希望の魔王   作:クスクスの松

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幽世の魔王の新たな問題

幽世。妖精王と呼ばれる幾柱かの神々が支配する生と不死の境界にある世界。欧州では「アストラル界」、「妖精境」、中国では「幽冥界」、「幽界」。ギリシヤ、ペルシャでは「イデアの世界」、「霊的世界」と言われ名前は違えどいずれも現世と不死の領域の境目に存在する「生と不死の境界」と言われている。この世界は宇宙開闢から未来にいたるあらゆる時代の記憶が存在しており、この世界の知識を天啓として受けることで霊視を得ることができる。また、妖精たちのほかにも、隠居した元まつろわぬ神や神祖、人の身を超えた魔術師などが住んでいる。

幽世は肉体より精神、物体より霊体の方が優位な世界であるため、本来、人の住むべき場所ではないため長居しすぎると人としての肉体を失う危険性がある。

 

そんな幽世の世界の一角。速須佐之男命が統治する鏡のように透明で美しい湖。その中心に小さな孤島が存在する。

孤島は神社の境内になっており本堂の正面、孤島の中心には光り輝く剣が突き刺って

いる。

その神社の鳥居の前、鏡のように透明で清らかな湖になにかを映しじっと見つめる和服の少年、宮藤 譲。

 

「なにを視ているのですか宮藤王?」

 

そんな譲に虚空より姿を現した十二単のうら若き美女、玻璃の媛君は声を掛ける。

その途端、譲は慌てて湖に映していたものを消し、玻璃の媛に深々と礼をとった。

 

「これは、玻璃の媛さま。一体こんな粗末な神社になんの御用ですか?」

 

そのあまりに丁寧な態度に媛は思わず裾で笑いを隠す。

 

「宮藤王。御老公の屋敷でも申し上げましたが、わたくしは神祖、羅刹の君である御身に圧倒的に劣る存在。どうぞわたくしにはそうかしこまりなされるな」

 

「前も申し上げましたが貴女様は僕の祖先、そのような御人に礼を尽くさぬのはほかの先祖に怒られます。どうぞ貴女様は昔のようにお話になってください」

 

なおも口調を改めないい譲。

とうとう勘弁したのか、玻璃の媛は穏やかに微笑むと口調を変えた。

 

「このままでは埒があきませんね。では、失礼ながら……譲、とお呼びします。その代わり譲、あなたも昔のようにわたくしの名前を呼んでください」

 

「……はい。玻璃のお姉さん」

 

照れながらもしっかりと譲は昔に呼んでいた玻璃の媛の名前を呼んだ。そのことに満足そうに媛は穏やかに微笑んだ。

 

「それで、なにを視ていたのですか?」

 

「新たな羅刹の君を視ていました」

 

譲は手を湖にかざすと、鋼鉄の獅子を相手に闘うカンピオーネ、草薙 護堂が映し出された。

 

「これは遠見の術ですか?」

 

譲とともに湖を眺める玻璃の媛に譲はええと短く応え冷静に鋼鉄の獅子を投げ飛ばす草薙 護堂を観察する。

 

「あれは……」

 

「尋常ならざる剛力、ウルスラグナ第2の化身『雄牛』の権能のようです」

 

「新たな羅刹の君の権能『東方の軍神』はウルスラグナの10の化身を行使できると書かれていましたが……」

 

あなたの眼にはどう視えていますか? 玻璃の媛が譲を見ると彼は玻璃の瞳を一層に輝かせ草薙 護堂を視る。

 

「僕に聞くより貴女が視ればいいじゃないですか」

 

「たまには我が子孫の力のほどを見たかったのです」

 

戯れです。玻璃の媛は袖で口元を隠し上品に笑う。

そんな媛に譲は困ったように笑う。湖に映る草薙 護堂は槍を軽々と扱い剣を持った金髪の美少女と斬り合いをはじめた。

 

