あれから俺はモモと彼女の家に二人暮らしを始めた。
両親ともしっかり話し合った結果、得た許可だ。モモの両親がいない中、家を留守にするわけにもいかず、かといって彼女をずっと一人ぼっちにさせるわけにはいかない。
そして俺達の同棲が始まった。
通学は途中までだけど、一緒に。だが、家を出る前にすることがある。
「行ってくるよ、モモ」
「行ってらっしゃい、京さん」
目を閉じてキスをする。
これで一日の元気を得る。
まだ慣れないけど幸せな生活を送っている。
部活も辞めた。俺を誘ってくれた咲には悪いけど、俺の中での第一の優先事項は東横桃子なんだ。もうこれは不動で、永遠に変わることはないだろう。
そのことを咲に告げると彼女も泣いていたが、最後には『私を選ばなかったことを後悔させてあげる』と言って、許してくれた。
俺は毎日モモと帰宅しているので詳しくはわからないけど、噂によれば旧校舎にある麻雀部に通っているみたいだ。
あいつも友達が出来て良かった。これで心残りもない。
『京さーん』
「モモ!」
休み時間になればモモとの通話を始める。授業中はこれを楽しみにして乗りきっている感はあるな。
『今日は駅近くのスーパーでセールに寄るっすよ!』
「おう! 荷物持ちなら任せろ!」
『ふふっ、頼りにしてるっすよ、あなた』
「可愛い嫁さんに頼まれたら断れないな」
『えへへ~。じゃあ、またあとで』
「一時間後な」
そして、学校生活が終われば買い物をして一緒に帰る。
「ただいまー」
「ただいまっす!」
そして、二人で一緒に夕食を作り、舌鼓を打ち、風呂に入る。
「京さんの背中は大きいっすね~」
「これでも運動部所属だったからな」
「……ここも大きくしちゃって……」
「モモがそれを押し付けてくるからだろ!?」
「お風呂あがるまで我慢してくださいね?」
「な、生殺し……」
そうやって風呂に入ると、今日会った出来事を話す。
モモが不安にならないように携帯もチェックして余計なものは全て消す。
11時には寝室へ。
「京さんっ」
「可愛い奴め」
ベッドの上で抱き合いながら、口づけを交わす。
「今日も楽しませてあげるっすよ」
「今日もへばって、倒れるなよ?」
「が、頑張るっす!」
そして、毎日のように愛し合う。
周りから見れば狂っているように見えるのかもしれない。
だけど、そんなのは関係ない。
俺達に他者の存在は意味をなさない。
なぜなら、俺達の世界は――
「えへへっ。愛してるっすよ、京さん」
――二人で完結しているのだから。
ここまでお読みくださり、ありがとうございました。
これにて本作は完結です。
好きなヤンデレが書けた上に感想なども頂けて、感無量。
本当にありがとうございました。