俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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モンハンワイルズ面白かったけど、モンスターの少なさとエンドコンテンツの虚無感がなんとも……
アプデに期待!


ダンジョンアタック③

みんなで仲良く個って24時間後。

 シャワーの時間やトイレの時間を決める事でほとんど差異なく全員が個室から出れた。

 うーむ、やはり映画だけで24時間過ごすのは飽きるな。

 前の部屋の媚薬も問題なく防げたみたいで、期待していた様なムフフな展開はなし。

 まぁ野郎どもが発情する姿を見せつけられなくて良かったと思おう。

 

「扉が開いたな」

 

 スター1に声に従いその後を追う。

 今までは道案内役で俺が先頭だったが、今回からはスター小隊だ先頭だ。

 通路の様子は今までと変わった様子はない。

 流石の束さんでもの初手から殺しには来ないか。

 ぶっちゃけ扉を開いたらもう次の試練の間で、魔改造ISがこんにちはしてる可能性も考えてました。

 なんて考え事をしてる間に次の間の入り口に到着。

 開けたくないけど、開けなきゃダメだよね。

 

 

「開けるぞ」

 

 お馴染みの鈍い音を立てながら扉が開く。

 うっわ眩しい。

 地下なのに光に満ちてやがる。

 扉の先にあったのは巨大な空間、そして石造りの観客席。

 どう見てもコロッセオです本当にありがとうございます!

 てかここって元々は俺と束さんのキャンプ地だったじゃん!? 生活後の面影も残ってなんだが!?

 やっぱ束さんぱねーよ。

 さてさて、コロッセオ型となると中央に立った瞬間イベント開始かね? なら側面に沿って移動したり全速で奥に見える扉にダッシュすれば、イベントが起きない仕様だったりしないかな。

 

「見るからに戦闘を意識する造りだな。スター小隊はISをいつでも展開出来る様にしろ。ダガー小隊は退路の確保を最優先に動け。フォックスは――」 

「こちらは邪魔にならない様に動きますのお構いなく」

「下手に連携を取っても双方の動きが悪くなるだけか。遊撃を任せるがこちらの射線に入るなよ」

「了解」

 

 って返事してみるけど、当たり前に戦力に数えられてるのね。

 こちとら素人の中学生だぞ。

 だがまぁ対篠ノ之束戦は何度か経験してるで頑張ってはみます。

 束さんが俺を見逃す訳ないので、頑張らざる負えないとも言えるけどね!

 

『やぁやぁようこそ侵入者諸君』

 

 広場の中央に踏み入れた辺りで聞きたくない声が聞こえた。

 どこだ――どこに――いたぁぁぁぁ!

 腕部IS展開! 拡張領域からハンマーを取り出して……ぶっ飛べオラァァァ!

 

『……一応ね? 出会い頭で攻撃してくるかなー? とは考えたんだよ? でもまさか初手から脳天めがけて攻撃してくるは思わなかったよ』

 

 俺が投げたハンマーは束さんを通り抜け、座っている客席に突き刺さった。

 少しばかし驚いた顔をしてるけど、ホログラムじゃねーか。

 生身で来いや卑怯者がッ!

 

「落ち着けフォックス」

 

 アッハイ。

 なんか他のメンバーがめっちゃこっちを見てる気がするがスルーで。

 篠ノ之束相手に初手全力は基本でしょうが!

 

「初めまして篠ノ之博士。お邪魔しています……で、よろしいか?」

『うんうん、礼儀正しいのは良い事だよ。そして改めてようこそ束さんの秘密基地へ。道中楽しめたかな? あっ、返事はいいよ。面白くもない道中だって分かってるから』

「まるで他人事……それはつまり……」

『お? 気付いた? ここまでの試練の間は束さんの発案じゃないよ。ネットで適当に目を付けた思春期のエロガキの案を元にしたんだよね。つまんなかったでしょ?』

 

 やかましいわ!

 

「だからエロ系のトラップが多いかったのか」

「さっきの部屋にあったパソコンの中に映画があっただろ? あれ妙に濡れ場が多かったよな」

「中途半端なエロが多いと思ったが、なるほど子供か」

 

 後ろの男共もやかましいわ! 