「僕の眼は祐里みたいに強力な霊視能力はありませんよ。それにしてもこの女性、よくカンピオーネに立ち向かいますね」

 

「おそらく、羅刹の君の力のほどを確かめているのではないのですか?」

 

「書類に書かれていたように草薙 護堂は呪術の世界を知らなかった素人のようですね」

 

槍を力任せに振るう草薙 護堂に優雅な剣術で逸らし巧みに攻める少女。

はたから見ても草薙 護堂に武術の心得がないのがわかる。

しかも、彼は権能以外の魔術を使用しなかった。

報告書に書かれているように草薙 護堂はカンピオーネになる以前はただの一般人だった。そんな呪術の世界を知らずに神殺しをした草薙 護堂に譲は恐怖を覚える。

いや、恐らくは知らないからこそ神殺しを行えたのかもしれない。

逆にまつろわぬ神の恐ろしさを知ってあえて神殺しという愚行を行ったカンピオーネのほうが呪術界の人間からすれば恐ろしいのかもしれない。

そう考えると僕のほうがよっぽど愚者かな……。

 

「……譲」

 

「っ、すいません。なんですか?」

 

どうやら考えているあいだに決着がつきそうだ。

譲が湖を視ると、少女が護堂から距離を取り言霊を唱えるすると強大な呪力が少女から溢れ出す。

 

「あれは……」

 

危険だ、理屈じゃなく身体がそう警鐘を鳴らす。あの少女が放とうとしている一撃は、まつろわぬ神やカンピオーネすらも傷つけることができる。

魔術の秘奥、それを自分と同い年の少女が行う。どうやら彼女は神童の類のようだ。

対する草薙 護堂は神の権能を行使する言霊を発した。

 

「さて汝は契約を破り、世に悪をもたらした。主は仰せられる――咎人には裁きをくだせ。背を砕き、骨、髪、脳髄を抉り出し、血と共に踏みつぶせと。我は鋭く近寄り難き者なれば、主の仰せにより汝に破滅を与えよう。猪は汝を粉砕する! 猪は汝を蹂躙する!」

 

先ほどの『雄牛』の権能とは違う、明らかに草薙 護堂の中での切り札。その証拠に空に暗雲が広がり、地面が僅かに振動する。

そうして、空の空間を破り、漆黒の毛皮を持つ巨大な獣がイタリアの地に降り立とうとしていた。

 

「め、滅茶苦茶だ。ただの人間に神獣を呼び出すなんて……」

 

いま、まさに顕れようとしている獣に顔を真っ青にする譲。

あんな物がイタリアに顕れたら、その日にイタリアは壊滅する。

カンピオーネは勝負事になるとなりふり構わず勝利を取りに行く人間の集まりだが、例に漏れずに新たな王も同じだった。

 

「大丈夫ですよ、譲。ご覧なさい」

 

そんな譲の考えを察したのか玻璃の媛が澄んだ声で譲をなだめる。

どうやら、草薙 護堂が呼び出そうとしていた神獣は囮だったようだ。

少女に神獣の気を惹き付けて自分が少女に突進をする。

とっさのことにもかかわらず少女は反応するが、護堂は押し倒すことに成功した。

 

「どうやら、新たな羅刹の君はいままでとは違い民草のことを考えているようですね」

 

穏やかに笑みを浮かべ、譲と同じですね。どこか嬉しそうな声で言う玻璃の媛。

 

「僕もほかの羅刹の君と変わりませんよ」

 

それに苦笑いで応える譲。

どうやら、僕の早とちりだったようだ。

いままで見てきた神殺したちはまともな人がいなかったからか、どうも人のことを考えないと疑ってかかってしまう。

よく考えればこの戦いも少女から最初に仕掛けてきたのである。

それに戦っている間もなんども俺は平和主義者だから戦いたくないだとか言っていたではないか、もしかしたら彼は今後カンピオーネ界のまとも人間になるかも知れない。

新たな王に期待をし、湖の映像を視る譲だったが……。

 

オオオオオオオッッッ!

