「これから、クラス代表を決めてもらう」
四時限目に、千冬は生徒にこう言った。
「クラス代表は、その名の通りクラスの代表役として会合や雑務をこなしてもらうことになる役職だ。その中には、再来週のクラス対抗戦の代表出場者という役割も含まれている」
ようはクラス委員長のようなものかと、隣で聞いていた翔太郎は思った。ようは、雑用を押し付けられる損な役回りである。
「推薦、立候補どちらでもいい。クラスメイト全員で話し合い代表者を決めてもらいたい」
(進んでやりたがる奴なんているのかよ?)
総じて、人間というのは損な役回りにはなりたくない生き物である。それが子供ならばなおさらだ。
「では、誰か適任だと思う者は…」
「はい!わたくししかおりませんわ!」
千冬が言いきる前に、セシリアが立ち上がりながら手を上げる。その表情は自信に満ち溢れている。
「イギリスの代表候補生たるわたくし、セシリア・オルコットしかこのクラスの代表に相応しい人物はおりませんわ。皆さんもそうは思いませんか?」
しかし、セシリアの発言を無視し、周りの生徒たちは次々手を上げていく。
「はーい、私は織斑君がいいと思います!」
「私も!やっぱりここは唯一の男子がやるべきだよね」
「私も織斑君を推薦しまーす」
他の生徒達が皆、一夏を推薦していく。
「ふむ、候補者は織斑とオルコットか。となると投票となるが、皆構わないな?」
「ちょ、ちょっと待ってください!」
投票に移ろうとする千冬をセシリアが止める。このまま投票となれば自分が負ける事が分かっているからか、もしくは投票という方法で決める事自体に不満があるからか。
「物珍しいなどという理由でクラス代表を決められては困りますわ!ここはきっちりと、実力で代表を決めるべきです」
セイシリアの言い分も分からなくはない。クラス代表にはもう一つ、クラス対抗戦などのIS試合の際に優先して出場する義務もある。そうなると、素人よりはきちんとした訓練を積んだ人間を選出したほうがいいに決まっている。
「なるほど、オルコットの言い分は分かった。織斑、お前はどうだ?」
ここで千冬は一夏へと話を振る。突然クラス代表にさせられそうになり、軽く頭が混乱気味の一夏は「はい!?」と返事をし、立ち上がる。
「えっと、俺としてはやっぱりやる気のある人がやったほうがいいと思う」
自身としてもクラス代表などという面倒くさい役職にはあまり当選したくない一夏は代表をセシリアにするように進言する。
「ふむ、織斑はオルコットを推薦するということか?」
「賢い判断ですわね。所詮は田舎のお猿さん、地を這いつくばってわたくしを見上げているのがお似合いですわよ」
それが当然とばかりに一夏を小馬鹿にするセシリア。
しかし、そこでもう一人席を立つ生徒が現れた。
「先生、私も一夏を代表に推薦します」
「箒!?」
予想外の箒からの推薦に焦る一夏。
「箒、だから俺は代表とかやる気は…」
「一夏、お前あそこまで言われて悔しくないのか?」
そう言われ、押し黙る一夏。
「あんな人を馬鹿にしてばかりの相手に下に見られていいのか?それとも、あんな奴の言いなりになるくらいにお前は腑抜けたのか?」
「あなた、言わせておけば何をおっしゃっていますの!?」
箒の自身を乏しめるような発言に、セシリアが突っかかる。
「まるでわたくしが口だけの人間だとでも!?それとも、そちらのお猿さんがわたくしよりクラス代表に相応しいとでも?」
「少なくとも、入学試験で教官を倒したという件では一夏はお前には負けていない筈だが?」
「ですから、あれは偶然に決まって…」
「偶然だろうと、倒した事には変わりはない。それに、お前の方こそ偶然の可能性だってある」
「言わせておけば…!」
セシリアは全身を震わせ、拳を握る。怒りのオーラが目に見える勢いだ。
