俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~ 作:GJ0083
気が付いたらベッドで寝ていた。目に映る天井は見慣れた病院のものではなく、寝起きのぼんやりとした頭で周りを見渡せば目に入るのは白い壁のみ、六畳ほどの部屋にベッドが一つ置いてあるだけの部屋、自身の現状に疑問を覚えながらもフラフラとドアに向かい扉を開ける、隣の部屋は居間らしい、こちらは広さは八畳ほど、真ん中にテーブル、それを挟むようにテレビとソファーが置いてあるだけの質素な部屋、だんだんと目覚めてきた頭の中は疑問符で一杯になった。
自分の最後の記憶は、病院のベッドの上で、“マジ恋の新作をやるまで死ねるか!” と言いながら病気の痛みに耐えてた所までだ。ここは何処だ? 病院ではないのは確かだが見たことのない部屋、色々と疑問は尽きないが次の瞬間それらも霧散した。
真っ暗なテレビ画面……そこには見覚えのあるアホヅラした子供の顔が映っていた。
いったい何分その子供と見つめ合っていただろう、思わず後ろを振り返ったがやはり誰も居ない。うん、認めよう。アレは俺だ。だって写真で見たことある顔だし、さっきから視点が低かったの気になってたんだよな~。子供じゃ視点低いのはしょうがないな、子供じゃしょうがない。
思わず目を瞑って布団の中に戻りたくなるが、いや思考放棄はいけない、非常時こそオタクはクールになるべきだ。そう数々の名言はこんな時こそ。せーの。
「なんでさ」
うん、無理やりネタに走ったおかげで落ち着いてきた。これは夢━━ではないんだろうな、夢にしてはリアルすぎる。一度深呼吸して改めて部屋を見回してみると、テーブルの上に紙切れが置いてある。そこには━━
『テレビを点けろ』
怪しい、怪しさ満点である。でもこれなんかのフラグだよね? きっとテレビを見れば元に戻るんだよね? よし、テンション上げろ俺! 俺達の戦いはこれからだ!
「テガカッテニ~」
ピッと音がしてテレビが点く、テレビ画面には金髪ロングで、磁器の様な白い肌で、吸い込まれそうな翡翠の目をした美女が……。
「全国百万人の転生者の皆さん、こんにちは~☆」
非常にうざいテンションで映っていた。
うん?何万人の何だって?
「私の名前はラケシス。運命を司る女神の一柱で~す☆ これから皆さんに、転生した理由と転生先での注意事項など説明致しまっす☆」
思わずテレビを消そうとしたが、消せない……だと……
「少し長くなるので静かに聞いてくださいね☆ 先に言っておきますが、この放送は録画放送なので、質問やクレームは一切受け付けられないのでご了承下さいね☆」
「「「「生放送じゃないのかよ!!!」」」」
あ、思わず叫んじゃったけど、ここにはいない同じ被害者達と心が通じた気がする。
「結論からいいますと、皆さんは死んでしまいました☆ 今いる場所はすでに転生先なので諦めて第二の人生を楽しんでくださいね☆」
大事な事をさらっと言いやがった……
え? マジで? 俺死んでるの?
「ちなみに、死んだ原因ですが、皆さんの人生が書かれた紙、どんな人生を送って何時死ぬのか、そんな皆さんの人生が書かれた紙……を纏めたノートを丸ごと一冊、粉☆砕☆ してしまったからなんですね。あ、ヤったの私の姉なんで、私に文句言わないでくださいね☆」
あ~よくある転生もの(ただしノート一冊分)か。
「転生先はアニメやゲームの世界が基本になります。が、完全ランダムです☆ オブザデッドな世界から、のんのんな世界まで、原作知識がある人はそれを駆使して頑張ってくださいね☆」
原作知識のない奴は生き残れないんですね分かります(諦め)
のんのんな世界がいいなぁ~、第二の人生は田舎でまったり暮らしたいなぁ~
「次に転生先での注意事項です☆ 世界には『主人公』と呼ばれる人がいます。主人公を中心に、世界の滅亡だったり、甘酸っぱいラブコメだったり、様々な事が起きますが、それに関わるかは貴方次第です。関わろうと思えば主人公と友達になれますし、原作に関わることもできます。原作に興味ない人は、別に関わらなくても問題ありません。思うがままに生きてください。まぁ生き残るのが難しい世界に転生した人は、主人公と一緒にいた方が生存率が高いと思いますよ☆」
転生先、アニメな世界じゃなきゃダメって縛りでもあるんですかね? 話聞いてると嫌な予感が止まらないんだが。
「それと、今回は皆さんに家族はいません。本来の転生は、誰の子供として生まれるか。から決めるのですが、流石に転生者の人数が多いので、その辺は省略、代わりにある程度成長した体と、生きるのに必要なお金、そしてこれは凄いですよ? なんと、神様ご都合主義能力をプレゼント☆」
お金はありがたいね。別に新しい家族とかはいらないけど、てかなんで子供? まず大人な身体よこせや。
んでご都合主義とはいったい?