 

「ここで姿を見せた。ならここから本番だという認識で?」

『そゆこと。言うならば今までのは侵入者を油断させる為の罠かな』

「姿を見せれば油断もなにもないと思いますが」

『ふむふむ、そう思うんだ。なら君たちに良い事を教えよう』

 

 ガシャンガシャンと嫌に聞き慣れた音が聞こえる。

 しかも音の発生源……前と後ろ、おまけに左右からだ。

 てか左右にも扉あった。

 この闘技場、四方に扉があるのか。

 

『日本にはギャップ萌えって文化があってだね』

 

 扉からヌッと顔を出したのはご存じキラーマシーン先輩である。

 前後左右から五体来たので――キラーマシーン先輩×20である。

 なにがギャップ萌えだ! 日本の間違った文化を教えるんじゃねぇ!

 

「自立型ロボットか。しかも囲まれた……ダガー小隊は中央に! 狙えるなら関節を狙え! スター小隊はひと当てして敵機の性能を把握を!」

 

 流石はアメリカ特殊部隊、判断が早い。

 俺への指示はなしか。

 しかし困った。

 長い間一緒に地下労働に勤しんだキラーマシーン先輩を壊すなんて俺には……先輩どれだ?

 

『あむあむ……ここは【憤怒の間】。その名に恥じない様に束さんも応援してるね』

 

 こいつポップコーンとコーラで観戦してやがる!?

 確かにこれは怒りが湧くよ。

 キラーマシーン先輩の武装はハンマーと大剣か。

 本物みたいに飛び道具であるボウガンを装備してないのは優しさかな?

 とはいえ、あのサイズの質量兵器は生身の人間じゃ一撃で致命傷だろう。

 やるっきゃないか。

 

「スター2、ライフルの有効性を確認。対象は外見は金属性ですが中身は石質の様です。手持ちの銃火器だけ対応可能です」

「スター3、斬撃は効果が薄いが関節の破壊は可能」

「よし、分かりやすく目玉の奥に中枢機能があるのはありがたいな。スター1より各機へ、目玉の奥に機体をコントロールする為の何があるようだ。敵は多少の損傷では動きを止めないロボットだ、確実に潰せ。正面は私が受け持つ。各ISはダガー小隊を囲む形で展開、ダガー小隊は脚の関節部か目玉を狙え」

 

 スター小隊の面々がキラーマシーン先輩に飛び掛かり、撃ち抜き、即座に対応を練る。

 胴体部部は分厚く重厚だが、細い脚はどう見ても弱点ぽいもんね。

 スター1が躊躇なく目玉に手を突っ込んで中身の機械ごと目玉を引っこ抜き、ぽっかり空いた空洞の目玉に鉛玉ぶち込む姿は頼もしさえある。

 しかしまいった。

 関節破壊に適してるハンマーは束さんの後ろなんだよね。

 うーん、量産してるって事は素材はその辺の岩や石だろうしツルハシでいけるか?

 目玉の奥を破壊すれば動きを止めるって事は、脳天掘り起こせば同じか?

 ISを全身に展開し、まずはツルハシを装備。

 幸いキラーマシーン先輩の動きは遅い。

 大剣を振り回す速度は初代無印モンハンの大剣並みだ。

 なお抜刀大剣はないものする。

 なので素人の俺でもそこまで恐怖心は湧かない。

 瞬時加速でキラーマシーン先輩の上へ。

 そのままツルハシを脳天に。

 

 一撃目でツルハシの先端が食い込んだ。

 二撃目でツルハシの半分は刺さった。

 三撃目でツルハシはずっぽり刺さりキラーマシーン先輩が沈黙した。

 

 三発で済むのか……本当に?   

 映画とかのロボットって大概はしぶといじゃん。

 や、パソコンとかゲーム機は回路の一つが潰れれば動かなくなるけど、ロボットってしぶといイメージあるじゃん。

 なので沈黙したキラーマシーン先輩から距離を取って少しだけ観察。

 ――目の光は消えてるし、ピクリともしない。

 これはこれは……結構なヌルゲーでは?

