俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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上中下で終わらなかったんですm(_ _)m


ハロウィン(完)

「ふんふふふ~ん」

 

 すでに罰ゲーム回避が決定している束さんが上機嫌でくじを引く。

 一夏、箒、俺の書いたくじを引いてくれれば勝利の目があるんだが。

 

「これに決めた!」

 

 束さんがみんなに見えるようにくじを取り出す。

 そこには――

 

『腕相撲』

 

 この脳筋が!

 

 小学生三人がキッと千冬さんを睨む。

 

「千冬さん、大人気ない」

「千冬姉、そこまでして勝ちたいの?」

「千冬さん、酷いです」

「……私は勝負事には手を抜かない主義だ」

 

 言ってる事は格好良いけど視線が横を向いてるよ?

 しかし最後に力勝負か。

 一夏と箒には負けないだろうし、俺も罰ゲーム回避かな?

 力勝負なら余計な事されない……よね?

 

「ではルールを説明する」

 

 千冬さんは一夏と箒の視線から逃げる様に説明を始めた。

 

「ルールは簡単だ。総当たり戦」

「勝率が同じ場合は?」

「そいつらだけでもう一度だ――それと、薬、薬物の使用とドーピングは禁止だ」

 

 束さんにとって消化試合だけど油断できないもんな。

 正しい判断だ。

 二人は素の力は同じくらいらしいけど、千冬さんを陥れる為に何かしてくるかもしれないし。

 

「さっさと始めるか。神一郎、来い」

 

 千冬さんがテーブルに肘を付き俺を呼ぶ。

 なぜ俺なのかわからないが、俺の作戦は2勝2敗の三位狙い。

 万が一に備え余計な色気は出さずさっくり負けよう。

 

「お手柔らかにお願いします」

 

 同じくテーブルに肘を付き、千冬さんの手を軽く握る。

 互いににらみ合い準備完了だ。

 

「一夏、レフリーを頼む」

「え? えーと」

 

 千冬さんに呼ばれ一夏は戸惑いながら重ねてる手に自分の手を置いた。

 

「レ、レディ―ゴー!」

 

 

 

 

 あれ? 

 

「千冬さん?」

「なんだ?」

「どうして力入れないんです?」

 

 俺と千冬さんは手を握り合いながらどちらも動かなかった。

 千冬さんが罰ゲームを回避するには全勝する必要がある。

 なのになぜ……。

 

「それはお前もだろ?」

「づっ!?」

 

 手からメキメキと音が聞こえ始めた。

 

「やはりワザと負ける気だったか。お前には色々世話になっているが、そういう打算的な計算をする所が気に食わん。男なら常に全力でやれ」

「ち、千冬さん?」

「簡単に負けれると思うなよ?」

 

 ギリギリと手に掛かる力が強くなる。

 俺の手が潰れる!?

 

「あ゛あ゛っ! ギブ! ちょっ!」

「この勝負にギブアップはない。もちろん私がやってる事もルール違反ではない」

「この野郎!?」

「私は女だ」

 

 ズカンッと音を立てて俺の右手がテーブルにぶつかる。

 

「っつ~」

 

 右手がジンジンと痛む。

 あぁ、俺今泣いてる。

 痛みで泣くって久しぶりだな。

 

「千冬さん、俺に恨みでもあるんですか?」

「別に恨みはない。ところで神一郎、今右手は使えるか?」

 

 千冬さんにそう言われ右手を動かそうとするが。

 

「つ!?……」

 

 右手が痛くて動かせない。

 なんかもの凄く赤くなってるし。

 

「その手で腕相撲とは大変だな」

 

 千冬さんはまるで他人事の様にほくそ笑む。

 こいつ、一夏達を勝たせる為に俺の手を壊しやがった!?

 だがまだ甘いぞ世界最強。

 俺にはまだ左手が残っている! 

 

「もう、ちーちゃんてば、あんまりしー君を虐めちゃダメだよ。しー君大丈夫?」

 

 涙目で千冬さんを睨んでいたら横から束さんが俺の手を優しく触って来た。

 

「こんなに真っ赤にしちゃって。痛そうだね」

「あの、束さん、大丈夫なんであんまり触らないで」

 

 やめて、こんなタイミングで優しくされたら勘違いしちゃうじゃないか。

 

「しー君、次は私とやろうか? 左手なら大丈夫でしょ?」

 

 なんたる優しいお言葉。

 俺、束さんを勘違いしてたよ。

 

「えぇ、左手なら問題ありません」

「いっくん、またレフリーお願いね?」

「了解です」

 

 俺と束さんの左手が重なる。

 

「レディ―ゴー」

 

 

 

 

 

 なんかデジャヴ。

 

「束さん?」

 

 束さんは開始したままの姿勢でニコニコと笑っている。

 

「あのね」

「どうしました?」

「さっき束さんがさ、ちーちゃんのバニーやいっくんと箒ちゃんの赤ちゃん姿が見たいって言ったよね?」

「はい」

「あれ、半分嘘なんだよ」

 

 メキメキ

 

「いっくんと箒ちゃんの赤ちゃん姿も見たいけど、今一番見たいのは――」

「束さん、冗談だよね?」

「しー君の束お姉ちゃん呼びが火を付けたんだよ?」

「あ……あぁ……」

 

 嘘だよね?

