俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~ 作:GJ0083
女神のテレビ放送が終わり静まり返った部屋。そこでソファーに座ってこれからの行動を考える。
『I・S(インフィニット・ストラトス)』の世界、それは学園ラブコメである。主人公が女子高で寮生活を送りながら無自覚ハーレムを作りイチャコラする世界。まぁバトル有り、テロ屋あり、オマケに女尊男卑と色々と問題もあるが、コメディ要素のせいか、はっきりとした死亡フラグは少なく、原作介入するとしても、チート級の神様特典がなくてもやって行けるだろうう。
でも正直、原作には介入したくない。
美少女達とラブコメは男の夢だが鈍感系主人公のモテモテぶりにイライラしながら女子高で寮生活とか、非モテ男子には拷問に等しい。
確かにヒロインズは可愛いよ? 薄い本でお世話になったよ? でも、そんな娘達がいちゃいちゃしてるのを目の前で見せられたら……うん、ワンサマー死すべし慈悲はない。
なので“原作はスルー”の方向にしたいんけど。
「ISは欲しいな」
『インフィニット・ストラトス』は『マルチフォーム・スーツ』の名前である。元々は宇宙空間での活動を目的としたもので、スーツと言っているが、見た目は結構ロボロボしている。要はすごい機能をたくさん積んだ宇宙服だ。原作開始時には兵器として認識されている可哀想な子でもある。なぜか女性しか使えず、それが原因で女尊男卑の風潮が広がったり、なぜか動かせた主人公が、IS専門の学校に強制入学させられたりするのだが、それはどーでもいい。大切なのは
「俺もISに乗れる?」
女神は言った『“原作”に関わることもできます。』と。
原作は主人公が、IS専門の学校、IS学園に入学するところから始まる。つまり、俺もISを動かせる可能性がある。脳裏に浮かぶのは、テレビ画面の中で、自由に空を飛ぶ少女達。
前世の夢を叶える為にもぜひISが欲しい。
せっかくの第二の人生、せっかくのアニメの世界、神の所為で死んだんだ、幸福を求めてもいいだろう。
つまり、自分専用のIS手に入れる&原作スルーが答え!
「よし!」
声を出して気合を入れる。
これからの方向性は決まった。後はそれを目指して行動するのみ!
ISを作った人が『天災』と呼ばれる変人だったり、ISの心臓部、ISコアが決められた個数しか作られてなかったりするが――今は考えるな! なんとかなるよ、絶対大丈夫だよ!
気合を入れてソファーから立ち上がり、家の中を見て回る。部屋は2LDKで冷蔵庫や洗濯機さえなかった。改めてケースの中身を漁る。
通帳には、なるほど、かなりの金額が記載されていた。ネット環境とか生活家電を揃えないとな。って、服も買わなきゃダメじゃん! 新生活に夢馳せながらいそいそと準備するのであった。
◇◇ ◇◇
ぶっちゃけご都合主義舐めてました。人に道を訪ねながら家電量販店に行き、家電を選び、ネット工事の予約したが、店員は誰もツッコんでこなかった。ケータイの契約も『お父さんとお母さんは?』なんて聞かれることもなかった。いや流石、神様印の能力である。
ここ数日は忙しかった。日用品や服を買い、街の道を覚えたり小学校の入学手続きしたり。 正直に言おう。楽しかった! と。
新生活の準備ってなんでこんなにテンション上がるんだろね?
しかし浮かれるのはここまでだ。
生活の基盤は出来た、ここからが本番だ。
買ったばかりのパソコンデスクに向かいパソコンを操作する。
検索項目は『白騎士事件』
ISを世界中に知らしめた事件である。
日本に大量のミサイルが撃たれる→IS『白騎士』が迎撃→ISスゲー(兵器化待ったなし)
って感じの流れだ。ここから物語が始まると言ってもいい分水嶺、しかしテレビではまだ一度も“IS”の名前を見ていない。
――検索の頭に来たのは、ゲーム、アニメにプラモデル。まだ事件は起きてないらしい。
白騎士事件は原作開始の十年前位の話だ。つまり、主人公は俺と同い年か年下……産まれてないってことはないよな?
次の検索項目は『○○町』『篠ノ之』
そう、ISの開発者『篠ノ之 束』の実家を調べる為である。ISを手に入れる為には束さんに近づかなければならない。
検索結果の頭には、『篠ノ之神社』そして『篠ノ之道場』
思った通り、この街に主人公とヒロイン、そして『篠ノ之 束』が住んで居るようだ。
さてと、篠ノ之道場では剣道を教えてるみたいだな。これは利用しない手はないよね? 最悪、転生者バレすれば、束さんの興味を引けるかもしれないが、解剖エンドも有り得る。地道に外堀から埋めて、自然に仲良くなれれば最善。
外はうっすらと暗くなっている。時刻は――うん、まだ大丈夫だろう。
電話番号はっと。
ガチャ
「もしもし、篠ノ之でございます」
「夜分に申し訳ありません。ワタクシ『サトウ』と申します。是非、篠ノ之道場で剣道を学びたく思い――」
あ、気合入れすぎて仕事モードの口調になっちゃった。