 飛ばない走らない飛び道具がない。

 キラーマシーン先輩は四方の扉から続々と現れるが、これもう余裕だろ。

 束さんの様子をチラ見。

 相変わらずポップコーンをもしゃってる。

 もしかして疲れてきてからが本番の試練かな? こちらがぜぇぜぇ言いながらキレ散らかす姿を見たいのかも。

 キラーマシーン先輩の一撃は間違いなく重い。

 スタミナ配分と集中力切れが怖いな。

 こういったものは、戦いだとか戦闘だとかを意識するから疲れるんだ。

 なので気楽に行きましょうって事で流々武ヘッド内部でアニソンを流す。

 今からやるのは作業ゲーだ。

 敵が動く前に脳天にツルハシを三発叩き込むゲーム。

 ノリノリでやるよ!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「30体目ッ!!!」

 

 ひゅう♪ 順調だぜッ♪

 キラーマシーン先輩の出現は止まることなく続き、全体で合わせて100体以上は壊しているだろう。

 その死体はどんどん積み重なっていき、四方は軽い山に囲まれている状態だ。

 キラーマシーン先輩は律儀に山を登って来るので、数で圧殺される事もない。

 頂上から顔を出した攻撃で済むのだ。

 他のメンバーは遊び始めた。

 ダガー小隊はキラーマシーン先輩の解体中。

 男共が楽しそうにロボットロマンに触れている。

 まぁ弾丸の数には限りがあるし、手を止めるのはしょうがない。

 スター小隊は隊長のスター1は黙々とキラーマシーン先輩を狩っているが、スター2とスター3はそれぞれ狙撃銃でゼロ距離射撃してみたり、脚を全て切り落としたりと楽しそうだ。

 長丁場になるんなら少しの遊び心は大切だもんね。

 俺も真似しようかな?

 残りの手持ちは料理用の巨大鉄板とシャベルだ。

 ……鉄板は持ち手があるし、遠目に見れば大剣に見えるかな?

 モンハンチャンバラごっこしようぜ! 

 律儀に仲間の死体の山を登ってくるキラーマシーン先輩の先輩の前で軽く挑発する。

 かもーん?

 

 キラーマシーン先輩が大剣を大きく振り被り、それを見て俺も同じく鉄板を振り被る。

 相手の攻撃に合わせて~?

 

「オラァァァ!」

 

 金属と金属がぶつかる大きな音が鳴り響く。

 手に伝わる衝撃にたたらを踏み、キラーマシーン先輩も僅かに体勢を崩した。

 ……手に伝わる衝撃がなんとも心地良い。

 

「ふはっ!」

 

 やべーこれ楽しいッ!!!

 巨大な剣を振り増してる感と手に伝わる衝撃でアドレナリンが出るんだがッ!?

 もっとやろうぜキラーマシーン先輩!

 あ、ポップコーンがなくなったのか、束さんは空中にウィンドウを出してなにか作業している。

 お前が始めた戦争だとうがッ! 飽きずに最後まで見やがれ!

 打ち合い中のキラーマシーン先輩はちょっと待ってて。

 んで死んでるキラーマシーン先輩は脚をお借りします。

 関節を逆に曲げれば折れるよね? カニの脚みたいに。

 ん、上手にもげた――オラァァァ!

 

 キラーマシーン先輩の脚はホログラムの束さんをすり抜けた。

 攻撃された束さんが怪訝か顔をしながら戦場を見渡し、俺と目が合う。

 そーだそーだ、しっかり見てよ。

 このくそ、すぐに目を離しやがった。

 だいたいこちとら中学の入学式ぶっちしてこの場に居るんやぞ? もっと労えや。

 一般男子中学の俺がなんでアメリカの特殊部隊と一緒に行動してるんだよ?

 せめて責任持って俺を見ろ――見ろよ!!!

 

 ツルハシが束さんの顔の中心を通り抜ける。

 だけど束さんの視線がこちらを見る事はない。

 

 

 

 

 

 ナンデダヨ。

 オレヲミロヨ。

 ミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロ         

 ミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロ 

 ミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロ 

 ミロミロミロミロミロミロミロミロミロミロ――オレヲ ミロォォォォォォォォ!