オオオオオオオオオオオオオオッッッッッ‼︎

この世ならざる獣の咆哮が、幽世に響きわたる。

猛然と疾走を開始した猪は正面のローマの世界遺産コロッセオを破壊した。

 

「「…………」」

 

幽世が再びいつも通りに静まり返る。

2人ともなんとも言えない雰囲気となる。

珍しく、というか初めて玻璃の媛の顔が引き攣っている。

譲はなにも言えずに草薙 護堂を視る。彼は何かに気付いたようにこちらを睨む。

遠見の魔術を解除して映像を消す。

そして、譲は思った。やはりカンピオーネはカンピオーネだと……。

この時、譲は重大な場面を見逃した。

新たな魔王が自分の国に災いを呼び込む物を渡される場面を……。

 

「……すいません」

 

「……いえ」

 

しばらくの間。2人はなにも言わずに湖を見つめていた。

 

 

………

……

 

 

羅刹の君、宮藤 譲。彼が幽世でやることは須佐之男に頂いた神社の手入れと、カンピオーネの特権である神殺しだ。

人間界には干渉せずカンピオーネとなってから4年間、彼が倒した神は4柱。その全てがこの幽世で殺戮している。

本来なら、彼は人間界に降り日本の呪術組織を統治しなければいけないのだが、本人が言うには3番目に倒した神の権能によって幽世から出ることが出来なくなったと言っているが、須佐之男たち古老のメンバーから言わせると、あいつはヘタレだから現世に出られない。譲殿は未だに迷ってらっしゃる。譲は羅刹の君になってしまった自分をみんなが受け入れてくれるか心配なのです。上から御老公、黒衣の僧、玻璃の媛と散々な言われようだが本当のことは本人が言っているように現世に戻れないのだ。

祐里をヴォバンから助けたとき彼はすでに3柱の神と交戦していた。

そのためヴォバンと交戦したときには呪力がほとんどなく。さらには3つの権能は一つが使用できず、もう一つは戦闘用ではなかったために実質、一つの権能で戦った。だが、その権能も全てが巨狼となったヴォバンに吸収されあっけなく雷撃をくらい死にかけた。

それでも、譲がいまこうして生きているのは雷撃を受ける瞬間にカンピオーネ特有の意地汚さが災いし、意識では第2の権能の力である望んだ場所に行ける力を残り少ない呪力をすべて使った筈だった。

しかし、実際には無意識のうちに第3の権能も使用していた。

これによって彼は肉体が望む場所に、そして精神は幽世へと飛ばされてしまった。

そうした中途半端な権能の行使が災いしたのか彼の精神は肉体に戻れずにこの4年間を幽世で過ごしていた。

幸いだったのが、カンピオーネになる前から縁のあった御老公や玻璃の媛、黒衣の僧たちに助けてもらったことだ。

あのとき助けてもらえなかったら譲はいまも幽世を彷徨い続けていただろう。

そんな彼が神と逢うのはほとんどない。そもそも幽世というのはまつろわぬ神から引退した神やこの世ならざる者たちが集まる場所だ。よほどのことがない限り神たちは姿を現さず自分の領地に引きこもっている。

だが、神やこの世ならざる者たちの中には意図的にか、はたまた、無意識なのかわからないが現世の人間を幽世に連れてきてしまうことがある。

その場合、たいていが神ではないのだが、そのように連れてこられた人間はほとんどが魂を取られる。有り体に言えば殺される。

そんな人間の恐怖、絶望を譲はめざとく感じてしまう。

お人好しの彼はそんな理不尽を許しはしない。

だから、助ける。

 

 

………

……

 

 

「お父さん。お母さんどこ……」

 