 だって束さんは一夏と箒が大好きだもんね?

 

「ごめんね」

 

 束さんは惚れ惚れする笑顔で――俺の左手を壊しに来た。

 

 ゴギッ

 

「あだだだだ!?」

「しー君、暴れちゃダメだよ? 危ないから」

「あ、危ないって?」

「骨が」

 

 骨ってなに?

 俺の手は今どうなってるの!?

 

「せいや」

 

 気の抜けた掛け声と共に左手がテーブルに叩きつけられる。

 

「あぐっ!?」

 

 今度は左手から激痛が走る。

 

「まったく、甘いよちーちゃん。やるなら徹底的にやらないと。危うくしー君が勝っちゃうところだったよ」

「すまん、助かった」

 

 そっか、俺は間違えていた。

 この二人を敵に回してはいけないんだ。 

 

「姉さん……」

「千冬姉……」

 

 流石の二人も姉達のキチガイぶりにビビっていた。

 俺にはもうこの二人だけが癒しなのかもしれない。

 

「一夏、ここで神一郎に哀れみを見せればお前がバニーか赤ちゃんになるんだぞ? いいのか?」

「箒ちゃんもだよ? 別にお姉ちゃんとしては箒ちゃんにママって呼ばれたいけど、箒ちゃんはそれでいいの?」

 

 一夏と箒は少し考えた後――

 

「神一郎さん、次は俺とお願いします」

「その次は私と」

 

 罰ゲーム回避の為に弱者から狩るのは当然だよな?

 

 

 

 

 現在、俺は4敗して罰ゲームが決まっている。

 一夏が2勝2敗

 箒が1勝3敗

 

 そして

 

「やはりお前が立ちはだかるか」

「最後と言ったら束さんの出番だよね」

 

 3勝同士の試合が始まろうとしていた。

 ここで千冬さんが負ければ箒と同順になり延長戦。

 二人で再度くじを引き戦う事になる。

 千冬さんは是非ここで勝ちたいだろう。

 

「千冬姉、束さん、準備はいい?」

 

 気迫に押され緊張気味の一夏が二人に確認する。

 

「私は大丈夫だ」

「…………」

 

 即答する千冬さんに比べ、束さんは無言で目を閉じていた。

 

「束さん?」

「うん、もう大丈夫だよいっくん」

 

 いつもの笑顔はどこにやら、束さんは至極真面目な顔で千冬さんと相対していた。

 その様子を見て千冬さんも喉を鳴らす。

 これは、千冬さんヤバイんじゃ――

 

「最終試合、レディ―ゴー!」

 

「はぁぁぁぁ!」

「せい!」

 

 二人の試合はあっさりとついた。

 

「なん……だと……」

 

 千冬さんの敗北によって。

 

「ふ、ふふふ」

 

 束さんは自分の右手を押さえながら笑っていた。

 いったい何が起きたんだ?

 

「束さん、その右手……」

 

 一夏の声に釣られて束さんの右手を見ると、ビクビクと小刻みに震えていた。

 

「いっくんも覚えておくといいよ。人間はね、普段は二割程度しか筋肉の力を使ってないんだよ」

「二割ですか?」

「そうだよ。いっくんは素手でコンクリートの壁を殴って穴を空けられるかな?」

「出来ません」

「普通はそうだよね。でもね? いっくんが本気を出せば出来るんだよ? もちろん副作用的なものがあるんだけどね」

 

 そう言って束さんは太めのマジックの様な物を取り出し、その先端を自分の右腕を刺した。

 

「それは何です?」 

「これは最新の回復剤だよ。副作用ってのはね、筋肉がズタズタになったり、筋力に負けて骨にヒビが入ったりしちゃう事だよ」

 

 束さんの右腕は暫くは使えないね。

 と笑顔で語っているが、とんでもない話だ。

 漫画などで聞いた事はあるが、まさか本当にリミッターを外せるとは。

 

「千冬姉は出来ないの?」

「いや、出来る――しかし」

 

 千冬さんが悔しそうに唇を噛む。

 

「ちーちゃんにはバイトもあるしね。こんな事で右腕を使い物にならなくする訳にはいかないもんね」

 

 束さんは千冬さんに近づいて肩に左手を置き――

 

「ちーちゃんのバニーが見れるなら右腕程度安いもんだよ」

 

 罰ゲームが決定した千冬さんににこやかに笑いかけた。

 

 

◇◇ ◇◇

 