「皆さんは今、子供になってるんですが、子供の一人暮らしとか普通おかしいですよね? なにかしらの契約をするのだって親のサインなど必要になりますし、ですが安心してください。この“神様ご都合主義能力”があれば問題ありません☆ 親のサインがなくても、貴方のサインさえあれば契約できます。学校の三者面談、親が来なくても先生は不審がりません。ご近所さんも、子供の一人暮らしに疑問を持ちません。そんな素晴らしい力なんです☆」
ふむふむ、確かに子供として生きていくには便利な力だな。
最初から大人の身体をくれれば問題ないんだけどね?(ニッコリ)
「ただし注意点があります」
おっ、いきなり真面目な声になった。なんかすげー不安になんだけど。
「このご都合主義能力は、所謂「主人公補正」とは違います。ピンチになっても仲間は助けに来ません。銃弾は胸のペンダントに当たりません。あくまでも、『親という保護者がいなくても問題が起きない』力なので、くれぐれも過信しないでくださいね☆」
そこはもう「主人公補正」もサービスしてくれてもいいだろ。まだこの世界がどんな世界か分からないが、七騎の英雄が集う戦争や、異世界から人食いの化け物が来る世界だったら……生き残れる気がしないな……
「お次は皆さんお待ちかね、転生特典の説明しますね☆ コレを楽しみにしてた人も多いのではないでしょうか?」
転生特典……それだ!!! 王の財宝かスタンド全種、いや……サイヤ人の体か、それくらいのチート能力があれば死亡フラグも回避出来る!
「転生特典は『そこそこの頭脳』と『そこそこの身体能力』です☆」
は? なんだって?
「本来なら、アニメやゲームの能力をプレゼント☆ って言いたいんですが、転生者の人数が人数なので、めんd、ではなく。公平にするために、特典は全転生者同じものをご用意致しました☆」
こいつ最後の最後で本性出しやがった。え? まじで? 公平ってなに? 特典を公平にする意味あんの? ないよね?
「では最後に、皆さんの転生先をお教えしますね☆ テーブルの上に注目してください☆」
光を感じて、ふと上を見上げると、無駄に神々しい光と共に、一つのアタッシュケースがテーブルの上に落ちてきた。
「その中には、通帳、印鑑や、様々な書類等に、転生先の名前が書かれた紙が入っています。いや~開けるのドキドキですよね? そのケースを開けた瞬間から、皆さんの第二の人生がスタートします☆ それでは皆さん、良い人生を☆ この放送は、“みんなの恋人”ラケシスちゃんがお送りしました☆」
ピッと音を立ててテレビが消える。部屋に響くのは自分の呼吸音だけ、怒涛の展開に、流石に脳がオーバーヒートしそうだ。夢だと思いたいが、自身の目に映る、丸みを帯びた子供特有の手が、“これは現実だ”と訴えてくる。そう、落ち着こう、オタクたるもの非現実を楽しまなくてどーする。例え死亡フラグが乱立するような世界でも、夢にまで見た二次元の世界だ。全力で楽しむ気構えで臨まなければ。
ゆっくりとケースに手をかける。
ねだるな!勝ち取れ!
「ゆゆ式おねティ咲瀬戸の花嫁ベン・トーみなみけまほろバカテスけいおん生徒会の一存生徒会役員共俺妹のうりんはがないゆるゆり藍蘭島ニセコイスクランD・Cラブひなtoloveるとらドラれでぃばとつり乙恋姫マジ恋グリグリなせ~~か~~い~~!!!」
頭に浮かんだラブコメアニメを叫びながらケースを開けた。
そこには。
『I・S(インフィニット・ストラトス)の世界にようこそ』
きっと砂を噛んだような顔をしてたと思う。
『女神ラケシス』
女神三姉妹の次女。地上のアイドルに興味がある。
転生者が百万人と言ったなそれは嘘だ!
実際は一万人だったが百万の方が語呂が良かったらしい。
姉のミスの尻拭いで転生担当者になる。
担当したのは『成人したオタク』
姉は『未成年全員』
妹は『ラケシスが担当しなかった成人』
人数が多くめんどくさかった為
『大人なんだから、お金があれば後は自分でどーにか出来るよね?』
『オタクなんだからアニメな世界ならどこでもいいでしょ?』
『大人より子供の方が可愛いよね』
『特典?一人一人から話聞くのはめんどい』
という理由からやっつけ仕事になった。