⑦ 昆虫採集記?いや、別に捕まえないけど
僕達は熱帯の密林のような森を登っていた
「虫が多いのな…」
僕がそうポツリと漏らすと
「虫が夜何かがあるんだろうね…」
と夏至が言うのを聞いて
「多分その要因は複数あるんでしょうけど…」
そう言いながら僕達はその第四の人物に目を向けるが
「……」
なにも言わずただ黙々と僕達の後をついてくるだけだったから正直ちょっと鬱陶しいと感じていた
標高が高くなり森はいっそう深くなり生えている植物相と飛び回る無視の種類が変わってきているのがそれほど詳しくない僕でも気付けた
勿論この急激すぎる変化が不自然であることも…
理由は簡単で僕達はそれ程の距離を歩いたわけでも高度が上がった訳でもないから僕達の知らないなにかがあると考えて一応警戒しておかないと…
「冷えてきたけど大丈夫?」
勿論僕同様にどちらかと言えば寒さに強く暑さに弱い二人は逆に元気を取り戻してるくらいだから問題ないだろうけど一応聞いておいた
問題ないだろうと思うのはあくまでも僕の主観に過ぎないのだから念のためだ
幸いな事に二人から返ってきた言葉は
「「涼しくて気持ちいいよっ♪」」
だったから取り敢えず警戒だけは続けることにしておくことにした…特に未だに敵か味方かもわからない謎の人物にはね
「……」
チラッと様子をうかがってみたけど表情に変化はないから取り敢えず
「そろそろ一度ここらで休憩をとっておこう」
森が途切れた草原に出た僕は日陰を作る岩山を見付けてそう言うと
「そうだな、喉が乾いたしな…」
「小腹も空いてるから食べられるときに食べといた方が良いんじゃない?」
二人もそう言うと岩影に駆け寄り座り込むと各々に水筒と携帯食を出して食べ始めた
僕は二人を呆れて見ながら警戒を解かずに岩影に入り腰を下ろすと奴も僕達近くで岩にもたれ掛かると目を閉じて周囲の気配を探っているみたいだった
少し冷たいくらいの風が心地よく何と無くそんな気になり
「飲みなよ」
そう言って水筒を差し出すと奴は驚いた顔をしたけど気にしないで更に押し付けると
「心配なら毒味してから飲めば良いから」
僕にそう言われた奴は
「ぁ、有難う…」
そう言って受け取ると僕同様に口を湿らせる程度の量を量を口にして携帯食を口に含んで水筒を返してきて
「お前たちはここになにしに来た?」
初めて口を開いたから
「別にここに用はない、用があるのはあの山を越えた先にあるらしいからここはただ通り抜けたいだけ…」
そう答えると
「それを信じろと?」
短く問い掛ける奴に僕も
「信じてくれたら助かるけど信じてもらえる信頼関係はない」
そう言って首を横に降るとじっと僕達を見て
「そうか…」
と、だけ言って空を仰いだ奴が何を見ているのか僕にはわからなかった