 

「くふふふ」

 

 笑いが止まらない。

 今日はなんて幸せな日なんだろう。

 目の前では赤いバニー服を来たちーちゃんがしかめっ面で胡座をかき、そのちーちゃんの髪をいってくんが弄り、箒ちゃんが化粧を施している。

 

 負けたのがちーちゃんとしー君で良かった。

 色々言ったけど、実際いっくんと箒ちゃんが負けちゃったら困る所だった。

 だってバニーの箒ちゃんを見ながら膝にいっくんを乗せたら確実に理性が飛ぶもん。

 その衣装が逆になったらちーちゃんの理性も飛んでたかもしれないし。

 

 ちーちゃんとしー君は、どちらがどの格好をするかで少し揉めていた。

 しー君は、『二十歳過ぎの女装はまだセーフ、赤ちゃんプレイだけは勘弁してください』とちーちゃんに言っていたが、結局“言いだしっぺ”と言う事でしー君が赤ちゃんになる事になった。

 

 その後の二人は覚悟を決めたのか大人しかった。

 テキパキと着替え始め、今ちーちゃんはいっくんと箒ちゃんに身だしなみを整えてもらっている。

 ちーちゃんの、バニー+ポニーテールとか反則過ぎる。

 

 私としー君には、とある共有財産がある。

 『666』と名付けられた拡張領域だ。

 その中には、ちーちゃんや箒ちゃん用のコスプレ衣装が保存されており、私としー君が各々の趣味で中身を増やしている。

 その中から、私が用意したバニー衣装(赤、黒、白)と、しー君が用意した、スクール水着+黒ストッキングから自分で選んでもらった。

 ちーちゃんは頬を引きつらせた後、赤を選んだ。

 個人的にはしー君のスクール水着も捨てがたかったけど。

 しかし、しー君は流石だ。

 『666』の中にはいっくん用の水着もあるのだ。

 しかも『いちか』と書かれたスクール水着が。

 それはいっくんが着る機会あるの? って聞いたら、『こんなこともあろうかと』用らしい。

 年上だけあって見習うとこがあるよね。

 まぁ、そのしー君も今は――

 

「あぶ」

 

 死んだ魚のような目をして私の膝の上にいるんだけどね。

 

 おしゃぶりを咥えたしー君は、もの凄く元気だった。

 恥ずかしさから逃げる様にばぶばぶ言いながら動き回っていた。

 でも違う。

 私が望んでいたのはそんなしー君じゃない。

 あの、涙目で上目遣いしてきた可愛いしー君だ。

 だから、私は奥の手を使った。

 しー君が着けている首輪、それに付いてる隠し機能だ。

 電撃はあくまでオマケ。

 首輪の真骨頂は装着者の動きを封じる事。

 頚椎の神経系に干渉し、相手の首から下を動けなくする機能。

 

 最初しー君は暗い目をしながらも止めろと騒いだので、『しー君のしっこポーズ』と言ってひざ下から手を入れ、がぱぁと股を広げてあげた。

 そしたらすっかり大人しくなった。

 若干理想と違うけど、膝の上で大人しくなってるしー君は可愛いなぁ。

 

「ねぇしー君、ママって言って?」

「あぶ」

 

 むう。

 やっぱり言ってくれないか。

 少しやりすぎたかもしれない。

 

「むぎゅー」

 

 お詫びの気持ちも込めて後ろから抱きしめる。

 なんだかんだ言って、しー君もやはり子供だ。

 子供特有の高い体温がぽかぽかして気持ちいい。

 

「束さん、用意できたよ」

 

 光の無い目であぶあぶ言ってるしー君の髪を撫でていたら、いっくんからお呼びがかかった。

 ちーちゃんの準備が終わったみたいだ。

 

「ちーちゃん、今夜は泊まっていかない?」

 

 思わずそんな言葉が出てしまった。

 だって――普段隠されてるうなじ、白く大きな胸、引き締まったお腹、ほどよく肉付きのあるお尻、そして網タイツに覆われたすらりとした足が……私の理性を蒸発させる!

 

「束、罰ゲームは写真撮影だ。いいか? お前はそのまま動くな。もし動いたら殺す」 

 

 本気の目だった。

 ふ~んだ。

 いいもん。

 今はしー君がいるし。

 

 しー君の髪の毛に鼻を埋めながらカメラを用意する。

 しー君を膝に乗せながら、ちーちゃんの艶姿を取る。

 どう見ても今日は束さん得の一日だよね。

 

「いっくん、箒ちゃん、カメラの準備はいいね?」

「ごめん千冬姉、これも思い出の一枚だから」

「ごめんなさい千冬さん。神一郎さんに撮影をお願いされてるので」

 

 ひゃっは~撮りまくるぜ~!




ここまでダレずに呼んで頂いた読者の皆様ありがとうございます。
次はちょっとだけシリアスします。

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