「…いいでしょう。でしたらわたくしのほうが優れていると証明してさしあげましょう」
セシリアはびしりと指を箒…ではなく一夏へと向ける。
「決闘ですわ!」
「……は?」
突然の宣言に、ぽかんとする一夏。
「わたくしとあなたが戦いクラス全員の前でどちらが代表に相応しいのか証明してあげようというのです」
「ま、待てよ!?だから俺は代表とかは」
「お黙りなさい!これはわたくしの名誉のための戦い、あなたに拒否権はなくってよ」
「そんな…」
拒否権がないと言われ、がくりと肩を落とす一夏。
「というわけで先生、それでよろしいですわね?」
「…いいだろう。どうせこのまま決めても遺恨が残るだろうからな」
議論ですらない口喧嘩を黙って聞いていた千冬はあっさりと許可を出す。
「試合は一週間後の放課後、第三アリーナで行う。織斑とオルコットはそれぞれ準備をしておくように」
「千冬姉、俺の意思は…?」
「織斑先生だ。ここまで話が進んでしまった以上、後戻りはできん。腹を括れ」
千冬にまでそう言われ、重い表情で席に座る一夏。
(…同情するぜ、織斑)
一連のやり取りを見て、翔太郎はそっと一夏に憐みの視線を向けた。
「お帰り翔太郎。随分と疲れているみたいだね」
ようやく雑務を片付け、へとへとの状態で部屋に戻った翔太郎をフィリップが出迎える。
「まあ、な。騒がしいのは馴れてるつもりだったんだが…」
「君がそこまで疲れるなんて、ますますこの学園に興味が湧いて来たよ」
「お前な…」
ふと、フィリップの周りにある本へと目を移す。
朝の時点では右側が読了済みの本、左側に未読の本が積まれていた筈だ。それが今は、全ての本が右側に積まれている。
つまり、数十冊あった本を今日一日で全て読み切ってしまったということだ。
「ISの基本的な構造と歴史は全て検索完了したよ。後は各世代機の特徴的な構造、特に開発中の第三世代機について…」
「分かったって、どうせ時間あるんだから好きなだけ検索してろ」
投げやりに答える翔太郎。フィリップの検索癖は既に承知の上なので、こういう時は派手に行動しようとしない限り放っておくのが一番だと知っているのだ。
「ああ、それと開発者の篠ノ之束についても調べたいけど、彼女に関する文献が少なくてね…」
(篠ノ之?)
フィリップの発言でようやく思い出す。篠ノ之束、ISのコア開発者として事前に渡された資料に載っていた名前である。
篠ノ之箒の名前を聞いた時に気になったの理由をようやく理解したが、そこでまた一つ新たな疑問が浮かび上がる。
篠ノ之箒は、篠ノ之束と何か関係があるのだろうか?
「なあフィリップ、篠ノ之束の家族について調べてないか?」
「彼女の家族?両親と妹がいるという記述は見たけど、それがどうかしたかい?」
「いや、ちょっとな…」
篠ノ之束には妹がいる。それにより、翔太郎の中で一つの仮説が思い浮かんだ。
もしかしたら、箒は束の妹かもしれない。
(だけど、それがどうした)
IS開発者の妹だからといって、翔太郎自身はそれに思う事はない。本人もそれを言わない辺り、そういった理由で特別視されたくないのだろう。
ISについて知りたがっているフィリップはともかく、翔太郎は箒を問いただそうとは思わなかった。
そもそも、苗字が同じだからといって家族と決まったわけではないのだ。
(世界唯一の男性操縦者の幼馴染が、開発者の妹とか出来すぎだよな…)
だが、もし機会があれば確認程度聞いてみてもいいかもしれない。
何となくそう思いながら、ベッドに寝転がる翔太郎だった。
翌日のホームルームは、千冬の伝達事項から始まった。
「まず先に伝えておくことがある。今日の2限目は私は職員会議に出席しなければならないので授業は山田先生と左先生に受け持ってもらう」
一部の女子から「ええー」という声が上がるが、千冬はその声を無視する。