 

 

 

 

 

 

 

「全員傾注っっっ!!!」

 

 ウルサイ! オオゴエダスナコロスゾ!

 

「落ち着けフォックス! お前はなぜ篠ノ之束を攻撃している!?」

 

 ハ? んナもんオレをむしするカら――

 

「正気を保て! ホログラムを殴って意味があるのかっ!?」

 

 イミってそれは……だって束さんが俺を無視するんだもん。

 こんなん殴りたくるじゃん。

 だから俺は――いや意味わからんな?

 

「深呼吸だフォックス。そして自分を見つめ直せ」

 

 すーはーすーはー。

 そうですね……束さんを見下ろしながらその顔に向かってひたすらツルハシを振るっていた自分と、そんな俺を見てニヤニヤする束さんがいますね。

 

「スター2! 何故機能停止した機体にまで攻撃している!? スター3! お前は何故四肢の全てを切り落として放置している!? ダガー小隊はそこまで機体内部を損傷させて意味があるか!? 目を覚ませバカ共がっっっ!」

 

 うっわ、もしかしてスター1以外やらかしてる感じ?

 スター2は必要以上にキラーマシーン先輩をミンチに。

 スター3は手足を全て切り落とした状態で放置。なおダルマキラーマシーン先輩はまだ生きて模様。

 ダガー小隊は倒したキラーマシーン先輩を分解っていうか、中身を掻き出して周囲にぶちまけてる。

 いつの間にこんな地獄絵図に?

 みなそれぞれ自意識を取り戻し始めた様で、驚いた顔で自分の状況を確認している。

 

『ありゃ? 正気に戻っちゃったか。流石は特殊部隊のリーダーだけあって中々の精神力だね。残りの二人は危うかったみたいだけど』

 

「二人ともまだまだ未熟の様だ。だが反省は後でいい。篠ノ之束、これが憤怒の間の試練か?」

 

『でも全くの無事って事でもないね。言葉が荒くなってるの気付いてる?』

 

「……ちっ」

 

 束さんの指摘を受けて舌打ちしたスター1だが、ゆっくりと息を吐いて呼吸整え始めた。

 しかしまぁ恐ろしい罠だったな。

 さっきまで言いようのない怒りに支配されてたぞ。

 だが真の恐怖は怒りに飲まれた事ではない。

 真の恐怖は怒って暴れてた状況をしっかりと記憶してることだ!

 この仕様絶対に計算されたものだろ!? 性格悪いぞ束さん!

 

『うむうむ、記憶さえ摩耗するほど鍛えた人間でも影響するっと。これは良いデータが取れたね』

 

「あー、篠ノ之博士? 毒ガスでも流したんですか?」

 

『気になるかねフォックスちゃん? では教えて進ぜよう。あのね、人間ってのは誰しも破壊衝動があるの。ってか、人間ってのは破壊行為に快楽を覚える生き物なのさ。ここまではおーけー?』

 

「オケです」

 

 暴れて家具や瓶を破壊できるアミューズメントパークがあるくらいだもんね。

 

『それらのアレコレをイイ感じに利用した』

 

「説明する気ないじゃん」

 

『機体の目が赤いのは警戒色だから。赤は無意識に人間の闘争本能を煽る。敵を破壊する行動でアドレナリンを分泌させるが、機体を構成するコンクリを破砕音が不快に感じる様に細工。脳内麻薬の分泌量をコントロールって……全部説明するの面倒』

 

 おおう、なんか知らんが色々やってたんだな?