少女は霧のかかった森の中を泣きながら走り続ける。

父と母と一緒に山登りに出かけたはずが、いつの間にか両親とはぐれ気が付いたら舗装されたはずの山道ではなくただ森が生い茂るどこか別の世界のような場所にいた。

そして、霧の中を蠢めく謎の影たちに追われている。

恐怖とともに走り続ける少女だが、影たちは徐々に少女に近づいてきている。

まずは、追ってきている者たちの正体を知ろうと背後を振り向いたのがいけなかった。

 

「あっ!」

 

足を木の根に引っ掛け、大きく転んでしまう。

 

「いたい……いたいよ。お父さん、お母さん」

 

すぐさま立ち上がろうと足に力を入れるが、うまく力が入らない。

少女は自分の足を見ると、足は赤く腫れ上がって、とても走れる状態ではない。

それでも逃げなくてはならない。

少女は木をつかい何とか立ち上がると再び走り出そうとしたが、そこまでだった。

いつの間にか周囲を影に囲まれてしまった。

 

「いやっ、いやだ! こないで‼︎」

 

少女は恐怖で再び地面に倒れる。

必死に後ずさるも周囲の影たちは徐々に少女との間を詰める。

そして、影たちが少女に触れようと腕を伸ばした瞬間。

 

「おやめください」

 

どこからか発せられた声とともに、少女と影たちを阻むように陽の光のような壁が形成される。

その現象と、少女はいつの間にか目の前に現れた和服の少年にあっけにとられる。

 

「大丈夫かい?」

 

倒れている少女に少年は柔らかく笑みを浮かべると、手を差し伸べた。

少女はその手を取り立ち上がろうと足に力を入れるが、やはり足に激痛が走る。

 

「足を怪我しちゃったんだね」

 

少女のようすを見て状態を理解した少年は怪我をしている足に手を当てて何かをつぶやいた。

すると、少女から足の激痛がなくなり腫れが引いた。

 

「はい。これで大丈夫」

 

「すごい、おにいちゃん。魔法使い?」

 

元気よく立ち上がると、自身に起こったことに少女は少年をまるで魔法使いのようだと少年に問う。

少年は困ったように首を傾げる。

 

「うーん。僕は魔法使いじゃないよ」

 

「でも、わたしの足がおにいちゃんが触れたら治ったよ」

 

「それは……!」

 

《ソノ子供ヲヨコセ!》

 

陽の光の壁に阻まれた影たちが皺れた声で少年に叫ぶ。

その声に少女はさきほどの恐怖がよみがえり少年にしがみ付く。

 

「大丈夫だよ」

 

少年は優しく少女の頭を撫でながら微笑む。

少女が落ち着くと少年は影たちを見る。

 

「なぜ、現世に幽世からの道を作り出したのですか?」

 

目の前の影たちは現世の人間の負の部分、人の怨み、嫉妬、欲望、殺意。すべての集合体だ。

それらから生み出された影たちは生者を、人間を付け狙う。

人の負の感情を増幅させたり、不幸を与えたり、時にはいまのように影となって直接人間を襲う。

しかし、直接人間を襲う何てことは滅多にない。その理由はこの影たちは低級の亡霊にすら劣る存在だからだ。

存在というよりは現象と言っていい影たちは影という実体を持たせる方法なんてひとつしかない。

存在するだけで周囲にさまざま現象を引き起こす存在、まつろわぬ神。

今回この影たちは、現世で実体化しこの少女を幽世に引きずり込んで襲おうとした、これの意味することは……。

 

《死ダ、死ト闇ガ近ヅイテイル! 蛇! 蛇! 僕、私、俺!》

 

何かに怯えるように必死にいう影たち。

その言葉にわずかに驚く少年。

 

「まさか……! だけど、まつろわぬ神が日本に現れたなんて報告」

 

現在、日本にはまつろわぬ神が降臨した情報は入っていない。

なのにこの影たちは実体化した。

可能があるとすれば。

 

「神具か……」

 

