肉体疲労で入院したが、退院3日後の運動会のかけっこで1位を取った『如月あきらだ』
いやー、みんなが俺の登場に言葉を失うほど驚いてたな。
中には、涙まで流しそうな人・・・ってママじゃねーか!
そして、俺が全力で走ると周りから大声が響いた。
そんな中、俺は堂々と1位を勝ち取ったというわけだ。
ちなみに2位は一夏で、一夏は俺の足の速さを羨ましがって、悔しがってたぜ。
どうだ一夏!俺は復活を遂げたんだよ!
3日前までケガ人だったのに全力で走ったことで、
ママから「1位おめでとう、ケガ人が全力で走るんじゃない」とラリアットをくらいました。
さて、そんな運動会も終わり、今日は幼稚園はお休みなので、俺は暇でしょうがない。
何かをしようにも、幼稚園の俺に出来ることは限られている。
外へ遊びに行くのもいいが、今日はそんな気分じゃない。
だから俺は、未来の俺が乗るISを考えてみようと思い至った。
なにせ、このままいけば俺は一夏と共にIS学園に行く予定だ。
世界初は一夏になって、俺が二番目の男性操縦者の地位に着くはずだから、
一夏同様に俺も専用機が与えられる。だが俺は一夏のように流される気はない。
ブレードしかなく、エネルギー消費武器しか搭載されないのに、
動くだけでエネルギーを消費する兵器って、はっきり言って産廃もいいところだよな?
これを男性操縦者に作るとか、もう阿呆と確信する。
そんなのを渡されたら俺はキレる自信があるぜ。
そんなことにならないためにも、俺は先に手を討たせてもらうって訳だ。
というわけで、俺の(考えた俺のための)ISを先に描いちまおう。
だいたい一夏も悪いと思うぜ。あいつは今でも流されやすい奴だからな。
その結果が、あの縛りプレイ専用ISとなるわけだ。
あいつは自分を蔑ろにし過ぎだ。もっと自分について考えろよ。
いかんいかん、雑念が入っちまった、集中集中。
さてさて、では俺のISの為にいざお絵かきを始めるぜ!
まずは全身装甲のかっこいいスーツを描く。絶対防御なんてあてにならないからな。
クレヨンでぬ~りぬ~りしながら、鎧の色はかっこいいから黒色にしよう。
そうだ、西洋甲冑なんていいんじゃね?ああいった鎧はまさに俺大好き!
次にISの武装だが、まずは近づかれたら厄介だから、短刀が必要だな。
次に中距離用に牽制のマシンガンなんかどうだろ。あ、剣も捨てがたいなぁ!
で、制圧用にガトリングを付けちまおう。これで火力が上がるってもんだ。
長距離用は・・・ミサイル・・・でも重量が心配だし止めとこ。
何かワクワクしてきた!もっと描いちゃお!
ぬ~りぬ~り楽しいなぁ!楽しいなぁ!俺のさいきょうのISが出来るんだぜ!
っと、俺が絵を描き始めてどれくらい経っただろうか、下からママの声がした。
「あきらー!一夏君が遊びに来たわよー!篠ノ乃さんの家に行く約束でしょー?」
あー、確かそんな約束してた気がする。すっかり忘れてたぜ。
一端作業を止めて、俺は外に出る準備をする。絵は・・・このままでいいか。
ママが俺の部屋に入ることはないだろうし。
さてさて、今日は篠ノ乃箒と束に会える時間だ。
篠ノ乃箒は、俺が一夏とライバルになった後、一夏経由で紹介されたっけか。
初めてあった時は、束さんの後ろに隠れてこっちをじっと見てたな。
俺が動いたらビクッとなって、束さんにすっごい目で睨まれた。
うん、あれは「なに箒ちゃんをビビらせてんだゴラァ!?」の目でした。
漏らしかけたのは秘密です。
その後は、一夏のおかげで友達になりました。
なんでも、俺の一夏への宣戦布告を聞いていたらしく、
一夏を虐める恐い奴と思われていたようだ。
ははっ、一夏のモテモテはここからでしたか。マジで爆発しろ。
だが、友達になったことで、俺にもチャンスが来たわけだ。
待ってろよ篠ノ乃箒!俺が一夏よりもかっこいいと気付かせてやるからな!
「ママ、よるごはんまでにはかえってくるからね。いってきまーす」
「はいはい、行ってらっしゃい。迷惑かけちゃだめよー。」
「わかってるよ。いくぞいちか!ほうきのいえまでかけっこだ!」
「まけないからな!」
そうして浮かれていた俺は、すれ違うママの言葉を聞き流していた。
「そういえば、あきらの冬服そろそろ出さないとなー。
あきらー?冬服だすから部屋に入るけどいいー?」
「いいよー!」
俺は一夏と一緒に走って行った。
いやー、楽しかった。
かくれんぼに鬼ごっこ、かけっこにママゴト(昼ドラ)と、今日もいっぱい遊んだぜ。
かけっこはもちろん俺の勝ち!だが一夏も追いついてきたからな。
流石主人公だ。まだまだ油断できねぇぜ。
俺が帰ってくると、ママがニヤニヤしていた。
「ねぇ、あきら。あきらって可愛いところあるよねー?」
「なに?おれがかわいいってどういうこと?」
「黒くてかっこいい騎士様の絵」
ピシリ、と空気が凍った。特に俺は一瞬訳が解らず、そして理解して固まった。
え、え?絵?えー!?何故それを知っている!?アレは俺の部屋にあったわけで。
さてはママが無断で入って「ちなみに許可は取ったからね、文句は言わせないよ?」
・・・そうだったー!!浮かれてて流れ返事してたが、そんなこと言ってたー!
「ちなみに、パパはまだ見てないから。
せっかくあきらの描いた絵だもの。パパにも見せてあげてね」
そう言って台所に戻っていくママの後姿を見ながら、俺は気恥ずかしさで悶絶していた。
その後、パパが俺の絵を褒めてくれたものの、ママのニヤニヤで覚えておりません。
その夜、俺は俺の描いたISに乗った夢を見た。