BRAVE10~もう一つの物語   作:花札

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後ろへ下がり、才蔵は剣を持ち直し、半蔵に反撃した。だが半蔵はその剣を持っていた二本の刀で防いだ。防ぐと半蔵は、才蔵に蹴りを入れようと足を振った。履いていた靴の踵から刃物が出て、才蔵の左額に傷を付けた。


不意に避けた才蔵は、すぐに体制を整えようとした瞬間、下から半蔵の攻撃が来た。しかし、才蔵はその攻撃が見えたかのように、体は傷ついたもののすぐに避け、後ろへ下がった。


(見える……これなら、いける!!)

「どうやら、先日よりはやるようですね?」


地の底の戦い

その一方、蛇の繭の中にいる十蔵と桜割は……

 

 

「さあ、どうして差し上げましょうか?」

 

 

桜割は十蔵の体に跨っていた。十蔵は身動きが取れぬように、手足首に蛇が巻き付かれていた。

 

 

「この、離れぬか!!」

 

「無駄ですわ、動けませんわよ?」

 

 

そう言うと、桜割は十蔵の耳元に口を近付けさせ、何やら呪文のような言葉を放った。

 

 

「これで、あなたは私の術の中……

 

 

全ての権限は、私にありますのよ?」

 

(この女、幻術使いか!!)

 

「本当は、あなたをたくさん可愛がって差し上げたいのですが……

 

 

時間をかけるなと、上から言われておりますの」

 

 

 

 

 

半蔵と激しい戦闘を繰り広げている才蔵………

 

 

(昔は、こうやって闇の中で、生きるために人を殺していた……

 

 

だが今は、俺を信頼して任してくれたオッサン(幸村)のためにも、負けるわけにはいかねぇ!!)

 

 

突然、才蔵の動きが速くなったことに気付いた半蔵は、悪戦苦闘した。すると才蔵は持っていた剣を持ち直した。

 

 

「瞬光!!(手応えあり!!)」

 

 

才蔵の技は、見事に半蔵に当たった。半蔵の顔に着けていた布が破れ、半分髪が出て、口元を隠していた布が切れてしまった。

 

 

「へ!!ざまぁ見ろ!!」

 

「このガキが!!」

 

 

キレた半蔵は、刀を持ち構え才蔵に攻撃した。才蔵は防いだはずだったが、体のあちこちに傷を負ってしまった。

 

 

「?!」

 

 

傷を見ていた才蔵の背後に半蔵は回り込み才蔵を蹴り倒した。蹴り倒した才蔵の頭に、半蔵は足を乗せ、動けなくした。

 

 

(やべぇ!!)

 

「火生三昧!!」

 

 

半蔵が放った攻撃は、地面に押し付けられていた才蔵の背中に命中した。

 

 

「さて、これで終了!!」

 

 

止めを刺そうと、刀を向けた……

 

 

 

その時。

 

 

 

 

「巨旋風!!」

「水鉄砲!!」

 

 

その声と共に、入ってきた階段の方から大風が吹き荒れ、さらに壁がある方から水弾が飛んできた。

 

 

「何?!」

 

「?!」

 

「誰です!!」

 

(この風に、あの水術……まさか!!)

 

「明日花のこと、忘れんなよ!!服部半蔵!」

 

 

声がした方に顔を向けると、伊佐那海の前に立つ明日花が刀を構え半蔵を睨んだ。

 

 

「明日花!!」

 

「じゃあ風は?!」

 

「まさか、この間の……」

 

 

「ったく、カッコ悪いな忍者!!そんなんじゃ、つまんねーだろ?!」

 

 

錘が付いた鎖を、回しながら階段を下りてくる一人の若者……

 

 

「また、真田の勇士ですか?!

 

揃いも揃って、よくも邪魔を!!」

 

「真田ぁ?何だそれ?

 

んなもん、知らねぇっつの!!」

 

 

鎖を振り回し、階段から降りてきたのは山賊の鎌之介だった。

 

 

「つか、誰の許可を得て俺の物(才蔵)で遊んでんだっつう話だよ!!

 

ただで済むと思うなよ!!この、覆面野郎!!」

 

「俺の物?!」

 

「才蔵となあ、命かけてギリギリで闘り合って!!最っ高に!!楽しく!!血ィ垂れ流して、ぶっ飛べんのはこの俺だけなんだ!!んでなあ、絶好の際に、この俺を殺していいのは、こいつだけなの!!分かったか?!」

 

「……ただの変態か」

 

「んだと!!

 

気色悪い覆面野郎には、言われたくねぇっつうの!!

 

 

喰らえ!!巨旋風!!」

 

 

半蔵目掛けて鎌之介は技を放ったが、半蔵は難なく避け鎌之介の腕を斬った。鎌之介は何が起きたのか分からなく、斬られた腕を見た。

 

 

「バッカ!!後ろだ!!」

 

 

才蔵の助言で、鎌之介は後ろからきた半蔵の攻撃を鎌で防いだ。防いだと同時に、鎌之介は半蔵の持っていた二本の刀の束を鎖で結び、動けなくし鎌を振り下ろした。

 

だが、半蔵は攻撃が来る前に鎌之介の腹に蹴りを入れた。鎌之介の動きが鈍くなった隙に、半蔵は二本の刀を持ち構え鎌之介を斬りつけた。

 

 

「んの野郎!!