何者かが日本に神具を持ち出した。だが、誰がまつろわぬ神を呼び寄せる物を持ち込んだ者の心理がわかりかねない。

そんな愚行をする人物を考えるが、思い当たる人物がいない。

さらに思考を巡らせようとした時、影たちが動き出した。

 

《オマエモ! コロス!》

 

影たちがひとつに固まり巨大な形をとった。

形は5メートルになり体格は巨大。そして、顔には恐ろしく、牙と角が生えた。

 

「影は(いん)とも呼べるけど、まさかこうやって鬼が生まれるのか」

 

なんと、影たちはひとつになることによって低級の亡霊以下の存在から神獣である鬼へと変貌した。

鬼は少年に咆哮をすると目の前の陽の壁を力強くで殴る。

陽の壁には小さな罅が入る。

さらに鬼は咆哮を上げると、今度は次々と拳を振るう。

だんだんと、陽の壁の罅が広がりだした。

 

「やっぱり、低級だと思って低い防壁を張ったのが間違いだったかな」

 

壁が徐々に壊れていく中で少年は焦りもせずに考える。

当初は、影たちが実体化した原因を聴いたらすぐに浄化させる予定だったが、失敗した。

こんなことになるならそうそうに影たちを浄化したほうがよかった。

少年の第一目的はいま自分に抱きついて離れない少女を助けることだけだったのだから。

目の前の神獣は決して人がたやすく討伐できる存在ではない。

そう、人間ならば(・・・・・)

 

「道を照らすは我が瞳。我が瞳は陽を照らす」

 

紡ぎだすのは神の権能を行使する言霊。

ただつぶやいただけだが、この幽世に響き渡る。

少年の玻璃の瞳が琥珀に変わる。

それだけで鬼は跡形もなく消えさった。

 

 

………

……

 

 

「はい。もう怖いのはいないよ」

 

「ほんとう?」

 

恐る恐る少女は顔を上げ、譲は優しく笑う。

 

「うん。さて、君も長くここにいちゃいけない」

 

「あ、そうなの。わたしお父さんとお母さんとはぐれちゃったの」

 

ことのあらましを話す少女に譲は優しく頭を撫でる。

 

「そうか、でも大丈夫だよ。いいかい、君は帰りたい場所を想像して」

 

「帰りたい場所?」

 

「そう。今回はお父さんとお母さんを想像して」

 

「うん」

 

「よし、じゃあ想像したまま目を瞑って歩いて」

 

ゆっくりと少女は目を瞑ると歩き出す。

それと同時に譲は再び言霊を発する。

 

「道を照らすは我が瞳。道に迷う者を導かん」

 

すると少女は姿を消した。

それを見届けると譲は息をついた。

 

「よかった、無事に帰れたね」

 

少女が無事に両親と逢えたのを遠見の術で確認すると術を消す。

次に譲が目を向けるのはさきほど消えた鬼の場所。

 

「死、闇、蛇……大地母神に所縁のある神具か」

 

考えていることが当たっているならまずい。蛇の神なら日光のあの神が代用するのだが、今はカンピオーネがいる。

新たな魔王、草薙 護堂が人格者ならまつろわぬ神と闘ってくれるかもしれない。

そこまで考えて譲はある可能性に気づく。

 

「まさか、カンピオーネが神具を……」

 

たしか、草薙 護堂は数日前にイタリアから帰ってきている。

もしかしたらその時にイタリアの呪術結社に神具を持たされた可能性がある。

だが、目的は何だ?

 

「イタリアに被害を与えないため、一番の可能性はこれかな? いや、それとも草薙 護堂がわざと神具を持ち出した……ないな、いままで彼はただの一般人だった」

 

さらに彼は基本的には闘争を嫌っている。そんな人間がわざわざ災いの種を持ち込むか。

やはり……。

 

「……誰が裏で糸を引いている」

 

何であれ、日本に災いをいや、人類に災いを持ち込む者は……。

 

「僕は許さない」

 

まずは、状況確認だ。

譲は御老公のもとに飛んだ。

 

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