⑤ 持てない大皿と残り物の行方
(うん、これ絶対にムリっ!)
料理が盛り付けられた大皿を一目見た僕はそう思い運ぶのを諦めた
運ぶ以前に持ち上がらないよ、この大皿は僕の手に余る
直径一メートルはあろう大皿は見ているだけでも僕の食欲を削ぎ落とす…
『当分なにも食べたくない…』
それがパーティーが終わる頃の偽りのない僕の心境だった
「夏至はお土産に残り物の料理を詰めてもらってる」
そして僕は面倒臭い人にずっと絡まれている
平均身長二メートルを越す部族のご婦人で有り難くないことにすっかり目を付けられまして…もう帰りたいです
夕べのパーティーはのっけから不穏な空気が流れてました
何人かのご婦人方が一触即発の状態で紳士達も手を焼いてほとほと困り果ててたんだ
で、そのとばっちりを受けたのが僕で何が気に入ったのかは知らないけれどもご婦人達が僕を手放さなくなっちゃってね…うん、仕事にならないからお手洗いに行くふりして執事のじいさんに
「仕事になりませんが…」
穏やかな笑みを浮かべながら
「構いませんよ、あのご婦人方にあのまま不機嫌でいられるよりずっと楽しい雰囲気のパーティーとなっておりますから引き続きよろしくお願いいたしますよ」
ってなにそれ?わけわかんないんですけど?って思ったから
「他の人に悪いでしょ?僕一人サボってるみたいでね…」
そう話してたら屋敷のメイドさんが顔をひきつらせて文句を言いにきたみたいで謝ろうとしたら
「良いですから、そんな事どうでも良いですから早く席に戻ってください、奥様方のご機嫌がまた悪化してきてますからお願いしますっ!」
(って涙目になってるんですけど…)
そう思いながらメイドさんに言われたさっきまで僕が腰掛けていた席に目をやると…
(うん、ヤバそうなオーラだだもれじゃん)
そう思ったから二人に笑顔で
「お任せあれーっ♪」
そう言ってその場を後にして席に戻りました
まぁ後は子供扱いでしたね…えぇ、そりゃもう常々背の低さを悩んでるのに背の高い人種の方達から見たらね?
マジに泣きたい
「貴方、初めて見るけど新顔?」
そう右隣に座る人に聞かれて
「まぁそうですけどヘルプを頼まれただけですから…本職は冒険者ですからね、まだ駆け出しですけど」
そう僕が答えるとさっきの執事のじいさんが穏やかな笑みを浮かべながら一礼するのを見たご婦人の一人がじいさんに目配せしたらじいさんも頷いて飲み物を持ったメイドを呼び寄せて配らせた
(アルコール…は不味いよね?)
僕の手に持たされた琥珀色の液体を見ながら迷っているとそれに気付いたじいさんが
「そのカクテルでしたらごく微量のアルコールですか皆様もお気軽にお飲みになってますからご安心ください」
そう言ってくれたけどアルコール未経験なんだよね…僕ってば
まぁ外国じゃ飲酒OKの国も有るらしいけどもう16歳だからね
「んっ…」
理解不能な事態が引き起こされた…
僕の左隣に腰掛けていたご婦人がクイっとグラスを空けると僕の頭を抱え込み舌で強引に僕の唇をこじ開けて口移しでカクテルを飲ませてきた
カクテルを飲まされた後も貪られ蹂躙される僕の唇
「……」
初めての口付けが淫乱好色を絵に描いたような貴族の夫人が相手でめっちゃヘビーなDEEPキス…
しかも口移しで飲まされたアルコールのせいで半ば意識飛んでますからね?
やはりお酒は二十歳から…それを強く実感させられた夜だった…