俺の夢にはISが必要だ!~目指せISゲットで漢のロマンと理想の老後~   作:GJ0083

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原作キャラとの初対面

「初めまして、佐藤 神一郎です。本日からお世話になります」

 

 お辞儀の角度は四十五度、目の前にいる先輩と先生にしっかりと挨拶する。

 第一印象は大切だからね。

 

「俺は織斑 一夏」

「篠ノ之 箒です。よろしくお願いします」

「随分としっかりしてるんだな。織斑 千冬だ。一夏の姉になる。柳韻先生が居ない時は私が稽古を見ることになっている。そう固くならんでいい」

 

 目の前に原作キャラがいる。この感動を誰かに伝えたい! 

 束さんはいないけど……。 

 

 年上のお姉さまにモテそうなショタ。もとい、この世界の主人公、織斑一夏。

 その姉で、将来は世界最強になるブラコン姉、織斑千冬。

 そして、ヒロインのモッピー。

 うん。テンション上がるな!

 

「一夏と箒でいいかな? 俺のことは名前でいいよ」

「おう! よろしくな神一郎さん」

「待て一夏。佐藤さんは年上だ。敬語を使え」  

「箒、ここでは俺が後輩なんだから、気にしなくていいよ」

 

 俺の言葉に一夏が少し嬉しそうな顔をする。後輩欲しかったのかな?

 箒の方は納得してないみたいだが、敬語は止めてくれた。お堅いね。

 

「そういえば引っ越して来たばかりだったな。今三年だったか?」

「いえ二年生です」

「となると、一夏と箒の一つ上か、剣道は未経験だと聞いている。なぜやろうと思った?」

「単純に前から興味があったのと、知り合いが誰も居ないので、友達作りになるかと思いまして――だから」

 一夏と箒に顔を向け 

「仲良くしてくれると嬉しい」

 できる限りの笑顔で笑いかけた。

 

 すると一夏が爽やかな笑顔で握手を求めてきた。

 それを握り、モッピーに握手を求めてみる。

 戸惑いながらも、手を握ってくれた。人見知りな性格なんだっけ?

 しかし、おててが! モッピーのおててが、かぁいいよ~。

 っと、いけないいけない。名残惜しいが、怪しまれないうちに手をはなす。 

 

 ここでは出来るだけ慎重に動かなければならない。

 先ほど千冬さんも言ったが、なぜか俺は一夏と箒より年上だった。きっと女神様が適当したんだろうな……。

 つまり、ほぼ道場でしか原作メンバーと関われない。

 束さんは此処にいる三人に特別な感情を持っている。彼女に近づく為にはある程度仲良くしなければならない――束さん目的だから罪悪感があるが……。 

 せめて剣道は真面目にやろう。

 

「えーと、織斑さん? まずは何をすれば?」

「千冬でいい」

「では千冬さんと」

「それでいい、まずは素振りからだ。一夏、箒、年齢は神一郎が上だが、ここではお前達が先輩だ。しっかりと手本みせろよ」

「「はい!」」

  

 

◇◇ ◇◇ ◇◇   

 

 

「今日はここまでだ」

「「「ありがとうございました!!!」」」

  

 初日は無事終了。束さんはこなかった……。

 あれ~? このメンバーは束ホイホイじゃないの? このメンバーなら飛んでくると思ったんだけど。俺が居たせいかな? 

 などど考えていると。千冬さんが話かけてきた。

 

「なかなか筋がいいな神一郎。なにか習ってたのか?」

「いえ、特になにも(多分、神様特典のおかげです)」

「そうか、で、初日はどうだった? やって行けそうか?」

「はい。楽しくやっていけそうです」

 

 初日だからか、千冬さんは、かなりこちらに気を使ってくれた。

 お陰様で、当初の目的を忘れて普通に楽しんでしまった。ただ一つ、問題があるとしたら……

 

「あの、千冬さん?」

「なんだ?」

「一夏と箒って……」

 

 ちらっと二人を見る。そこでは。

 

「一夏、タオルを貸せ。そんな拭き方では汗が残る」

「汗ぐらい自分で拭けるから! それに後で風呂に入るから大丈夫だって!」

「いいから貸せ。ほら、後ろ向いてろ」

「ちょ、痛い! 俺の頭皮剥がれそうだ! 箒、もう少し優しく――」

 

 イチャイチャしてんじゃねーよ!