「決まっているものはしょうがないだろう。それとも、織斑やオルコットの代わりにクラス代表になり私が受け持つ雑務を全てやってくれるなら話は別かもしれないがな」
そう言われ、シンと静かになる教室。
「よろしい、では織斑」
「はい?」
「はい?じゃない。昨日言った通り、自己紹介を改めてやってもらう」
「うぐっ、憶えてたのか…」
「当たり前だ」
その後、一夏はホームルーム終了ぎりぎりまで千冬の指導を受けながら自己紹介をし、何とか合格点をもらうのであった。
そして迎えた2限目。事前の宣言通り千冬は教室におらず、麻耶と翔太郎で授業を行うこととなった。
もっとも、授業を行うのはほとんどが麻耶で、翔太郎は資料の配布や生徒が真面目に授業を受けているか見張るくらいだが。
(皆真面目に受けてるよなあ)
強いていうなら、時折セシリアが一夏の方を睨むくらいだろうか。一夏には気の毒だが、これくらいで注意してはキリがないので無視する。
(悪い織斑。後で相談には乗るからよ)
そうして20分程が過ぎた頃だった。
一人の生徒が控えめに手を上げる。
「あの、左先生。あれ何ですか?」
生徒が指さしたのは教室の床部分。そこから、植物のような物が生えていた。
「昨日、というよりさっきまであんなの生えてなかったと思うんですが…」
IS学園の校舎はまだ新しく、老朽化でそんな物が生えるとは思えない。
そもそも、生徒が指摘した通り前日に植物が生えていたらその時点で気が付いたはずだ
翔太郎がそれをよく観察しようとした時、植物が急に成長ししゅるりと動いた。
瞬間、教室内のあらゆる場所から蔦のような物体が溢れ出した。
「これは…!?」
蔦はどんどん伸びていき、教室内の扉や窓を塞ごうとしてくる。
「なにこれ!?」「これってISの機能とかじゃないよね!?」「やだっ、私の机にも伸びてきてる!」
当然ながら、教室内は大混乱。ほとんどの生徒が蔦から逃れようと教室内で騒ぐばかりである。
「山田先生!どうすれば…!?」
一夏が麻耶へ対応を求める。しかし。
「あわ、あわわわわわ!?左先生これってどうすれば!?」
麻耶も混乱しており、とても指示の出せる状態ではない。
そうなると、必然的に動けるのは翔太郎だけとなった。
「くそ!」
何物かは分からないが、何かがこの学園に害をなそうとしているのは間違いなさそうだった。
翔太郎は特徴的な携帯電話―スタッグフォンにガイアメモリに似たツール―ギジメモリを装填する。
『スタッグ』
機械的な音声と共にスタッグフォンはクワガタムシに似た形態、ライブモードへと変形する。
「行け!」
翔太郎に指示を受けたスタッグフォンは扉へと飛んでいき、そこに絡みついた蔦を切り裂いていく。
再び蔦が伸びる前に扉を開け外へと出る。
叫び声は1組だけでなく、隣やその向こうの教室からも聞こえて来る。恐らく、同じような状況なのだろう。
翔太郎はスタッグフォンに他の教室の蔦も破壊するようには指示すると、生徒の避難誘導を開始する。
「とにかく逃げろ!何処でもいいから蔦のない場所に行くんだ!」
叫ぶ翔太郎の指示に従い、生徒たちは我先にと教室から逃げ出していく。
その間にも、蔦は伸びて校舎全てを覆い尽くそうとしていた。
「山田先生!ここは頼んだ!」
「ええ!?左先生何処に…」
麻耶に生徒の誘導を任せ、翔太郎は駆ける。何処かにこの騒ぎを起こしている存在がいるはずだ。
校舎を出ると、それはすぐに見つかった。
全身が蔦で構成されたような、薔薇のような頭部を持つ怪人だ。腹部には先日の怪人にもあった結晶体がついている。
それが手から蔦を出して校舎に伸ばしていた。
「あいつか…!」
翔太郎はダブルドライバーを装着すると、フィリップに呼びかける。
「フィリップ、変身だ!」
≪騒ぎはこっちまで聞こえているよ。騒ぎの元凶は、例の怪人の仲間かい?≫
「多分な。行くぞ!」
≪ああ≫
翔太郎はすばやくジョーカーメモリを取り出し起動させる。