 

『ただ言えるのは特にそれらしい科学技術は使ってないってこと。でもまぁ脳化学ではあるかな? 視覚、聴覚、触覚、様々な影響で人間をバグらせただけさ』

 

「……なるほど、これが篠ノ之束か。恐ろしいな」

 

『そんなに怖がらなくてもいいよ? 確かに束さんがその気になれば世界中で暴動を起こして人類を半壊させる事なんて朝飯前だけど、やる気はないから』

 

「篠ノ之束……それは道徳心からか?」

 

『んにゃ? やる意味がないからだけど? あのさぁ、束さんも忙しいんだよ。無能なんてほっとけば勝手に死んでく存在に貴重な時間を使って手を出す理由がないのです』

 

 などど申しているが、ガチでそんな真似すれば千冬さんとの殺し合いルート突入だからね。

 千冬さんが男と結婚して、箒が一夏以外の彼氏作って束さんへの興味を失い……みたいな状況にならなければ大丈夫だろう。

 

「……上が確保したがる理由が分からんな。祖国を思えば殺した方がいいだろう」

 

『殺す……ねぇ? ま、挑戦するのは自由だよね。出来るかどうか別として』

 

「やる気はない。今回の命令はこの地下迷宮の探索と、もし居れば篠ノ之束の確保、それだけだ。抹殺指令は出ていない」

 

 あの、あんまり束さんを刺激しないでくれます?

 束さんのイライラは後で倍返しになって襲ってくるので……俺に!

 

『あ、もしかして挑発して束さんの本体を引きずり出したい感じ? ダメダメ、せっかく色々作ったんだからちゃんと最後までやってもらわないと』

 

「それは最下層に貴方が居ると、そう考えていいんだな?」

 

『いるよー。諸君らが右往左往する様を見ながら最下層で待ってるから、早めに来てね! ぐずぐずしてたら飽きて帰っちゃうよ?』

 

 

「……いいだろう。最後まで貴女の遊びに付き合ってやる」

 

 最後まで煽るね。

 これはワザと挑発して束さんが帰らせない様にする為の策かな?

 んじゃ俺も煽っておこう。

 周囲に聞かれない様に小声でっと――

 

「束さんに帰る場所なんてないよね? 実家の篠ノ之神社に篠ノ之家が住めなくなったのは誰の所為か忘れたの?」

 

『んぐっ……急に刺してくるじゃん。でもあれだよ、私にはデ・ダナンがあるし』

 

「そっか、束さんには新しく帰る場所ができたんだね……箒には帰る場所ないけど」

 

『…………闇落ちしー君見たくてはしゃぎましたごめんさい』

 

 そう最後に呟いて束さんのホログラムは消えた。

 なんか涙目だった気がするけど気のせいだろう。

 俺の返事を聞く前に消えた束さんに一言。

 

 新たな黒歴史をプレゼントしくれた事、まだ全然許す気ないからねー?

 まじ覚えてろ。

 

「フォックス。篠ノ之束が消える前になにか話していたな?」

「首洗って待ってる的な事を」

「そうか。で、お前の調子は?」

「問題なしです。正直助かりました」

 

 いやマジで助かった。

 怒りが抑えられない時って、怒りを抑えるって発想自体が浮かばないんやね。

 普通に怖い体験だったよ。

 

「スター小隊、ダガー小隊、報告しろ」

「スター3が体力の低下が激しいです。すぐの行動は難しいかと」

 

 スター3は、スター2に肩を借りて立っている状況だ。

 その顔色はどう見ても悪く、手足が震えている。

 まだロリだし色々と負担が大きかったんだろう。

 感情に任せて暴れるのはもちろん、たぶん精神面もまだ成熟してないので怒りの感情に支配されるのは心のダメージが大きかったのかな。

 

「ダガー小隊は全員正気に戻っています。……申し訳ない、サポーターの我々が正気を失うとは」

 

 キラーマシーン先輩の部品が散らばる中で男三人が沈痛な表情を見せる。

 まぁ解体作業で遊ぶくらいならセーフやろ。

 

「敵機の発生が止まっているな」

 

 スター1の言葉に釣られて周囲を見渡してみれば、確かに扉から新しく出て来る様子がない。

 残りのキラーマシーン先輩は仲間の死体を踏み締めながら、こちらにゆっくり向かって来る。

 【憤怒の間】はクリアってことでいいのかな?