 まさか原作開始前からこんな光景を見せられるとは…… 

 

「別に付き合ってる訳ではないぞ」

「箒の片思い。でいいんですかね?」

「あぁ、愚弟はどうにも女心に鈍いみたいでな」

  

 まぁ小学生に女心とか無理だよな。

 てかワンサマーには無理。 

 

「千冬さん的には、二人が付き合うの有りなんですか?」

「まだ小学生だぞ。早すぎるだろう」

 

 やっぱブラコンなんですね(にっこり)

  

「何か言ったか?」

「いえ何も」

 

 ギロリと睨まれた。勘が良すぎませんかね? 

 

 

 

◇◇ ◇◇ ◇◇

 

 

 

 帰る準備をして四人一緒に外へ出る。

 千冬さんが道場に鍵を掛け。

 

「では鍵を返して来る。少し待ってろ」

 

 この場を離れる。

 束さんの事を聞くなら今のうちだな。

 

「そういえば、箒にはお姉さんがいるんだっけ? 今日は家に居るのかな?」

「姉さんか? たぶん家に居ると思うが、何か用か?」 

「うん、挨拶したいなぁって。柳韻さんと雪子さんに挨拶したんだけどね。お姉さんにはまだ会ってないんだよ」

 

 柳韻さんは箒のお父さん。雪子さんは叔母である。

 

「ね、姉さんに挨拶? いや、それは……」

 

 いきなり挙動不審になったな。やはり原作通りのキツい性格なのか?

 

「あ~、神一郎さん? 束さんてかなり気難しい人でさ。会うのは止めといた方がいいと思うんだ」

 

 むう……正面から会うのは止めた方がいいか。

 

「わかった。二人がそう言うなら会うのは止めておくよ」

 

 俺の返事を聞いて、露骨にホッとした表情を見せる二人。

 そこに。

 

「いやいや、束さんも話してみたいと思ってたんだよ?」

 

 どこからともなく声が聞こえてきた。

 一夏や箒も驚いて周りを見回すが誰も居ない。

 

「ふっふっふっ。驚いてるね? 箒ちゃん、いっくん、束さんだよ~」

 

 俺達の目の間に急に人が現れる。

 その人は、不思議の国のアリス風のエプロンドレスに、機械のうさみみを着けた少女。

 会いたいと思っていた、篠ノ之 束さんだった。

 

「やーやー、君が『サトウシンイチロウ』だね? ちょ~っとお話しようぜ~」

 

 会いたいと思っていたが、突然の登場に思わず固まってしまった。

 しかし何処から現れた? 目の前に急に現れた様にしか見えなかった。

 

「束さんスゲー! 今のなに!? 手品!?」

 

 俺とは違い、一夏は大喜びだ。

 

「うんうん、いっくんに喜んで貰えて、束さんも嬉しいよ。これは束さん製『ミエナクナ~ル君』使ったからだよ。透明人間になれるのさ!」

 

 さらっと言ったが、光学迷彩ってことですかね? 

 

「それで姉さん、佐藤さんにお話とは?」

 

 一夏が大はしゃぎ、俺が固まっている横で、箒が話を進めてくれた。

 

「?そのままの意味だよ? ちょっとお話してみたくてね。君も束さんに会いたかったんでしょ? 束さんの部屋でお話しよ~ぜ」

「お誘いは嬉しいのですが、いきなり女性の部屋に入るのは良くないと思うんですよ。それに挨拶したかっただけですし。初めまして束さん、佐藤 神一郎です。以後よろしくお願いします」

 

 束さんに会えたのは嬉しいよ? 顔可愛いよ? 声も可愛いよ? でもね? 口調と裏腹に目が凄く怖いんだなこれが。これ絶対付いていったらダメなパターンだよ。

 では。と言って帰ろうとする。

 

「残念。大魔王からは逃げられないんだよ?」

 

 帰ろうとする俺の腕をガシっと掴む束さん。そのまま引っ張られる。

 ちょ! 力つよっ! 抵抗するがズルズルと引きずられる。

 

「一夏! 箒!」

 

 思わず二人に助けを求めるが、二人も突然の展開にオロオロしている。

 

「そうそう、いっくん。ちーちゃんが、“戻るの少し遅くなるから箒と遊んでろ”だって。良い子にしてるんだよ?」

 

 ではでは~と言ってそのまま俺を引きずる束さん。

 脳内ではドナドナが流れました。


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