……筧さん……)

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