 

「フォックス、残党処理を手伝え。残りはメンバーは中央で待機」

「了解」

 

 半分が動けないからしゃーなしだな。

 意外なのはダガー小隊が憔悴してる点だ。

 プロにしては心身弱くね……って一瞬思ったけど、篠ノ之束ファーストコンタクトで心を弄られる未知の恐怖によるものなのかも。

 その点、俺は少し慣れてるからね。

 んでは残りのキラーマシーン先輩を破壊しますか。

 はいはい順番に並んでねー。

 一体、二体、さん……た……

 

「キラーマシーン先輩?」

 

 たの機体とは違う薄汚れた塗装、僅かに聞こえる関節部分の軋み音。

 間違いない! 貴方は長期に渡り共に地下労働に勤しんだ盟友……キラーマシーン先輩!

 俺には分かる! 有象無象の量産品ではないただ一人の先輩。

 それも途中で追加された機体ではなく、最初から居た先輩……そう! オリジナルキラーマシーン先輩!

 良かった! 死んでなかったんだね!

 色々危なかったけど、もう大丈夫だよ先輩。

 今なら先輩一人だけなら逃げれる!

 

「敵を前に何故動かない?」

 

 グシャ!

 

 唐突に現れたスター1の一撃で先輩の頭が潰れた。

 

「――スゥ……なんでもないデス」

 

 ごめんキラーマシーン先輩……俺は弱い!

 だって拳一撃で粉砕だよ? 軽く俺の三倍の攻撃力だよ?

 怒る前に玉ひゅんしたわッ!

 

「こいつが最後か。スター3はそのまま休んでいろ。ダガー小隊は敵機の詳細をレポートにまとめる作業に移れ。貴重な篠ノ之博士製の無人機だ、内部構造は細かく頼むぞ。なだ動く機体が居るかもしれない。スター2護衛に付け」

 

 

 スター1がテキパキと指示を出す中、俺は束さんに投げたハンマーを回収してからISを解除して観客席に腰を降ろす。

 

「ぶへー」

 

 ISを解除して分かる。

 想像以上疲れてるな。

 ほぼ木偶とは言え武装したロボットを30体以上破壊してるし、そりゃ疲れるよね。

 いやはや、こう思い出して見ると、かなり早い段階で束さんの影響を受けたみたいだな。

 最初の数体倒した時点で気分が高揚した時点で、最高にハイになってた気がするわ。

 俺はキラーマシーン先輩の部品にも設計図にも興味ないので暫く休ませてもらおう。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「全員警戒しろ」

 

 【憤怒の間】の探索や休憩を終えた後、俺たちは次の部屋に向かった。

 道中は相変わらずの一本道。

 敵も出ず分かれ道もない通路を進み次の部屋への扉を開いた瞬間、スター1の雰囲気が硬くなる。

 スター小隊はもちろん、ダガー小隊も各自アサルトライフルを構え戦闘態勢に移行する。

 眼前に現れたのは廃墟群。

 なにかが焼けた焦げ臭い匂いと舞う土煙。

 これはこれは―― 

 

「ダガー小隊は戦場を経験しているな?」

「はい」

「言うまでもないが注意しろ」

 

 どう見ても戦地です本当にありがとうございます!

 次はどんなトラウマを植え付ける気だッ!?

 

「子供?」

 

 隊列を組んで静かに廃墟群に踏み入れると、崩れたビルの中から子供が出て来た。

 ボロボロの衣服を着た黒髪のアジア風の少年。

 どこか見覚えがある……いやよそう。

 はい、せーの――

 

 俺じゃねぇぇぇか!!!

 

 どっからどう見てもボロボロの服を着た神一郎君なんだが!? だが!?

 どうなってんねんこれ。

 

「資料で見た顔だな。日本から連れ去られたのか?」

 

 ……アメリカ暗部にも顔が知られてる事にガクブルっす。

 

「そこで止まれ。それ以上動くな」

 

 スター1が俺モドキに銃口を向ける。

 人畜無害なお子様に敵意向けすぎでは? 

 だよね? 神一郎君。

 

 ボンッ!!!

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 神一郎君は爆発し、肉片を飛び散らかせた。




た「茶番は終わりだ」
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