『ジョーカー!』
寮にいるフィリップもサイクロンメモリを起動させた。
『サイクロン!』
「≪変身!≫」
サイクロンメモリが転送されたのを確認すると、ジョーカーメモリを装填し変身を行う。
『サイクロン!ジョーカー!』
翔太郎の身体が変身し、Wへと変わると蔦の怪人に向けて走り出した。
「待ちやがれ!」
飛び込むように跳躍しパンチを繰り出すW。蔦の怪人は直前で気づき、腕でガードするも衝撃でよろめいてしまう。
「ぐうっ!」
怪人は一旦距離を取ると、Wへと向き直った。
「あなたは…!?」
「俺たちは、仮面ライダーW」
「「さあ、お前の罪を数えろ!」」
「仮面、ライダー…?存じませんが、もしやあなたがバイコーンを?」
名前を聞き、質問してくる怪人。バイコーンとは、恐らく先日の怪人の事だろうと判断する。
「この前学園に現れた怪人の事なら、倒したのは俺達で間違いないぜ。お前、あいつの仲間か?」
「仲間、というよりあくまで同胞ですが…申し遅れました、我が名はガーデン。
怪人―ガーデンディメノイドは高らかに宣言する。
ディメノイド。それが奴らの名称らしい。
「何が目的だ!?」
「そうですね、仕事と私用の両方というところでしょうか。どちらにせよ、邪魔するなら容赦はしませんが」
「やらせるか!」
これ以上の被害は出させない。Wはガーデンとの戦いを開始した。
(納得がいきませんわ)
セシリアは他の生徒と共に、まだ蔦が伸びていない場所へと向かっていた。
しかし、彼女からすればこれは自分の主義に反することだ。
目の前に問題があるならば自らが率先して解決に努めなければならない。それがセシリアの信念であり生き方である。
それなのに、今やっている事は問題からただ逃げようとしているだけ。
(そう、上に立つ者として逃げることは愚かな行為。こういう時こそ、わたくしが率先して動かなければなりませんわ)
そうと決めると、セシリアは皆が逃げる方向とは逆へと走り出した。
「ちょ、ちょっとオルコットさん戻らないで!?」
麻耶が制止しようとするが、セシリアは止まらない。
(何者かは分かりませんが、わたくしのいるこの場でお痛をした事を後悔させて差し上げます)
後で教員に怒られるだろうが、そんな事は行動した後に心配すればいい。
(それに、わたくしのISがならば事態をすぐに解決してみせますわ。そうすれば先生方も怒るどころかむしろ尊敬するはず)
そう思いながら耳のカフス―待機状態の自身のISを軽く触る。
心配ない。たとえテロリストだろうと、世界最強の存在であるISがある限り負けることなどありえない。
そう思いながら、セシリアは蔦が生い茂る方向へと駆けだした。
「はあっ!」
ガーデンが叫ぶと、腕から伸びた蔦が鞭のようにWへと襲い掛かる。
「そら!」
Wはそれを躱すか、あるいは手刀で断ち切りながら徐々にガーデンとの距離を詰めていく。
手刀によって破壊された蔦は地面に落ちた後、一瞬だけテレビの砂嵐のような状態となり消滅していく。
≪こいつの攻撃は一種のデータを固体化したものらしい≫
「どっちでもいいさ。こいつが悪事を働くってのなら、それを止めるだけだ」
フィリップの考察を参考程度に聞いておく翔太郎。今は目の前の敵をなんとかするほうが先決だ。
「捕まえたぜ!」
とうとう至近距離まで接近し、更なる蔦を出そうとするガーデンの腕を掴むW。しかし。
「甘いですよ!」
組みつかれると同時に、ガーデンは全身から蔦を伸ばしていく。わざと近づかせ、至近距離で動きを封じる罠だったのだ。
「うおっと!?」
このまま絡み付かれるのは不利と見たWは大きく後ろに跳躍し、蔦から逃れる。
≪あの蔦、かなり厄介だね。接近戦では思うように攻撃が出来ない≫
「確かにな。だったら、近づかずにやらせてもらうぜ」
そう言うと、新たなメモリを取出しドライバーに装填する。