 

さっきから、パンパン斬りやがって!!ムカつく!!」

 

「テメェの戦い方が悪いからだろうが!!何で、接近戦なんだよ!!バカ!!」

 

「何で、テメェにバカ扱いされなきゃ、いけねぇんだよ?!」

 

「バカだろ!!テメェ、自分の技の利点が全然、分かってねぇ!!」

 

「んだと!!」

 

「二人揃って殺られたくなきゃ、俺の後ろから援護しろ!!」

 

「何命令してんだよ!!このく」

「喧嘩するなら、アイツの相手明日花がやるよ!」

 

 

喧嘩する二人に言いながら、明日花は刀を握り半蔵目掛けて振り下ろした。半蔵はその攻撃をすぐに刀で防ぎ避けた。

 

 

「小賢しいガキが。大人を余り甘く見ない方が、身のためですよ」

 

「そっちこそ!ガキだからって、甘く見ない方がいいよ!!

 

山本流剣術居合斬り!!」

 

 

下から上へ刀を上げた明日花……その攻撃を半蔵は瞬時に避けたが、頬に傷が出来そこか血が流れ出た。

 

 

「このクソガキ!!」

 

 

半蔵は二本の刀を交互に振り下ろした。明日花はもう一本の鞘から短刀を取り出し、半蔵の刀を受け止めた。

 

 

「ほお……多少は、やるみたいですね」

 

「見縊んな!!

 

山本流水術五月雨!!」

 

 

天井から無数の水の槍が降り、半蔵に向かって攻撃してきた。半蔵は水の槍を刀で振り払ったが、一滴の水槍が半蔵の腕を掠った。

 

 

(何という、力!!)

 

「(明日花だけに任せられねぇ!!)

 

鎌之介!!この戦い終ったら、テメェが泣き入れするまで遊んでやっから付き合え!!」

 

「(?!泣き入れするまで!?)

 

ほ、本当だろうな?」

 

 

 

その一方、十蔵は鎌之介が放った技をおかげで術が解け、自由に体を動かせるようになり桜割に反撃をした。

 

 

「体が動けば、女ごときに!!」

 

「女ごときですって?!

 

心外だわ!!甘く見ないで下さいませ!!」

 

 

桜割は十蔵の体に、まるで蛇のように自分の体を絡み付けた。

 

 

「私は、蛇使いの桜割!!

 

私の四肢も蛇の如く強い力で締め上げますのよ?例え、男のあなたでも逃れることは叶いませんわ!!」

 

 

自分の体を締め付け、十蔵を苦しめる桜割……

 

桜割は口から毒の刃を出し、十蔵の首に突き刺そうとした。

 

 

「お覚悟!!」

 

(やむ終えん!!!)

 

 

“バーン”

 

 

「!!」

 

 

“バンバン……バーン”

 

 

銃声の音と共に、十蔵の体に絡み付いていた桜割は十蔵から離れ力なく、その場に倒れた。

 

 

「し……仕込銃?!

 

 

何て、逞しい殿方……」

 

 

その言葉を最期に、桜割は動かなくなってしまった。十蔵は外れた右肩を押さえながら、動かなくなった桜割を見下ろした。

 

 

「覚悟ある闘士を……『女』扱いして、済まぬ…」

 

 

 

「由利鎖鎌奥義風神掌!!」

 

 

鎖を回し鎌之介は、風を起し半蔵を明日花から離した。明日花は風が来る寸前で、その場を離れた。

 

 

「!!全く、忌々しい風ですね!!」

 

「その白ガキは、才蔵と同様この俺の物だ!!」

 

 

半蔵が鎌之介に気を取られている隙に、才蔵は剣を持ち半蔵の脚目掛けて振った。だが半蔵はその攻撃がお見通しの様に飛び跳ね、刀を振り下ろそうとした。その瞬間、鎌之介は錘が付いた鎖を投げ飛ばし、刀の攻撃を防いだ。

 

 

「(この二人、上手い事やるものだ……しかし)

 

お勤めの邪魔は、許しませんよ?」

 

 

刀を持ち直し、半蔵と才蔵の剣が当たり鋼が叩く音が響き渡った。それを狙って、鎌之介は半蔵に風の攻撃を仕掛けた。その風を半蔵は、二本の刀を振り下ろし風を叩き切った。

 

 

「終わらせます!!」

 

 

鎌之介は錘の着いた鎖を半蔵が持っていた刀に巻き付け使えなくした。それを見た明日花は、刀をしまい腰に着けていたケースから鎖で繋がれていた槍を取り出し組み立て構えた。

 

それと同時に、才蔵も剣の束に巻いてある布を取り、半蔵の腹に刃を向けた。

 

 

「一閃!!」

「山本流槍術会心突き!!」

 

 

その瞬間、半蔵の体が切られそのまま地面に、力なく倒れた。

 

 

「やった?」

 

「ったぁ……やってやったぜ!!この野郎!!ハハ……ハハ…ハ…」

 

 

力が抜けたのか、才蔵はその場に座り込んでしまった。明日花も槍をしまうとその場に座り込み、倒れている半蔵を見つめた。

 

 

(何か、まだ終わってないような気が……)

 

「ダッセェ!!何ヘバってんだよ!!」

 

「テメェだって、ヘバってんじゃねぇか(何でいんだよ、こいつ)」

 

「うっせえな!俺が来なかったら、ヤバかったくせに!」

 

「母さんに負けた割には、結構強かったんだ」

 

「んだと!!」

 

「てか!!私がお前の物だって、誰が決めたのよ!!」

 

「この俺だ!!文句あるか?!」

 

「大あり!!」

 

 

「言い合ってないで、早くここから出るぞ!!才蔵!!」

 

 

気を失っている伊佐那海を抱えた十蔵は、才蔵達に言い放った。彼に言われた彼等は、急いで外へと出て行った。

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