『トリガー!』
『サイクロン!トリガー!』
Wは緑と青の戦士、サイクロントリガーへと変身すると同時に生成された銃―トリガーマグナムをガーデンへと向け、風を纏わせた弾丸を連射する。
「ちっ!」
ガーデンは蔦で防壁を作り出しガードするが、激しい弾幕によって防壁はすぐに破壊され数発が身体へとヒットする。
「うぐ!」
攻撃を受けたショックで、ガーデンは数歩後ずさる。弾丸の当たった箇所が、ノイズのように黒ずんでいる。
「これは、私の情報を破壊している…!?」
黒ずんだ自身の身体を見て、驚きながら分析するガーデン。
≪なるほど、原理は分からないがWの攻撃は奴らに通常のダメージ以上のものを与えるらしい≫
「それなら、このまま一気に決めてやるぜ!」
好機と捉え、更なる追撃を行おうとするW。
その時、一筋の光弾がガーデンへと直撃した。
「ぐっ!?」
当たった衝撃にガーデンは目を細める。
「何だ!?」
≪翔太郎上だ!≫
見上げると、そこには青い装甲に身を包んだ少女の姿があった。そして翔太郎はその少女が誰なのか知っていた。
「オルコット!?」
セシリアは自身の専用IS―『ブルー・ティアーズ』を身に纏い校舎の上空を浮遊していた。
地上を見れば、見たこともない人型が二つ。
一つは、全身が蔓で出来たような不気味な怪物。
そしてもう一つは、身体の色が左右で違う仮面のような顔の異形。
見た目からして、恐らく今回の騒動の現況は前者の方だろう。
(それにしても、あちらの方は何物?)
ちらりと、半分この人型―Wを見る。ISには見えないし、だからといってただのコスプレにも見えない。
(ま、よろしいですわ。わたくしの邪魔さえしなければ)
「そちらの方!ここはわたくしにお任せなさい!」
Wに向かい、そう叫ぶセシリア。ISでないならISであるこちらの方が戦力的に上だと判断したのだ。
「危険だ!下がれ!」
Wはそう叫ぶが、セシリアは聞く耳を持たない。
「さあ、踊りなさい!わたくしとブルー・ティアーズの奏でる
セシリアは手にした狙撃銃―スターライトmkⅢを構え、ガーデンへと攻撃を開始する。
2発、3発と光弾がガーデンへと撃ち込まれる。
「なるほど、実体のない純粋なエネルギー攻撃ならば『当たる』くらいはするようですが…」
しかし、最初の攻撃にこそ驚いた故か怯んだガーデンだったが、その後のセシリアの攻撃にはいくら当たってもダメージを受けた様子が見られない。
「所詮は
ガーデンは指先を薔薇の棘のように変えると、それをセシリアに向けて弾丸のように発射する。
「そんなもの無駄ですわよ!」
余裕の態度を崩さないセシリア。ISのバリアがあれば、一般的な重火器程度の攻撃は装着者に一切通じないからだ。
しかし、そんなセシリアの予想に反し、棘の弾丸はあっさりとバリアを貫通した。
「そんな!?」
それだけではない。棘が当たったスターライトmkⅢが
「嘘…!?」
あまりの出来事に呆然とするセシリア。それ故に、ガーデンが自身に向けて蔦を伸ばしていることに気が付かない。
「オルコット!」
Wに呼びかけられ、ようやく我に帰り蔦の存在に気が付くが、回避をする暇もなく蔦を身体に巻きつかれてしまう。
「く、う…!」
蔦に締め付けられ、うめき声をあげるセシリア。その様子を、ガーデンは楽しそうに見つめる。
「一つ、いい事を教えてあげましょう。我々ディメノイドにISは一切通用しません」
「どう、して…」
「そこまで説明するつもりはありませんよ。ですが、私に挑んだその勇気、あれは
うっとりと、セシリアをまるで憧れの女性のように見つめるガーデン。
「その容姿、そして心の在り方…まさしく私の理想だ。私が食事をするのに、相応しいねぇ!」
ガーデンはそう言うと、先端が棘状となった蔦をセシリアに向けて伸ばした。
to be continued